資料
平成十四年七月二十三日提出
質問第一五一号
朝鮮人(韓国籍・朝鮮籍)学校に関する質問主意書
提出者  大島令子
日本に朝鮮学校が設立されて五〇年以上が経過する。わが国のいわゆる義務教育はこの間、憲法二六条の教育を受ける権利、教育の義務の規定のもと、義務教育においては無償で行われてきた。この間、学校教育法は第一条でいうところの「学校」と専修学校、各種学校とを区別し、国はこの分類に従ってそれぞれの学校への助成を行ってきたところである。
 しかし、朝鮮学校は在日朝鮮人にとって義務教育であるにもかかわらず、第一条の規定からはずされたばかりか、専修学校の規定からもはずされている。
 日本は経済成長を成し遂げて以来、国際化に向けた政策の実現に腐心してきたが、国内での国際化は未だ自国との壁を取り除こうとはしておらず、韓国、朝鮮人及び外国人学校が学校教育法第一条の規定する「学校」と差別されていることが、そのことを如実に物語っている。
 以上のことをふまえ、以下質問する。

一 国連児童の権利に関する委員会(第一八会期)の最終見解(一九九八年六月)は「韓国・朝鮮及びアイヌの児童を含む少数者の児童の差別的取扱いが、何時、何処で起ころうと、十分に調査され排除されるよう」との勧告を受けて、政府は調査を行ったのか。行ったのであれば、その内容及び結果を明らかにされたい。
 また、調査が行われたのであれば、その結果を受けて、どのような改善策を講じたのか、検討中の策も含めて明らかにされたい。

二 国連人種差別の撤廃に関する委員会(第五八会期)の最終見解(二〇〇一年三月二十日)ではわが国に対し、「韓国・朝鮮人マイノリティに対する差別に懸念を有する。韓国・朝鮮人学校を含む外国人学校のマイノリティの学生が日本の大学へ入学するに際しての制度上の障害の幾つかを除去するための努力は払われているが、委員会は特に、韓国語での学習が認められていないこと及び在日韓国・朝鮮人学生が高等教育へのアクセスについて不平等な取扱いを受けていることに懸念を有している。締約国(日本)に対し、韓国・朝鮮人を含むマイノリティに対する差別的取扱いを撤廃するために適切な措置をとることを勧告する。また、日本の公立学校においてマイノリティの言語での教育へのアクセスを確保するよう」勧告している。
 この勧告に対し、どのような措置を講じたのか、明らかにされたい。
 また、講じなかったのであれば、どのような理由で対応されないのか、明らかにされたい。
 さらに相当数の外国人が居住する地区においては、公立学校にマイノリティの言語による教育能力のある教師を配置することもこうした勧告に沿うことと考えるが、いかがか。
三 国連経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会(第二六会期)の最終見解(二〇〇一年九月)では「委員会はかなりの数の言語的少数者の児童生徒が在籍している公立学校の公式な教育課程において母国語教育が導入されることを強く勧告する。さらに委員会は、それが国の教育課程に従うものであるときは、締約国(日本)が少数者の学校、特に在日韓国・朝鮮の人々の民族学校を公式に認め、それにより、これらの学校が補助金その他の財政的援助を受けられるようにし、また、これらの学校の卒業資格を大学入学試験受験資格として認めることを勧告する。」としている。
 この勧告に応じて、朝鮮学校、中華学校その他在日外国人の子どもたちが義務教育課程を母国語で学習する国際学校とその児童生徒に対して、義務教育課程を無償で受けられる為に必要な助成が行われるべきと考えるが、見解を明らかにされたい。
 また、このような勧告に従うなら、各級朝鮮学校、中華学校などを認可し、日本の公立学校と同等の資格を認め、施設費や経費などの助成をはかるべきと考えるが、いかがか。
四 韓国・朝鮮学校やその他の外国人学校の建設、修復に関して、その費用に対し、寄付がされた場合、免税措置が講じられないのは何故か、その理由を明らかにされたい。

 右質問する。
平成十四年八月三十日受領
答弁第一五一号

  内閣衆質一五四第一五一号
  平成十四年八月三十日

内閣総理大臣 小泉純一郎

          衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員大島令子君提出朝鮮人(韓国籍・朝鮮籍)学校に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員大島令子君提出朝鮮人(韓国籍・朝鮮籍)学校に関する質問に対する答弁書
一について

 児童の権利に関する委員会は、その最終見解において、「韓国・朝鮮及びアイヌの児童を含む少数者の児童の差別的取扱いが、何時、何処で起ころうと、十分に調査され排除されるように」勧告している。
 法務省においては、法務局、地方法務局等に人権相談所を開設して、いじめ・体罰、外国人差別等に関する相談に応じているほか、具体的に人権侵害の疑いのある事案を認知した場合には、人権侵犯事件として速やかに調査し、侵犯事実の有無を確かめ、その結果に基づき、勧告、説示等事案に応じた処置を講じているところである。
 なお、具体的な事案に関する調査の内容等については、関係者のプライバシーに係る事柄であるので、お答えすることを差し控えたい。
 今後とも、在日韓国・朝鮮人等の児童に対する偏見や差別をなくすため、国民に広く啓発活動を行うとともに、人権相談及び人権侵犯事件の調査及び処理を通じて、積極的に人権の擁護を図ってまいりたい。

二について

 在日韓国・朝鮮人その他の日本国籍を有しない児童及び生徒であっても、その保護者が希望する場合には、公立義務教育諸学校への無償での就学を認めており、さらに、それらの者のうち日本語の能力が不十分なものについては、必要に応じ、日本語に関する特別の指導、彼らの母国語を使用できる者による支援等を行っているところであり、日本語に関する特別の指導が行われる場合には、都道府県教育委員会が当該指導が行われる小・中学校及び中等教育学校の前期課程に教員を配置することができるように予算の範囲内で特例的に教員の定数を加算する措置をとっている。また、在日韓国・朝鮮人その他の日本国籍を有しない児童及び生徒に対しては、地方公共団体の判断により、教育課程外において母国語や母国の文化等を学習する機会を提供することは差し支えないこととしているところである。このような取組により、我が国においては、日本国籍を有しない児童及び生徒の教育の機会の保障に努めているところである。
 なお、大学入学資格については、既に平成十一年九月に大学入学資格検定規程(昭和二十六年文部省令第十三号)を改正し、外国人学校等の卒業者も含めて満十六歳以上の者(高等学校の全日制課程の在学者等を除く。)は、大学入学資格検定を受検できることとされており、これについても在日韓国・朝鮮人について不平等な取扱いとなっているものではない。

三について

 経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会の最終見解は、「それが国の教育課程に従うものであるときは」とした上で、「少数者の学校、特に在日韓国・朝鮮の人々の民族学校を公式に認め、それにより、これらの学校が補助金その他の財政的援助を受けられるよう」勧告しており、学校教育法(昭和二十三年法律第二十六号)第一条に定める学校として認可されていない外国人学校への財政的援助を勧告するものではないと考える。

四について

 外国人学校等の各種学校の施設整備等のために募集される寄附金については、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第七十八条第二項第二号、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第三十七条第四項第二号等により、学校教育法第一条に規定する学校の行う教育に相当する内容の教育を行う各種学校で、その運営が法令等に従って行われ、かつ、その教育を行うことについて相当の理由があるものと所轄庁が認めるものであること等の要件を充たす学校に対する寄附金であって、当該寄附金の募集につき財務大臣の承認を受けた場合に、寄附金控除等の特例措置がとられているところである。
 この財務大臣の承認は、当該寄附金が公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であると認められる場合に限ってなされるものであり、そのような場合以外はこれらの特例措置の対象とはならない。
 各種学校に対する寄附金でこれまでにこれらの特例措置の対象となったものについては、当該各種学校が、保護者の用務の都合により我が国に短期間滞在する外国人子女を多く受け入れており、対内直接投資を促進し、海外から優秀な人材を呼び込む上で重要な役割を果たしていると考えられ、その施設整備等が緊急を要するものであると認められたため、当該寄附金の募集について財務大臣の承認がなされたものである。


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※参考:「朝鮮人(韓国籍・朝鮮籍)学校に関する質問主意書」に対する政府回答の問題点について
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