朝鮮人学校の資格助成問題に関する人権救済申立事件調査報告書(抜粋)
日本弁護士連合会 人権擁護委員会
1997.12
第5 判断
4.日本国に在住する外国人に対する教育に関する人権侵害の解消処置について

(1)卒業資格、修了資格について
  
日本国に在住する外国人の学校について、国際的にはそれぞれの在住国が教育内容などの最低基準を定めてその水準を維持することを要求することを認めており、前記外国人の権利宣言はかかる前提に立っている。日本国は、その各初等中等高等の教育課程の最低基準を法定していないから、速やかにこれを法定すべきである。
  
そして、その各要件を満たした学校については、法定した要件を満たす学校の卒業生は、それぞれ日本国の学校教育を受けた者と同等に、その初等、中等、高等の学校教育を卒業した資格を認めるべきであり、また在籍している者にはそれぞれの学年まで修業した者として転入を認めるべきである。
上記の法的処置は、外国人の学校に関する特別法を制定するか、または学校教育法及び私立学校法を改正して早期に行うべきである。
  
外国人の教育は、その民族ないし本国の文化に基づいてその民族構成員ないしその国民によって実施されるものであるから、その基準は民族ないし本国を尊重し、在住国の社会生活と文化程度に必要な最低限度にしなければならない。またその基本として、国際協力及び国際化の進行により、各本国の学校教育の卒業者は、既に日本国において同等の学校の卒業資格を認められ、また認める必要があり、何ら不都合を生じていないのであるから、各本国の教育内容を尊重するべきである。
  
前例の西部地域学校大学協会(WASC)の基準を満たしているアメリカ国内の各学校大学の卒業者は、日本国において同等の学校卒業資格を認められているにもかかわらず、その認定をうけている日本国内にあるインターナショナルスクールの各校の卒業生は、その学校が日本国にある以外の差異はないのに日本国では卒業在籍資格が認められないという不合理な結果を生じている。なお、同協会の認定校の在籍及び卒業者がアメリカ国内の学校に転入しあるいは上級学校に進学する場合には、何らの制限を受けずそれぞれ認められている。

前述の一見明らかな不利益、不平等とともに、こうした不合理は日本国は日本国に在住する外国人に対して、日本国に在住するには日本化することを進めようとしているという以外の理由は考えられず、国際的には、かつての大日本帝国時代のいわゆる帝国主義ないし国家主義的政策か
ら基本的に進歩を遂げていないと解されてもやむを得ないものであり、基準の制定には各民族及び各出身国を尊重した慎重な配慮を要する。
したがって、一応以下の基準が考えられる。


A   本国法に準拠して、または本国とほぼ同一の教科と水準によるもの(これに日本国で生活する  ために必要な日本語教育など自主的判断による若干の変更を加えることは自由であるが、要件とはしない)。
B   日本国の学校教育法とほぼ同等の教科と水準に、自国語を国語とし、また自国語を以て他の科目を教え、自国の歴史などを加えたもの(日本語教育など自主的判断による日本国での社会生活に必要な教科を加えることは自由であるが、要件とはしない)。
C   上記A、Bのいずれかの最低水準を満たしているもの。

(2)外国人学校(朝鮮各級学校など国際学校、いわゆるインターナショナルスクール)の助成について
日本国に在住する外国人は、外交官及び日米安全保障条約の関係者を除いて納税の義務において日本国民と同等であるから、その使途としても公平にその利益を受けるべきである。 
日本国に在住する外国人は、日本国民に比較してはるかに少数であるから、その独自の文化を保持し、日本国民と同等の程度の水準の教育を維持するとすれば、その児童生徒一人あたりの経費は日本国民の児童生徒に比して高額とならざるを得ない。外国人の児童生徒の教育について、日本国民の教育より定額の経費の教育で良いとする理由はないし、また日本国民以上の教育を保障しなければならない理由もない。 
したがって、原則として少なくとも日本国民と同等の経費を日本国として国庫及び地方財政から支出すべきである。


A  経常経費に関する助成金

  義務教育
日本国に在住する外国人の児童生徒が、児童の権利条約などで保障しているとおりに、自らの文化を保持して義務教育課程を無償で受けられるために、一人あたり少なくとも日本国の国公立小・中学校の児童生徒一人の教育に要する経費と同額の助成金を交付するべきである。

  高等教育(高等学校相当)
高等学校教育については、日本国民との不平等を解消するために、少なくとも下記の計算による金額を外国人学校とその児童生徒に一人あたりの助成金として交付すべきである。
日本国の国公立高等学校の生徒に必要とする経常経費の総額+日本国の私立高等学校の学校及び生徒が受けている助成金の総額÷日本国の国公立及び私立高等学校の生徒総数
大学教育及びその研究
日本国の私立学校振興助成法に基づく私立大学と同等の助成金を交付すること。

B  施設費
児童生徒学生の数に応じて、日本国の国公立小・中・高等学校と同程度の環境・施設において教育するに必要な施設費を助成する。ただし教育施設の固定資産(土地建物)については、賃借費用相当を限度とすることができる。

C  児童生徒に対する学資の貸与の援助
日本国政府は、私立学校新興助成法の運用と同額の援助をする。

D  教員の養成に関する経費
日本国は、学校教育の教育に関する予算とは別に、国公立大学において教員を養成し、都道府県などもまた教員の資質を向上するために研究及び研修施設を設置運営している。

したがって、外国人の学校に対しても、この活動に相当する活動に要する経費を税の公平な使途として相当額助成すべきであり、またこれは日本国の社会で活動する外国人の教育内容の充実のためにも有効であり日本国の社会に還元される性質でもある。

日本国がかつて領土として支配した大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国、台湾の各出身者の学校については、ポツダム宣言受諾まで三十数年間以上にわたって文化的に日本文化による教育をした結果、それぞれ自己の民族的ないし自国文化による教育能力を有する教員の育成に甚だ困難を生じた。これは日本国の先行行為に基づく影響である。したがって、これらの地域出身者の日本国在住者を教育する教職員の養成については、少なくとも一世代については国公立大学相当の経費を負担すべきである。
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