(※以下の資料は衆議院、及び参議院のホームページより抜粋したものです。)



2003年7月9日 衆議院 文教科学委員会 赤羽一嘉(公明)

○古屋委員長 赤羽一嘉君。
○赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
 きょうは、短時間でございますが、まず最初に、いわゆる外国人学校の卒業生に対する大学入学資格問題についてお伺いをしたいと思います。
 この件につきましては、私、二月の予算委員会の分科会で取り上げまして、規制緩和という大きな流れの中で、私は、いわゆる外国人学校の卒業生に対する大学入学資格は、この国際社会でございますからどんどん与えられるべきだ、こういった論ではありましたが、この点についての文部科学省の御見解を問いただしたわけでございます。
 そして、一応の文部科学省の試案が、ある意味では、結果として、いわゆるアジア系の民族学校に対する差別的なものを生むのではないか、こういった懸念があり、そういったことも指摘をし、そういった質問を受け、また与党三党の幹事長からの大臣への申し入れもあり、そして文部科学省もパブリックコメントを広く聞かれた結果、当初考えていたような対応では極めてまずい部分も出てくるのではないかということで、結局、当初考えられていた案で対象にならない外国人学校の卒業生に対する入学資格をどうするかといったものを文部科学省の中で鋭意検討していこう、こういったものというふうに理解をしております。
 そろそろ、明年の大学入学試験を目指して、この十月には統一の試験も行われるわけでございますし、高校三年生はそれぞれ、この夏休み、まさに受験の天王山はこの夏に決まる、こういったこともありますので、この結果がどうなっているのか、大変心配もし、見守っている受験生も多いと思います。
 この点について、現状、文部科学省の検討のぐあいとまた見通しについて御答弁をいただきたいと思います。
○遠藤政府参考人 外国人学校卒業者の大学入学機会の拡大につきましては、国際的な実績が認められる評価団体により評価を受けている外国人学校の卒業者につきまして入学資格を認めるという対応案を三月に公表したところでございますが、この対応案につきましては、各方面から、結果的に対象とならなくなるアジア系等の外国人学校についても何らかの対処をすべきなどの意見が多く寄せられ、またパブリックコメントにおきましても同様の意見が多く見られたところでございます。
 これらの意見を踏まえまして、当初の対応案に加えまして、アジア系等の外国人学校の取り扱いについてもどのような対応が可能か検討する必要がある、こう考えまして、当初の対応案による平成十四年度中の措置は見送り、これらの課題について検討をしているところでございます。
 検討の見通しといたしましては、具体的な結論の時期を決めて検討しているものではなく、どのような対応が可能か、現在、鋭意検討をしているところでございますけれども、十六年四月入学者への対応を念頭に置きながら検討している、こういう状況でございます。
○赤羽委員 冗談もいいかげんにしてほしいんですけれども。期限を決めていないという、そんな無責任な対応はありますか。受験の期限というのは決まっているわけで、高校三年生、一生涯の、大学受験というのは大変大きな出来事なわけですよ。それがどう左右されるかということを真剣に
やろうとしているのに、何か全く、いつ決めるのかわからないようなことを平気でこういう正式な国会の場で答弁されるのは困る。余りにも不誠実だというふうに言わざるを得ない。
 これはもう一回ちゃんと答えてください。どういうふうに、何を論点に、何が問題となって検討しているのか、どういった意見があるのか、こういうことをちゃんと報告するべきだと思いますが、どうですか。
○遠藤政府参考人 大学入学資格につきましては、我が国の学校教育制度の中で大学教育の水準を確保するために必要なものでございまして、高等学校卒業または大学入学資格検定の合格等、一定の要件を必要としているものでございます。
 このため、アジア系の外国人学校も含め、教育内容について法令上特段の定めのない外国人学校の卒業者の大学入学資格につきましては、高等学校卒業と同等以上の一定水準の教育をどのように担保するかが課題でございまして、この点を中心にさまざまな観点から省内で事務的に検討している、こういう状況でございます。
○赤羽委員 私は、そういう観念論はもうそろそろ少し脱却した方がいいというふうに思いますよ。
 日本の文部科学省が定めている、いわゆる一条校を卒業した学生がある一定の能力の水準が担保されている、そういう論でしょう。その一条校じゃないところの高校を卒業した人たち、または学校に行かなかった人たちの一定の能力の水準を担保しなければいけないと。
 しかし、これはそういう理屈はあるかもしれないけれども、実態論としては全然そうじゃないでしょう。日本の高校を出て早稲田大学に行って、大学にも行かずに、後で質問にも取り上げようと思っていますが、連日イベントを開いてレイプなんかしている、どこに一定水準の能力が担保されているんですか。こういった実態があるんじゃないですか。片や、外国人学校を出て大検を受けて、いわゆる日本で言う一流大学に行っている実態だっていっぱいあるじゃないですか。
 こういった現実を全く直視しないで、やれどういうふうに線を引くか、いつまで結果を出すかということを明確にしないで、私、こういうことをやっていても結論は出ないと思いますよ。実態論と乖離したような形というのは、私は、もうそろそろそういった発想自体を、考えを改めた方がいいと思います。
 ちょっとここで一つ確認をしておきたいのですけれども、例えば、台湾の高校を出た人は日本の大学入学受験資格がありますよね、留学するということで。日本のいわゆる台湾系の中華学校を出た人というのは入学資格がないんですよ。これは矛盾ないですか。どういう理屈がつくんですか、これは。
○遠藤政府参考人 入学資格につきましては、それぞれの国におきまして国内法令に基づいて資格が決められている、こういうことでございます。したがいまして、外国につきましては、これは国内法令直接のということではございませんので、外国の学校につきましては、それぞれの外国の学校の制度を尊重いたしまして、そして入学資格ということにしておるわけでございますけれども、日本の国内にあるいわゆる外国人学校につきましては、それぞれの国内法制ということでございまして、そういう意味で、私ども、観念的と言われて大変申しわけございませんけれども、高等学校卒業と同等以上の一定水準の教育という観点から入学資格ということで定めさせていただいている、こういうことでございます。
○赤羽委員 まさにそれを観念論だと言っているんですよ。台湾の高校を出た人が日本の国立大学を受ける場合に、日本の文部科学省は、外国の問題だからということで、基本的には全員に受ける資格を与えているわけですよ、門戸を開いているわけですよ。日本にある、自分たちが直接管轄していない各種学校のエリアかもしれないけれども、日本に長年住んでいて、中華学校でそれ相当の、大学を結果として受かるような人に対しても大学入学資格を問うているんですよ。
 こういったことを、私はまさに屋上屋だというふうに思うし、おかしな矛盾を感じませんかということを問いただしているんですけれども、どうですか。理屈はあるかもしれませんが、それはへ理屈に近いんじゃないですかということを私は聞きたいのですが、どうですか。
○遠藤政府参考人 制度ということでそういうことにさせていただいておるわけでございまして、制度という意味では、例えば各種学校につきましては、大学入学資格は、これは外国人学校その他にかかわらず、そういう仕切りにさせていただいている、こういうことでございます。
○赤羽委員 お役人の答弁ですから限界があると思うので、政治家の方に答弁していただいた方がいいのかもしれないが。
 では逆に、外国人学校の、いわゆるアジア系の民族学校の卒業生に大学入学資格を与えることで、どんな問題が出るんですか。彼らだって大学受験をするわけでしょう。別に問題が私は起こらないと思うんですけれども、この点についてどう考えているんですか。これは、もうそろそろ私は、やはりこれだけの国際社会になっている、まさにオープンマインドにしていくべきだと思いますよ。別に大学に入れろという話じゃないんだから、大学受験をする前提の大検なんていうのはもう必要ないんじゃないのということを言っているわけですよ。どんな問題があるんですか、外国人学校の卒業生に大学入学資格を与えるということは。私は、それはとても理解できない。
○遠藤政府参考人 具体的にどのような問題がということでございますけれども、制度上の問題として、大学教育の水準確保という面で問題があるということでこれまで来たわけでございまして、現在、その点についてどうしたらいいかということで鋭意検討をしている、こういうことでございます。
○赤羽委員 わかりました。今検討しているということなのであれですけれども、結局、大学入学資格が自動的に与えられている日本の高校生が、今みたいな、大学で勉強もしないでいろいろな問題を起こしているという実態があり、かつ、外国人学校の卒業生でそういった問題があるかもしれないけれども、特段、そういった問題があるから大学入学資格を与えられないんだ、こういったことを説明するだけの事例は僕はないと思いますよ。
 ですから、規制緩和の閣議決定もあるわけだし、いわゆるインターナショナルスクールにおいてすべて門戸を開放しろというその中に、当然、このインターナショナルスクールの中にいわゆるアジア系の民族学校、アジア系の民族学校といったって、私、神戸にもたくさんありますからよく行きますけれども、いわゆる中華系には中国人だけじゃなくて、日本の国籍の方だってほかの国の方だっていますよ。そういったこともインターナショナルスクールと考えて、ここはがっと全部門戸開放をしたらどうですか。それが規制緩和の閣議決定の趣旨に沿うものだと私は思いますが、これは大臣答弁をちゃんとしていただきたいと思います。
○遠山国務大臣 そういう御意見があるということもよく存じておりますし、さまざまな意見があるわけでございまして、この問題についての国民の要望なりいろいろなことを考えながら、また日本の子供たちも、高校を卒業していない人は、特別のものは別といたしまして、大検を受けて大学に入るというような状況にもなってございますし、今の制度のもとでも、大検を受けていただければ入学資格も得られるわけでございます。
 そういうことを前提にした上で、さまざまなことを考えて今検討中ということでございますし、そして同時に、来年の四月の受験生にとって不都合がないように時期も考えながらやっていくということでございまして、そういう形で今準備をしているという段階でございます。
○赤羽委員 いろいろな意見があるがゆえにパブリックコメントを聞かれたんだと思います。ですから、パブリックコメントに基づいた決定がされる、こういったことでよろしいのですね。ちょっともう一度大臣答弁を。
○河村副大臣 パブリックコメントもいただきましたし、今赤羽委員からもいろいろ御指摘いただいた、そういうことも踏まえて検討いたしておる、こういうことでございます。
○赤羽委員 ぜひ国際社会にふさわしい、新たな差別を生まない形で決定をしていただきたいと思います。
 私、加えまして、もう大検という制度そのものも見直した方がいいのではないかというふうに思います。それぞれ事情があってこれだけ学校をやめるというようなことも多いわけですけれども、それなりに皆努力をして大学試験を受けるわけですから、そこで能力がすべて問われるわけであって、三年間高校に行かなかった部分について資格を問うような試験というのは、もうそのもの自体私は時代おくれだというふうに思っているということを表明したいと思います。
 次に、この問題があったときに、年度末というか三月末に、いわゆるインターナショナルスクールの設置を主たる目的とする学校法人について特定公益増進法人に追加する、この問題について質問をしたいと思います。
 政府答弁は、この問題といわゆる外国人学校の卒業生の大学入学資格は全く別の問題だ、こういう答弁なんですね。ですけれども、私これはちょっと、本当にそうなのかなと思うんですよ。
 今回のこの理由が対日投資を呼び込むために云々とありますけれども、これは、実は外国人学校の卒業生に対する大学入学資格の閣議決定も同じ文言だったと思うんですよね。ですから、私、このことについてはちょっと別の問題として論じるというのはおかしいと思うし、年度末に与党の中でもこの卒業資格ということが問われ、国際バカロレアとかWASCなんかの認定を受けることを絶対的なものとすること自体少しおかしいのではないかというブレーキがかかって、現実にはどうするかというのを検討された。
 この問題については検討されたのに、今回のこの税制改正というか、この特定公益増進法人の認定云々については、これは国会の議論なくできるシステムでありますけれども、この文部科学省の告示にあるように、外交、公用または家族滞在の在留資格で在留する外国人子女に対して教育を行うことを目的とする学校であって、国際バカロレアやWASCなどの国際的な機関が認定するものである、こういったことを要件にして告示をしたというのは、私はちょっと納得がいかないんです、率直に言って。問題があるのに、どうしてそういうことを一方的にやったのか。
 対日投資ということで云々とありますけれども、今の経済の状況の中で、これはもう、中華系、香港や台湾や、東南アジアのところからも随分日本に来ている子女が多いわけですよ。そういう人たちが、台湾系の中華学校とか、そういったところにも行
くわけだけれども、結局、WASCとか国際バカロレアなんという認定を受けているわけじゃないんですよ、英語圏の学校じゃないから。
 だから、これは何でこんな要件がつくのか。この辺について、私、どうしても、文部科学省、この一連の問題の中で、何か国際的な権威というのは国際バカロレアとWASC、ここに認定されている学校がすべて正しくて、そこから外れているアジア系というのは劣っているみたいな、こういった思想があるんじゃないかと感じざるを得ないんですけれども、なぜこんな要件をつけなきゃいけないんですかというのが一つと、台湾系とか香港系とか、そういうアジア系のビジネスマンだっていっぱいこっちに来て、学校を探しているんですよね。こういったことについてどう対応するのか。
この問題について、明確に答えをお願いします。
○玉井政府参考人 お答えを申し上げます。
 今回の税制改正は、御質問の中でも御指摘いただきましたけれども、対内直接投資を促進し、海外の優秀な人材を呼び込む上で、日本に来られている外国人の子女に対する教育上の環境整備を行うことが重要だ、その観点で税制面での支援を行うという
政策目的を持っているわけでございます。
 そこで、今回の特定公益増進法人の対象につきましては、今申し上げました政策目的を踏まえまして、各種学校を設置する学校法人、準学校法人であり、かつ、家族滞在等短期の在留資格で滞在する外国人子女に対して教育を行うことを目的とするものであって、国際バカロレア事務局など国際的な機関が認定するものをその基準として設定したわけでございます。
 このような基準を満たす外国人学校においては、欧米系の子女だけではなくて、中国等アジア地域を含めて、世界のさまざまな国の国籍を有する子女が学んでいるという実態がございます。
 なお、御指摘の中で、中華学校についての御指摘がございましたけれども、家族滞在の在留資格を有する外国人子女は必ずしも多くはないというふうに私どもとしては承知をしているわけでございまして、いずれにせよ、この税制改正の目的というのは申し上げたとおりでございまして、そして、その基準を申し上げたわけでございますので、したがって、アジア系であるとかないとか、そういう観点でこういう政策目的を設けたわけではございません。
○赤羽委員 今の答弁ですと、アジア系の外国人学校であっても、いわゆるその基準を満たせば特定公益増進法人に追加される、その対象になり得る、こういったことですか。
○玉井政府参考人 お答えを申し上げます。
 先ほど、この税制優遇措置の目的、それから基準を申し上げました。したがって、今回の税制改正に係るその目的、そして基準に照らして、該当すれば、アジア系の外国人学校でもこのような政策目的を踏まえた基準を満たすということになりますと、特定公益増進法人の対象になり得る、そういう仕組みでございます。
○赤羽委員 ですからお役所というのはずるいと申し上げておきたいんですよ。
 中華学校が国際バカロレアとかWASCの認定される可能性なんて、ほとんどないんですよ。だけれども、しかし、さはさりながら、そういう国際バカロレアの認定を受けない中華学校でも、これからの貿易のトレンドを考えると、アジア系、香港系、台湾系から子弟が多く来る時代になるわけですよ。そういうトレンドになっているわけだから。まさに、今そういったものがないがゆえに、インターナショナルスクール、いわゆる英米系に行っているという実態もあるわけであって、もうちょっとこれは、オープンマインドでこのことについてもぜひ前向きに少し考えを改めていただきたいということを申し上げておきたい。
 最後、その答弁をいただいて、私の質問を終わりにします。
○河村副大臣 赤羽委員の御指摘の点、私も理解をするのでありまして、税制改正の場合のあり方、特に特増をどうするかという問題について、いろいろ議論があるところで、なかなか、条件が整いませんと財務省の方のガードがかたいという面もあるんです。これはむしろ、そっちの方から来たものを我々の方が認めたということでありますから、さらにそういう条件に合うものについては我々の方からこれを求めていく、こういうことでなければいかぬ、こう思っております。
○赤羽委員 どうもありがとうございます。
 いずれにせよ、二十一世紀、国際化の時代にふさわしい、前向きな決定がされるように、観念論でない決定がされるように強く期待をいたしまして、私の質問を終わりにします。ありがとうございました。

2003年7月9日 衆議院 文教科学委員会 牧野聖修(民主)

○古屋委員長 牧野聖修君。
○牧野(聖)委員 民主党の牧野聖修です。
 ただいま赤羽委員から、外国人学校卒業生に対する大学受験資格付与の質問がなされました。私も同じ質問をさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。
 最初に、大臣に質問をさせていただきますが、ことしの三月の二十七日に、大臣が大変お忙しい中、私どもにお時間をいただきまして、民主党を代表いたしまして数名の者が大臣室に伺いまして、パブリックコメント最終日でございましたね、そのときに、外国人学校卒業生に対してできるだけ門戸を開くべきではなかろうか、そういう申し入れをさせていただきました。
 そのとき、大臣の答弁は、それこそ最終日でしたから、パブリックコメントを見て、それを参考にして決断したい。そのとき私に、オール・オア・ナッシングで臨みます、そういうふうに言われましたね。私はそのことを覚えております。オール・オア・ナッシングという言葉をいただきまして、今回、これはかなり期待していいのかなと正直思いました。それで、そのとき、私はつけ加えて、来年度受験を迎える生徒さんに人生の選択がもう迫ってきているんだから、できるだけ早くその決断をすべきではないか、こういうふうに言いましたら、そのことは十分承知していますと大臣は私に答えましたよ。私は、そのとき非常にいい感触を得て、正直言って、喜んで帰ってきました。
 ところが、その後、一向にはかばかしくないという状況でありますし、今赤羽議員の質問に対しても、何が何だかよくわからないという感じですね。何が何だかよくわからない、そういう感じなんですよ。
 私はあのときの大臣の話を信じていますよ。それから、先ほど、来年度受験生に対しては不都合な点がないようにしたいという気持ちがありました。具体的にどういうことなんですか。そのことを含めて、大臣、この問題についての大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。
○遠山国務大臣 これは、私の個人的な意見で対応するような問題ではございませんで、我が省としてどのように対応していくかという大変大事な問題だと思っております。
 外国人学校卒業者の大学入学機会の拡大という点でございますので、これは、私どもの案は、最初、国際的な実績のある評価団体によって評価を受けている外国人学校の卒業者について入学資格を認めるという対応案を三月に出したわけでございますが、これについて各方面から、その案のねらいはさりながら、結果的にアジア系などの外国人学校について対象にならないというのは、それはもっと適切な対処をすべきであるといういろいろな意見をいただいたところでございまして、パブリックコメントにかけましたところも、そういうような意見をいただいたところでございます。
 そういうものも十分に私どもも大事な意見として受けとめて、そして、制度としてどのようにやっていくかということを目下検討中でございまして、できるだけそういうことについても配慮をしながら、また同時に、さまざまな意見もあるわけでございますし、また、制度としての整合性というのも検討しながら、今準備を進めているというところでございます。
 来年度の入学者にできるだけ不都合のないようにと思っておりますのは、時期的に、その人たちが困ることのないように、できるだけ広く、拡大するという話でございますので、そういったことについて配慮していこうということでございます。担当局の方でも、今、そういうことで精いっぱい準備を始めてくれているところでございまして、全体状況を見ながらこの件について考え方をまとめていきたいというふうに考えております。
○牧野(聖)委員 パブリックコメントの件数は一万三千三百四十三件ですね。その中で、アジア系の外国人学校の卒業生にも大学の入学試験の受験資格を与えるようにという意見は一万二千七百七十九、九六%ですよ。結論は出ているんじゃないですか。
 大臣、パブリックコメントを見て決断をしたい、そして受験生に不都合のないようにと言われている。それであるならば、既にこの時点では明確な文部科学省の方針が明示されてしかるべきなんですよ。ところが、今、大臣は、さまざまな意見がありました、こういうふうに言われました。どんな意見があったんですか。その間、どういう事情があったんですか。その点についてお聞かせください。
○河村副大臣 大臣に直接お話をされて、そして今、大臣答弁があったわけでございますし、パブリックコメントも一つの大きな重要な要点であるということは間違いございません。
 これまでこういう形で政策をとってきたわけでありますから、その政策をどういうふうに、これを変えるとなれば、変更していくわけでございますので、そういうことも踏まえながら、これは文部科学省の政策と同時に、もともと外国人学校に門戸をこういう形で開いたという、一つの経済政策といいますか、政府の一つの大きな方針というものの中でこういう形が生まれてきたということでありますから、そういうことも踏まえ、総合的に判断しなきゃならぬ、こう思っておるわけでございます。
 確かに、委員御指摘のように、大学受験の時期が迫ってきておるし、まずセンター試験というのが十月にございますから、それまでに間に合うようにということでありますから、これはもう、そうゆっくりしている時期ではない、こう思っておるわけございます。
○牧野(聖)委員 いつもの河村副大臣とも思えぬ答弁ですね。意味不明ですよ。
 そこで、さらに質問させていただきますが、きょうの朝のNHKのニュースで、私は見なかったんですが、話を聞きましたので、今取り寄せましたら、既に京都大学は、国立大学としては初めてアジア系の卒業生の受験資格を既に部局長会議で決定をして、近く文部科学省にそのことを申請するという決定がなされたようですね。文部科学省より先に、大学の方が進んでいるじゃないですか。大学院に門戸を開いたのも京大が先でしょう。何をやっているんですか。
 それから、先ほど来、国際的機関で信用のある団体、四団体ぐらいの名前がよく出ていますけれども、何で文部科学省が認定しないんですか、この学校はいいとか悪いとか。本来、あなた方がやるべき仕事でしょう。外国の任意団体に任せて、そこの判断でもって大学受験資格を認めるか認めないかという判断をしている。それは丸投げじゃないですか。悪い言い方をすると責任放棄ですよ。
 私は、先ほどの赤羽委員の趣旨、全くそのとおりだと思うんですよ。その点について、副大臣、どうですか。
○河村副大臣 私も、この問題が出たときに、外国人学校については国際的なバカロレア、そういう認定機関がある、ところが、アジア系の学校、中国語あるいは韓国語でそれを評価する機関がないんだということがありまして、ただ、先生言われるように、それでは国が、国家が、この学校はいいんだとか悪いんだとかということを決めることが果たしていいかどうかということは、私は、評価の公正性ということから考えて、これはやはりちょっといかがなものか、こう思います。私も、国でできないのかということも考えたんですよ。しかし、やはり、国家がこれはいいんです、悪いですということになりますと、これは私政治家としての発言であれでございますけれども、一歩間違うと国際問題になりかねないことでございますから、それは慎重になら
ないかぬ、こう思います。
 ただ、残念ながら、そうした公的な評価機関がないんだということが一つのネックになったのでありますというなら、それをどういうふうに見るかということです。しかし、現実に、自国にある学校を卒業してきた人はいい、しかし、日本に同じような学校があって、たまたまそれは法人化されていない、日本の基準からいうと合わないんだということがネックになっているというのならば、それをどういうふうに考えていくかということは、これは判断をしなきゃいかぬ問題に差しかかっている、こう思っておるわけでございまして、だから、そういう意味で、国が決めればいいんだと言われても、これはなかなか私は難しい問題で、そこの点もきちっと説明できるようなものにしていくべきだ。
 というのは、最初のスタートが、このバカロレア等の認定を受けられるところについては認めましょうということでスタートした、そこからスタートしたものでありますから、それにかわるものということでまず考えていったときに、残念ながら、今日本にその評価機関がないし、世界にもそういうものがどうもないということで、さあ、どうするということで、今いろいろ知恵を絞っているというのが現状でございます。
○牧野(聖)委員 国家の機関が正式にそういうものを、仮に、作業はしなくてもいいと思うんですよね。でも工夫はあるじゃないですか。これだけ長い間大きな問題になっているわけですから。しかも、アジア系のみならずほかの、ブラジルの関係の皆さんだとか、非常に悲しい思いをしているわけですよ。それに対して、どうして工夫をして、救いという言い方はおかしいですけれども、平等に門戸が開けないものかという感じがするんです。
 私は、七日に、我が党の仲間と、神奈川県の横浜の北朝鮮系の学校と、そして台湾系の中華学院の方に視察に行かせていただきました。何か新聞ですと、池坊政務官が二カ所ぐらい視察をされたということで伺っていましたけれども、学校へ行きましたら、今まで文部省の皆さんはだれ一人として調査にも何も来ていないと言うんですよね。それでは実態がわかるはずはないじゃないですか。それで、あなた方は、では、調査に来たら、それに対して歓迎してちゃんと協力しますかと言ったら、もちろん協力しますと言っているんですよね。
 なぜ、これだけ大きな問題になってきたにもかかわらず、何も調査しないでここまで来たんですか。お答えください。
○遠藤政府参考人 外国人学校卒業者の問題につきましては、高等学校と同等以上の一定水準の教育を制度的にどのように担保するかということが課題でございまして、この点を中心にさまざまな観点から、現在、鋭意検討しているということでごさいます。
 このように、制度的な面を中心に検討しているということでございますので、個々の学校に立ち入って調査するということは予定をしていないというところでございます。
○牧野(聖)委員 池坊政務官、あなたは視察されまして、感想はどうですか。どんなことを感じられましたか、現場へ行って。
○池坊大臣政務官 私が議員になりましたとき先輩議員から、物事を決めるときはしっかりと実情を把握し、そして調査をするようにと言われておりましたので、私は、中華学校もインターナショナルスクールも行ったことがございますので、朝鮮学校の生徒がぜひ授業参観にと要望してまいりましたので、参りました。
 新学習指導要領に基づいた教科書をつくっておりまして、授業参観、六割ぐらいいたしましたけれども、母国語それから日本語も週に五日間やっておりました。そのときに子供たちが、私たちは自分の民族と文化に誇りを持っております、でも、同時に、日本に生まれ育ち、またこれからも日本で生きていくと思います、日本の友人もたくさんいて、日本の文化も、日本語も母国語以上にしゃべれます、そして民族もしっかりと尊重しております、二十一世紀は私たちが必ず両国のかけ橋になりますとまじめに言われまして、私はその言葉に期待を寄せました。
 大変整然と、そして明るく伸びやかに授業をしているように私には見受けられました。
○牧野(聖)委員 政務官と同じ印象を私は持ちましたよ。
 局長、答弁をお願いしますけれども、学習指導要領に基づいてきちっとしたカリキュラムを組んで、しかも横浜の中華学院では、教育委員会とちゃんと連携をとっている。それで、神奈川県から千三百万円の補助金を一年間にもらっている。横浜市から二百六十万円の補助金をもらっている。それだけ連携を密にしてしっかりやっているんです。北朝鮮系の学校も一生懸命頑張っている。どこに水準が劣っているのか、私は疑問ですね。
 高校卒業程度の学力の水準を確保したいから、いろいろな規制を設けてやっている。十二年間外国の学校を出た人は、出たがゆえ、そのことだけでもって日本の大学の受験資格が与えられているわけですよ。どういう学問で、どういう水準かという調査をしたり、いろいろな規定はないですね。十二年間そこに、卒業したというゆえをもって認められているんですよ。そうでしょう。詳しいことの調査はしてないじゃないですか。大体、できないでしょう、その水準がどこまで行っているかというのは。だから、十二年間行ったということで、それをもって、外国の学校を出た生徒はそのまま日本の大学の受験資格があるわけです。
 今言ったように、地方自治体の補助金ももらいながら、いろいろ連携をしながら一生懸命やっているところが得られないということだったら、あなたの言っていることは矛盾があるんじゃないですか。
 それからもう一つ、専修学校の皆さん、一生懸命頑張っていますけれども、この皆さんには受験資格を付与したじゃないですか。そうでしょう。その力というのはどれほどの差がありますか、違いがありますか。そこを答弁してください。
○遠藤政府参考人 専修学校につきましては、一定の要件、例えば三年以上の修業年限あるいは何千時間以上の授業時間数、あるいは国語その他の教科を学習指導要領に準じてやっているかといったような観点で要件を決めまして、その申請があって要件に合致すればということで受験資格を与えてあるわけでございます。
 今、いろいろ御指摘がございましたけれども、そういう点も踏まえて、鋭意、どうしたらいいかということで検討をしているということでございます。
○牧野(聖)委員 各種学校の皆さんに付与するときの今言われた条件の中に、三年以上、それから卒業に必要な時間数二千五百九十単位時間、それからもう一つ、卒業に必要な普通科目の総授業時数四百二十時間以上、それを決めて、それを基準にしたんでしょう。中身はないんですよ。この外形的な基準だけだったら、今の日本の外国人学校は全部満たしているじゃないですか。もう一度、答弁。
○遠藤政府参考人 一般的に申しますと、外国人学校につきましては、日本の学習指導要領ということではございませんので、そういう点も含めて今検討しているということでございます。
○牧野(聖)委員 外国で十二年間勉強した人たちには、そういう規定は何もないんですよ。何で、国内で一緒に勉強して、私も学生、小さな子供に会いましたよ。日本社会に溶け込んで一生懸命頑張りたい、みんなと仲よくしてこの社会に貢献したいと思っていると言っていましたよ。子供の可能性を文部科学省が摘み取っているということじゃないですか。
 僕は、時間がないからあれですけれども、昔、市井三郎さんという人の論文を読んだときに、人間が幸せになるための第一の原理原則は自助努力だ、でも、自助努力ではどうすることもできないことがこの世の中には多い、それによる不幸が多い、問われて責任を答えることのできない事項が多くて、それによって不幸になることが多い、それを社会の不条理というと書いてありますよ。その不条理を解き放すために政治の任務があるんだと書いてある。僕はそうだと思うんですね。
 国内に生まれたのか、縁があって来たのか、いろいろな理由で今外国人学校へ行っている、その子供たちに、どこに責任がありますか。文部科学省の不作為といいますか、不親切な対応によって、その子供たちの将来が今大変な状況になるんですよ。
 大学受験の資格は与えられないということで、大検だけで通ればいいじゃないかといえば、科目数が全然違うじゃないですか。その門戸を閉ざされていることによって、ほかの幾つか日本国内にある資格が取れない子供たちがいっぱいいるんですよ。
大学の受験資格を閉ざされていることによって、社会的にいろいろな資格を取っていく、そういうことが既にその時点で門戸を閉ざされているということがいっぱいあるんですよ。大臣、そのことについてどう思いますか、答弁してください。
○遠山国務大臣 委員の御熱意ある御意見、本当によくわかります。私ども、そういった御意見というのも非常に貴重な御意見として考えながら、今、鋭意検討しているわけでございます。
 それと、一つ気になりますのは、学校教育法第一条でしっかりした学校制度をつくっているというのは各国とも共通でございますし、その学校教育制度の中でしっかりとその課程を経てきた者を中軸に考えていくというのは国の制度として当然でございますし、諸外国におきましても、それぞれの国において学校制度をつくり、そこにおいて、その学校で卒業した人たちの扱いについてはインターナショナルに共通しているということでございますので、制度の根幹についての御理解がやや違うかなという点もございます。
 高校にまでただいたということではなくて、高校卒業の資格もちゃんともらった人たちのことについて大学資格も与える、それ以外の人については大検制度も広く開いているということであります。それに加えてさらにどうしていこうかということを、今鋭意考えているわけでございます。
○牧野(聖)委員 逆さの場合を考えますと、諸外国で日本人が同じような状況になっていたときには、私は大変つらい思いをしますね。
 私は、チベット支援の議員連盟の代表をやっているんですよ。一九四九年に不法支配されて植民地状態になって、もう半世紀たっている。そのチベット人社会が、失われた祖国とアイデンティティーを求めるために、今、非暴力と対話路線でやっている。本当に独立は欲しいんだけれども、独立と民族のアイデンティティー、どちらかをとるかといったら、最終的に独立をあきらめて、今は民族のアイデンティティーをとる方に行ったんですよ。それは、民族の言語であり、習慣であり、風俗であり、歴史であり、そして宗教、そういう勉強をしたいということで、独立をあきらめてアイデンティティーをとる方に行ったんですよ。それだけ民族教育というのは大切なんですよ。
 森岡先生からも御指摘ありましたけれども、これはどこの民族にとっても、人間一人一人にとっても、大変重要なことなんですよ。そのことを我が国家がないがしろにしているということは許されるべきものではない。ましてや、口を開けば国際化社会、グローバル化社会といつも言うわけですよ。それを言っている皆さんがここで根本的な過ちを犯しているということは、一刻も早く私は是正していただきたい。
 それからもう一つ、最後に、一点気になることがありますから言わせてもらいます。
 外国人学校への税制上の優遇措置がありました。これはアジア系も含めてすべての人に平等にやってくださいよ。みんなそう願っていますよ。ですから、一刻も早くこれをそういうふうにしてください。
 それで、そのときに気になっているのは、外国からの投資の対象として教育を考えているような、新しい経済効果を考えているような言葉が時々ちらちら出てくる。それは教育の本意からは大分かけ離れた考え方ですね。先ほど副大臣、そのことを言われましたけれども、私はその考え方は間違っていると。教育本来の立場に立ってこの問題を考えるべきです。そう私は思いますけれども、最後に一言いただいて終わりたいと思いますが、どうですか。
○河村副大臣 これは税制の問題でございまして、それぞれの学校経営に大きく影響する、それがよくできることによってそこの教育がうまくなるということでありますから、結局、終局的には教育の問題にかかっていく、こう思っております。
 先ほど赤羽議員にも答弁申し上げましたけれども、条件整備、特増についてはかなり条件的にいろいろな条件があるものでありますから、それをきちっとクリアするものについては、今度は我々の方から要請をして財務当局とお話をしなきゃいかぬ、こういう問題であろうというふうに思っております。
○牧野(聖)委員 日本で生活をしている外国人、大勢の方がいらっしゃいます。特に学校関係者の皆さんは、子供たちの将来に対して期待をしております。日本の子供たちと同じように仲よくして、そして大きくなって幸せになって、日本社会の中でみんなと仲よくして貢献したい、またそういう子供を育てたい、そのために学校に寄附をしたりすることはやぶさかでない、大変喜ばしいことだと言っています。
 それで、私生活の中では税金もいっぱい払っております。日本人と同じように税金も払っている。でありながら、自分たちの学校に対してはそういう措置が欧米系と比べると差別をされている。このことを非常に残念に思っているようでございますので、ぜひそういうことのないように、一刻も早くこの問題を解消してくださいまするように。
 それから大臣、その時期が来ていると言われましたけれども、さらなる明確な答弁はいただけませんでしたけれども、きっと来年の受験生に対して不都合がないように早く決断を下すということでございますから、これ以上聞いても同じ答弁だと思いますので要望します。一刻も早く決断されて、我々じゃなくて、外国人学校へ行っている子供たちの期待にこたえられるような決断をお出しくださいまするようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。


2003年7月9日 衆議院 文教科学委員会 山元勉(民主)

○古屋委員長 山元勉君。
○山元委員 民主党の山元でございます。
 私は、きょう、骨太の第三弾のことで御質問しようと思ったんですが、一言だけ、今の牧野委員のお話、先ほどの赤羽先生のお話から、私もおとつい、学校現場へそれぞれ行ってきました。前の委員会、三月の委員会で私はこの問題を取り上げて、一日も早くということを、三月十四日でしたが、まだ決まっていないというのは本当に愕然としますし、そして、おとつい学校へ行って、大学受験をことしするんだという三人の子供の話を聞いてきました。目も見てきました。本当に勉強したい、けれども行けない、差別をされているということ、悲しいということが子供たちの口から出ました。これはやはり、今、最後の大臣の答弁でもあった、一条校と違うと。台湾の中華学校の卒業生は一条学校を卒業したことになるわけですか。違うでしょう。大きな矛
盾がこの問題にはあるわけです。
 ですから、やはり一日も早く解決をしていただき、結論を出していただいて、そのためには、高等教育局長、さっきぐじゃぐじゃ言ったけれども、あすにも飛んでいって学校を見てほしい。例えば、時間表を見たら、小学校一年生の時間表を見ても、国文というのと日文というのがあるんですよ。五時間ずつぐらいですかね。日文というのは日本語の勉強、国文というのは母国の国語の勉強なんです。だから、土曜日は休めない、学校は五日制でなくて六日制ですと。こういう勉強をしているところをしっかりと局長も課長も見に行って、しっかりとした結論を一日も早くあの子たちのためにも出してやってほしい、日本の名誉のためにも出してやってほしい、こう思います。これはお願いをしておきます。(以下、他の問題の質疑に移ったので省略)


2003年6月6日 衆議院 文部科学委員会 山元勉(民主)

○山元委員 前の委員会で問題にしましたし、世論的にも大きな問題になっております外国人学校の卒業生の大学入学資格についてです。前の委員会のときにも、これは三月でしたけれども、英米系の学校にだけ入学資格を与えて、ブラジルやフィリピンあるいはアジア系、そういう学校が資格が与えられない、国連などの勧告にも反するような、そういう扱いになっているということを申し上げました。
そのときに、たしか大臣は、今パブリックコメント中であって、改めて検討をする、こういうお返事でした。矛盾あるいは問題があるということについては、十分文科省も認識をしていらっしゃったというふうに思っています。これは、河村副大臣もそういうふうに認識をしていらっしゃいました。
あれから相当たったわけです。そして時間は、もう余裕がないというふうに私は思っています。国立大学も、それぞれ来年度の募集要項の検討に入っているわけです。今、これから卒業するという子供たちが、大学が受けられるのか受けられないのか、僕らは差別されるのかどうか、こういう思いに一々悩んでいるわけです。
 そこで、今、お約束の検討というのがどういう状況になっているのか、あるいは見通しについてはどういうふうにお持ちなのか、これは時間が迫っているという認識でしっかりとした御回答をいただきたいというふうに思います。
○河村副大臣 山元委員御指摘の点でございます、外国人学校卒業者の大学入学機会の拡大ということで、ことしの三月に、国際的な実績が認められる評価団体により評価を受けている外国人学校の卒業生に対して入学資格を認めるという対応策が発表されたわけでございますが、この結果によって、結果的にアジア系の外国人学校が対象にならなくなるという問題がございまして、多くの御意見も寄せられ、パブリックコメントにおいても、この点についての御意見があったわけでございます。
 これについて、どのような対応が可能であるかということについて検討を今進めておる段階でございまして、御答弁としては、この前に山元委員からも御指摘をいただいた時点から、引き続き今検討をしているという答弁しか申し上げられない状況下にあるわけでございまして、どのような対応が可能なのかということをさらに今詰めておる段階でございます。
 高卒と同等以上の一定の水準の教育をどのように担保できるか、それをどういうふうに、確認と言うと言葉は悪いかもしれませんが、それができるかどうか。さっき申し上げました、欧米の評価機関の評価を受けられるということについてはそれで一つクリアしたわけでありますが、その点について、まだ具体的な方向性が現時点では結論が出ておりません段階でございますので、今の時点でまだ、どの点をどういうふうにして、いつの時点でどうするということが明確に申し上げられない状況であるということをお答え申し上げたいと思います。
○山元委員 いや、今申し上げたことをおわかりいただいていないんです。実際に今、卒業する子が、どうなるんだということについて本当に苦しんでいるわけですよ。
 あのときにも申し上げました。本当に、僕らは差別されてへん、日本というのはいい国や、僕らは日本のところできちっと認めてもらって、将来はアジアとのかけ橋になりたいとか、あるいは自分の国とのかけ橋になりたい、そういう思いを持ってくれる子供を育てるという絶好のチャンスなんです。あのときには、マスコミが全部書きました、これは差別だということを。
ですから、やはり早急に結論を出していただきたい。
 あのときに、民間の評価機関というのがあって、そこが認定した十六の学校だけが認められたんだ、こういう話がありました。民間の評価機関が認定をすると。文科省が認定したらいいじゃないですか。ここはまじめに一生懸命やって勉強している、そう認めたら、受けさせて、学力が足らなんだら各大学が不合格にすればいいわけです。そういう機会を均等に与えるということについて、やはり一刻も早く決断をしていただきたい、判断を出していただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。


2003年5月28日 衆議院 文部科学委員会 山内惠子(社民)


○山内(惠)委員  民族学校の国立大学入学資格問題についてなんですが、遠山大臣は白紙撤回ではないとおっしゃっていましたが、その後どうなったでしょうか。恐れ入ります、質問を提出していなかったのですけれども、お聞きしたいと思います。どなたでも結構です。
○遠山国務大臣 この問題は、御存じのような経過をたどりまして、まあ私どもの案というものがあったわけでございますけれども、それは私、それなりに論理的であったと思いますけれども、さらに多くの方々の御意見もあり、かつまた、一般の国民の皆様からの御意見もありました。
 ということで、目下、どういう形でいくかということについて検討している段階でございます。
○山内(惠)委員 検討している段階ということはわかっていたんですけれども、国民の多くの人は、あのとき、アジア系民族学校になぜ資格を与えないのかというのがとても大きな声であったと思います。同時に、税制上の配慮をしないのも問題だというのもありましたので、ぜひこの税制に関しても前向きな御検討をいただきたいと思いますので、そのことを申し上げておきます。子供たちこそ平和的国交関係樹立のかけ橋となってくれると思いますので、ぜひこの二点、前向きで御検討いただきたいと思います。


2003年5月22日 参議院 文教科学委員会 神本美恵子(民主)

○神本美恵子 外国人学校卒業者の大学入学資格の問題についてお伺いをします。
これについては、三月に一応、当初は欧米系の学校だけ入学資格を認めるというような対応案から、様々なパブリックコメントが寄せられて、アジア系の学校にも同時に認めるべきではないかという御意見がたくさんありまして、文科省としては更に拡充する方法をどうやって考えたらいいかということで更に検討を進めるという結論を出されたことはもう皆さんも御承知だと思いますが、そのときに、たしか事務次官が七月ごろまでに何とか考えていきたいというふうなことをおっしゃったというふうにも聞いております。
 それで、その後の検討状況をお伺いしたいと思います。どうなっていますでしょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎) 今、先生が御指摘のように、外国人学校卒業者の大学入学資格の問題につきましては、国際的な実績が認められる評価団体により評価を受けている外国人学校の卒業者について入学資格を認めるという対応案を三月に公表いたしましたけれども、この対応案につきまして、各方面から結果的に対象とならなくなるアジア系等の外国人学校についても何らかの対処をすべきといったような意見が多く寄せられ、またパブリックコメントにおきましても同様の意見が多く見られたということがございました。
 これらの意見を踏まえまして、当初の対応案に加えまして、アジア系等の外国人学校の取扱いについてもどのような対応が可能かと、検討する必要があるということで、現在この問題につきまして引き続き検討をしているという状況でございます。
 今、七月ごろ、夏ごろまでにというような発言があったのではないかと、こういう御指摘がございました。夏ごろといいますのは、仮に次の入学時期でございます十六年度の入学者を念頭に置いた場合の目安ということでございますけれども、今、先ほど申しましたように検討中でございまして、結論をいつ出すかという時期をも含めまして検討しているというような状況でございます。
○神本美恵子 ということは、来年の入試に間に合わせるか間に合わせないかということも含めての検討だということでしょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎) 具体的な結論の時期を決めて検討しているということではございませんで、今どのような対応が可能か検討しているということでございます。
○神本美恵子 この件につきましては、私の方にも、大変な、やっぱり大検を受けてしか国立大学の試験が受けられないということで、当事者の生徒さんたちは大変な精神的な負担も得ているし、物理的にも大検の入試の勉強とそれから本番の入試の勉強と両方しなければいけないということで、もうかなり早くから非常な負担を覚えているわけですね。それから、大検の勉強のためにもう部活もやめてその二つの勉強に取り掛からなければいけないというような生徒さん自身の負担もありますし、こういった状況をいつまで続けるのか。
 やっと、せっかく入学資格が認められるというところまでこの三月、期待を膨らませていたのに、それがちょっと先送りされたと。でも、切り離してアジア系だけ認めないという結論よりはよかったというふうに私も思って大変期待をして待っているわけですね。
 現実その当事者の方たちから私の方にも何度も御要望が来ているんですけれども、是非とも来春の例えば入試に間に合わせるとすれば、いつごろまでに結論を出せばいいのか、ルーティンワークとしてですね。センター試験というのがありますから、それに間に合わせるには大体いつごろまでに結論を出せばいいと。これは、この問題で結論をそれまでに出しますということではなくていいんですけれども、大体どういうふうになりますでしょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎) 先ほど申しましたように、夏から秋ぐらいにかけてというのがそういう意味での時期かなと。あるいは、ぎりぎりということになりますとまたいろんな対応の仕方があるかとは思いますけれども、いずれにしましても、具体的なその結論の時期を決めて検討しているということではございませんで、どういう対応が可能か、そういうことも含めまして今一生懸命検討しているという段階でございます。
○神本美恵子 やっぱり、いつごろということを是非とも決めて検討していただきたい。何がそんなに大変なのかなと。物理的といいますか、実際に一定の教育水準を確保できているかどうかを認定するのが難しいというふうにそれは実務的には思うんですけれども、それは、例えば専修学校などで行われているような水準の認定の仕方ということも応用できるのではないかというふうに素人は考えるんですが、どうもほかの作用も働いているのではないかというように私は勘ぐってしまいますが、是非とも来年の入試に間に合うように結論を出していただきたい。そして、何がその検討の阻害要因になっているのかということも私は今日聞かせていただきたいんですけれども、ちょっと今日、本題ではございませんので要望としてそれは申し上げておきたいと思いますが、大臣、副大臣どちらでも結構ですが、この問題については国民的な関心も非常に高いと思いますので、一言お願いします。
○国務大臣(遠山敦子) 今、局長が答えましたように、この問題につきましては、一定水準の教育というものをどのように担保するかという問題点を整理しながら検討をし、その努力をしていくという状況にございます。そういう角度で取り組んでいるところでございます。
 今の御要望の趣は私どももよく分かっているところでございまして、そういうことももちろん勘案しながら、制度のことでございますので、これは今申し上げましたような角度から検討を続けるということでございます。
○神本美恵子 例えば、外国の日本人学校に通っている子供たちはそこで上の学校に行くことは認められているわけですよね。もしも外国でそういうことが認められないということであれば、やっぱりそれは日本の、日本人としておかしいというふうに怒りを持つと思いますので、是非とも来年の入試に間に合うような方向で鋭意もう本当に検討していただきたいということをお願いしておきたいと思います。


2003年4月2日 衆議院 文教科学委員会 岸田文雄(自民)

○岸田委員 そして、残り時間、あと一点、別の点でお伺いしたいことがございます。といいますのは、最近行われておりますインターナショナルスクールをめぐる議論についてであります。
 私は、今、日本の国が元気がない、停滞していると言われている中にあって、さまざまなことを考えていかなければいけないと思っていますが、その中にあって、海外の優秀な技術者あるいはビジネスマン、こうした人材を日本の国に招き入れて、そしてそのことによって日本の国の技術革新ですとかあるいは日本の市場を活性化するということ、これは大変重要なことだというふうに思っています。
 しかし、海外の優秀な外国人技術者あるいはビジネスマンを日本の国に招くに当たって、日本の国は、まだまだいろいろなインフラを整備しなければいけないというふうに思います。そして、その整備しなければならないインフラの一つとしまして、その外国の優秀な技術者、ビジネスマンの子弟の教育施設の充実というものが大変重要だというふうに認識しまして、昨年来、外国人の短期滞在者の子弟に対する教育施設を充実しなければいけないということで、インターナショナルスクールに対する税制優遇、あるいは大学入学資格の授与等々において支援をしていかなければいけないと考えまして、この問題に取り組んできた次第であります。財政的支援ということで税制優遇を考え、また制度的な支援ということで大学入学資格の授与というようなことを関係者の皆様方にお願いして、整備を進めようとしてきたわけであります。
 しかし、今、この問題につきまして、議論が少しおかしな方向に行っているんではないかと戸惑いを感じております。
 この問題は今申し上げたような趣旨で取り組んできたわけですが、特に大学入学資格の授与という部分につきまして、この議論を広く外国人学校全般に広げることによって、この資格を受けられるのが特定の国に限られるとか特定の国が外されるというようなことで、これは差別、区別につながってしまうんではないかという議論が沸き起こってしまって、それがためにこうした施策が進まないという状況が起こっているというふうに聞いております。どうも、何か当初の趣旨とは違った方向に議論が進むことによって、こうした施策が進まないことになってしまっている。大変戸惑いを感じているところであります。
 ぜひ、文部科学省におきましては、当初この議論が起こってきた趣旨をいま一度しっかりと踏まえていただき、そして、この議論を外国人学校全体の議論にするというのであるならば、やはり日本国の大学入学資格を与えるわけでありますから、どんな内容の学校の修了者に与えるのがふさわしいのか、内容によってぜひ判断していただきたいと思いますし、それを客観的に判断できる基準というものがあるかどうか、このあたりをしっかり確認した上でこの大学入学資格の授与ということに当たっていただきたいというふうに思っています。
 この点につきまして、その現状はどうなっているか、どういった思いでいらっしゃるのか、ひとつ御答弁いただけますでしょうか。
○遠藤政府参考人 御指摘の件でございますけれども、対日投資の視点から、総合規制改革会議の答申を受けましての閣議決定におきまして、インターナショナルスクールにおいて一定水準の教育を受けて卒業した生徒が希望する場合には、大学や高等学校に入学する機会を拡大すべきであるという閣議決定があったわけでございますが、その対応につきまして検討を重ねてきたということでございます。
 その際、大学入学資格は、我が国の学校教育制度の中で大学教育の水準を確保するために必要なものであり、高等学校卒業または大学入学資格検定の合格等一定の要件を必要としているものでございますから、教育内容について法令上特段の定めのない外国人学校の卒業者に大学入学資格を付与する場合は、客観的に一定水準の教育が担保されているということを判断できることが必要であるという視点に立って検討を行ってきたわけでございます。
 この点につきまして、国際的な実績が認められる評価団体により評価を受けているということをもって一定水準にあるというようにとらえまして、このような評価を受けている外国人学校の卒業者について入学資格を認めるという対応案を公表したところでございます。
 この対応案につきましては、各方面から、結果的にアジア系等の外国人学校が対象とならなくなるということで、何らかの対処をすべきであるという意見が寄せられ、さらには、パブリックコメントにおきましても同様の意見が多く見られたところでございます。これらの意見を踏まえまして、当初の対応案に加えまして、アジア系等の外国人学校の取り扱いについても、どのような対応が可能かということにつきまして検討する必要があるということで、引き続き検討を進めていくということにしたわけでございます。したがいまして、当初の対応案による平成十四年度中の措置については見送ることとした、こういうことでございます。
 御指摘のように、この問題を検討するに当たりましては、客観的に学校教育法体系の中でこれをどう位置づけるのか、一定水準をどう確保していくのかということが課題になる、こういうふうに今とらえているところでございます。
○岸田委員 ぜひ、当初の趣旨と、そして内容をしっかりと把握するということ、この本筋を外さないようにしっかりとした御対応をお願いいたします。
 質問を終わります。


2003年4月2日 衆議院 文教科学委員会 斉藤哲夫(公明)

○斉藤(鉄)委員  教育基本法の議論に入る前に、先ほど岸田委員から話がございました外国人学校卒業生への大学受験資格付与の問題について、私も一問、大臣に質問させていただきたいと思います。
 今回、当初、米英両国の三認定機関の認証を受けた外国人学校に大学受験の資格を付与するということでございました。一つの基準かとは思いますが、結果としてアジア系排除、そういうふうにもとれることになったわけでございまして、私どもも、ちょっとこれは考える必要があるのではないかということで、先日、幹事長の冬柴、政調会長の北側、そして私が、大臣に、もう一度考え直していただけないかということを直接申し入れたところでございます。
 その申し入れに対しまして、私、大変な政治決断だったと思うんです。平成十四年度までに措置という閣議決定、ある意味ではこの閣議決定に違反をするわけですから、大臣としてはそうしたくなかった、そういう中で、あえて大決断をされて、白紙撤回でもう一度考え直すという決断をされたことは、我々の要望に対して深く、それを重く受けとめて考えていただいたということで大変感謝をし、評価をしているところでございますが、今回そのような大決断をされた大臣のお心、お考えについてお伺いをしたいと思います。
○遠山国務大臣 これは、先ほど政府参考人の方からお答えしましたように、日本の法体系の中で一定水準の教育を受けた者について考えるようにという、それをどこで確保するかということで、認証機関の認定を経たということは、私は極めて妥当な線であると思っております。したがいまして、白紙撤回ではなくて、それで対象にならなかったところを何か救う方法があるかどうかということを今後もう少し考えてみようということでございます。
 したがいまして、一定水準の教育というものをどういうふうに考えていくかということを検討しなくてはなりませんので、やや時間がかかると思いますけれども、私といたしましては、やはり日本の学校制度の中での取り扱いでございますので、制度について論理的に説明ができる必要があるわけでございますし、しかもいろいろな御要望とも対応しながらやっていくということで、これからこの問題については検討を重ねてまいりたいというふうに思っております。
○斉藤(鉄)委員 先ほど岸田委員がおっしゃった今回の趣旨、これも大変大切だと思います。
 また同時に、私も今回の件でいろいろな方とお話をしたんですが、例えば台湾系の中華学校などの方がおっしゃっていたんですが、台湾の高校を出たらそれだけで日本の大学の、留学という形になりますけれども、入学資格はあるわけでございます。日本の学校、本当にきちんとした学校で、実はその地域の日本人の方も、こんな言い方はちょっとよくないかもしれませんが、地域の公立高校に入れるよりその中華学校に入れた方がはるかにいい教育をしてくれるということで、日本人の子弟も大変たくさん通っている、そういう学校。しかし、その学校の卒業は大学受験資格がない。確かにこれはおかしい、本当に庶民の感覚としておかしいなということもございます。
 その点、先ほどの岸田委員がおっしゃった本来の筋、これも大切ですし、またこういう一般的な国民が感ずる公平感ということも大切だと思いますので、どうかその点に配慮して、私も勉強しましたけれども、大変難しい問題だというのはよく承知しておりますけれども、今後よろしくお願いをいたします。


2003年4月2日 衆議院 文教科学委員会 山元勉(民主)

○山元委員  大変空席が目立つ中ですけれども、午前の質問をさせていただきますが事は、先ほどから出ておりますように、本当に重要な課題、日本の二十一世紀の教育を決める課題ですから、我が党も出席については努力をしたいと思いますけれども、やはり、熱が感じられるような委員会審議にしていただきたいなというふうにお願いを申し上げたいと思います。
 基本法の前に、先ほど斉藤委員もお触れになりましたけれども、私自身もきょうの前の委員会で、外国人の大学受験資格の問題についてお尋ねをしました。お願いもしました。そして、二十七日でしたか、大臣に直接お会いしに行って、これはやはり再検討すべきだということを申し上げました。その結果といいますか、多くの国民の皆さんからの意見もあって、二十九日になって文部科学省が、検討をし直すといいますか、さらなる検討をするというふうに決断をしていただきまして、斉藤委員と同じようにその決断に対しては私どもも評価しますし、ありがとうございますというふうに、お願いした立場からいうとそういう気持ちを持っています。
 しかし、幾つかの問題が残っているというふうに思います。
 制度を変更するとなると、最初、十四年度中にというのは、来年の卒業生に対してきちっとこれを適用しようということだったわけですから、早く結論を出さないと、ことしの卒業生の一生にかかわる問題です。ですから、進路を決める、あるいは大検を受けるとか、いろいろなことを考えなきゃならぬ若い青年諸君に、一日も早うこうしますよということが伝わらないけないというふうに思うんです。新聞でも早く結論を出すと見られるというふうに書いてあるんですが、一体この結論はいつ出されるか。例えば、極端に言えば何月ごろ、これは今申し上げましたように当該人にとっては大変な問題ですから、今どういう計画になっているか、お答えをいただきたいと思います。
○遠山国務大臣 年度内ということを延長いたしまして、さらに検討を加えるということでございますが、御指摘のように、なかなか難しい課題がございます。日本の法制度との関係、それから一定水準の教育というものをどう見るかというようなこともございまして、これはきちんとした検討が必要だと思っておりまして、今、いつというふうには申し上げられないところでございますけれども、努力を続けるということでございます。
○山元委員 難しい問題と、余り難しく考える必要はないというふうに思うんですよ。大学へ合格させてあげます、させてあげませんという問題と違って、試験を受ける資格があるかどうかでしょう。試験を受ける資格を平等に与えて、できるだけ広い範囲の中で与えて、そして学力検査をやればいいだけのことですから。ですから、そこのところは余り難しく考えないで、評価の機関というんですか、そういう手続は必要だというふうに思いますから、ですから、そこのところは一日も早く、一月も早く結論を出していただくようにお願いをしておきたいと思います。
 もう一つですが、今、朝鮮民主主義人民共和国との関係においては、望ましい関係にないというふうに私は思います。何か漏れ聞こえてくるところでは、感情的になって、これだけでも外そうかというような声もなきにしもあらずだと聞きました。私はやはり、前の委員会のときにも申し上げたと思うんです。今日本で生活している外国の子供たちが、日本っていい国だ、僕もアジアとのかけ橋になるんだというようなことがきちっと将来的に持てるような青年を日本で育てるということであれば、こんなことは論外だというふうに思うんですけれども、よもやそんな論がはびこっているんではないでしょう。
○河村副大臣 大臣が決断をされて、もっと機会を拡大する方法はないかということで結論を出された、そのことは特定の外国人学校を排除するというものではない、これはもう当然のことでございまして、そんな議論が文部科学省の中にあるわけでもございません。
 ただ、この問題点を整理したときに、いずれにしても課題になりますのは、やはり一定水準の教育といいますか、これをどういうふうに確保されているかということがやはり課題になっておるわけでございまして、この点についてもうちょっと時間をかけて検討しなきゃならぬということでお時間をいただきたい、こういうことになっておるわけであります。
○山元委員 その一つの物差しというのは必要だというふうに私も思いますから、ぜひ早く、あるいは最大限広い幅で御検討をいただきたい。 
もう一つですが、きのうの新聞を見て驚いたんですが、欧米系の外国人学校に優遇税制、寄附をしたときに所得税が優遇される。こういう優遇税制が、調べてみたら、三十一日の官報にも載り、新聞でも、欧米系の学校だけにそういう優遇税制と。これは、今現在私学に対するそういう寄附の優遇税制がありますけれども、それをここだけに当てはめるというのは、これはセットだったのと違うんですか。なぜ税制だけはこの三つの機関を通じたものが、インターナショナルスクールだけが当てはまるのか。これも一緒になってやはりストップをかけないかぬのと違うんですか。
 外国人学校というのは、非常に苦しい、それなりに苦しい経営をしていますよ。だから、金を集めたいというのは同じことです。先ほど意見がありましたけれども、私も、そのことについては大事にせないかぬ。けれども、これは文部科学省として、財務省との協議の末なんでしょうけれども、けれども、これは二十九日にストップをかけるべきやった。いかがですか。
○河村副大臣 この問題は税制改正の視点からきたものでございますが、対日直接投資を促進して海外の優秀な人材を呼び込みたい、在日外国人の子女に対する教育上の環境整備を行うことは非常に重要であるという閣議決定も踏まえた形でこういう形になってきたわけですね。これは、このような観点で、政府の対日投資会議とかあるいは総合規制改革会議、あるいは日本経団連等々からこの問題について指摘がされて、文部科学省としても、昨年の八月に、特定公益増進法人の範囲に追加するという税制改正をやったわけでございます。
 これは経済産業省と財務省に一緒に提出してこれが決定をされたということでございまして、これは今回の税制改正の対象となる法人が各種学校を設置する学校法人、準学校法人であって、かつ、家族滞在等短期の在留資格で滞在する外国人子女に対して教育を行うことを目的とするものであって、国際バカロレア事務局などの国際的な機関が認定するということを要件としたわけですね。
 したがって、これは関連法令において定めたものでございますので、いわゆる入試資格と全然別次元でこの決定がされたということでありまして、新たにアジア系のことについて今後我々検討していくわけでありますが、そうした場合になった場合にこれをどうするかというのはまた別次元で考えないと、一緒にはできない。ただ表面だけ見ますと、また差別したんじゃないかと言われますが、これはやはり国策といいますか、その政策に基づいていわゆる財務省当局が税制改正の中に必要だと判断するかどうか、そこで決定をしたわけでございます。
 我々文部科学省も随分税制改正の要望をしておるわけですね、寄附をもっとしやすくと。なかなかこれは財務省はうんと言いません。そういう問題もありまして、この問題は国策上必要だということで最終決定がなされたものでありますので。
 ちょっとわかりにくいかもしれませんが、ここでストップすればよかったという、一緒に考えるとそうですけれども、これは入試資格と一緒に考えていただくとそこに混乱が起きると思いますが、これは我々、別次元の課題だというふうにとらえております。
○山元委員 結果から見て、諸外国の人たちが、うちはこうだ、うちはこうだ、差別されたということを新聞の見出しに書かれて、また差別するということが出ていますよ。それは、日本の外国人学校について、どういうふうに日本の政府が責任を持つか。入学資格について、税制について、補助金について、どういうふうにそこを育てるんだ、守るんだということについての責任は文部科学省にあるんです。
 だから、財務省がここだけはしましたと言っても、いや、それはやはり平等を欠くということで、日本の国内の教育全体について責任を持つ立場で、こういう優遇については、これは日が二十九日に決断されて、もう三十一日の官報に出ましたから、そういう点で言うと、今まで誤ってセットになってやったんでしょうが、これは一遍検討して、例えばことしの夏に全体の入学資格について考えるのであれば、そこのところでさかのぼって考えるということはできるはずですから、そこのところは、やはりまた日本は差別をするということにならないように努力をお願いしたいと思いますが、大臣、いかがですか。
○遠山国務大臣 これは税制改正の問題でございまして、特に特定公益増進法人に入れるかどうかというのは、日本のさまざまな法人もなれないんですね、大変厳しい枠でございます。そこの非常に狭い門をあけてとにかく対日投資をふやそうということで、今回、政府として決断をしたところでございまして、これは我が省単独ということでは全くないわけでございまして、政府のさまざまな角度から検討した結果でございます。
 これは子供たちという、私どもの守備範囲の子供たちの状況をどうするかということではなくて、一つの事業体といいますか、特定公益増進法人という、日本の法人格を持っているところでもほとんど認められていない、そういうものにどう特典を与えるかということにおいてさまざまな角度から検討してきた結果でございまして、私はその点で、今回の税制上の改善というものは先般のものとは別個の問題と考えておりす。
○山元委員 大臣、違うと申し上げているんですよ。財務省がこういう物差しを当てたとしても、これはやはり入学資格について再検討する、今までも明らかにセットになってやったと私は理解します。ですから、そこのところは踏みとどまって検討をするということでないと、これは財務省がやったことなんだと。事教育にかかわっては、文部科学省がきちっと責任を持つ立場で論議して、検討していただきたいとお願いをしておきたいと思います。
 この問題については、言うたら金の問題ですから、それぞれ難しい経営をしているそれぞれの学校がやはり差別感を持つのは当たり前のことだというふうに御認識をいただきたいと思います。


2003年3月28日 参議院 予算委員会 齋藤勁(民主)

○齋藤勁
(前略)
 次に、ちょっと国内問題に入ります。
 いわゆるインターナショナルスクール卒業者への大学受験資格、文部科学大臣、ひとつお願いいたします。文部科学省の検討状況で、今日、報道を見ますと、アジア系を含め再検討という報道が出ていますが、これについて具体的な今対応についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子) この問題につきましては、総合規制改革推進会議の方から、インターナショナルスクールの卒業生については大学入学検定を受けないでも日本の大学を受けられるような制度を開いてはということでございまして、私どもの対応案といたしましては、一定水準の教育を受けたという、そういうレベルをきちっと確認すること、それから国内法体制との整合性というようなことから国際的な認証機関ということで一つの方向性を出したわけでございますが、昨日までパブリックコメントを募集しておりまして、その段階で様々な御意見がございました。
 そこで、私といたしましては、理論的には確かにそういう方向でございますけれども、さらにアジア系の学校、外国人学校の生徒たちについてどういう対応があり得るか検討する必要があるというふうに今考えているところでございます。
○齋藤勁 そうすると、今の答弁ですとアジア系も含め再検討して改めてスタートを切りたいと、こういうことになるんでしょうか。そして、じゃいつごろから検討してスタートしたいと。インターナショナルスクールについては、とりあえずアジア系も含めて一緒にスタートするんで、当初の見込みどおり今年の、今年でしたっけ、二〇〇三年か、最初は今年の四月からだったんですが、それも改めて見直して二〇〇四年から同時スタートをしようと、こういうことなんでしょうか。
○国務大臣(遠山敦子) その方向を考えながら検討しているところでございますが、大変この問題については両方の考え方がございまして、そこのところを十分に勘案しながらということで、今検討しております。
 当初は、今年度中にと、結論を出すようにということでございましたけれども、いろんな角度から検討する必要があるということで、この点につきましては今日の午後結論を発表する予定でございます。
○齋藤勁 今日の午後というより、今ここで国会やっているので言っていただきたいし、国民はこれ見ていますよ、大臣。今ここで言っちゃっていいんなら、言ってくださいよ。
○国務大臣(遠山敦子) 昨日までパブリックコメントを掛けておりましたので、今最終段階ということでございまして、厳密に言いますと今年度というのはまだ日にちがあるわけでございますが、私といたしましてはこの問題については更に検討を加えた方がいいというふうに考えているところでございます。
○齋藤勁 同じことを言うんですか、午後にも。
○国務大臣(遠山敦子) 対応案を前提としながら、アジア系の外国人学校の生徒たちにも道を開くべく、あるいはその拡大をしていく方途について更に検討を加えたいということでございまして、今年度内に結論を出していくというのはいささか難しいなというふうに私は考えております。
○齋藤勁 国際人権規約や子どもの権利条約は、国籍を問わずすべての子供に対し教育を受ける権利、これを保障しようとしているわけで、この観点に立つべきだというのがこの間の国会の議論であり、パブリックコメントもそうだったんだと思うんです。それに対して政府は答えて、それにして、そうしましょうということなんだから、そうしますというふうに言っていただければいいんですよ。そういうふうに言ってくれればいいんですよ、大臣。
○国務大臣(遠山敦子) 国際人権条約との関係につきましては、現在、既に外国人の、外国人学校を卒業した人たちも検定を受ければ大学へ入ることができまして、これは日本人と同じわけでございまして、日本人の場合には高等学校を出るか、あるいは検定を受けるかという二つの道があるわけでございますが、今回のお話は各種学校のようなところを出た人についての制度でございまして、その点については国内法との整合性というのも考えながらやっていくということでございまして、少なくとも私としましては、この件について一応出しました対応案ということについて様々な御意見がありますところから、これについては更に検討を加え、できるだけ拡充するような方向も探りながらいきたいというふうに考えているところでございます。
○齋藤勁 政治家でない大臣がお二人続いて、別に私はその順番を作ったわけじゃないんですよ。順番を、今、外務大臣そして文部科学大臣と言ったわけじゃないんですが、歯切れよく言ってください、歯切れよく、歯切れよく。せっかくパブリックコメントを求めて、いただいて、それに対して与党からも様々な声もあり、国会でも議論があり、だから検討とか何かするわけですから。はっきり言ってください、はっきり、はっきり。
○国務大臣(遠山敦子) 今、今申し上げた中身は、先ほど閣僚懇談会でもお話しした中身でございます。私といたしましては、この問題について、今年度内に対応案どおりにということであるよりは、更に拡充する方向で検討していきたいということでございます。
○齋藤勁 保留となっていたいわゆる中国あるいは韓国、アジア系の、を含めて再検討をするということでよろしいですね。よろしいですね、うなずいているから、そういうことで。(後略)


2003年3月25日 参議院 文教科学委員会 佐藤泰介(民主)

○佐藤泰介
 (前略)
 まず、民族学校への大学受験資格付与問題についてです。
 英米系の学校に、朝鮮学校を始めアジア系の学校には与えないとした大学受験資格緩和策について、もう一度、確認の意味で説明をしてください。
○政府参考人(遠藤純一郎) 平成十三年の十二月に総合規制改革会議での答申を受けまして、昨年三月、閣議決定がされたわけでございますが、その中で、「インターナショナルスクールにおいて一定水準の教育を受けて卒業した生徒が希望する場合には、我が国の大学や高等学校に入学する機会を拡大する。」と、こうされたところでございまして、この閣議決定を受けまして鋭意検討した結果、対応案といたしまして、外国人学校卒業者への大学入学資格付与のその一定水準の教育ということにつきまして検討した結果、国際的な評価団体により一定の水準にあるとの評価を受けている外国人学校を卒業した人につきまして入学資格を認めるということで、これを中央教育審議会の大学分科会に示しまして意見を聴いた上でこれを公表をいたしまして、今パブリックコメントをしていると、こういうところでございます。
○佐藤泰介 二十日の当委員会でもこの問題は取り上げられましたが、答弁はやっぱり、まだ日にちもたっていませんので、全く同じだと確認をさせていただきましたが、二十日付けの、私の地元、東京でも一社、新聞が出たと思いますけれども、次のような記事が掲載されておりました。
 「朝鮮学校の扱い再検討 大学受験 資格緩和案を凍結 文科省」というタイトルで、少し読みますと、外国人学校の大学受験資格問題で、文部科学省は十九日、新年度入試からインターナショナルスクールの卒業生に認めるとした受験資格緩和案を凍結、除外されていた朝鮮学校など民族学校の取扱いも含めて再検討する方針を固めた、多くの大学が募集要項を公表する今年の夏までに最終決定をするという内容でございました。
 今の答弁からすると、この記事は全くの誤報と理解していいですね。
○政府参考人(遠藤純一郎) 現在、パブリックコメント中でございまして、この対応案の扱い等につきまして何らかの結論を出したという事実はありません。
○佐藤泰介 じゃ、続いて、その記事について一つ、その記事についてまた尋ねるんですけれども、今、全くないと言われましたけれども、大臣もこの問題についてはいろいろと答弁をされておみえになります。ちょっと、そのとおり、違うかもしれませんけれども読ましていただくと、意欲と能力のある人たちは受け入れていくということから考え、今後もう少しよく検討して、何か理論的にも筋が立って、なおかついろいろ御意見もよく見極めながら更に検討していく問題だと思っていますと答弁の最後をいつも結んでみえるように私は議事録で読ましていただきました。
 したがって、ここの部分だけを読ましていただくと、更に時間を掛けて検討されるのかなと、そんなことを思いましたので今の質問をさせていただいたわけですが、全くそれはそういう状況ではないということでございましたので、パブリックコメントが二十七日でしょうか、三十一日、あとわずかな期間でどれだけの検討ができるのかな、大臣が言われるような検討が十分にできるのかなということはちょっと疑問に思いますけれども。
 その記事の同じところに、その理由として、「与党三党内の協議で「アジア系を認めないのはおかしい」と意見が一致し、自民党の山崎拓幹事長が同省に民族学校への資格緩和を求めていた。」というようにその理由が書いてありました。
 この部分の経過と事実関係を説明をしていただけますか。これも、全くなかったということなら全くなかったで結構です。
○国務大臣(遠山敦子) 政治の側からいろんな御意見があったと、現在もあると、国民の側からも意見があるということも確かでございます。
 この問題、先ほど局長が検討中という、この記事について、再検討ですか、それは決めていないということは、つまり、どういうふうにこの問題について対処するかについてまだ最終的意思決定をしていないということを申し上げたわけでございます。
 この問題、昨日も参議院の予算委員会でも二度にわたりまして御説明申し上げましたけれども、大学入学資格という問題は、私は、日本の学校教育法体系の中で、大学に入って大学教育を受けるに値する、そういう内容を持った、資質を持った生徒であるかどうか、あるいは、逆に言えば大学教育の水準を確保するのに必要な資格を定めるということはこれは必要なことでございまして、学校教育法の中でも第五十六条でしっかり書かれているわけでございますが、そこで、大学に入学することができる者は、高等学校云々、そして、これと同等以上の学力があると認められた者とするという規定がございます。これを受けて省令があり、告示があって、要するに日本人の場合は、日本の学校教育法第一条の高等学校を卒業しているあるいは卒業しようとする者、それからあとは検定を受けると、要は二つの制度があるだけでございますね。
 他方で、日本にある外国人学校というのをどうするかということで今の問題が起きてきているわけでございますが、この問題につきましては、これは有馬文部大臣のころだと思いますけれども、大学入学検定試験の門戸を開いたということで、どこの外国人学校にいる子供たちもそれを受けて大学へ入学することが各大学の個別試験を通ればできると、検定を通れば、という制度で、これは私は国際的な、大学への入学に対する国内法制は整っていると思います。
 それに加えて、じゃ、インターナショナルスクールのように、日本への投資なぞを行うような企業について、その子弟、子供さんたちが日本に来たときに短期間で滞在するという、そういうふうな学校を卒業した場合にも認めてやったらどうかという規制緩和の関係の要請がありまして検討に入ったわけでございます。
 したがって、私どもとしては、法体系上は日本の高等学校と同等以上の学校であるかどうかということを明確にしなくてはいけないということであるわけでございます。その角度からいうと、日本にある外国人学校について、日本の高等学校と同等の以上のものであるかどうかということを見るのに、まず最も国際的に通用する方法としては、国際的な認証機関の認証を得ているかどうかという手法を使う必要があるわけでございまして、一度中央教育審議会で御審議いただきました対応案、これは今パブリックコメントにかけておりますが、これは私は教育行政上の手法としては極めてオーソドックスな手段だと思っております。
 ただ、結果的にアジア系についてそういう認証機関が今のところないわけでございまして、それで、アジア系といいましても北朝鮮が主でございますけれども、韓国、台湾系も含めまして、それが今の段階では拾うことができないわけでございますが、ただ、一般的な大学入学資格を認めるという制度としては整っているわけでございます。
 今回、パブリックコメントをかけていろんな御意見を伺っているわけでございますし、政治的ないろんな御意見もあることも確かでございます。そのようなことを受けて、今、鋭意検討中という段階であるわけでございますが、私どもはその国民の御意見あるいは政治の意見ももちろん聞きながら、しかし制度として、先ほど申しましたような法体系としてきちっとした論理立てができるということも大変大事なわけでございまして、そのような角度から目下真剣に検討しているという状況でございますので、御理解をいただきたいと思います。
○佐藤泰介 与党三党から文科省に働き掛けがあったのかなかったのか、もう一度お願いします。
○政府参考人(遠藤純一郎) 与党三党の幹事長会議で話題に出たというのは聞いておりますけれども、そこで何かが決まったということは承知をしておりません。
 与党三党ということでございますと、公明党から、アジア系の外国人学校の卒業生についても大学入学資格を認めるべきであるとの要望を、文部科学大臣の方にございました。
○佐藤泰介 最初は今、話題が出たということですが、最後の方になって公明党の冬柴幹事長からは申出が文科省にあったということですか。山崎さん、自民党の山崎拓幹事長からはなかったわけですか。
○政府参考人(遠藤純一郎) この問題について御説明に参りましたところ、冬柴幹事長によく御説明するようにというお話がございました。
○佐藤泰介 分かりました。
 与党内でもこの問題はやはり、非常にこれは国際的に見ても、それ以上触れませんけれども、国際的に見ても非常な差別的な対応になっているというふうに思います。したがって、いろんな政党からもそういう要請なり要望が出てくるんだろうと。大臣のその一定の水準云々という話も理解できないのではありませんけれども、やっぱり国際的な条約や規約等と逆行するという部分もあるわけでございますので、この問題についてはあくまで文科省が主体的に決定する問題ですので、国内的にも国際的にも、とりわけ国際的な視点からも差別的な対応とならないように強く要請をしておきます。(後略)


2003年3月24日 参議院 予算委員会 福島瑞穂(社民)

○福島瑞穂 社民党の福島瑞穂です。
 大学入学資格について、私の方もお聞きをします。
 中華学校、韓国学園、朝鮮学校など、アジア系の学校に関して、これを認めないという報道もありましたが、現在どういう見通しでしょうか。
○国務大臣(遠山敦子) 端的に申し上げれば、今、パブリックコメントを求めておりまして検討中ということでございますが、一言申し上げたいのは、先ほど郡司委員からの御質問にもお答えしたところでございますけれども、大学入学資格といいますのは、日本の学校制度の中で大学教育の水準の確保のために必要な制度でございまして、法律、省令、告示等で決まっているわけでございますが、基本的には日本の高等学校卒業者、そして高等学校卒業者と同等の学力を持つ者ということでございまして、日本人の場合には日本の第一条学校の高等学校を出たか、あるいは大学入学検定試験を通った者でなくてはならないことになっています。
 外国人学校については、長い経緯がございまして、平成十一年に外国人学校の子供たちも検定試験を受けられるようになりました。したがいまして、もうすべてどの外国人学校の子供たちもそれを受けられるわけでございます。
 今回御要望のことは、それに加えて、インターナショナルスクールの場合にはその学校を出ただけで、学校といいますか、外国人学校を出ただけで受けられるようにということでございますから、国際的に見てもプラスアルファの制度を認めろということなんでございます。
 そのことで考えますと、一定水準の教育内容ということですから、したがって認証機関の認証を得た者ということで見たわけでございます。ですから、理論的には、当然のそのスクリーニングを掛けましたら、結果的にいわゆるインターナショナルスクールであったわけでございます。
 ところが、いろんな意見がございますので、私どもとしましては、理論的な制度もきちっとやりながら更に検討をしていきたいということでございます。
○福島瑞穂 大検、大学入学資格検定は二〇〇一年までは十一科目、今九科目ですが、科目が非常に多い。ですから、大学入試は今数科目に限定されているものが多いですから、非常に大学を受ける子供にとっては大変負担です。インターナショナルの学校に対しては、欧米系に対しては認める、アジア系に対しては認めないという理由はやはり納得がいきません。認定校があるといっても、文部省自身がアジア系の学校についてもきちっと認定すれば済む話ではないですか。
○国務大臣(遠山敦子) 文部科学省自体が学校になる存在でないようなものについて認証するというようなことは、これはよほど考えないといけないと思います。やはり客観的に一定水準を確保しているかどうかというのは第三者機関が認定するのが適当かと思っております。しかし、そのことも含めて目下検討をいたしております。
○福島瑞穂 非常におかしいと思います。認定校は全部これ外国、特に欧米系、WASC認定校などありますが、インターナショナルスクール、欧米系しか認定が主にはできません。これをやる限りは、中華学園、中華学校、韓国学園、朝鮮学校、みんな排除をされます。
 例えば、学校教育法五十六条で、例えば外国で十二年間科目を修了すると日本の大学は受けられるわけです。ですから、台湾の学校で十二年間の課程を修了した者は留学生として受験資格が認められる。しかし、台湾の学校で十一年の課程を修了して残り一年の課程を日本国内の中華学校で修了すると受験資格が得られない。こんな変な状況があるわけです。
 その子供たちは、合格させてくれというふうには言っていないわけですね。大学を受験させてくれというふうに言っているわけです。これをなぜ差別を設けるのか、まだ理解できません。
○国務大臣(遠山敦子) そこのところを御理解いただくために先ほどちょっと長くなって御説明しましたので、繰り返しませんけれども、要するに、外国で正規の学校を出た人はもちろん引き受けますと。しかし、日本国内にあるいろんな外国人学校、種類がございますし、それが日本の高等学校と同等であるかどうかということを見るために客観的な第三者評価機関の評価を、結果を用いたという対応案でございます。
 ですから、アジア系の認証機関があればもちろんそれを用いるわけでございます。それはそういうことでございますけれども、今、そういうことも含めて検討中ということでございます。
○福島瑞穂 是非お願いします。というのは変で、外国の学校だったら認める、日本の学校だったら水準が合う、合わないとやってアジア系は排除する、これはやっぱりおかしいと思います。
 子どもの権利に関する条約委員会は一九九八年六月、国際人権規約自由権規約委員会は一九九八年十一月、国連人種差別撤廃委員会は二〇〇一年三月、国際人権規約社会権規約委員会は二〇〇一年八月に、このような学校についてもきちっと大学入学資格を認めるべきであるという勧告を出しております。これらの勧告を文部省はどう受け止めていらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(遠山敦子) それは大学入学資格検定を受けられるということで、制度的に私はその問題もきちんとクリアしていると思います。
○福島瑞穂 勧告はそのような中身ではないというふうに思います。この勧告は、それぞれ公立学校と、朝鮮学校やマイノリティーの学校に対してきちっと認めろということを言っておりますから、大検の資格さえ認めればいいのだというのではやはり差別が残ると思います。
 現在、公立学校、私立学校でこのような学校の大学入学資格を認めている学校はたくさんありますが、何か問題が生じているでしょうか。
○国務大臣(遠山敦子) この問題は、一国の教育制度という法体系の中でどう位置付けるかという問題でございまして、私どもとしましては、そのことを整合性も考えながら対応していると、対応していく考えでございます。
○福島瑞穂 是非アジア系のみ排除しないようによろしくお願いします。


2003年3月24日 参議院 予算委員会 郡司彰(民主)

○郡司彰 気持ちが形になるように期待をしたいと思いますが、続きまして、前にも同僚議員が質問をいたしましたが、国内の外国人学校の大学受験資格について、パブリックコメントが二十七日ということになっているそうでありますけれども、どういった声が寄せられているのか、それから、現在の外国人学校の数と生徒数などを教えていただけますでしょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎) 今、委員から御指摘がありましたパブリックコメントでございますけれども、三月七日から実施しておりまして、三月二十七日まで意見を受け付けているということでございます。
 内容につきましては、今後集計をする予定でございますが、現在までの意見を見てみますと、例えば、アジア系の外国人学校の卒業者についても大学入学資格を認めるべきであるといった意見が多く見られますが、あるいはその逆の意見も寄せられているというような状況にございます。
 それから、日本にある外国人学校の数でございますが、平成十四年五月一日現在で、高等学校に該当する学校の数でございますが、四十校ということでございます。
○郡司彰 その四十校の内訳はございますか。
○政府参考人(遠藤純一郎) 分類の仕方、いろいろございますけれども、特定の、国の系統になっていない、いわゆるインターナショナルというような形のところが十五校ございますし、それからドイツ系が一校、北朝鮮系が十二校、韓国系が二校、中華系、これは台湾系でございますが二校、この合計が三十二校でございまして、これがいわゆる各種学校という形になっておるものでございます。そのほか、各種学校という形ではなくて無認可といったような形の学校が八校ございます。
○郡司彰 これ、マスコミなどで問題になったのは、これは大臣も御存じのように、インターナショナルスクール、これは大学入試資格の弾力化についてという対応案が出されておりまして、それに基づく形からすればそのようなことになるんだろうなというふうに私も思います。
 対象国についても、いろいろ出されている中で、今のアジア系というものはここに入ってこないような形になっておりますから、さもあろうというような感じはいたしますが、ただ、結論のところからいうと、これは大臣がお決めになるというようなことになるんでありましょうか。
○国務大臣(遠山敦子) 大学入学資格といいますのは、委員御存じのように、大学教育で一定水準の教育内容を確保いたしますためにどういう人たちに大学に入ってもらうかということで決まっているものでございまして、省令とか告示とかで決まっているわけでございます。
 そのことでいいますと、日本人につきましては、日本の学校教育法第一条の高等学校を出ているか、大学入学検定試験を通っているか、この二つしかないわけでございますが、若干細かいのはございますが、既に外国人学校につきましては、平成十一年度に、日本の高等学校を出ていないけれども大学入学試験検定を経ていれば入れますよという制度を開きました。これで、もうその入学資格については国際標準になっているわけでございます。
 ところが、規制改革の、といいますか規制緩和という観点から、インターナショナルなスクールにつきましては、短期間日本にいるような子供たちを相手にするような学校があって、そういうところは対日投資などにもかかわるということで、もっと、検定試験を受けないで、その外国人学校を出ただけで入れるようにしてやってくれないかということでございました。
 これは、日本人にはそういう制度がないわけでございまして、日本人の場合には先ほど申したようなことですが、それにプラスアルファで、少し例外的にインターナショナルスクールを出た人にはそういう制度を作って、考えてはどうかという御指摘がございました。その規制改革会議の答申も受け、報告も受けまして、その後、閣議で決定されまして、インターナショナルスクールについては考えろということでございました。でございますので、日本の高等学校に相当する外国人学校を出ている人については認めるということも可能かということでいろいろ検討いたしました。
 その水準という、一定の水準を確保するという角度から見ますと、認証機関の認証を得ている学校と言わざるを得ないということでやりました結果がインターナショナル、いわゆるインターナショナルスクールについては国際的な認証機関の認証を得ているということで通ったわけで、通りつつあるわけでございますけれども、それ以外にも、アジア系のというお話がございましたが、制度としては、アジア系を除いたということではなくて、一定水準ということで一つの対応案を作ったわけでございます。でも、今これにつきましてはパブリックコメントもかけておりますので、なお検討してまいりたいと思います。
○郡司彰 認定団体、三つほどございますけれども、インターナショナルというような形になっておりまして、そもそもそこの平成十三年の総合規制改革会議の中の弾力化について見ると、近年、外国からの対日投資の増加に伴い、我が国に中長期的に滞在する外国人が増えてきているというような認識のもとに始まっているんだと思うんですね。私は、これはこれで結構だと思います。
 それから、生まれながらにしてこの国に住んでいて、国籍が違うという方もたくさんいらっしゃるわけでして、これは今問題になっておりますが、いろんな問題の国としての対応、これは厳しくやるということとは別に、もうここに住んでいる子弟、子供さんたちのためには、教育の機会としては十分に考慮をしていただければなというふうなことを申し上げたいというふうに思います。


2003年3月20日 参議院 文教科学委員会 山本香苗(公明)

○山本香苗
(前略)
 次に、所信について質問させていただきますが、その所信の最後の最後に、規制改革にも誠心誠意頑張るといったくだりがございました。その規制改革の一環といたしまして、現在、文部科学省内で外国人の学校の大学資格について検討がなされていると伺っております。
 そこで、本件についてまずお伺いいたしますが、平成十三年度の規制改革の推進に関する第一次答申では、インターナショナルスクールにおいて一定水準の教育を受けて卒業した生徒が希望する場合には大学等に入学する機会を拡大すべきであるとありますが、ここにおけるインターナショナルスクールというのを何を指しているのかと文部科学省は解していらっしゃるのか、またこれが盛り込まれました背景についてお伺いいたします。
○政府参考人(遠藤純一郎) インターナショナルは何を指しているかということでございますが、要するにインターナショナルとか外国人学校等々の言葉がございますが、そういった言葉について厳密な意味での定義というのはございませんので、私どもこのインターナショナルという言葉につきまして、インターナショナルスクールに、一定水準のインターナショナルスクールについて大学入学資格を認めるといった際の検討を行うに際しましては、そういった意味で一般的に定義がないということから、幅広く、いわゆる外国人学校ということで検討をさせていただいたということでございます。
○山本香苗 ということは、これにはアジア系の外国人学校は含まれていると解していらっしゃるんですか。
○政府参考人(遠藤純一郎 厳密な定義がないものですから、検討に際してはそういうことも、その点についても視野に入れながら検討させていただいたということでございます。
○山本香苗 現段階で今三つ機関、ちょっとはっきり覚えていないんですけれども、三つの認定団体を挙げていらっしゃるわけなんですが、この認定団体にアジア系の外国人学校が申請した場合、受け付けていただけるんでしょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎) 私ども、一定水準の教育、一定水準の教育ということで、それをどういう形にしようかということで検討してまいりまして、今、委員御指摘のように、認定団体としてWASC、ECIS、ACSIという、言わば世界的に定評のある認定団体が認定したインターナショナルスクールということで一定水準と、こうあれしたわけでございますが、今御質問の点でございますけれども、私ども問い合わせますと、主として英語で教育を行っている学校を評価の対象にしていると、こういうことでございます。
○山本香苗 ということは、受け付けないということですか。
○政府参考人(遠藤純一郎) その点については、私ども確認はしておりません。
 ただ、英語で教育を行っている学校を評価の対象としているということでございますので、恐らくそういう形での申請は今までなかったんだろうと、こう思っております。
○山本香苗 いや、申請を受け入れるか受け入れないか、そういうものを現時点において確認をしないでやるのはちょっとひど過ぎるんではないかなと思います。
 一度、御説明を党の方でもいただきましたときに、もうとにかく今月末、三月末までの宿題ですからとにかくやらせてくださいというトーンで御説明をいただきまして、そういうトーンであるならしっかりとした調査とかもあっていいと思うんです。
 規制改革の答申は、先ほど御答弁していただきましたとおり、積極的にアジア系の外国人学校を排除しているわけではないわけですよね。文部科学省としては、この答申の意図をきちんと酌んで、かつ教育の行政をつかさどる文部科学省としての視点も入れて、是非ともこのアジア系の外国人学校にも門戸を開くような形に改正していただけないでしょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎) 私ども、先般示しました対応案では、国際的な評価団体により一定の水準にあるとの評価を受けた外国人学校を卒業した人につきまして入学資格を認めるということとさせていただいたわけでございますが、この案につきまして、御指摘のようにアジア系の外国人学校の卒業生の大学入学資格についていろいろ御意見があるということは承知しておりますし、また、この対応案につきまして現在パブリックコメントを実施しているということでございますので、これらも踏まえて、この件につきまして十分に検討してまいりたいと、こう思っております。
○山本香苗 現在、私立・公立大学におきましては大学独自に外国人学校卒業生の受験資格を認めているそうです。この実態を把握されていないということを二月二十五日に遠藤局長が御答弁されていらっしゃるんですけれども、こうした実態は本来文部科学省として知っておくべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎) 公立大学、私立大学で外国人学校の卒業者の入学を認めている大学もあるということは承知をしております。
 ただ、私どもとしては、そういう御指摘のような調査につきましては、この前の委員会で御答弁申しましたように、現在のところ調査はしていないというのが現実でございます。
○山本香苗 今後調査する予定はあるんですか。
○政府参考人(遠藤純一郎) 大学入学資格の在り方につきまして、いずれにしましても、今後、様々な観点から引き続きいろいろ検討していかなくちゃならないということは、と思っておりまして、そういった検討の中で、もしそういったような調査が必要であるということになれば、御指摘の調査についても検討させていただきたいと、こう思っております。
○山本香苗 いや、必要だと思います。是非やっていただきたいと思うんですが、聞くところによりますと、半数ぐらいだというふうに報道等には出ておりますけれども、国立大学も、この公立、私立のように各大学の自主的な判断にゆだねるという形はできないんでしょうか。そのできない理由についてお教え願えますか。
○政府参考人(遠藤純一郎) 一つ申し上げておきますけれども、この大学入学資格というのは制度でございますので、私どもは、今御指摘ございましたように、公立、私立で認めているということでございますが、私どもは、国公私を通じて同じように、法令上の問題として同じように扱っていただきたいということは思っておるわけでございます。
 今の御質問の、個別に各大学で入学資格の審査を認めるべきではないかと、こういう御指摘でございますが、この入学資格ということにつきましては、やはり、例えば高等学校という学校種類あるいは大学という学校種類、そういう学校間の接続の体系を明らかにするということによりましてそれぞれの学校における水準を担保するというものでございますから、やっぱり一定水準以上の確保が制度上求められると、こういうことで入学資格というのを法令上決めておるわけでございます。
 大学入学資格につきましては、学部段階の教育は初等中等教育段階における学習指導要領を踏まえた体系的なカリキュラムに基づく基礎的な学力の修得を基礎に展開されるものということでございますので、その修得がなされているかどうかという判断につきまして、入学資格として高等学校の卒業あるいは大学入学資格検定の合格といった統一的な取扱いをすることが制度として求められていると、こういうことでございますので、大学入学資格の取扱いにつきましては、制度ということでございますので、各大学の判断にゆだねていないというのが現状でございます。
○山本香苗 済みません、ちょっとよく分からないんですが、アジア系の学校を排除すると聞いたときに何となく恐ろしい感じがしました。意図的、意図的でないにしろ、結果的に民族の違いで排除をされている。何と表現したらいいのかよく分からないんですが、こうしたことを教育をつかさどる文部科学省が対応案という形であれ出してこられていらっしゃる、その何か恐ろしさというものをちょっと感じております。
 この改正自体は行政裁量で行えて、今月末までに行うというふうにおっしゃっていらっしゃるわけですが、三月十三日、我が党は申入れを大臣に行わせていただきました、こうした改正は絶対に容認できないと。何とぞ再考の上、アジア系の外国人学校の卒業生に対しても認めるために必要な措置を講じていただきたいんですけれども、最後に大臣に一言いただきたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子) この問題につきましては、確かにいろんな考え方がございます。私どもも、総合規制改革会議からの答申の中でなぜインターナショナルスクールの人を認めろということであったかといいますと、近年、外国からの対日投資の増加などがあって、日本に中長期的に滞在する、ずっと住んでいるということではなくて中長期的に今滞在する外国人が増えてきているので、こうした外国人の子女の多くが日本のインターナショナルスクールに通っているので、対日投資などを増やすというような角度から是非認めてくれというようなことがあったわけでございます。
 大学への入学資格につきましては、本当に長い間、外国人学校をどう扱うかということについては三十年来の大きな課題になっておりまして、もうそのことについて大変大きな決断をしたのが平成十一年でございまして、すべての外国人学校の在学者というのは大学入学試験を、大学入学の検定試験を受けることができるというふうに制度を開いたわけですね。
 ですから、これは私は、国際的に、大体バカロレアに通っている、国際バカロレアに通っている、あるいはフランスですとバカロレア、フランスのバカロレアを通っていないといけない、ドイツだとアビトゥアを通っていなくてはいけない。したがいまして、国際的には日本の今取っている制度というのは国際水準になっているわけですね。
 規制改革会議は、更に一歩踏み込んで、そういう対日投資というようなこともあるので認めたらどうかということであったわけでございまして、しかも一定水準の教育を受けている人についてそういうのを認めろということであったわけでございまして、対応案を作ってもらいましたときには、じゃ一定水準というときにやはり国際的な認証機関が認めたのがいいのであろうということで、それを一つの手段にしたわけでございますね。ですから、そのときには特にアジア系を除くなどというようなことを、考えはなかったわけでございます。結果的にそういうことになったということで、私も、これはなかなか大きな問題も絡んでいるなという気もいたしております。
 一定水準の教育を受けたというのにもちゃんとこたえながら、制度として、それぞれの国際的な動きというのも考えながらやっていく、あるいは諸外国で日本人学校の学生たちがどう扱われているかというのもありますし、いろいろなことを考えなくちゃいけないわけでして、その意味で、私としては、この点については考えていきたいと思っております。
 いずれにしましても、まだ結論を得ておりません。十分によく考えていきたいと思います。
 それから、アジア系すべてアウトというふうに何か報道されたようでございますので、よく聞いてみましたところ、国々としては、韓国系、それが二校、それから台湾系が二校、インドネシアが一校ですか、あとは北朝鮮、これが十二校ということでございまして、アジアすべてについてノーと言っているのではないわけでございますし、それから、それ以外にもクリスチャン系のとか、つまり認定を、認定機関から認定を受けていない学校、学校といいますか外国人学校ですね、そういったものが幾つかあるという状況でございます。
 そういったことをすべてよく考えた上で、これについては更に検討を重ねていきたいと思っております。
○山本香苗 是非、大臣の今おっしゃってくださったとおり、しっかりと検討していただきたいと思います。(後略)


2003年3月20日 参議院 文教科学委員会 畑野君枝(共産)

○畑野君枝
(前略)
 さて次に、世界の国際化の流れの中で、先ほどもお話が出されましたけれども、アジア系学校の大学入学資格問題でございます。
 大学入学資格について、アメリカやイギリスの学校評価機関が認定した外国人学校の卒業生には認める一方で、アジア系学校の大学入試資格が除外されようとしているということが大きな問題になっております。その点で、既に、子どもの権利条約の子どもの権利委員会の最終見解の懸念事項で高等教育への不平等なアクセスの問題が指摘されてまいりました。
 この点について、どのように対処されてきたのでしょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎) 私ども、いろんな施策を進めていく上ではやはり国際的な条約に反するということがあってはならないと、こう思っておるわけでございます。
 今御指摘のように、児童の権利に関する条約、市民的及び政治的権利に関する国際規約等におきまして人種等によって差別をしてはならないという旨の規定がなされておりますけれども、私ども、大学入学資格の問題につきましてはこれに反するような取扱いとはなっていないと認識しております。
○畑野君枝 差別をしてはならない、不平等なアクセスがあってはならないというふうに懸念をされてきたわけですけれども、今申し上げましたように、欧米系はよくてアジア系は駄目だ、正に差別が起きているわけです。ですから、それはもう本当に御回答にならない対応だというふうに言わなくてはならないと思います。
 実際に伺いますが、アジア系の学校が大学入学資格を得られないのは、それではなぜなのですか。
○政府参考人(遠藤純一郎) この問題、最初に先ほど大臣から別な形で御答弁がありましたけれども、昨年の三月の閣議決定におきまして、その前の総合規制改革会議の答申を受けておるわけでございますが、その閣議決定におきまして、「インターナショナルスクールにおいて一定水準の教育を受けて卒業した生徒が希望する場合には、我が国の大学や高等学校に入学する機会を拡大する。」という閣議決定があったわけでございます。
 この閣議決定を受けまして、私ども、これをどうするかと。「一定水準の教育」ということでございますから、やはりそれは客観的にそうなっていなければならないということで、国際的な評価団体によって一定水準にあるとの評価を受けている学校を卒業した人につきまして入学資格を認めるということにしたわけでございます。
 したがいまして、御指摘のように、現在その認定団体三つあるわけでございますけれども、これまで英語での申請というか、そういうことであったということで、結果としてはアジア系の学校が現在も認定をされていませんし、そういうような状況になっているということはございますが、そういう認定する団体がこの三団体ということでございますので結果的にそうなったということで、というふうに受け止めておるわけでございます。
○畑野君枝 結果的というのは本当にひどい話じゃないですか。閣議決定だからといって、言われたものはやって言われなかったものはやらなかったというのは、一体、文部科学行政としてどういう主体的努力をしてきたのかというのは問われるんじゃないでしょうか。
 ましてや、懸念まで言われてきたと、国際的にも韓国や朝鮮学校のことを具体的に名指しされて言われてきたわけでございます。中華学校を始めいろんな、私も横浜に住んでおりますけれども、いろんな国の子供が一緒に同じ地域で学び、交流しているわけでございます。
 なぜ、じゃ、アジア系は駄目なのかって、何の具体的なお話も今ございませんでした。この差別をなくしていく、そのためにそれではどうしたら大学入学資格が取られるようになるんですか。具体的な調査をして具体的に文部科学省としてこういうふうにやればできますよ、そういう主体的な取組が現場の声を聞くことも含めて必要になっているときじゃないんでしょうか。その点、いかがですか。
○政府参考人(遠藤純一郎) 大学入学資格の問題につきましてはいろんな経緯がございまして、平成十一年に大学入学資格の検定規程を改正をしまして、外国人学校の卒業生も含めまして満十六歳以上の人たちは広くこの大学入学資格検定の受検ができると。これに通りますと大学への入学の資格が、受験資格を得るということにしておるわけでございまして、一般的にはそういうことで対応をしてきたということでございます。
 そして、今回こういう閣議決定がございましたので、それに対応をするということで国際的な評価団体による評価ということに着目をしたわけでございます。
○畑野君枝 だから、お答えになっていないわけです。
 どういうふうに、じゃ、文部科学省としてやれば、検定試験の問題じゃないというふうに生徒さんたちは言っているわけですよ。だって、欧米系はそれはいいと、しかしアジア系は検定試験でどうぞ、これ正に差別じゃありませんか、差を付けているということになるわけでしょう。だから、どうしたら、さっきのイラクの話もそうだけれども、子供たちに罪はないわけだから、すべての子供たちが教育を受けられるようなきちっと整備を文部科学省としてするべきでしょう。手を差し伸べるべきでしょう。
 そのためにどういう調査をじゃされているんですか。具体的に、朝鮮学校や韓国、あるいは中国、いろんなそういうところに行かれて調査されているんですか、局長さん。
○政府参考人(遠藤純一郎) 入学資格の問題として今私が何回も繰り返して言っているようなことでございまして、そして、この私ども出しました対応案、これにつきまして、御指摘のような御意見も含め、いろんな意見がございますし、現在、対応案につきましてパブリックコメントを実施している最中でございまして、このパブリックコメント等を十分受け止めまして、この対応案、どうするかということについて検討をしたいということでございます。
○畑野君枝 調査については、調査しているんですか。
○政府参考人(遠藤純一郎) 立ち入っての調査というのはしてございません。
○畑野君枝 文部科学大臣に最後に伺いますけれども、そうした具体的な実態調査も含めて、日弁連人権委員会からも勧告がずっと出されてまいりましたし、あるいは子どもの権利条約を含めて国際的にも指摘されているわけですから、国際的にも懸念されることのないようにアクセスの機会をほかとも併せて進めるべきだというふうに思いますが、いかがですか。
○国務大臣(遠山敦子) そういったことも含めまして、今、検討をいたしております。
○畑野君枝 是非進めていただきたいと思います。寄附の優遇税制の問題などの差もあるということも出ているわけですから、広く検討をしていただきたいと思います。(後略)


2003年3月17日 参議院 予算委員会 若林秀樹(民主)

○若林秀樹 続きまして、遠山文科大臣にお伺いしたいと思います。
 中教審で、外国人の卒業生の大学入学資格として、欧米系のインターナショナルスクールのみを認めるという結論に至ったと聞いておりますけれども、その概要について伺いたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子) 経緯からお話しさせていただきますと、総合科学技術、いいえ失礼しました、総合規制改革会議の規制改革の推進に関する第一次答申、平成十三年十二月に出されたものでございますが、これを受けまして、昨年三月の閣議決定で規制改革推進三か年計画が定められたわけでございますが、その中で、「インターナショナルスクールにおいて一定水準の教育を受けて卒業した生徒が希望する場合には、我が国の大学や高等学校に入学する機会を拡大する。」とされておりまして、これに沿って、先日、中央教育審議会大学分科会の場に、対応について、対応案をお示しして議論をいただいたところでございます。
 委員ももちろん御存じだと思いますが、我が省では順次こういう資格についてオープンにしてまいっておりまして、平成十一年には大学入学試験の資格につきまして、すべての外国人学校、いわゆる外国人学校に学ぶ人に開いております。ですから、どの外国人学校の卒業生も、あるいはあれですね、在学生も、この試験を受ければ大学に入学できるわけでございます。このたびの規制緩和は、それをベースにした上で、更にある学校で一定水準の中身の教育を受けた者については認めろということでございます。じゃ、一定水準の教育ということに対応いたしますために、私どもとしましては、国際的な評価機関で評価された学校というのが一つの行き方ではないかということで対応案をまとめたところでございます。その対応案の検討に際しまして、当初から特定の外国人学校を除いて検討したものではございませんで、結果的にアジア系の外国人学校が含まれないこととなるものでございます。
 ただ、これはまだ決定をいたしておりませんで、今パブリックコメントにも掛けております。それから、この問題については様々な御意見があるということも十分承知いたしております。そういうようなことから、これからまだ十分に考えて対応してまいりたいというふうに考えております。
○若林秀樹 私も初めて新聞記事にしたときには本当に目を疑ったというか、どう見ても常識で考えてもおかしいんじゃないかなというふうに思いますが、そう思われませんでしょうか。
 今回のあれは英語で教育をしている学校のみが対象であって、英語以外は全部対象じゃないんですよね。これまでもいわゆる朝鮮学校と韓国学校とか、中華学校、フランス語、いろいろ問題あってきたにもかかわらず、なぜこの時点でインターナショナルスクールだけを認めることを中教審で了承したというのは、私はやっぱり両方並行してやるべきだというふうに思いますが、常識としてちょっとおかしいと思いません、これ、ここで出すのにインターナショナルスクールだけやること。
○国務大臣(遠山敦子) いろんな考え方があるということはもちろん承知いたしておりますし、ただ、閣議決定でインターナショナルスクールにおいて一定水準の教育ということで、私どもの第一段目のといいますか、対応案として出しましたものがそういうものでございます。
 でも、国際的にも、国際バカロレアを通っているかどうか、あるいはフランスのバカロレアを通っているかどうか、ドイツにおいてアビトゥアを通っているか、それぞれの国においてやはりそれぞれの試験の制度をきちっと通っているかどうかというのを入学資格にしているわけでございます。
 いずれにしましても、この問題につきましては、そういう合理的な中身の区別であれば、これは私はそれぞれの国の考え方においてやることのできるものだと思っておりますが、いずれにいたしましても、十分に、この問題には広くいろんな知見も集めながら十分に対応していきたいというふうに考えております。
○若林秀樹 ちょっと改めてお伺いしますけれども、今回は最終決定じゃなくて、パブリックコメントを求めていると。考え方は、これから順次拡大していくんだということでよろしいでしょうか。
○国務大臣(遠山敦子) まだ決定をいたしておりませんで、いろいろな角度から十分に検討した上で対応したいと思っております。
○若林秀樹 いずれにしましても、この問題は非常にデリケートな問題でありますけれども、基本的人権、教育の権利義務、ひいては日本が批准しました子どもの権利条約ですか、それにも引っ掛かる可能性がありますので、是非パブリックコメントをもらいながら、幅広く、公明正大な制度に仕立て上げていただきたいなというふうに思っております。


2003年3月14日 衆議院 文部科学委員会 山元勉(民主)

○山元委員 義務教育国庫負担制度の問題について大詰めに来ているわけですけれども、そのお尋ねをする前に、今大変問題になっております、大きく盛り上がっているという感じがいたしますけれども、外国人学校の生徒の大学入学資格の問題、これは日本の文部行政の名誉にもかかわることですし、やはり将来の大きなありようを決めることだというふうに思いますから、少し時間を割いてお尋ねをしたいというふうに思います。
 つい先日ですが、七日付の新聞で、こういう記事が大きく出ました。「文部科学省は六日、英米の民間評価機関の認定を受けたインターナショナルスクールの卒業生だけに資格を」大学入学資格ですが、「付与する方針を正式に表明した。今月末に省の告示を改正し、来月から施行する。」こういう新聞が出たわけです。即、当該の民族学校の皆さんや、あるいは多くの人たち、弁護士さんもありましたし、国立大学の教職員の皆さんもありましたけれども、瞬間に火がついて、大きな盛り上がりが出て、これはおかしいということが出ました。
 国内に多くある、アメリカ、イギリス系だけじゃなしに、例えばブラジルも排除されているし、台湾やあるいは中国、朝鮮の学校が排除されて、ただ十六校だけが認められた。これは新たな、それぞれの学校にかこつけた差別をした、こういうことになるんだろうというふうに思いますが、なぜこの十六校だけに大学入学資格を認めたのか、その理由というんですか、判断の基準というのをお尋ねしたいと思います。
○遠山国務大臣 昨年三月に閣議決定がございまして、それは規制改革推進三カ年計画でございますが、そこにおきまして、「インターナショナルスクールにおいて一定水準の教育を受けて卒業した生徒が希望する場合には、我が国の大学や高等学校に入学する機会を拡大する。」とされておりまして、それに対応するために、先日、対応案を中央教育審議会の大学分科会の方にもお諮りをし、公表したところでございます。
 ただ、対応案は、一応案としてそのとき出したわけでございますが、まだ決めていないわけでございまして、その新聞の書き方は決まったかのように書かれているようでございますけれども、これは今もまだパブリックコメントに付しておりまして、決めていないというところでございます。
 それにしても、その対応案でどういうふうに考えたかという御質問でございますが、そういう大学への入学の機会を広げるという場合には、どこを出たかということが問題になるわけでございますが、その場合に、国際的な評価機関によって認定を受けている外国人学校を卒業した者について入学資格を認めるということの案になっているわけでございます。これは、各種学校とかいろいろな学校類似の施設の認定につきましては、客観的な第三者評価機関の評価を用いるというのが国際的な行き方だと思っております。
 そんなようなことで、認定機関で、しかも国際的な評価機関として認められているところを用いたら、たまたまそういう結果になったということでございまして、当初から特定の外国人学校を除いて検討したものではございませんで、その対応案では結果的にアジア系の外国人学校が含まれないこととなったわけでございます。
 ただ、この点についてさまざまな御意見があることは承知いたしておりますし、この対応案につきましては、先ほど申しましたように、現在、パブリックコメントを実施しているところでございまして、そういったことも踏まえて、まだまだ時間もございますので、十分検討してまいりたいというふうに考えております。
○山元委員 それでは、なお言いますけれども、朝日新聞ですよ。大きな記事で、「正式に表明した。」と、「正式に」という言葉を使ってある。中央教育審議会分科会に提示をした。ついでに言うと、そのときに、これは「外国人学校を区別して扱う形となり、在日朝鮮人や民族学校関係者の間には「さらなる差別だ」との反発が強まっている。」委員の人からもそういう意見が出たと。そうすると、今の大臣の話を聞いていると、これは誤報ですね。
 けれども、大事なことは、それからずっとたくさんの人たちが意見を言っていることについて、これはもう単に国内の小さな施策の問題と違って、日本の教育のありよう、外国からも評価をされる、そういう大きな問題なんです。
 ですから、大臣が今、パブリックコメントを求めている、あるいは、調べてみたら、一つの基準を当てたら十六だけだった、それが無責任だと思うんです。こうやって内外に出ていく問題については、大臣としてきちっと、こうあるべきだ、結果的に十六というのがわかった、これでは大変なことになる、これは日本の教育としては間違いだという判断を大臣みずからがされなきゃならぬ問題だと思うんです。そうしたら、こんなに大きくはならぬと思うんですが、どうですか。
○遠山国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、学校といいますかある組織について、それが学校としてふさわしい学校といいますか、資格を認定するのにふさわしいかどうかということについては、第三者機関というものの判断を仰ぐのがこれまでの行き方でございます。
 これまでも、大学入学資格につきましては、バカロレアの制度を使って、これは国際的なバカロレアでありますとかフランスのバカロレアでありますとか、あるいはドイツのアビトゥア、そういう資格試験を通った人については、どの大学でもこれは認めるということでございまして、そういった問題につきましては、国際的な認証のあり方というものを使っていくというのがこれまでの行き方であったわけでございます。
 今回も、そのような行政手法といいますか、理論的な整合性ということでこの案は考えてくれたわけでございますけれども、確かに、私といたしましても、結果的に、アジアの関係の学校といいますか、各種学校ですけれども、それが全部漏れてしまうということになるのはいささか、これは、できるだけ意欲と能力のある人たちは受け入れていくということから考えまして、今後、もう少しよく検討して、何か理論的にも筋が立って、なおかつ、いろいろな御意見のあり方というのもよく見きわめながら検討していく問題だなと思っています。
 もちろん、告示の前まではいわば意思決定までのプロセスでございますので、一つの考え方をお示しして、今パブリックコメントに付している、そういう段階でございます。
○山元委員 時間がありませんから一々なんですが、端的に言って、文科大臣としてお考えが浅い。
 今までずっと、例えば私の手元にある、国連のさまざまな機関が朝鮮人学校問題に関する勧告をしています。
 例えば、大分前の九八年にも、児童の権利に関する、子どもの権利条約にかかわっての勧告も出ている。「コリアン出身の児童の高等教育施設への不平等なアクセス、及び、児童一般が、社会の全ての部分、特に学校制度において、参加する権利を行使する際に経験する困難について特に懸念する。」だから、そういうことについては「排除されるように勧告する。」これは子どもの権利条約の委員会からの勧告です。
 国連規約人権委員会も、同じようにこのことについて懸念をして、そして改善するようにという勧告を出している。
 国連人種差別撤廃委員会も、これは一昨年の三月ですから、つい最近、このときにはまだ大臣になっていらっしゃらない、前ですね。けれども、ここのところでは、「委員会は、」差別撤廃委員会ですね、外国籍の子供に関して、初等教育及び中等教育が義務教育となっていない、こういう懸念を表明して、「権利が保障されるように確保するよう勧告する。」と。
 国際人権規約、これも国連の規約人権委員会、これもはっきりと「当該学校が補助金その他」、民族学校がですね、「補助金その他の財政援助を得られるようにすること、及び、当該学校卒業資格を大学入学試験の受験資格として承認することを勧告する」と。
 これは、国際的にこういう判断が示されているんですよ。ですから、大臣が、一つの物差しを当てて、十六、どうだろうか、パブリックコメントを求めているんだ、中央教育審議会にお尋ねをしているんだ。私は、言葉は適切でないかもしれぬけれども、大臣としてはもう少し深く考えていただきたかったというふうに思うんですが、こういう国際的な動き、どうお考えですか。
○遠山国務大臣 確かにそういう国際的な視点というのは大事でございまして、この点に関して申しますれば、例えば児童の権利に関する条約、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、これはA規約でございますが、ここにおきましては、「能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。」が規定されておりますが、これは、従来の大学入学資格につきましても、これに反するような取り扱いとはなっておりません。また、国際人権規約B規約におきましては、人種等によって差別してはならない旨が規定されているわけでございますが、これも、従来の大学入学資格についても、これに反するような取り扱いとはなっていないわけでございます。
 先ほども申しましたように、この点につきましては、入学資格につきましては、平成十一年には、十六歳以上であればだれでも大学入学資格検定の受検ができることとしたことを初めといたしまして、これまで段階的に拡大を図ってきているところでございます。今回の案も、昨年の閣議決定に沿って、あるいはそこで要求されたものについて、一つのステップとして対応案が作成されたところでございますが、これについてパブリックコメントを求めているということで、いろいろな御意見も踏まえながら、さらに十分検討していきたいと考えております。
○山元委員 大臣、重ねて言いますけれども、十六校を選びましたがどうでしょうかというのは、やはり深くないと言うているんですよ。こういう国際的な批判だけではなしに、あるいはこれは常識、良識というかもしれぬ。国内だって、それが出た途端に、明くる日の新聞の社説は、各紙たくさんあります。民族学校外す理由ない、見出しですよ。朝日は「大学の受験資格を認めよ」「民族差別で門戸閉ざすな」。
 こういう日本の世論、良識も、国際的な良識も、やはりしっかりと踏まえる必要があるし、そして、今こういうふうに出てきたら、大臣は、これはやはり国際世論から考えても、朝鮮の子供たちのことを考えても、ブラジルの人も、三十万人今入って、その子供たちは大変難しい勉強の仕方をしているわけです。
 朝鮮学校のように古い歴史がある、私も、若いときにそういう学級を担任したことがありますよ。その子たちが、どのように差別をされながらも屈しないで勉強がしたいという思いを持っているか、私はよく知っている。そういう人たちを、今、厳然と、十六校だけは三つの機関があるからいいんだ、そんな規制緩和はないでしょう。これは規制緩和と言わない、新たな差別だというふうに思いますよ。
 ですから、一遍パブリックコメントに出してあるけれども、きょうここですぐ撤回を宣言するわけにもいかぬだろうけれども、撤回をして再検討する、きっちりと再検討する、国際的な常識にもあるいは日本の国内の世論にもたえ得るきちっとした検討をしますということについて、どうですか、おっしゃっていただけませんか。
○遠山国務大臣 先ほど来申しておりますように、今、いろいろな御意見を踏まえながら、しかし、制度として論理的に説明できるような方途も考えながら検討してまいります。
○山元委員 それではだめですね。
 河村副大臣が一月に、いろいろの新聞にお名前入りでコメントが出ているんですね。前向きに検討するということをおっしゃっているんです。やはり、この問題については、本当に将来に禍根を残します。外国から日本へ来ている子供たちが、将来、例えば日本とアジアとか、日本とブラジルのかけ橋になろう、日本という国はいい国だったということがきちっと胸に入って、そしてかけ橋になってくれるか。あのときにやはり差別をされたと。親は一生懸命になって税金も払っているんですし、日本の法律を守っているんですよ。そういう子供たちが一緒になって勉強したいというのを、決定的な差別とも言えるようなこういう差別をしてはならぬということについての理解をして、大臣、本当に積極的に検討をしてほしい。ここで、私は、あれは一遍中央教育審議会へ提示したけれども、撤回してもう一遍検討し直し、出直しますと言ってほしい。
 けれども、さっき、ちょっと難しいみたいなことをおっしゃるから、河村副大臣、さっきの、最初の方の、一月六日でしたか、一月十七日ですか、このときのお気持ち、これも新聞が誤報なのか、一遍ちょっと、どういうお気持ちでいらっしゃるか。
○河村副大臣 さきに朝鮮人学校の皆さん方も書面を添えて私のところへお見えになりまして、私は、インターナショナルスクールについて広く考えたらどうだという閣議決定等も踏まえて考えたときに、これは別の要請もあったわけですね、企業誘致とかいろいろな要請もあって、日本へ来たとき子供たちがきちっとした教育を受けられるように、それでないと諸外国の企業も来づらいんだというようなこともあって、それを受けて私も、これは朝鮮人学校の皆さん方についても、それは韓国、台湾、中華民国もありますが、やはりインターナショナルと言う以上、一応俎上に乗せて、そして一緒に考えていきながら、どうしたらいいかということを考えてまいりますということを申し上げたわけであります。
 何か私がそのことで裏切ったような新聞記事もあって、私もびっくりしたのでありますが、私は、これであの時点で確約申し上げたわけではありませんが、方向としては、国際化時代ということもございます、それから、そういう方々の父兄にとりましては子供さんの教育のことでありますから、できるだけ広く考えていくべき課題だろう、このように申し上げたわけでございます。
 ただ、そのとき私は、記事にはなりませんでしたが、やはり、今回の措置もインターナショナルスクールが日本の教育との整合性とかそういうことも踏まえて見てもらうということでありましたが、あのときも、日本の教育との整合性等々もありますので、そういうことも踏まえてひとつ検討いたしましょうということであったわけでございます。
 今回の案といいますか、方向として第一次的に出しました案は、日本の教育との整合性評価の問題、そういうことを踏まえて出したわけでございまして、大臣もさらにこの問題については検討するべきだ、こうおっしゃっておりまして、私も全く同じ思いでおりますので、今後の検討としてしっかり重く受けとめて検討してまいりたい、このように思っています。
○山元委員 大分時間を食ってしまいましたが、本当に将来、あのときにということにまたならないようにぜひ真剣な検討をしていただきたい。
 私、一つ、喜んである人が私のところに持ってきてくれたある新聞で、公明党の冬柴幹事長が与党の幹事長会議の中で、時代に逆行的なことでいいのかと言われて、与党の三幹事長が、そうだ、これは非常に大切な問題だとの認識で一致をした、自民党の山崎幹事長が文科省に申し入れる。これは十三日の新聞ですから、おとついですか。これは本当に、一つの施策だけでなしに、歴史に残る、日本が子供たちに対する大きな差別を始めたのかとか強めたのかということにならないようにぜひお願いをして、この件については終わらせていただきます。


2003年3月14日 衆議院 文教科学委員会 石井郁子(共産) 

○石井(郁)委員 初めに、外国人学校出身者の大学受験資格付与問題が緊急を要する問題として浮かび上がっておりますので、一問伺いたいと思います。
 インターナショナルスクール修了者に対する大学受験資格の問題ということで、欧米系スクール修了者については、文部省告示の改定で十四年度中に措置するという発表かと思います。先ほどもいろいろ議論もありましたけれども、その中で、一方、在日韓国・朝鮮人など民族学校を含むアジア系スクールについては外されたということで、私もこの報道では大変驚いたわけであります。これは先ほど、今後検討もという御答弁が一応あったかと思いますけれども、もう一度確認をさせていただきたいのです。
 この問題では、やはり、当の学校、大学関係者から強い批判の声が上がっているというのはもっともなことだというふうに私は思うんですね。というのは、特に朝鮮学校については、長年の入学資格付与についての要望、運動もあったわけですよね。それから、日弁連が一九九七年には、五年間に及ぶ調査活動に基づいて報告書を出されている。「朝鮮人学校の資格助成問題に関する人権救済申立事件調査報告書」というものがありまして、その次の年には、総理大臣あてあるいは文科省、大臣あてに勧告書なども送られているということで、関係者の皆さんは、やはりこれは早く実現してほしいという声だった。公立や私立の場合には既に受験資格のあるところもあるということで、なぜ国立ができないのかということもあるわけです。
 それで、私、文科省にちょっと聞いてみましたら、インターナショナルスクールというのは一体どのぐらいあるのかということで一覧をいただきましたら、各種学校、ずっとありますけれども、大学資格でいいますと、高校を持っている学校ということになりますけれども、三十幾つある。そのうちの過半数は朝鮮人学校なんですよ。朝鮮学校なんです。だから、ある意味で、大部分の学校については外して、そして十六校だけ認めた。これは、いかにもおかしいじゃないかということになるわけですね。
 それで、文科省は、十四年度中に措置するという方向でこの民族学校についても至急検討するということを強く御要望申し上げたいと思いますし、きちんとした御答弁をいただきたいというふうに思います。
○遠山国務大臣 昨年三月の閣議決定において指摘されました、インターナショナルスクールにおいて一定水準の教育を受けて卒業した生徒が希望する場合に、日本の大学や高校に入学する機会を拡大するということで、先般、対応の案を公表したところでございます。
 対応の案では、国際的な評価機関で認定を受けている外国人学校を卒業した者について入学資格を認めることとしようということでございますが、対応案の検討に際しまして、最初から特別の外国人学校を除いて検討したものではなくて、そういうものを検討する際には、客観的な第三者的な評価機関で認定を受けているところはよしとするというのが、これは従来の我が国の行政のあり方のみならず、国際的にもそういう方法でこういう資格については考えられていると思います。
 残念ながら、アジア系の学校といいますか各種学校等につきましての認定機関がないんですね。そういうことで、結果的にアジア系の外国人学校というものが対応案の中では抜け落ちてしまうということになるわけでございますが、この点につきましては、まだ決定ではございませんで、目下パブリックコメントにかけておりますし、いろいろな御意見があるということも承知をいたしております。
 そのようなことから、十分考えてやっていきたいというふうに考えております
○石井(郁)委員 私は、教育の中に差別があってはいけないわけで、特に国際化と言われている折から、またアジアの中の日本ということで非常に注目もされている折から、こういう問題をやはりこのままにしておくわけにいかない。これは、文科省としての姿勢が本当に問われる問題だし、見識が問われる問題でもありますので、必ずきちんと措置していただきたいということを強く申し上げておきたいと思いますし、また、もっといろいろな問題が含まれておりますので、次の機会にはさらなる質問もさせていただこうかなと思っております。


2003年2月28日 衆議院 予算委員会第四分科会 今野東(民主)

○今野分科員 このことで長く議論をする、時間を使うつもりはないんですけれども、私は、やがてはこういう学校も認めて、そして大学を受験する資格も与えて、多文化共生社会を実現していくべきだと考えております。
 そういう点からしますと、一部報道されている、文部科学省がインターナショナルスクールの卒業生に対して大学を受験する資格を与える方向で検討しているということがありました。これは私自身は評価していいかなと思っているんですが、しかし、その条件が、アメリカにあるWASC、西部地域学校大学協会や、イギリスのECIS、ヨーロッパ国際学校協議会など、外国の民間の評価機関によって認証を受けているということになっているようなんですが、これはなぜ外国の、しかも民間の機関なのかというのが私はどうもわからない。朝鮮学校など民族学校を国立大学の受験資格から切り離すための方便としか思えないんですが、これはなぜなんですか。
○遠山国務大臣 お尋ねの件でございますけれども、そういう報道があったということでございますけれども、私どもとしましては、まだ結論を出していないという状況でございます。
 これは、昨年三月に閣議決定されました規制改革推進三カ年計画におきまして、インターナショナルスクールにおいて一定水準の教育を受けて卒業した生徒が希望する場合には、日本の大学や高校に入学する機会を拡大することとされているわけでございまして、それにこたえるべく、今具体的措置の内容について検討をしているところでございます。検討段階の現在でございますので、今のお尋ねについては、私としてはお答えするわけにはまいりません。
○今野分科員 WASCとかECISの認証を受けていることが条件だということを、検討しているのであるとすれば、これはぜひそういうところからは外していただきたい。なぜ、外国の認証機関が日本の大学の資格についてあれこれできるのか、それが基準になるのかどうもわからないし、国民の多くの納得を得られないと思います。
 ならば、日本の大学を受験する資格なんですから、日本の認定基準も定めて、それも、私はそんなにハードルを高くする必要はないと思うんですよ、どうせ大学の入学試験を受けるわけですから。今大臣がおっしゃいました、一定の水準であればということでしたけれども、これは民族学校についてもそういう適用をするおつもりはあるんでしょうか。
○遠山国務大臣 先ほどお答えしましたように、今検討中でございまして、いろいろな意見があるということは承知いたしておりますし、委員の御意見も一つの御意見として承っておきたいと思います。


2003年2月27日 衆議院 予算委員会第4分科会 赤羽一嘉(公明)  

○赤羽分科員 公明党の赤羽一嘉でございます。
 まず本日は、限られた時間ではございますが、最初に、日本国内のいわゆる外国人学校の卒業生に対する大学入学資格につきまして御質問をさせていただきたいと思います。
 実は先日、二月二十一日に、兵庫県の外国人学校協議会、この会長は神戸華僑総会の名誉会長を務めております林同春さんという、神戸では大変有名な、著名な人が会長をやられている兵庫県外国人学校協議会の役員の皆様とともに、文部科学省にこの件でお訪ねをさせていただきました。そのときには実は、一月十六日の河村副大臣の大変前向きなコメントをいただいたというお礼も兼ねて文科省に行こう、そういう日取りだったのですが、たまさかその当日の朝日新聞の朝刊に出た記事に大変な衝撃を受けた、そういった状況がございました。その点について、きょうの本委員会の場をおかりいたしまして、一つ一つ確認をしていきたいと思います。
 まず最初に、いわゆる学校教育法第一条に定められた学校ではない外国人の卒業生は、現在、大学入学資格検定試験を合格しないと大学の入試を受けることができない、そういうふうにされておりますが、私聞くところによると、現実には、受験機会を公平に与えようという判断をされて大学入学試験を受けさせている私立大学とか公立大学があるように聞いておりますが、まず、その実態について。
○遠藤政府参考人 公私立大学の一部で外国人学校の卒業者に入学を認めているというところがあるというふうにも聞いてございますが、私ども、具体的にどの大学がそういう受験を認めているかどうかということにつきましては、承知をしていないという状況でございます。
○赤羽分科員 この朝日新聞の記事ですと、半数以上のというふうに書いてあるんですけれども、その点はどうなんですか。
○遠藤政府参考人 私ども、繰り返しで恐縮でございますけれども、どの大学で認め、どの大学で認めていないというような点については、承知をしていないという状況でございます。
○赤羽分科員 ちょっと確認しますけれども、それは、そういった事実があるということを確認できていないということなんですか。改めてちょっと答弁してください
○遠藤政府参考人 そういう事実があるというふうには承知しておりますが、どの大学で認め、どの大学で認めていないかといったような点についての事実確認といいますか、そういう点については承知をしていないということでございます。
○赤羽分科員 大学入学資格について一生懸命要請をしている人たちにとってみれば、担当の局長がそのような事実をまず掌握していないというのは、私は大変心もとないんじゃないかというふうに今思いました。
 次は、そうしますと、この報道にもよりますし、いろいろな人からも聞いておりますが、本年三月末に向けて今文科省が検討されている中で、外国人学校のうちインターナショナルスクールの卒業生に限っては資格を与えよう、いわゆる民族学校の卒業生についてはこれまでどおり認めない方向で検討されている、こういうふうに聞いておるわけでございますが、まず一つ、インターナショナルスクールの定義というのは何なんですか。
○河村副大臣 私も、赤羽先生の方からそういう質問がございまして、インターナショナルスクールという定義がちゃんとあるのかと担当者にも聞いたのでありますが、一般的にきちっとした、インターナショナルスクールはこういうものでというのはないんですね。民族学校とか、そういう表現はしていますけれども、そういうのはなくて、いわゆる外国人の児童生徒を対象にして、そこの国の外国語で特色ある教育プログラムを提供している、これがいわゆる外国人学校という意味に認識をしておるわけでありまして、確たる定義はないという、私も、これはそうとしかお答えしようがないんですが。
○赤羽分科員 多分、河村副大臣の答弁、答弁というか御発言の記事を見ていると、私は、インターナショナルスクールと言われるものに朝鮮学校も含まれると思う、こういう御発言をされたのも、恐らくそういう明確な定義がないからではないのかなと思うんですが、だとすると、この報道について、いわゆるインターナショナルスクール、これは何を指しているかよくわからないんだけれども、インターナショナルスクールが資格を与えられ、いわゆる民族学校、これも同様に定義はないんだと、ちょっと待ってください、民族学校の定義というのはあるんですか。
○河村副大臣 これも、確たる定義はありません。ただ、それぞれの国においてその国の教科書を用いてその国独特の教育をやっているということしかないわけであります。それを称して、これもやはり外国人学校ですね。
○赤羽分科員 この記事、余り正しくないのかもしれませんが、いわゆるインターナショナルのスクールだけ資格を与えるという根拠として、経済界から、現状は帰国子女や海外企業の駐在員の家族の教育の妨げになっているという指摘がある、そういった経済界の要請が大きな要因なんだというふうな説明もあるようですけれども、この真意というのはどのようになっているんでしょうか。
○池坊大臣政務官 今、赤羽委員がおっしゃいましたように、平成十三年十二月に出されました内閣の総合規制改革会議の第一次答申において、インターナショナルスクール卒業者の進学機会の拡大について触れておりまして、その中にはこういう文言がございます。
 「近年、外国からの対日投資の増加等に伴い、我が国に中・長期的に滞在する外国人が増えてきており、これら外国人の子女の多くが我が国のインターナショナルスクールに通っている。」とした上で、「今後、教育の国際化の観点からも、我が国の学校制度との整合性を勘案しつつ、インターナショナルスクールにおいて一定水準の教育を受けて卒業した生徒が希望する場合には、大学や高等学校に入学する機会を拡大すべきである。 これらの措置等を取ることにより、我が国においてインターナショナルスクールの設置が促進されることが期待される。」とございまして、これを受けましたことは否めない事実でございます。
○赤羽分科員 今のいわゆるインターナショナルスクール、社会の国際化に対応する措置をとられたということは大変いいことだというふうに私は思っておりますが、例えば中華同文学校というのが神戸にございまして、ここは、実は半数以上の生徒が日本国籍なんですね。華僑の人で日本国籍を取った人も多いわけですけれども、実は純粋な日本の人が、中華同文学校というのは大変伝統校でもありまして、神戸の経済を支えていたり、神戸の社会を支えているような人たちを輩出している。
 また、英語だけがインターナショナルなんて言っている時代はもう実は終わっているんですよ。英語だけなんて言っている話じゃなくて、私も中国語をしゃべる人間ですけれども、世界に行ったら、英語と中国語とスペイン語なんというのはほとんど同じぐらいの人数がいて、どっちがインターナショナルなのかというのは結構大変な議論だと思うんですね。企業の中でも、私も中国に駐在をしていまして、子供はまだその当時はいなかったのであれですけれども、向こうで中国語を勉強してきたら、やはり中華同文に通わせたいなという気持ちだって起こってくることだって十分あり得るわけですよ。現実にそういう日本人もいるわけですよ。
 しかし、そういう学校に行くと、大学入学試験というのはそもそもは能力が足りなかったら落とされるんだから、大学に入れてくれという話をしているんじゃなくて、試験というのは非常にフェアな制度じゃないですか。日本で、非常に機会平等というか、その機会平等の土俵に上がるのにまた二階建ての試験をさせるというのは少し考え方がおかしいのじゃないかな、私はこう思っておりまして、そういった中で、今池坊政務官からの答弁にあるような、国際社会化に対応する動きというのは非常に歓迎すべきものだというふうに私は思っております。
 しかし、この報道でもあるように、また私は、相当こういう方向で決まるんじゃないかという話も聞いているから言っているんですが、インターナショナルスクールという定義がないのに、いわゆる外国人学校の中で英語圏の学校を認める、そして非英語圏の学校は認めないというのは、明確な根拠を示さない限り、余りにも暴挙だと私は思いますよ。余りにも時代錯誤。時代に合わせた措置をとるのに、同時に極めて時代錯誤な決定をするというのはよくない行為だと私は思います。
 この林同春さんからの手紙に、日本国憲法第十四条の法のもとの平等、第二十六条の教育を受ける権利、そして教育基本法の教育の機会均等、こういった大局的な観点から、外国人学校の中で、日本の行政府のさじかげんによって、あなたの学校はいい、あなたの学校はだめよというのは到底受け入れられない。この林同春さんの手紙をいただいたんですけれども、この趣旨は、全くこちらの方がまともだと思いますよ。彼らはなぜこういうことを書いているかというと、日本人だという意識で育っているわけですよ。ただ親が中国、華僑だった、自分も華僑だ、そういった意味でその学校に進学しているのに、日本人として今生活しているのに日本国憲法によって保障されている権利を受けられない、また差別を受けるというのは、私は、二十一世紀の日本のあるべき姿としてよくないというふうに思っておるんです。
 これは、恐らく河村副大臣も池坊政務官もそのように思われているというふうに私はすごく確信もしているんですが、どうか、この三月末の検討の結論につきましては、本当に日本が世界から笑い物にならないような、変な線引きだけは絶対やめていただきたいな、こういうふうに思うんですが、お答えはどなたでも結構です。
○河村副大臣 私も、陳情をお受けしたときに、それはそれぞれ民族が違うといえども、子供の教育の問題ですから、できるだけ共通の基盤に立って考える必要があろう。したがって、インターナショナルスクールといえば日本人でないというふうに考えるのが普通でしょうから、これは、できるだけ土俵は同じで考えていく。
 ただ、これは今までの日本の教育制度の中で考えてきたことでありますから、大学入学資格というのは、高校から大学への接続のこともありましょうし、それから、日本の教育体系の中に組み込まれるかどうかという問題なんですね。だから、それで差し支えないということであれば広く認めていかなければなりませんし、外国から見ても、日本へ行くと教育がちゃんとうまく接続できないというようなことが問題になって日本の経済が開かれないということは問題だという指摘が既に出ておるわけですから、これは閣議でもそういう決定をいたしておりますから、特にこれは国と国との問題が背景にあるということであれば、政府の考え方をどうするかという問題にもなってくるだろうと思うんです。赤羽先生は与党内に今おられるわけでありますから、与党といいますか、政府としてもその辺のことを考えていく。
 御指摘のとおり、これはやはり日本のこれからの国のあり方にも及ぶ問題だな、私もそう思いますので、文部科学省としては、今の文部科学行政の中での基準をかんがみながら考えておりますから、そういう意味では、やや限られたといいますか、そういう認識になっておるわけです。
 ただ、私は、インターナショナルスクールといえば、朝鮮人学校であろうと中華学校であろうと、一遍俎上にのせて、そして今の日本の学校制度、先ほど、「我が国の学校制度との整合性を勘案しつつ、」ということが規制改革の中にもございますし、そういうことも踏まえながらこの判断をしていかなければいかぬということで思っておりますので、私も、今先生の御指摘の点については、日本のこれからを考えたときに、これは特に真正面から考えていかなければいけない問題だ、このように感じております。
○赤羽分科員 どうもありがとうございます。
 ぜひ確認をしていただきたいのは、そういった今までのいわゆる外国人学校を卒業した卒業生は大検を受けて大学に進学しているんですね。そういう人たちがどういうような問題を起こしたのか、日本の大学教育に不整合だった事例があるのか、こういったものを出さないとそこを排除するという理由づけにはならないと私は思いますし、そのような事例というのは、極めて極端な事例があったのかどうかよく知りませんけれども、我々の知っている神戸においての、私の知っている人たちとか、また海外の帰国子女として、私の以前勤めていた三井物産の同僚とかの子弟で、そういう極めて変なケース、大検をなぜ受けなければいけないのかというのを私はちょっと疑問に思っておりますので、ぜひこの決断は、本当に国際社会にふさわしいという決断をしていただけるように強くお願いをしたいというふうに思いますし、与党の立場で公明党も頑張っていきたいというふうに思います。


2003年2月27日 衆議院 予算委員会第4分科会 中川智子(社民)

○中川(智)分科員 続きまして、遠山大臣に伺いますけれども、民族学校の大学受験の受験資格の問題なんですけれども、我が国で各種学校扱いになっている外国人学校というのは、百二十校のうち、インターナショナルスクールが約二十校、朝鮮学校が九十校、韓国学校や中華学校などで約十校あるというふうに認識しておりますけれども、今回、アメリカンスクールなど、いわゆるインターナショナルスクールだけに大学入学資格を与えるという報道を目にしまして、これは本当に不公平だな、やはり排除主義というのがまだまだこれから先も続くのかということで、とてもがっかりいたしました。
 そこで、明るいニュースは、お隣にお座りの河村副大臣が陳情を受けられて、私はインターナショナルスクールには朝鮮学校も含まれると思うという御発言をその場でなさったやに聞いております。ぜひともインターナショナルスクールには、歴史、さまざまなもので、日本で、本当に日本人と一緒に暮らしている、その方たちも含んでいただきたい、朝鮮人学校、民族学校も含んでいただきたいと思いますが、遠山大臣の御見解を。大臣から、大臣に通告してございますので。
○遠藤政府参考人 現在課題になっております大学入学資格の問題について御説明させていただきます。
 規制改革推進三カ年計画、これは昨年の三月に閣議決定をされたわけでございますけれども、その中で、「インターナショナルスクールにおいて一定水準の教育を受けて卒業した生徒が希望する場合には、我が国の大学や高等学校に入学する機会を拡大する。」こと、こういうことが盛り込まれておるわけでございます。
 私どもといたしましては、そういうことでございますから、平成十四年度中にこの閣議決定の宿題につきまして措置をしたいということで、現在、省内でその内容につきまして検討をしているというところでございます。
○遠山国務大臣 今御説明しましたように、今検討中ということでございまして、報道されたということでございますが、それは事実に基づかない報道でございます。
○中川(智)分科員 それは大臣自身、では検討の最終的な責任、また決定というのは大臣のイニシアチブが大きいと思いますが、一部を排除して、一部だけをこのような資格を認めるという方向は、この国にあってはならないと思いますが、そこの御認識を伺います。
○遠山国務大臣 今、この問題について、十分さまざまな角度から検討しているという段階でございます。
○中川(智)分科員 私は、自分の子供を育てるときも、余りほかの子と比較はしないように努力してきたつもりですけれども、やはり教育行政というのは、本当に大臣がどのように考えるか、この日本の未来というのをどのような形に持っていこうか、大事な大事な所管大臣です。そして、この朝鮮人学校、韓国学校を、あの報道では、世論の風というのを勘案してというふうに書かれておりましたが、入れていくべきだと思います。
 検討されるその先に大臣のリーダーシップ、そして、排除しないという形での前向きな検討なのかどうか。しつこいようですが、リーダーシップが全然見えません。遠山大臣の御答弁をもう一度お願いします。
○遠山国務大臣 私は、あらゆる自分の所管分野について真剣に考え、そしていい施策ができるようにということで日夜やっているわけでございます。
 この問題につきましては、お答えしましたように検討中でございまして、十分さまざまな角度から検討するという段階でございます。
○中川(智)分科員 私は、やはり官僚とは違う答弁というのが大臣に求められるものだと思います。官僚の皆さんが答弁されることと全く同じで、一歩踏み出した遠山大臣の、本当に人間性なり、そのようなものが答弁の中から感じられないというのは残念です。私は、これは大臣のやはり大臣たるところをしっかり示していく大事な局面だと思いますので、ぜひとも、河村副大臣が陳情のときにお話しになられたように、インターナショナルスクールには民族学校も含まれるという形で御結論を、早急にしっかり出していただきたいと思います。


2003年2月26日 衆議院 文教科学委員会 山内惠子(社民)

○山内(惠)委員
 それと、次の問題も、ほとんど時間がなくなりましたが、北鮮という言葉を使われたことについておわびをするというふうに文科大臣、この間言われた記事がありました。読みましたら、オリンピックのところで朝鮮民主主義人民共和国の方が来られることを歓迎するという趣旨で言われていましたので、ああ、そうだろうなというふうに思いましたが、差別して使ったのではなくて使われたとしたら、これもまた刷り込まれた用語だったのかな、しかし、それはおわびという形で解決しておりますので、そのことは結構です。
 しかし、それであれば、なぜ民族学校の卒業生にほかのインターナショナルの卒業生と同じように受験資格を与えるということをなさらなかったのか、お聞かせいただきたいと思います。
○遠山国務大臣 今のもよくわからない御質問なんでございますけれども、昨年三月に閣議決定されました規制改革推進三カ年計画におきまして、「インターナショナルスクールにおいて一定水準の教育を受けて卒業した生徒が希望する場合には、我が国の大学や高等学校に入学する機会を拡大する。」こととされているところでございます。具体的措置の内容につきましては、平成十三年度中の措置を目指して現在省内で検討しているところでございます。したがって、まだ具体的な内容をお示しする段階ではございません。
 なお、御存じと思いますけれども、大学入学資格につきましては、平成十三年に大学入学資格検定規程を改定いたしまして、外国人学校等の卒業生も含めて、満十六歳以上の人は広く大学入学資格検定を受験できるようになっているところでございます。その意味では、すべての十六歳以上の方々には機会が開かれているということでございます。
○山内(惠)委員 すべてということは、民族学校の卒業生も年齢が来れば認めているということを今おっしゃったんですか。(発言する者あり)失礼しました。大検は開かれているとおっしゃったんですね。わかりました。
 それで、インターナショナルスクールの卒業生に対しては大検を受けなくても大学資格を与えることを検討中、まだ最終結論は出ていらっしゃらないとおっしゃいましたので、では、なぜそこから民族学校を外す方向が検討されているのか、まだ検討中であるから認めることも含めて検討中か、お聞かせください。
○遠山国務大臣 今のお答えは別途いたしますけれども、先ほど、ちょっと私も読み間違えまして、平成十四年度中の措置を目指していると言うべきところを十三年度と言ったようでございます。それから大学入学資格につきましても、平成十一年に規程を改正いたしました。おわびいたします。
○山内(惠)委員 今のお答えは、検討中ということでよろしいんですね。
 朝日新聞の二月二十二日の社説だったんですけれども、朝鮮学校や韓国学校など民族学校には従来どおり受験資格を認めない方向でと書かれていたことを私は大変心配していますので、ぜひこの方たちにも同様の措置を与える方向で検討していただきたいと思います。
 現在、朝鮮学校に通っている生徒や児童は約一万一千人ぐらいで、ほとんどの卒業生が日本に永住するという状況じゃありませんか。日本社会の一員として普通に暮らしている。そういう状況の中で、先日は、日朝の平壌宣言、この文章の中にも、あらゆる努力をすることが書かれていますよね。過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受けとめ、痛切な反省と心からおわびをし、そして最後のところで、双方は、北東アジア地域の平和と安定を維持、強化するため、互いに協力していくというふうに確認されたと。
 国会だけじゃなくて世論の中にも、今回の拉致の方たちの問題があるだけに、やはり風はそこのところに大変厳しいかもしれません。であれば、では、北朝鮮はだめだ、朝鮮民主主義人民共和国はだめだという理由がそこにあるのですか。それから、韓国や中国に対してはどうなのですか。日韓首脳会談における総理のお言葉も、あえて今回は靖国問題には触れずとありますけれども、北東アジアの平和と共同の繁栄という視点からアプローチしたいとおっしゃっている。せっかくこういう状況にある中で、民族学校は排除するというこの論については問題があると思いますので、含めて検討されるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
○遠藤政府参考人 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、昨年三月の閣議決定でこうすべしと言われておりますのは、インターナショナルスクールにおいて一定水準の教育を受けて卒業した生徒が希望する場合には、大学や高等学校に入学する機会を拡大すること、こういうことでございますので、その内容について今具体的に検討しているということでございます。
○山内(惠)委員 どういう人を入学させて教育するかというのは、本来大学が判断することだと思います。その意味では、最初から窓口を制限してハードルを高くしてということのないように、ぜひと思います。
 新聞報道によれば、こんなことも書いてありますよね、「学生の人生を左右する教育上の判断を、時の政治情勢で決めるべきではない」。私も、ぜひそのことを受けとめていただきたいと思います。今、北東アジアの平和ということを考えたときに、あえてここでハードルを高くすることをしてはいけないということで、私は、検討の中に民族学校の問題もぜひ入れていただきたいというふうに思います。

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