外国人学校卒業生の大学受験資格を求める神戸大学教員の声明

 

 今年3月,文部科学省は,外国人学校出身者のうち,欧米系インターナショナル・スクールの出身者に限って大学受験資格を認めるという方針を打ち出しました.しかしながら,これはアジア系民族学校の出身者に対する露骨な差別であるとの批判が各方面から寄せられたため,文部科学省はこの方針を「凍結」しました.その後,6月11日にはアムネスティ・インターナショナル日本総会が「民族学校出身者の大学受験資格を求める声明」を首相・文科相・法相・外相宛に提出しており,6月20日には京都・大阪・兵庫3府県の知事が文科相に対して「朝鮮人学校をはじめとする外国人学校卒業生に等しく大学受験資格が与えられるよう格段の配慮を願う」との要望書を提出しています.また,7月2日付の『朝日新聞』では,いまだ一校も外国人学校卒業生の受験資格を認めていない全国の国立大学の学長の8割近くが同紙の調査に対し「認めたい」と回答したと報じられています.さらに,9日以降には,外国人学校卒業生に受験資格を認めることを適当とする判断を京都大学が下し,その旨の要請書を文部科学省に提出しようとしているという動きも明らかとなってきました.このように,現在焦点となっている国立大学をも巻き込みながら,すべての外国人学校の卒業生にひとしく大学受験資格を認めるべきであるとする世論が盛り上がりつつあるにもかかわらず,文部科学省は依然として「検討中」との姿勢を崩していません.

 そのようななか,6月24日には,来年神戸大学を受験することを希望している東京朝鮮中高級学校生3名が,神戸大学学長に対し,代理人たる弁護士を通じて,「入学資格認定書交付申請」を行いました.その申請においては,個別の大学に入学資格の認定権限を認めている学校教育法施行規則第69条6号にもとづいて神戸大学が申請者の入学資格を遅くとも7月末までに認定すること,認定を拒否する場合はその理由を明らかにすること,がもとめられています.すなわち,この申請においては,神戸大学としての主体的判断が問われているのであり,また,神戸大学が社会に対する説明責任を果たすことが強くもとめられているのです.私たちは神戸大学の教員としてこのことを重く受け止めなければならないと思います.そして,なんの説明責任も果たされないまま従来通りの入試要項によって上記の若者たちが神戸大学から門前払いにされる,というようなことは,あってはならないことと考えます.

 神戸大学は,在日中国人1万人,在日コリアン2万5千人の暮らす神戸市に位置しています.そして,その教育憲章では,「国際都市のもつ開放的な地域の特性を活かし」て「国際性の教育」を行うこと,「多様な価値観を尊重し,異文化に対する深い理解力を有」する人材を育成することが,神戸大学の教育目的の1つであるとされています.私たちは,12年間の教育課程を修了した外国人学校卒業生にも外国人留学生の場合と同様の受験資格を認めるということは,上記のような教育憲章に照らして,神戸大学が当然なすべきことであると考えます.また,神戸大学で学ぶのに必要な学力は入学試験で試されるわけですから,12年間の教育課程を修了した外国人学校卒業生にさらに大検合格などの資格を求めることは,彼らにのみ過重な負担を強いる不要かつ不当な扱いであると考えます.

 私たちは,入試要項が公表される時期であるにもかかわらず文部科学省が外国人学校問題に関して「検討中」との対応を継続していることに強く抗議し,各大学の自主的判断に委ねる方針を公表することを要求します.同時に,神戸大学学長に対して,すでに提出されている入学資格認定書交付申請に対し7月末までに認定書を交付するよう強く求めるとともに,すべての外国人学校出身者からの申請に応じられる開かれた態勢を早急に整えるよう要請します.

 

2003年7月

 

 

呼びかけ人:大津留厚,上野成利,宇野田尚哉(代表),岡田浩樹,安井三吉,岡田章宏,ロニー・アレキサンダー

 

賛同者:神戸大学教員114名

 

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