朝鮮学校関連の国会答弁
(1996.6/20〜2001.6/20)
151 参 文教科学委員会 09 2001/05/24

○国務大臣(遠山敦子君) 先ほどのお答え、御質問に対する副大臣のお答えは私の考えと全く同等でございます。
 少しつけ加えますれば、今、文部科学省では、昨年と一昨年の閣議決定を踏まえまして、国立大学の独立行政法人化について検討が進んでいるわけでございますが、その際、通則法のままでは大学の自主性尊重などの観点に照らして適当でない面もあるということから、大学改革の一環として具体的な制度のあり方などの検討を進めているところでございます。
 その独立行政法人とは何ぞや、あるいはそれをどのように現実に移していくかということの考え方については副大臣が答弁いたしましたとおりでございます。
○本岡昭次君 同じような点で、郵政三事業の民営化問題も、これは公社化というのがもう現に進んで来年その法律を出すというときに、小泉総理は、これは民営化だと、こうおっしゃっているわけで、私は民営化の方向に持っていくんだ、公社化、その後は民営化だと、その議論を並行してやって何で悪いと、こうおっしゃっているんですよ。
 この大学の民営化だって同じことですよ。総理が、民営化は結構だと、こうおっしゃった。民営化、地方化を検討しようと、こうおっしゃれば、独立行政法人の問題は、それはもう今、あすの問題と言っているけれども、その問題を議論しなければ、小泉総理のおっしゃっていることと文部科学省がやろうとしていることが一致しない、内閣の不一致とかいうふうな範疇に、遠山大臣、入ることになりますよ。いかがですか。私はこれを追及していきますがね。今言ったように、民営化というのは文部科学省としてはとらないというふうにしか今の話では受け取れませんからね。どうなんです、そこをはっきりさせてください、一言で。
○国務大臣(遠山敦子君) 総理は、先日の質疑におきまして、国立大学の有している機能のうち、民間や地方にゆだねられるべきものは可能な限りこれをゆだねるという視点が大事だ、この点ではほかの分野と同じように考えていくべきだというお考えを示されたものだと思っております。私どもはその意味で総理の答弁を受け取っているところでございます。
○本岡昭次君 私も国立大学の民営化問題をこの委員会で今までも論議してきましたが、そのときは、もう旧文部省は取り合わず、勝手に本岡が言っておるだけじゃないかというふうなことであったが、もう今度はそうはいかぬということでありますから、そのつもりでこの議論はかみ合わせていただきたいと思います。よろしいですね、そのことは。
○国務大臣(遠山敦子君) 私どもは、今、独立行政法人化の問題について検討しているところでございまして、その検討の結果を待って、きちっとした形でまた御議論をいただくことになろうかと思います。
○本岡昭次君 またこれは小泉総理と議論する場があればやりたいし、また民主党として小泉総理といろいろこれから議論するときに、文部科学省の立場というもの、今の答弁では全然これはかみ合っていませんから、明らかにしていきたいというふうに思います。今の答弁では私は納得できません。また改めて議論をさらにさせていただきます。
 次に、国立大学に入学したいという、入学したいというより試験を受けたいという外国人学校卒業生の問題であります。
 今までは大検を受けるにしても一々定時制とか通信制の卒業したという資格が要るということで大変なことでありましたが、文部省の方も考えて、大検を取るについて、定時制とか通信制の日本の高等学校卒業の資格を取らなくても外国人学校の卒業ということで大検を受けられるというふうにしました。これは私は一歩前進であると、こう考えます。
 しかし、依然として大検を受験しそれに合格しなければ国立大学に入学するための試験が受けられないという状態に置かれております。それで、もうこれは御存じだと思うんですが、既に公立、私立の大学では、一九九八年に調べますと、公立五十七校中三十校、私立四百三十一校中二百二十校が大検なしで外国人学校卒業生の受験を認めているんです。にもかかわらず、国立大学は依然としてその門戸を閉ざしている。これはまことにおかしいと思います。
 そしてまた、今度は国立大学院の方が門戸を開きました。それは、なぜ門戸が開けたかというと、学校教育法の施行規則のところに、大学院が個別の資格認定の試験をして、合格すれば受けられるというふうな条文をつくって門戸を開いたんです、国立大学院は。そして、何人かの卒業生が受けて、五人ほど合格したとかというのが新聞に出ておりました。
 そうすれば、国立大学院でやった措置を国立大学の方にすることに何が問題があるのかということなんですね。それが何か、我が国の教育体系の根幹を揺るがすことになるというふうなことになっているようですが、そうすると、公立や私立の大学は我が国の教育の根幹を揺るがし続けているということに一方なるわけでありまして、どうもそこらのところはおかしくて仕方がない。
 私は、大学の民営化と言い始めたのはこのことから言い始めたんです。何でこのぐらいのことができないのか。国立やからできないのやったら国立やめてしまえと言いたくなってきたというのも一つはある意味であります。
 だから、どうです、この辺でグローバリゼーション、国際化のこの時代にあって、もう次々と外堀を埋め、内堀を埋め、最後は天守閣が残っているという状態でなぜそういうふうにするんですか。思い切ってどんと外国人卒業生を、もう試験受けて合格せなんだらそれは入学でけへんのですから、そのことではっきりもう問題は解決すると思うんです。これは遠山大臣の決断一つでできることやないですか、いかがですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 今の問題は、もう先生十分御存じのことをお話しすることになるのかもしれませんけれども、国内の外国人学校はそのほとんどが各種学校でございまして、自由な教育ができるようになっている反面、教育内容等につきましては法令上特段の定めがないということで、その卒業者に対して高校卒業者と同等の扱いをすることは困難ということで参っております。
 ただ、平成十一年に外国人学校在学者等にも大検の受験資格を拡大しているわけでございまして、この仕組みの活用を期待しているところでございます。既存の制度の中で最大限その問題に対応するために、このケースにおきましては大検の受験資格を拡大するという形でこたえているというところでございます。
○本岡昭次君 ということは、何ですか、依然として大検を必要とするという制度を今後とも残していくということですか。
○国務大臣(遠山敦子君) そういうことでございます。
○本岡昭次君 またそれは、そのことに限ってまた改めて議論をさせていただきます。
 もうそういうふうなことはこの新しい時代、そして改革をやろうというこの時代にはそぐわない。だから、私はやっぱり文部科学省の文部省の部分というのはもう廃止すればいいんだというふうな結論に至る理由でもあるわけです。十分まだ今後時間があるんですから、検討していただきたいと思います。
 次に、歴史教科書問題について幾つかお尋ねをいたします。もう時間がありませんので、簡潔に言います。
 韓国や中国からいろいろな議論がここから起こってきておりますが、私は一点について申し上げてみたいんですが、韓国の方から出ていることの中で、旧日本軍のいわゆる慰安婦問題の記述云々が提起されています。
 それでお尋ねしますが、遠山大臣はこの慰安婦問題というものが事実あった問題だというふうに認識されていますか、それとも、いやそれはでっち上げだ、ないものをあったようにやっているんだというふうに認識されておりますか、いかがですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 私は、内閣の一員といたしまして、平成五年の八月四日の慰安婦関係調査結果発表に関する内閣官房長官の談話と考えを同一にいたしております。ということは、読み上げてもよろしければ読み上げますけれども、そういう認識のもとに職務を果たしてまいりたいと思っております。

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○本岡昭次君 その慰安婦問題を教科書に載せるか載せないかというのは、これは著作者の一つの考え方になってくるというふうには最終的には考えます。しかし、この前の教科書にはすべての教科書に書かれ、そして今度の教科書には何か七社のうちの三社しか書かれなかったとか言われております。その間わずか六、七年の経過しかないわけで、従軍慰安婦問題が解決をしたとか、あるいは事実でなかったということによってこれが教科書から削除されるというのであればそれはそれなりに納得できますが、全くそういうことではないわけであります。
 にもかかわらず、こうした具体的な、日本と韓国あるいは台湾、中国、フィリピン、東南アジア諸国との非常に関係の深い、女性を性的奴隷として日本軍がやってしまったという、女性の名誉と尊厳を深く傷つけたこの問題が教科書から外されていく。もちろん、どの学年で教えればこうした問題が一番よく認識されるかという学ぶ側の子供の問題という配慮もありましょうが、しかし今、文部科学大臣がこの事実を私は認識しているとおっしゃっているということでまず議論のスタートができるわけであります。
 私は、こうしたことが教科書に本来書かれるべきではないかという韓国の主張、これについてやはり誠実な対応を日本の政府としてすべきである、このように考えますし、大臣が所信の中で適切に対応してまいりますと述べておられることとの関連でありますが、このことについて今後どのように韓国との対応を文部科学省がいわゆる検定の責任者としてされていくかという点についてお述べいただきたいと思います。
○副大臣(岸田文雄君) 今、先生から御指摘がありましたように、どの事項を取り上げるかはまず執筆者の判断にゆだねられているわけであります。学習指導要領に具体的に示されていない事項について記述を求めるようなことはできないという制度の趣旨になっているわけであります。
 そして、今回、記載している教科書の数が減ったということ、このことでありますが、これはまずもって今回、新しい学習指導要領の中で教育内容の基礎的な、そして基本的な事項への厳選、こういったことが図られているわけでありますから、全体的な記述の量は当然減っているわけであります。こうした全体の削減があり、なおかつこの慰安婦の問題につきましては、中学生の歴史教科書、中学生に教えるということについていろいろ現場から意見等もある、そういったことも踏まえ、総合的な判断のもとこういった結果につながったというふうに理解しております。
 いずれにしましても、この検定制度に基づいてこの手続が行われ、その結果こういったものになったというふうに考えております。
 そして、今後の対応について御質問がございましたが、今申し上げましたように、近隣諸国条項も含め、基礎的な検定基準に基づいてこの審議会の審査を経て適切に行われた検定であります。これについて韓国や中国から修正の要求が出ているわけでありますが、まずこの検定制度の趣旨と厳正に行われた事項についてしっかりと説明をしなければいけないわけですが、加えて、この要求に対しまして、今真摯に受けとめて、専門家の意見もこれから聞きながらしっかりと精査をしていきたいというふうに思っております。
 この理解に努めるということで、今回初めて中国や韓国の向こうの記者を集めてブリーフィングを行うとか、あるいは向こうの国会議員あるいは大使、大臣、こういった方々と直接会う機会をとらえてさまざまな理解をお願いしているわけでありますが、加えて、こうした精査に基づいてこの検定の範囲内で明らかな事実の間違いがないかどうか、このあたりをしっかり精査している、このあたりもしっかり御理解いただこうと努力する所存でございます。
○本岡昭次君 これはちょっと文部科学大臣にお答えいただきたいんですが、毎日新聞が韓国の崔相龍駐日大使にインタビューをしたときの記事が出ておりました。その中で、韓国の駐日大使が教科書の三十五項目の再修正要求もしているということと、これは今おっしゃったように、検定制度を持っている日本の立場からしっかりと議論をしていただいたらいいと思いますが、日韓や日中韓三国の歴史共同研究というふうなものもやってはどうかと。そういうことによってこうした問題の解決に当たればという趣旨であろうと思いますが、日韓あるいは日中韓三国の歴史共同研究というこの提案についてはどういうふうに受けとめられますか。
○国務大臣(遠山敦子君) 確かに、先生がおっしゃいましたように、いつまでもこういうような問題で互いに意見の食い違いないし反発というようなものが起きているということは大変不幸なことだと思います。その意味では、本当は学術的にしっかりした専門的な角度から共同研究、歴史そのものの事実について共同研究がなされるようになればいいなとは思いますけれども、歴史教科書そのものの共同研究ということになりますと、それはなかなか、それぞれが具体的にどのような歴史的事象を取り上げてそれをどのように記述するかということはそれぞれの国の執筆者の判断にゆだねられているところであります。
 したがいまして、政府が歴史教科書の記述内容について諸外国との協議、共同研究等に関与することは、今日の段階ではなかなか日本の教科書制度にはなじまないものではないかと思います。
○本岡昭次君 大臣の今おっしゃっていることはそれなりに理解できます。ただ、注意深く、韓国等も歴史教科書とは言っていないんですね、歴史共同研究をしてはどうかと言っているわけで。だから、そういうことはやっぱりやった方がいいんじゃないかというふうに私は思いますので、歴史教科書そのものをやるといったら、それはそれぞれ検定制度なり教科書のつくり方の違いがありますからこれはかなり困難でしょうけれども、やはり我が国と朝鮮半島、中国、これは非常にかかわり合いを持ちながら中世から近代へと来たということを踏まえて、そういう共同研究というふうなものについて踏み込んでいくということがあっても、これは僕は至極当然のことではないかと。
 韓国から言われたからやるのじゃなくて、我が国からもやはりそういうふうにこの問題の解決のために一歩踏み込むべきではないかと思いますが、いかがですか。歴史教科書とは言いません、歴史共同研究ということで。
○国務大臣(遠山敦子君) 私は直接駐日韓国大使からまだ伺ってはおりませんけれども、そのこととは別に、今、先生がおっしゃいましたように、客観的、専門的な角度から歴史の事実の問題について共同に研究していくなどの方策によって韓国なり中国なりとの友好協力関係の発展に資するということができれば、これは私は個人的には大変いいことではないかなと考えております。

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151回-参-法務委員会-03号 2001/03/22

○大臣政務官(桜田義孝君) 竹村先生の御質問については、私の方でよく調査をして後日お答えさせていただきたいと思いますので、よろしく御理解いただきたいと思います。
○竹村泰子君 今答えろと言っても、御準備がないわけですね。それでは、後日答えをいただけますでしょうか。
 次に、朝鮮学校生徒への暴行事件についてお伺いしたいと思います。
 人種差別撤廃委員会では、ほとんどの委員が人種差別それ自体を処罰する国内法制定の必要性を指摘し、三月九日、これに回答した法務省の代表は、既存の法律で十分担保されている、暴力行為の動きが理不尽な人種差別であれば刑が重くなるというふうに回答しておられます。
 ただし、九四年に生じた朝鮮学校生徒への暴行事件は、朝鮮総連の統計では百六十数件ですが、そのうち検挙に達したのは三件。また、私の質問主意書に対する政府答弁書によりますと、これらの事件の容疑者の処分結果は、罰金十万円に処するとの判決、保護処分に付する必要がない旨の判決、公訴を提起しない処分、つまり有罪はたった一件なんですね。また、九八年に起こった同様の五十七件の事件のうち、警察が認知したのは六件、検挙はゼロ件であります。これでは、理不尽な人種差別があれば刑が重くなるというふうな法務省の代表の回答はまさにおざなりとしか言いようがないと思います。
 一方、九七年十月に愛知県小牧市で起きました二十数名の日本人男性によるブラジル人少年襲撃集団暴行殺害事件では、リンチに加わった日本人二十七名のうち、逮捕されたのは十一名、刑事裁判にかけられたのは六名、判決は最も重いものでも懲役五年が二名でありました。
 この民族的憎悪に基づく傷害致死事件において、十六名は全く逮捕さえされず、逮捕者の刑罰が軽かったということ。これは、さきの非常に重い人種差別があったら、理不尽な人種差別があったら刑が重くなるというふうな法務省代表の委員会における回答とは大分違うのではないでしょうか。法務大臣、どのようにお考えになりますか。
○国務大臣(高村正彦君) 我が国においては人種差別に由来する暴力行為のみを取り出して処罰する法律はございませんけれども、このような暴力行為については、刑法に定める殺人罪、傷害罪、暴行罪、暴力行為等処罰ニ関スル法律違反等により処罰の対象とされており、人種差別撤廃条約第四条が規定する人種差別に基づく暴力を犯罪とする義務には違反しておりません。したがって、こうした暴行事案に対処するために人種差別自体を処罰する立法をする必要があるとは考えていないわけであります。
 それぞれの事案において、どういう動機によってしたかということは当然裁判所でその悪性がどの程度のものであるかということで量刑に影響があるわけでありまして、悪質な人種差別ということでやったということであれば、それは当然裁判所の量刑に影響を与えるだろう、こういうふうに思います。
 また、検察が起訴、不起訴を決めるような場合でも、起訴あるいは起訴猶予にするとかそういうことを決める場合でも影響するだろうと、一般的にそういうふうに思っておりますが、具体的な事案について外形的にこれが重かったとか軽かったとか法務大臣が申し述べる立場にはちょっとないのではないかなと、こういうふうに思っております。
○竹村泰子君 いや、そんなことを言ってくれと言っているのではなくて、もうその罪の大きさからいえば、民族的嫌悪感とか差別とか、そういったことからやられている集団的リンチですよね。そういうことに対して、軽いと思いませんかとごく一般的な御所見をお伺いをしたので、法務大臣として個別にこれが軽かった重かったと言ってほしいと言ったわけではございません。
 ただ、三月二十日採択された最終見解でも、大臣もお読みになっていると思いますけれども、「人種差別を非合法化する特定の法律を制定する必要がある。」と。それから、「人種差別それ自体が、刑法において明確かつ適切に処罰の対象とされていない。条約の規定を国内法規において充分に反映し、人種差別の刑罰化を確保するとともに、人種差別行為に対して、審理権を有する国内法廷その他の国の機関を通じて、効果的保護、救済へのアクセスを確保する。」、今のは十二項ですが、十四項は「委員会は朝鮮民族、特に子ども、児童・生徒に対する暴力行為に関する報告、およびこの問題についての当局の不適切な対応について懸念し、政府がこうした行為を防ぎ、それに対抗するために、もっと解決につながる手段をとるよう勧告する。」と。十六項目は「委員会はコリアン・マイノリティに影響を与えている差別について懸念している。委員会は、特に朝鮮語による学習が承認されていないこと、朝鮮学校生徒が高等教育機関へのアクセスについて不平等な取扱いを受けていることを懸念している。締約国に、この点における朝鮮民族を含むマイノリティの差別的な取扱いを撤廃するための適切な手段を実施し、日本の公的な学校で、マイノリティ言語でも教育が受けられるよう確保することを勧告する。」と。
 こういう教育面における勧告も含めまして、これはこれから国際化していく中で、やはり非常に多民族国家というふうな風潮がどうしてもこれからはふえていきますけれども、そういう中で、日本に滞在するあるいは存在する外国籍の民族のいろいろな差別的な処遇、教育、そういったことについて広く勧告をしております。
 私は非常に的確な指摘を勧告はしているというふうに思うわけですけれども、これらの勧告をお聞きになって、大臣は、これは通告しておりませんけれども、御所見は、御感想は、どのようにお思いになりますか。
○国務大臣(高村正彦君) 例えば教育の問題そのものは私の所管でないので、そこをどうするかというふうなことを申し述べる立場にないと思いますが、問題は、例えば在日韓国・朝鮮人に対していまだに偏見、差別意識が一部に存在するということは私としても憂慮をしているわけであります。引き続き、学校、社会教育の場における人権教育の充実に努めるとともに、関係機関、団体等に対し指導、啓発活動を行っていきたいと考えております。
○竹村泰子君 勧告をどの程度重く受けとめるか、そしてどう生かすか、そしてまた次の委員会に対してどのような回答をする、報告をするのかというふうなことがこれからあると思います。もちろん勧告に法的拘束力はありませんけれども、やはりこれは対話、議論を、国会でももちろんですけれども、一般の世論の議論、対話をきちんと、もちろん在日の方たちとの対話もきちんとこれからしていく必要があるのではないかと思いますので、一言申し上げておきたいと思います。
 最後に、二〇〇〇年十二月、東京都内の赤羽署と別の一署が「中国人かな、と思ったら一一〇番」、「建物内で中国語で話しているのを見かけたら一一〇番」などと記した防犯チラシを管内のマンション管理人や町内会役員、交番に合計七百枚配布した。それから、神奈川県神奈川署が二〇〇〇年九月に五百部配布した地域安全ニュース、「ピッキング窃盗団にご用心」、これはおもしろいんですよ。おもしろいんですよと言っちゃいけませんね。バッグや旅行かばん等を所持している中国系外国人がいる、この「ピッキング窃盗団にご用心」というところの項目です、かばんを持っている中国系の外国人がいたら知らせろと。二、三人の中国系外国人がマンションの階上の方に上がっていった、付近で見たことのない中国系外国人が人を訪ねてきた、中国系外国人が携帯電話で話を、携帯電話で話もできないんですね。中国系外国人が運転する車が駐車している等を見かけたときはすぐに神奈川警察署へ電話をお願いしますと広報するなどした件について、人種差別撤廃委員会で三月九日このことが問われているんですね。それで、尾崎人権人道課長は今後このようなことがないよう指導を徹底していくと回答されました。
 政府のどの機関が政府の一省庁である警察庁の行為を監視し、人種差別撤廃条約の違反性を判断し、指導が行えるのでしょうか。まず、外務省からお聞きしましょう。
○大臣政務官(桜田義孝君) 条約について解釈権を有するのは外務省でありまして、御質問の事項については、人種差別撤廃条約に違反するかどうかを判断するのは一義的には外務省であります。
○竹村泰子君 第一義的に解釈するのは外務省でありますと。それはまあそうですね。
 私の質問していること、おわかりでしょうか。これもちゃんとレクしてございますけれども、そのように尾崎さんがお答えになった、指導を徹底していくとお答えになった。第一義的に解釈をしているのは外務省だから、外務省が指導をしていくという意味でしょうか、今のお答えは。
○大臣政務官(桜田義孝君) 外務省としては、御指摘の防犯ビラ等は、中国人を犯罪者あるいは不審な者として警察に通報するように受け取られ得るものであるならば不適切な内容のものであると。警視庁及び神奈川県警は、本件ビラの表現が配慮に欠け、不適切であったとして、直ちにこれを回収し、または破棄したと承知しております。したがって、警視庁及び神奈川県警において、当初から、中国人に対する差別を助長しまたは扇動する意味はなかったと判断されます。
 それから、人種差別撤廃条約につきましては、締約国に一定の措置をする義務を課しているところでありますが、国または地方の公の当局または機関の行為においても、人種差別助長の意図を有さずに行われた場合は同条約の対象とはならないと解されておりまして、本件は同条約の対象とはならないと考えております。
○竹村泰子君 ちょっとよくわからないんですけれども、私。これは条約に違反していないとおっしゃるわけですか、これらのこと。「ピッキング窃盗団にご用心」とか「中国人かな、と思ったら一一〇番」とか、これ条約に違反していないですか。
○大臣政務官(桜田義孝君) 一時的にはしていると思います。
○竹村泰子君 一時的には違反していると。一時的というのはどういう意味なんでしょうか、私、ちょっと頭が悪いのでよくわからないんですけれども。その時点では違反しているということですか。
○大臣政務官(桜田義孝君) それ自身は違反だと思いますが、直ちに回収しておりますので、そういったことについては改善の余地があると思っております。
○竹村泰子君 回収すればいいんですか。
○大臣政務官(桜田義孝君) 回収するということは、悪意な意図があったというふうには解釈しておらないということであります。
○竹村泰子君 では、これは悪意じゃなく善意でまかれたということなんですか。ごめんなさい、絡むようで申しわけないんだけれども、条約に違反していないと言われると、やっぱり言わざるを得ないですね。
 これは条約に違反しているので、非常に人種差別的行為であったので回収されたんじゃないんですか。一時的にはそうだったかもしれないけれども回収すればいいという、今のお答えはそうですよ。一時的にはそうだったけれども回収すればもう罪は消える、そういうことですか。
○大臣政務官(桜田義孝君) そうは言っておりません。そうともまた思っておりません。
○竹村泰子君 ここで禅問答をしてもしようがないのであれですが、皆さんがどういうふうにお聞きになったかわかりませんが、あなたの答えからいうと、やっぱり確かにそのときは悪かった、失敗した、だから急いで回収したと、しかし条約違反ではない、総体的には条約違反ではない、回収したからもうそれでいいんだと、こういうことですよ、あなたが今おっしゃったのは。違いますか。
○大臣政務官(桜田義孝君) 違反は違反だと思います。ただ、扇動する意図はなかったというふうに理解しております。
○竹村泰子君 扇動なんかされちゃ大変なんですよね。
 では、警察に聞きましょう。どうなんですか、これは。
○政府参考人(黒澤正和君) 御指摘のチラシでございますけれども、ピッキング犯罪の実態にかんがみまして、犯人検挙と犯罪防止の観点から管内住民に注意喚起を呼びかけようとするものでありまして、およそ来日している中国人一般を対象としているものではございません。
 人種差別撤廃条約の解釈についてはお答えする立場にはございませんが、私どもといたしましては、このチラシの内容につきまして配慮に欠ける不適切な表現があったということで遺憾に思っておりますし、このようなことがないよう都道府県警察を指導しておるところでございます。
○竹村泰子君 これ、警察が出しているチラシですよね。警察としてこれは反省があるんですか。
○政府参考人(黒澤正和君) ただいま申し上げましたように、このチラシの内容につきまして、警視庁、神奈川県警におきましても、また警察庁といたしましても、この内容につきまして配慮に欠ける不適切な表現があったということについて遺憾に思っておるところでございまして、このようなことがないよう今後とも都道府県警察を指導してまいりたい、かように考えておるところでございます。
○竹村泰子君 今のお答えからは、深く深く反省をし、このようなことが絶対に二度と起こらないようにというふうな気持ちは余り私には伝わってこないんですが、警察としても非常に深く重く受けとめているということですね。もう一度。
○政府参考人(黒澤正和君) この事案の内容につきましては、もちろん御指摘のとおり受けとめておるところでございまして、繰り返しで恐縮でございますけれども、やはり表現において配慮に欠ける不適切な表現があったということを遺憾に思っておるところでございます。
 今後こういうことのないように指導を徹底してまいりたいと思います。
○竹村泰子君 最後になりますが、大臣、今お聞きになっていて、警察庁のことではありますけれども、外務省の政務官のお答えもございましたけれども、担当大臣として、こういった一連のこと、これは七百枚と二千枚でとめられたわけですけれども、何万枚もまかれることもまだこれからも起きるかもしれないし、こういう差別感覚、差別意識が根強く日本の中にあるということについての御所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(高村正彦君) 作成された経緯やビラの具体的内容等を十分承知しているわけではありませんが、一般論で申し上げれば、公的機関であると否とを問わず、外国人に対する偏見を助長する内容と受けとられかねないような表現をできる限り避けるべきであることは言うまでもないことであります。
 今後とも積極的に外国人に対するいわれのない差別をなくし、その人権が尊重されるよう啓発活動等に努めてまいりたいと考えております。
○竹村泰子君 法務省の中に人権擁護局というのがありまして、外務省にも人権人道課というのがありますけれども、やはり人権を総括的に扱う、担当しているのは法務省であります。私たちは、それではいけない、独立した機関をと言っているわけですが、しかし現在のところまだ法務省の中にあるわけですから、こういったことには本当にきちんと対処していただきたいと強く希望して、終わります。



146回-衆-法務委員会-03号 1999/11/10

○木島委員 大臣はもっと審議会をいい方向で引っ張るぐらいの迫力がひとつ欲しいなと、希望だけは述べておきたいと思います。
 実はこの問題では、国連総会では一九九三年に、既に国内人権機関の地位に関する原則というものが承認されておるのです。パリ原則と言われているものでございます。
 この国際的基準、パリ原則によりますと、国内人権救済機関というのは、一つ、人権侵害事件について調査し救済すること、二つ、立法や政策について提言すること、三つ、人権教育を実施すること、こういう三つの機能を有する、政府から独立した国内機関である、こうされているのですね。こういうのがもう既に国連総会で九三年に、国際社会の原則として、一致してつくられているわけであります。
 今回、日本政府に対して規約人権委員会から勧告されたのは、この三つの内容を持った機関が必要だという中での、最初の一番目のことについての勧告なんですね。
 こういう状況に対して世界の状況を見ますと、既に、イギリス、フランス、カナダ、オーストリア、スウェーデン等多くの先進国では、いろいろ国柄によって姿形は違いがあるんでしょうけれども、国内人権機関と呼べるそういう機関が設置されているんです。特に私は、九〇年代にはアジア各国でもこのような国内人権機関が設置されるようになってきておるということを指摘して、アジアの諸国でこういうことが進んできているんですから、日本がおくれをとってはならぬということで指摘しておきます。
 八七年にはフィリピン、九三年にはインド、同じく九三年にはインドネシアでそういうものが設置されているんです。そして、私は現時点での進行状況、つまびらかではありませんが、スリランカ、モンゴル、タイ、ネパール、パプアニューギニア、そして韓国などでもこういう機関の設立が具体化の方向に向かって急速に進んでいる、こういう状況なんですね。経済的には日本はこれらの国々と比べますとはるかに先進国であります。ゆめゆめ人権では後進国と言われるような状況にはしてはならぬと思うんですが、こんなアジアと世界の状況を踏まえまして、重ねて法務大臣の決意をお聞きしたい。
○臼井国務大臣 私どもは、二十九項目という中で、特に法務省関係のものにつきまして、ただいま私からもるる申し上げましたとおり、我が国内に適した答申をしっかりと出していただきまして、これに対して対応してまいりたいと思います。
○木島委員 よろしくお願いしたいと思います。
 法務省当局から、昨年出されたこの最終見解、勧告の個別項目について、法務省として前進させていきたいというものが指摘できるのかと私あらかじめ尋ねておきましたところ、例えば第十三項目の「在日コリアンに対する差別」の問題、十四項目の「アイヌに対する差別」の問題、第二十九項目の「女性の人身売買、子どもの買春・ポルノ」の問題、それから三十二項目の「裁判官、検察官、行政官に対する国際人権法教育」の問題、その中での法務省所管ですから、検察官に対する国際人権法教育問題、これらについては前向きの状況になっているということを聞いておりますので、まずその部分についてだけ一言ずつお聞きしたいと思うんです。決意を述べていただきたいと思うんです。
 勧告第十三項目、「在日コリアンに対する差別」、こういう勧告です。「委員会は、日本国民でない在日コリアンの少数者の人達に対する、韓国・朝鮮学校が承認されないことを含む、差別の事例について懸念を有する。委員会は、締約国に対し、規約二十七条の下での保護は市民権を有する者に限定されないという点を強調する一般的意見二十三について注意を喚起する。」こういう勧告でありますが、これに対する法務大臣、法務省としての対応について答弁願いたい。
○臼井国務大臣 ただいま御指摘の点につきましては、法務省の人権擁護機関におきましては、人権尊重思想の普及高揚を図る立場から、在日韓国・朝鮮人に対する偏見や差別をなくすため、積極的に啓発活動を行っております。
 また、人権相談所を設けて相談に応じているほか、具体的に基本的人権の侵害の疑いのある事案を認知した場合には、人権侵犯事件として速やかに調査し、侵犯事実の有無を確かめ、その結果に基づき事案に応じた適切な措置を講ずるように努めているところであります。
 今後とも、積極的に人権の擁護を図ってまいりたいと考えております。
○木島委員 続いて、勧告第十四項目は「アイヌに対する差別」であります。こういう勧告文であります。「委員会はアイヌ先住民族少数者の人々について、言語及び高等教育における差別、並びに先住地に関する権利が認められていないことに懸念を表明する。」
 これに対する法務省としての受けとめ、御答弁願いたいと思うのです。
○臼井国務大臣 ただいま御指摘をいただきましたアイヌ先住民に対する差別問題でございますが、法務省の人権擁護機関では、アイヌの人々に対するあらゆる差別をなくすため、積極的に啓発活動を行っております。
 また、人権相談所を設けて相談に応じているほか、先ほど申し上げましたように、具体的に基本的人権の侵害の疑いのある事案を認知した場合には、人権侵犯事件として速やかに調査し、侵犯事実の有無を確かめ、その結果に基づき事案に応じた適切な措置を講ずるように努めているところでございます。
 今後とも、積極的に人権の擁護を図ってまいりたい、このように考えております。
○木島委員 次に、三十二項目めの勧告ですが、「裁判官、検察官、行政官に対する国際人権法教育」の問題です。
 先ほども同僚委員から、裁判官の運輸労働者に対する差別的な言葉が使われた問題、厳しく指摘されておりましたが、きょうは法務大臣に対する質問ですから、検察官に対する国際人権法教育問題についての対応について答弁を求めたいのですが、勧告を読んでみたいと思うのです。こういう勧告なんです。
  委員会は、規約で保障された人権について、裁判官、検察官、及び行政官に対する研修が何ら提供されていないことに懸念を有する。委員会は、このような研修を受講できるようにすることを強く勧告する。裁判官を規約の規定に習熟させるため、裁判官協議会及びセミナーが開催されるべきである。委員会の「一般的意見」及び第一選択議定書による個人通報に対して委員会が表明した「見解」が、裁判官に配布されるべきである。
 裁判官のことをかなり厳しく指摘しておりますが、検察官に対してこの国際人権法に対してもっと教育すべきだという勧告についての法務大臣、法務省としての見解を承りたい。
○臼井国務大臣 いわゆる検察官及びその他法務省職員に対しての人権に関しての教育についての御質問でございますけれども、それぞれの研修におきまして、人権擁護局から講師の派遣を受けるなどいたしまして、人権問題に関する講義を行っております。
 憲法の定める基本的人権、市民的及び政治的権利に関する国際規約等人権に関する諸条約、人権擁護制度、同和問題、子供、女性、外国人等の人権問題等の各種人権問題の理解の増進に努めているところでございます。
 また、検察官の職務というものは、被疑者、参考人等関係者の基本的人権にかかわるところが大でございますので、研修中の捜査、公判手続に関する各種講義や日常の執務においても、関係者の人権への配慮についてきめ細かく指導いたしているところでございます。
 今後も、引き続き研修等において職員の人権教育に努めてまいりたいと思います。



145回-衆-青少年問題に関する特別委員会-08号 1999/08/05

○大森委員 昭和二十二年、一九四七年にこれが制定以来、半世紀以上もう同じ基準で来ているわけですね。これはもう当時と比べれば、今は問題の性格も子供たちの体格その他も非常に、全く天地ほどの違いがあると思うのですね。それを五十年以上全く放置してきた。
 こういう点で、この祖父江参考人も言われているわけなんですが、虐待の問題は今起きたのではない、虐待をめぐるさまざまな問題は、これまで大人が何もしてこなかったため起きていることだ、その救済に無力であったということは、今無力であるということは、これまで私たちがその責任を何も果たしてこなかったということだ、こういうことを言われているわけなんですが、私は半世紀以上もこういう基準がそのままになっているということ自体、祖父江参考人が指摘されたことがあらわれているのではないかと思います。
 そこで、建設省の住宅の居住水準がありますね。これもいただいてまいりましたけれども、これでは、幼児、小学生、一室二人、中学生以上は個室、今こういう形で国の居住水準はなっているわけですね。しかも、建設省のこの居住水準というのは、戦後何回となくその状況状況によって変えられてきているわけです。そういう中にあって、心に傷を持った子供たちのそういう居室の基準というのは、五十数年間、半世紀も全く放置されたままだという状況なんです。
 あわせて、時間が来ましたので一点だけお聞きするわけですが、まず、こういう基準についてやはりもう見直しをすべきときに来ているのではないかということと、加えて、事前に私がお伺いした際に、厚生省として、今一体何人部屋にどの程度住んでいるのか正確な数字を持ち合わせていない、こういう状況でありまして、基準の見直しと、少なくともその現状についてきちんと調査をするということ、この二点についてお聞きをしたいと思います。
○横田政府委員 児童養護施設の最低基準につきましては、十五人以下ということでございますけれども、私ども現実の施設整備におきましては、国庫補助基準といたしましても、処遇改善という観点から、大部屋を解消いたしまして、二人部屋あるいは個室化というのを進めておりまして、現実には七・一平米、大体七〇%が四人以下というような実態になっております。今後とも、改築等の際にこうした改善を進めることによりまして、居住水準の向上に努めてまいりたいというふうに考えております。
 現在、一応の定員別の状況を把握しておりますけれども、正確に申しますと、一人部屋から二人部屋が七〇・一%、五人部屋から十人部屋が二七・九%、十一人以上が二・〇%という居室の状況でございます。
○大森委員 ぜひ基準の見直し、そういうことを検討していただくことを重ねて要求して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○石田委員長 次に、保坂展人君。
○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。
 きょうは有馬文部大臣に外国人学校卒業生の受験資格、この質問のやりとりも多分、十回までいきませんが相当繰り返させていただきました。
 まず、問題に入る前に、つい先日、高校総体のサッカーの試合で、これは外国人学校チームとしてはたしか初出陣ということで、大阪朝鮮学校のサッカー部が帝京高校と対戦をして、ぎりぎり同点、PK戦で惜敗というシーンがございましたけれども、有馬大臣、どのように受けとめられたでしょうか。
○有馬国務大臣 お答えいたします前に一つニュースを御報告いたします。
 今、岩手県で全国高校総合体育大会が行われております。先日私も開会式に参った次第でございますが、高校総体と言われているものであります。そこの重量挙げ九十四キロ級で五日、札幌市の北海道朝鮮高級学校二年の朴徳貴選手が、非常にいい成績で、すべての競技を通じて初の優勝者であったという報告を受けましたので、これを御報告しておきましょう。
 さて、今御質問の大阪朝鮮高級学校のサッカーの善戦でございますが、私は大変いいことだと思っております。
 一昨日、八月三日に行われました全国高校総体サッカー競技において、外国人学校として初めて高校総体の団体競技への出場を果たしました大阪朝鮮高級学校が初戦を戦いまして、東京代表の帝京高等学校にPK戦の後惜敗されたと承知しておりますが、もう一頑張りできたらもっとよかったと思っております。非常にすばらしいことだと思います。選手諸君が非常に敢闘されたことを評価いたします。
○保坂委員 スポーツにおける交流というのは、これは外交でも何でもそうですけれども、大いに進んだらいいなと思っているところですが、京都の韓国学園ですか、これも民族学校だと思うのですが、高校野球連盟が加盟を承認したというニュースも先月入ってまいりました。
 また、少年サッカー、八千のチームがある少年サッカーにも、これは日本の学校制度でいえば小学校に相当する朝鮮学校の初級の児童チームが参加したいという要望もあると。
 これらのスポーツにおける交流ということについて、もっともっと門戸を開放すべきと思いますが、いかがでしょうか。
○遠藤(昭)政府委員 お答えいたします。
 高等学校野球連盟、高野連につきましては、かなり前から加盟ということを認めております。
 それから、全国高等学校体育連盟、ここでは参加ということを認めておりまして、同世代の生徒がスポーツを通じて競い合い、交流を深める場ということで、各種学校等、専修学校も含めますが、そういった学校の参加も認めております。
 ただし、加盟につきましては、高体連の設立の趣旨に照らしまして、現在のところ認めていないという状況を聞いております。
 それから、少年サッカーの方でございますが、私どもの承知しております限りでは、準加盟というふうな形で認めておるということで、それに対して、本大会に出る、参加も認めるべきであるという要望書が出されておりまして、これはサッカー協会の方で現在取り扱いを検討しておるという状況と承知いたしております。
 いずれにいたしましても、文部省としては、こういったことは、それぞれの団体において、設立の趣旨等を勘案して自主的にお決めいただくべきものであるというふうに考えております。
○保坂委員 随分詳しく答えていただいたので時間が残り少なくなってしまうのですが。
 文部大臣、率直に、今回、大学院には学力検査、学力を見るというところできっちり、非常にすっきりした対応をしていただいたという点については極めて感謝をしたいし、英断だったというふうに私は思います。
 そこで、テンプル大学の話、昔の話になりますが、文部大臣、これはぜひお答えいただきたいのですが、東大総長時代に、テンプル大学日本校の大学院受験は問題なし、よしというようなことで先進的な判断をしていただいた。その後、京大の大学院が朝鮮大学校卒業生も受け入れたし、その後、九州大学の大学院も門戸を開放していく。
 こういう、文部大臣に御就任される以前の有馬総長の御判断も含めて、やはり各大学の先進的な取り組みが今回の文部省の判断を導いたというふうに考えられると思うのですが、当事者でもあり文部大臣でもありということでちょっと答弁が難しかろうとは思いますが、いかがでしょうか。
 ○有馬国務大臣 私が東京大学におりましたころ、この文部省の考え方を極めてしっかりと認識していたわけではなかったかもしらないのですけれども、ただ、その際において、大体東大の大学院というのは各系に任せてあるものですから、最終的な責任はもちろん総長としてとります、そして報告は受けましたけれども、あれは法律系だったと思いますが、そこで判断をされたことを私は認めた覚えがあります。
 ただ、そのときに私が考えましたことは、テンプル大学というのはアメリカの方ではぴしっと認められた大学である、本校が非常にしっかりしているというふうなことも法律系の大学院で判断の基準にとった、基礎にとった考えだったと思います。これは私も認めておりました。
 しかし、その後、文部省の考えというふうなことをいろいろ聞きまして、昨年も先生と随分この点について御議論させていただきましたけれども、その後はずっとやはり文部省の考え方は一つの考え方であるということを認識した次第です。
 そこで、それでは新しいやり方があり得るかどうかということで、諸外国の例をもう一度きちっと調べてみようというふうに考えまして、このところずっと検討を進めてきた次第でございます。その結果、今回のような方針を決めることになったことを喜んでおります。
○保坂委員 ところが、大学院を受験する学生にとっては、これは本当に学力なり自分の実力で試されるんだということでいいと思うのですが、例えば七月十日の読売新聞の社説ですが、「文部省のこれまでの姿勢はかたくなに過ぎ、今回の現状追認は遅過ぎたと言わざるを得ない。」と書いているのですね。また、「これでもなお不十分との声があることも忘れてはならない。大学院では個別の能力審査で入学資格を与えるのに対し、大学受験には大学入学資格検定(大検)というハードルを課した点だ。」と。
 いわば半開きという言葉もあるように、文部大臣、もう時間がないので端的にお尋ねをいたしますが、大学院では学力をきちっと見る、しかし大学では学力だけではだめだと、これはどういうわけですか。
○有馬国務大臣 大学院と大学はやはりかなり違いがあると思うのですね。なぜかというと、原理的には大学院は大学から来るわけです、もちろん社会人も入れるようになっているわけですけれども。
 大学というのは、もうそこの教育の内容というのはその大学に任されている。ですから、それぞれ大学が随分違う教育をしてもいいわけですね。ですから、随分違う教育を受けてきた人が大学院を受ける。だから、大学院でそれぞれの人の持っている力がどのぐらいかということを調べればいいわけです。
 そういう意味で、大学院は今回御承知のような方策をとることにいたしましたけれども、高等学校は、やはり国として、こういうふうにやってくださいという学習指導要領に基づいて教育をしてもらっているわけですね。ですから、やはり一定の知識、一定の学力、一定の体力は持っていなければいけない。そういう意味で、やはり大学と大学院とでは入学の資格に関する与え方が違っていると考えている次第です。
○保坂委員 文部大臣、一言でお尋ねしますが、今回の文部省の改革案は、規制緩和でございましょうか、それとも規制強化でしょうか。どちらでしょう。
○有馬国務大臣 私は、規制緩和であると判断をいたしております。
○保坂委員 確かに、学校に何らかの理由で行けない子供たちにも大検の受験資格を認めているという点、大変朗報だと思います。
 最後に、この点、きっちり詰めて御答弁いただきたいのですが、御存じのように、私立大学、公立大学では、現在のところ、外国人学校、インターナショナルスクールだとか中華学校だとか、あるいは朝鮮学校も含めて、それらの学校の卒業生を、学力試験を課して入学させているという学校が三分の一から半数近くあるということは、大臣も御存じですね。これらの学校の卒業生を現状のとおり私立大学が入学させることに対して、これにブレーキをかけるような、つまり、大検を新たに条件づけるなんということは規制強化につながると思うのです。
 では、政府委員でも結構ですが、これはやはりやらないということをきちっと言っていただきたいのですが、短く答えてください、時間がないので。
○佐々木政府委員 大学入学資格は、国公私立大学を通じてすべての大学において守ることが必要でございます。したがいまして、各種学校である外国人学校を卒業しただけでは大学入学資格は認められないわけでございまして、このことについては今後とも各大学を指導してまいりたいと考えております。
 あわせて、大検受験についても指導してまいりたいと考えておるところでございます。
○保坂委員 やはり出てこない方がよかったね。そんなこと聞いていないのですよ。それはずっと文部省が言ってきたことで、これからも言うんでしょう、恐らく。
 そうではなくて、文部大臣に伺ったのは、規制緩和ですか、それとも強化ですかと。例えば私立の大学にことしの春は受験で入れた。ところが、来年からは、これが出たので大検を持っていなければ私立はだめですよということを現場で徹底しろというようなことをなさいますか、それじゃ強化になるじゃないですかということです。文部大臣、答えてください。
○有馬国務大臣 私は、今回のやり方、規制緩和を見て、私学にせよ、それぞれの大学がよく御判断になればいいことだと思います。
○保坂委員 非常に含蓄に富んだ御答弁で、そうですよ、大学がよく判断をしていただくということで、今全国の外国人学校で学ぶ受験生は、やはり勇気を持って受験勉強に集中できるんだというふうに思います。
 これは今回取り寄せてみましたけれども、いろいろな、例えば安保防衛問題だとかあるいは国会で激論になる対決法案には、新聞の社説もみんなトーンが変わりますよね。各紙ともほとんど一致しているのです、この問題については。もっと門戸開放をと、国際化を目指してきた文部省の姿勢をさらにそれによって裏づけてほしいと。そういう意味で、改革の方向を評価しながら、なお徹底してほしいという要望でございますから、今の文部大臣の、私立の大学の受験の実態の扱いについても、よく判断するようにということを非常にかみしめて全国の受験生に頑張っていただきたいと思います。
 以上で終わります。
○石田委員長 以上をもちまして本日の質疑は終了いたしました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時四十五分散会


145回-衆-本会議-40号 1999/06/24

○濱田健一君 私は、社会民主党・市民連合を代表し、先般、ケルンで開催されましたサミットに関する総理の報告に関連して質問をいたします。
 一九九六年のリヨン・サミットでグローバリゼーションがうたい上げられて以降、デンバー、バーミンガムと、グローバル化する世界経済のあり方がキーワードとなってまいりました。今回のケルン・サミットでは、議長を務めたドイツのシュレーダー首相が、人間の顔をしたグローバル化を主張し、その負の側面への対応が焦点となったと伝えられております。
 そうした中で、重債務貧困国の債務の削減に関して合意がされました。政府として、この債務救済措置の意義について国民の理解を得るため、どのように説明をするのでしょうか、お尋ねいたします。
 社会民主党は、いわゆる重債務貧困国の救済はぜひとも必要であり、実効性のある具体化が必要だと考えます。しかし、同時に、これらの国々が再び同じ道に追い込まれることがないような措置を講じ、サミット参加国以外の国々もこのプロセスに参加することが必要ではないかと考えます。総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 今回、雇用促進のための政策形成が重視されたことは、時宜にかなったものと評価したいと存じます。宣言の内容も、二月のG8労働大臣会議の結論を支持し、雇用を支えるための社会的セーフティーネットの構築が最優先されています。労働市場の規制緩和を進めるに当たっても、高齢者等も含めたすべての労働者に対して労働市場への平等なアクセスを確保すること、つまりは、機会均等確保、差別反対等を前提としていることは当然の見識と言えます。このように、一面的な規制緩和万能主義からは労働市場政策は隔絶すべきであることが明確にされたと承知するところですが、御所見をお伺いいたします。
 労働者の権利等を保護した上での労働市場の活性化が、労働力需給のミスマッチを解消するための重要な要素の一つになることは、私も否定するものではありません。ただし、あくまでそれは、G8労働大臣会議でも確認されたように、機会均等確保、差別反対等が明確に貫かれたものとなるべきです。
 政府が今回取りまとめた緊急雇用対策は、昨年来我が党が強く主張してきた再就職、能力再開発支援策や中高年失業者対策の拡充、さらには公的関与による雇用創出に踏み切ったことなど、実効性が望める施策も盛り込まれております。もとより、雇用創出策については、与野党の垣根を越えた取り組みが求められている課題でもあり、是は是とすべきと私は考えています。
 しかし、せっかくの再就職、能力再開発支援策等も、例えば求人側が年齢差別に当たる年齢制限を設けている場合は、全く無力と化します。また、間近に迫る超高齢化社会で生涯現役を実現するというプライオリティーの高い政策を追求する観点からも、米国のような年齢差別禁止法の制定が不可欠ではないかと考えるところです。御見解をお示しいただきたいと思います。
 持続的な成長と雇用創出を可能とするための税制等の具体化も求められることになりました。社民党は、従来より、雇用吸収力を本来的に有するのは収益企業に期待することが多いことから、失業者の積極的な採用企業に対する優遇税制の創設を提起しています。
 失業者を常用労働者として五〇%以上または二五%以上かつ二十人以上の水準で雇い入れた事業主については、法人税等の軽減、免除措置を講ずるなどは、主には雇用創出の可能性の高いベンチャー企業等にとって使い勝手のよい内容ともなっています。税制改正においてあるべき選択の一つになってしかるべきではないかと自負するところであります。その御用意があるのか、お答えいただければと思います。
 総理は、各国首脳に対して、〇・五%成長への不退転の決意をされ、産業競争力強化対策に全力を挙げる姿勢を示されました。しかし、現在検討されているこの産業再生策について、社民党は大きな不安を持っているところでございます。
 サプライサイドの改革として論議されている分社化や会社分割、過剰設備の廃棄などは、企業のリストラを加速、失業率をさらに引き上げ、景気に対する悪影響を心配いたします。他方、雇用の受け皿として強調される新規成長産業の振興については、その具体策がいまだに明らかにならず、言葉のみ躍っている感が否めません。
 社会民主党は、従来から、環境、福祉、雇用などの生活関連分野を重視した経済対策、つまりは、安心して暮らせる社会のセーフティーネットの整備を求めてきたところであります。しかしながら、政府の産業再生策は、依然として企業中心であり、生活の視点が非常に希薄であると言わざるを得ません。御所見をお伺いいたします。
 総理から、グローバル化した教育は、単に知識や技能を身につけるだけではなく、文化の多様性に対する理解や尊敬の念をはぐくむことを重視する必要があるとの視点が紹介され、それがケルン憲章に盛り込まれたことは評価するものであります。
 さて、ケルン憲章では、学習のあらゆる段階において、すべての人々にとっての政治的権利、社会的権利及び人権の尊重、寛容さや多元的共存の価値、異なるコミュニティー、見解及び伝統の多様性への理解と敬意を含んだ民主的な市民であるための教育の重要性が強調されるべきとされます。
 これを踏まえるならば、我が国においても、学校教育はもちろん、社会のあらゆる分野における人権教育を一層充実させ、さらには、多文化共生の観点から、在日外国人の民族的権利を保障するために、民族教育についても制度的に保障していくことが求められると考えますが、御見解はいかがでございましょうか。
 さて、日本が議長国となる二〇〇〇年のサミットは、沖縄で開催されることが決まりました。沖縄は、さきの大戦において我が国で唯一地上戦が行われ、現在もなお、在日米軍施設の七五%が集中し、過重な負担を押しつけられてきた地域であります。二十一世紀を目前に控えて、沖縄でサミットが開かれることは、沖縄の人々にとっても我が国全体にとっても、特別な意義があります。社会民主党としても、新しい世紀を戦争なき時代とするための道筋をつけるために全力を挙げる考えでおります。
 沖縄サミットに向けて、基地に囲まれ苦悩を続ける沖縄の諸問題に、政府がどのように取り組まれるおつもりか、決意のほどをお尋ねして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 濱田健一議員にお答え申し上げます。
 まず、今回合意されました債務救済措置についてお尋ねがございましたが、今回の合意は、自助努力にもかかわらず重い債務を背負い、極度の貧困に苦しむ国々の真の再生のため、また国際社会の平和と安定の確保のため債務救済が必要であるとの考えに基づくものでありまして、国民の皆様の御理解をいただきたいと考えております。
 また、債務救済を貧困緩和と社会開発につなげることにより、これらの国々の長期的な自立を支援していくため、国際社会全体がこの問題に取り組んでいくことが必要であると考えております。
 規制緩和と労働市場政策についてのお尋ねでありましたが、我が国におきましては、産業構造の変化や高齢化の進展等の経済社会の変化に対応し、労働法制や雇用対策について不断の見直しを行ってきたところであります。今後、我が国経済社会の活力を維持していくためには、構造改革の推進は不可避と考えておりますが、その際に、社会的セーフティーネットの構築にも十分配意しつつ、適切な雇用政策の推進に努めてまいります。
 年齢差別禁止法についてのお尋ねでありました。
 年功を考慮した雇用管理が一般的である今日の状況におきまして、定年制の持つ雇用保障機能の役割は大きいなど、年齢差別禁止法の制定のための環境整備や社会的合意ができていないと考えます。政府といたしましては、高齢者がその能力と意欲に応じて働き続けることができる社会の構築を目指し、引き続き努力してまいる所存であります。
 失業者の採用企業に対する税制上の特例措置について御提案がありました。
 企業は、経営の現況や将来の事業計画等をもとに必要な雇用を確保するよう決定するものであり、何らかの税制措置によって雇用促進を図ることは難しいのではないかと考えられます。いずれにせよ、税制上の特例措置につきましては、課税の公平の観点を踏まえつつ、その効果の有無、手段としての妥当性などの観点から十分吟味する必要があると考えます。
 サプライサイド改革、すなわち経済の供給面の対策についてのお尋ねがありました。
 経済の自律的発展を図るためには、供給面の体質強化を図り、産業競争力を強化することが必要であります。このため、今回の対策におきましては、緊急雇用対策とあわせて、新規成長産業の振興、未来産業の創造に向けた技術開発、中小企業、ベンチャー企業の振興を図るとともに、当面の課題である事業再構築のための環境整備を進めることといたしております。今後は、これらの対策につきまして、できるものから速やかに実施をいたしてまいります。
 次に、教育についてのお尋ねがありました。
 御指摘のように、ケルン憲章におきまして、民主的な市民であるための教育の重要性が強調されるべきとされ、異なる文化への理解の向上や外国語学習の増進などが挙げられております。
 人権の尊重及び文化の多様性に配慮した国際交流や教育の推進の重要性は、ますます高まっていると認識をいたしておりまして、今後ともその一層の充実に努めてまいります。また、日本国内における外国人学校の取り扱いにつきましては、我が国の学校制度との整合性に留意しながら、適切に対処してまいります。
 最後に、沖縄問題についてお尋ねがありましたが、長年にわたり大変な御負担をお願いしてきた沖縄県民の方々に対し、内閣総理大臣臨時代理である内閣官房長官より、昨日、沖縄全戦没者追悼式において、私の思いをお伝えしたところであります。
 米国施設・区域の整理、統合、縮小につきましては、今後とも、SACO最終報告の着実な実現に向け、稲嶺知事のお考えも十分拝聴しつつ、沖縄県の理解と協力のもと、最大限努力してまいりたいと考えております。
 また、沖縄振興策につきましては、沖縄経済の自立化に向けた施策の具体的体系化を図るべく、現在、政府部内において沖縄経済振興二十一世紀プランの中間報告案を鋭意検討中であり、六月二十九日には、沖縄政策協議会において同報告案の協議を予定いたしておるところであります。
 以上、お答え申し上げました。(拍手)
○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時四十六分散会



145回-参-文教・科学委員会-09号 1999/05/13

○本岡昭次君 ことし四月十八日の朝日新聞が、外国人学校卒業生に受験資格を認める認めないのこの問題に対して、国立大学長に対するアンケートを実施したと。これは大臣も文部省の関係者もごらんになったと思うんですが、このアンケートを見ますと、大学院大学や短大を含む百一大学のうち九十七大学が回答して、そのうちの四十六大学の学長が現状を改善すべきだ、七学長が検討すべきだと答えて、現状でいいと回答したのは十一人にとどまっているという結果になっております。
 その新聞の中でいろいろ学長さんが勇気を奮ってコメントをなさっておられます。その一つを紹介しますと、国立大学協会副会長で東京外大の中嶋学長は、受験資格について、文部省の解釈と大学の責任者としての学長の判断の双方で決められるべきだ。国際的潮流から見ても、受験のスタートラインでは門前払いすべきでないとの見解を示しておられます。多くの現場の責任者が、今日のこの国際化時代に、こうした一貫して文部省が門戸を閉ざしているということに対して矛盾を感じ、対応に苦慮しておられると思うんですね。
 そして、公立学校では半数近くが受験資格を認める、私学も半数近くが認める。制度として認めるとか認めないじゃなくて、実態的に、現状置かれている状況の中でそれぞれの大学が判断をして、認めるところは認める、認めないところは認めないというふうに対応しているにもかかわらず、国立大学だけが一様に認めてはならないとする、ここに私は問題があるのではないか、このように思うんです。
 今回の法律の学長の権限とかというふうな問題がかなり大きな意味を持ってきますが、こうした事柄に関して、国立大学協会の副会長である中嶋さんがおっしゃっておるように、国立大学だから文部省の判断があってもいい、しかし、国立大学の学長としての判断というものは一体どうなるんだということを問題提起されているわけですね。だから、大学の入学というものは、あるいはまた受験をどうするかというのは、学長の判断によって行うというふうなことがあり、高等学校を卒業しなくとも、二年生を修了した段階で入学を認めるという大学があってもいい、いや、私のところはやらない、こういうふうなことであるべきではないかと私は思うんです。
 そういう意味で、こうした大学のあり方を基本的に改革をしようとしているこの際、こうした問題について門戸を開くべきではないかと私は思うんです。こういうこともしないで片方で大学をどうこうすると言ったって、私は問題があり過ぎるんではないかと思います。私は、これはもう挙げて文部大臣の政治的な決断だと思います。文部省は、今の法の仕組みとか、そこから自分たちが出ようと思っても出られない立場にあるんですよね、文部省の役人は。だから、それを変えていくのはやはり政治が変えていくわけでありまして、それはやっぱり文部大臣が、今日の国際化の問題で、ここは風穴をあけますということを言わなきゃいかぬと思うんですよ。
 それで、話はちょっと横へ飛んでしまうかもしれませんが、今、朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮との間でいろいろ緊張問題をはらんでおります。あの国と国交回復していないが、日本は何もできないのか。そうじゃなくて、日本の国に朝鮮総連という団体があり、そして朝鮮民主主義人民共和国に帰属するいわゆる在日朝鮮人の人たちがおり子供たちがいるわけで、その子供たちがより多く日本の大学で勉強したいと、こう一生懸命願っている。それはもう純粋に学問研究の分野として。そこで学んだ子供たちは、皆日本を愛し、そして日本と親しみ、日本を大事にしようという子供たちになっていくことは間違いないわけですよ。そして、そういう切なる願いにこたえてやっているというふうな、日本国内のいわゆる教育分野における大きな意味の、北朝鮮への外交戦略のある意味では、そういう言い方はよくないけれども、そういううちの重要な部分でもあるのではないかと。
 緊張をはらんで、仮想敵国はあそこではないかというようなことを今特別委員会で議論をやっておるんですよ。そういうときであればあるほど、在日朝鮮人の皆さん方が切望している受験資格だけでもせめて認めてくれという問題に対して、日本の文部行政がそこにひとつ温かい手を差し伸べていくということは、私は重要な意味をさらに持ってきたと思うんです。
 だけれども、このことを文部省にやれと言ったって無理なわけで、一条校という枠もあったりしてなかなかできない。だからこれは文部大臣だと私はずっと言っている。あなたの在任中にそれはやられることですよ。いかがでございましょうか。
○国務大臣(有馬朗人君) 私は、昔からこの問題は気になっていたということは申し上げましょう。しかしながら、学校教育法の規定があるわけですね。高等学校卒業者またはそれと同等以上の学力があるとして文部省が定める者に与えられている、こういうことをどういうふうに考えるか。現在、朝鮮学校、韓国学校、中華学校、アメリカンスクールなどいわゆる外国人学校のほとんどは各種学校であるので、各種学校の教育内容については法律上特段の定めが設けられていないためという理由のもとで、その卒業者に対して一般的に高等学校を卒業したと同等以上の学力があると認定することは困難ということで、大学入学資格を認めていないというのが現状でございます。
 ただ、例えば国際バカロレアを通っていればいいとか、さまざまな工夫はしていることは事実でございますが、いずれにしても日本の国の学校教育体系の根幹にかかわることでありますので、現在慎重に対処しているところでございます。
 ただ、この前も申し上げましたように、外国人学校卒業者の大学入試資格については昨年来、検討したいということを申し上げております。何を検討したいかというと、日本で外国人学校をどう取り扱っているかということと、外国に日本人学校がある、その日本人の学校は外国でどう取り扱われているか、こういうふうなことに関してやはり国同士平等でなきゃならないというようなことがございますので、諸外国におけるそれぞれの国に設置されている外国人学校に対する取り扱い等を現在一生懸命調査をいたしまして整理しているところでございます。
 こういう調査の結果において、さらにどういうふうに考えていけばよろしいか、考えをいつか述べることがあり得ると思っております。
○本岡昭次君 一向に前へ行かないわけで困りますが、それではちょっと別の側面から質問します。
 今まで学校教育法の一条校でなければいけないという一つの障壁がありましたが、専修学校が受験資格を認められるということでこの障壁は一つなくなった、こういうふうに思うんですね。
 それから、今おっしゃった例えば韓国の例をとると、韓国の高等学校の卒業生は日本へ来て日本の大学に留学できるわけですね。そして、日本の韓国の高等学校卒業者は韓国に帰って韓国の大学に入学できる、こういうことになっておるんですよ。にもかかわらず、日本の韓国の学校を卒業した人は日本の大学に受験できない。このことは、先ほどおっしゃったように、どう考えても理解ができないんですよね。
 韓国の高等学校の卒業者は日本の大学に留学できるんでしょう。留学できるということは、その学校で学生として勉強するということ。それと同じ教育課程をもしこっちへ持ってきておったら、その者を認めないという理由はこれは全く成り立たぬわけで、各種学校というなら、各種学校であっても既に認めるものができ始めているんですよね。文部省がだめだと言っている垣根がどんどん狭まってきて、こんなことはどうしてもしようがないからとやるようなことじゃないんですよ。もうせっぱ詰まってやるようなことじゃないですよ。やはりきちっと、日本の文部省はよくやった、有馬文部大臣は立派な決断をしたと言われるような状態でこの種のものはやらなきゃいかぬと思うんです。
 韓国の例をとっても、どうして韓国人学校を卒業した者が日本の大学の受験を認められないんですか。これはもう理由を言えないでしょう。どうしてですか。どういう正当な理由があるんですか。

○政府委員(佐々木正峰君) 大学入学資格は学校教育法の規定に基づいて定められているわけでございます。それによりまして、韓国における高等学校の卒業生は、外国において学校教育における十二年の課程を修了した者として我が国の大学への入学資格が認められているところでございます。
 他方、我が国に所在する韓国人学校の卒業生が韓国の大学への入学資格を認められるかどうかということについては、韓国の学校教育制度、法令に準拠して判断されるわけでございまして、その具体的な扱いについては現在承知はいたしておらないわけでございます。
 そのように、韓国人学校につきましてその卒業生をどう扱うかということについては、我が国の学校教育法体系の中で入学資格を認めるかどうかという判断、すぐれて国内法の判断の問題になるわけでございますが、先ほど大臣からも答弁申し上げましたように、外国人学校は我が国においては各種学校としての位置づけがなされておるわけでございまして、教育内容について法令上特段の定めが設けられていないというふうなこともございまして、一般的に高等学校卒業者と同等以上の学力があると認めることはできません。そんなことから入学資格が認められていないわけでございます。
○本岡昭次君 もう何回そういうやりとりをしていますかね。しかし、三年制の専修学校の高等課程の修了者、和洋裁とかインテリアとか自動車とか調理師だとか、こういうところで学んだ子供たちも各種学校でしょう、これ、認めていくんでしょう。だんだんとあなた方も、学問していく条件づくりに規制をできるだけ取っ払って自由にしていこうと。それはしまいには学年というふうな枠も取っ払っていこうというふうになってくると思うんですよ、この世界は。にもかかわらず、かたくなな今の態度というのは時代錯誤ですよ、はっきり言って。
 あなたも認めておられる。それがなぜできないのか。文部省に何ぼかの不思議があるけれども、本当にわからぬのですよね。これをやることにして一体、日本の国益のどういう部分を損なうのか。本岡さん言うけれども、それだったらこういうふうに日本の国益を損ないますと言ったら、それはそこの議論をしてもいいですけれども、別にそういうものもないだろうし、財政上大きな損害をこうむるものでもないだろうし、本当にさっぱりわからぬのですよ。私は、せめて有馬文部大臣のときにこれだけはやってもらいたいと。これから執拗に迫りますが、うどん屋の出前みたいに、もうじきやります、もうじきやりますというのを待っているのだったらまだよろしいけれども、それもないわけだ。
 うどん屋の出前はいつか来るんですよ。つくっていても、いや今出ましたと言ってやっておるのだから、せめてそのぐらいのことを、次の質問のときまでにはどうするかということをはっきり言ってもらえなければね。私はそれをきょうは質問するためじゃなかったわけで、これを言わなければ次の質問ができなかったからやったわけです。
○国務大臣(有馬朗人君) 今いろいろ文部省の方で相談をしているところでございますけれども、例えば、高等学校までは地方自治体の認定ということが必要になります。そういうことがどうあり得るかなどということも今初中局の方で検討してもらっておりますし、また、諸外国においてどういうふうな取り扱いが行われているかということについても調査をいたしているということはたびたび申し上げていることでございます。
 そういう点で、御指摘のとおり、国際化の時代においてどういうふうに国内にある外国人学校の人たちを考えていったらいいかということについて、この前も申し上げたように、六月、七月に調査が完了する予定でございますので、そのあたりからさらに詰めてみたいと思っています。
○本岡昭次君 やっと六月、七月ということが出ましたので、うどん屋の出前として待たせていただきます。
 それでは、本題に戻りまして、評議会と教授会の問題、先ほど馳議員の方からもこうした問題が出ておりました。関連して質問しますが、今回の法改正で、権限がどちらが上か下かというふうな議論はしたくありません。しかし、学校教育法には五十九条に教授会しか書いてないわけですね。それで、従来、評議会というのは、国立学校設置法十三条を受けた省令の暫定規則に基づいて、国立大学に置かれていたのが評議会なんですよ。それがなぜ法文の順番のところで教授会の上に評議会を置いたのか、学校教育法に定められているものに対して、いささか私は納得がいかないんです。
 それで、教授会の権限と評議会の権限、権能、ここの問題について、従来の教授会が持っていた権限、権能、そうしたものは変わりはないんだというのか、いや変わったんだというのか、そこのところをはっきりさせてください。
○政府委員(佐々木正峰君) 今回の法改正におきましては、合理的で責任ある組織運営体制を整備する、そういう観点に立ちまして、これまで暫定省令で規定されておりました評議会を法律上位置づけるとともに、評議会は大学運営に関する重要事項、学部教授会は学部の教育研究に関する重要事項を審議するとの役割分担を明確にしたわけでございます。
 学部教授会は、大学の教育研究に関する自主性を尊重するために必要な審議機関であることから、その審議すべき重要事項として、教育課程の編成、学生の入学、卒業、その他教育研究に関する重要事項を審議事項として定めているわけでございますが、これは、従来からの学校教育法の解釈を踏まえ、教授会の本来の役割を明確化したものでございますし、また、教育公務員特例法により教授会の権限に属された人事に関する権限については変更をいたしておらないわけでございます。したがいまして、教授会の権限を限定した、あるいは縮小したというようなことではございません。
○本岡昭次君 それでは、具体的にちょっと細かいことになりますが、学生の厚生補導等というようなことがありますが、これは従来は評議会にあったのか、教授会にあったのか、今回はどちらの権限に入ったんですか。
○政府委員(佐々木正峰君) 学生の厚生補導につきましては、いわゆる学部の枠を越えて、大学としてどのように取り組むかという観点、すなわち全学的な観点からの扱いということが必要でございます。そういった点から、評議会において審議をすべき事項である、従来からそのように扱われてきたというふうに考えております。
○本岡昭次君 従来からそれは評議会の権限、権能であったということなんですか。いろんな参考事例を見ますと、教授会の中にそういうものが入っている文章もありますので、細かいことですが。
○政府委員(佐々木正峰君) 暫定省令におきまして、学生の厚生補導が評議会の審議事項とされておるところでございます。
○本岡昭次君 明記されていますね。
 今、評議会そのものが、おっしゃるように、国立学校設置法、さらにその後の評議会を設置するための規則というふうなところに置かれてあったものを法文化して、そして運営諮問会議と順次組織をきちっと位置づけたということで、それなりに整理され、わかりやすくなったと私も思います。
 しかし、私の考えは、学校教育法という基本法の五十九条に教授会というものが位置づけられている以上、学問の研究、それを保障していくところの大学の自治というものは、やはり教授会というものを基本にして進められるべきで、その教授会というものが学部の中に置かれているということから、全大学的な問題に関して、運営上の問題とか、あるいは全体の教育方針の問題とか、例えば先ほどの学生の厚生補導といったものは学部のものだけやったのではだめなわけでありまして、全体のものをやらなければならないからとかいうような形で整理をされていって、教授会が大学の自治の中核としてより有効な力を発揮できるようにというふうに法整備されたんだというふうに私は理解をするわけであります。決して、大学の自治、学問の研究の自由というのが今日の大学には非常に障害物であって、それを取り除いていくためにこの法案ができたというふうに私は思いたくないわけで、またそうであったとするならば大きな間違いを起こす、こういうふうに考えるんですが、そこのところはいかがですか。

145回 衆 文教委員会 05 1999/03/11

○池坊委員 きょうは、国立学校の中でもたびたび問題になっております、外国人学生に国立大学受験資格を与えてほしいという働きかけが四半世紀にもわたって文部省にあったと存じます。そのことについて、大臣並びに担当の方の御意見を伺いたいと思います。
 先日、大学課長に、日本学校と同等内容の高校を卒業した生徒が国立大学の受験資格がないのは、子どもの権利条約、教育における人権に反するのではないかと伺った折、一言のもとに、そのようなことはないとお答えになりました。けれども、これは明らかに認識不足ではないかと思っております。
 このような外国人学校に対する差別に対して、日弁連は、九八年二月、日本国憲法、子どもの権利条約並びに国際人権規約等に違反しており、人権侵害であるとして、政府、国会等に対する是正勧告を出したと存じます。
 次いで、五月になされた子どもの権利条約に基づく審査において、国連子どもの権利委員会は、この差別問題への懸念を表明し、日本政府に対して是正を求めました。さらに、十一月には、国連規約人権委員会も、国際人権規約に基づく審査において、同じように是正を求めたと存じます。これを局長は当然御存じだと思いますが、いかがでございましょうか。
○工藤政府委員 御指摘がございました児童の権利条約の関係、あるいは、いわゆるB規約と言われておりますけれども、市民的及び政治的権利に関する国際規約の関係で、それぞれ各国の状況を審査するための委員会が置かれておりまして、昨年、それぞれの委員会におきまして最終見解がまとめられて、朝鮮人学校問題を含む状況につきまして懸念等が示されたのは御指摘のとおりでございます。
 ただ、これは、必ずしも入学資格に特化して問題になっているわけではございませんで、間々新聞等でも報じられておりますように、チマ・チョゴリを着た子供たちが意地悪されるとかいう、国内におけるいろいろな状況がございますので、そういう背景をもとにしながら、いかがなものであるかという御指摘でございます。
 本件の、御指摘の大学入学資格の件につきまして申し上げますと、国際条約あるいは国際規約に関します有権解釈といいましょうか、政府全体に関係してございますので、一応外務省が中心になりながら関係省庁で協議して対応しているわけでございますけれども、私ども、関係省庁の相談の中ではいずれも、いわゆる児童の虐待等の事柄あるいは不合理な差別の撤廃ということを条約あるいは規約上規定しているわけでございまして、合理的な区別といいましょうか、それぞれの背景に応じて私どもがとっております措置につきまして、別に条約あるいは規約違反ということではないという理解でございます。
○池坊委員 確かに、法律違反ではないかもしれませんけれども、そうしたら、大臣、それはそのまま、こういう勧告を受けたのを踏まえて、どのようにこれをお感じでございましょうか。
○有馬国務大臣 一つの問題は、大学入試の資格ということでございますが、外国人学校卒業者の大学入学資格ということで従来いろいろ検討しているところでございますが、特に私から検討したい旨を申し上げたことがございます。
 そこで、現在、諸外国における、それぞれの国に設置されている外国人学校がどういうふうに取り扱われているか、単に入学に対する条件だけではなく、例えばどういう条件を認めれば、アメリカでいえばアクレディテーションを受けられるか、こういうふうなことについて、今までも調査がなかったわけではございませんけれども、特に、現在の急速な国際化の中でどういうふうになっているかについて、きちっと調べた上でいろいろなことを考えさせていただきたいということを申し上げております。このことは今続行中でございますので、そのことを御了承賜れれば幸いでございます。
○池坊委員 これらの勧告にかんがみ、昨年、兵庫県の県議会は、外国人学校生の大学受験を二〇〇〇年から認める決議をいたしました。ですから、公立大学を受験することは可能であるわけです。阪神大震災の折には、地域社会の連帯の中で、朝鮮学校は校庭を開放し被災者を受け入れたりいたしております。そういうことをかんがみますと、文部省も速やかにそのような方向に向かっていただきたいというふうに考えております。
 これも新聞等でもちろん皆様御存じのことですけれども、文部省は、昨年、朝鮮大学校の卒業生が化学専攻で京大大学院に初合格した折、大学や大学院の入学資格について、文部省としては各大学で判断することはできないという立場だというコメントを出していらっしゃいます。同時に、大学院の入学資格は、学校教育法と同法施行規則で、大学を卒業した者か、大学卒業と同等以上の学力があると認められる者となっており、朝鮮大学はどちらにも当たらない、入学資格がなければ当然受験資格もないと考えると答えていらっしゃるんです。私は、これをちょっと残念に思っております。
 先ほども大臣は、学校の規則というふうにおっしゃいました。文部省は、政令により、外国人学校は各種学校だから国立大学の受験資格がないとおっしゃいますが、私から見ますと、そもそも、なぜ外国人学校は各種学校なのかという疑問を持っております。
 日本にある外国人学校で最も数が多いのはいわゆる朝鮮学校で、初級、中級、高級、これは小学校、中学校、高等学校に相当するわけですけれども、学校教育法によって、類似の使用をしてはならないということで、小学校が、小学校と使えずに初級というふうになっていると存じます。これらと大学校を合わせて百四十校あり、韓国学校が数校、中華学校が数校、そのほかにインターナショナル学校協議会に所属している外国人学校が三十二校ございます。
 カリキュラムは、日本の学校のカリキュラムとほぼ変わらない、文部省の学習指導要領によってでき上がっておりますし、六・三・三制もとっております。私が調査いたしましたところによりますと、横浜中華学院は、高等部は百七十単位必要で、日本の学校より三十七単位多くなっております。また、朝鮮学校の教育課程の編成、総授業時間数は、日本が五千七百八十五時間なのに対し、百七十五時間多い五千九百六十時間となっております。
 これでもなぜ学校と認められないのかということがむしろ私には不思議でございますが、大臣はどのようにお考えでございますか。
○工藤政府委員 御承知のように、日本の学校教育法は、正規の小中学校等の一条学校と言われるのと、各種学校、専門学校等の種類があるわけでございます。各種学校は非常に多様でございまして、一条学校に比べますと、教員の資格でございますとかカリキュラムでございますとか教材等の内容でございますとか、種々の規制がほとんどなくて、いわば自由に教育できる施設でございまして、御案内のとおり、例えばお茶、お花から自動車学校あるいは英会話学校、さまざまでございます。中には、例えば看護学校のように、一条学校に準じたような極めて専門的で高度な教育を行っている学校もあるわけでございます。
 外国人学校について申し上げますと、なぜ先ほど合理的な区別かと申しましたのは、学校制度の違いによりまして一条学校と各種学校という種類があるわけでございますが、学校の接続ということからしまして、各種学校については正規の学校教育体系の中に入っていないという状況になってございます。
 在日の外国人の方々につきましては、御案内のとおり、日本の小中学校に入学できる仕組みがございますし、また、例えば韓国系の学校のように、一条学校として設置することも可能なのでございます。ところが、朝鮮人学校の関係は、子供たちに罪はないのでございますけれども、関係の方々があえて日本の学校に入学させない、あるいは一条学校としての設置もしないという選択をされて各種学校のままでいらっしゃるわけでございまして、そういう学校制度の違いからくる区別といいましょうか、いわば先方の関係の方々の選択によるやむを得ない区別になっているわけでございます。その点を御理解いただければと思います。
○池坊委員 ちょっと視点を変えまして、昨今、盛んに国際化ということが言われておりますけれども、有馬大臣は、国際化とは一体どういうものだというふうにお考えでございますか。
○有馬国務大臣 非常に広いので一言のもとにお返事を申し上げることはできませんけれども、ただいまの学校の件で申し上げておきましょう。
 私は大学が詳しいものですから、アメリカの大学について申し上げますと、日本の大学あるいはドイツの大学がアメリカにつくられたとします。それはすぐにアクレディテーションが通るわけではなく、それぞれの州できちっとした条件を満足しているかどうかをまず申請の後に調べる。そういうことを積み上げた上で初めて州として、アメリカは州立及び私立でございますから国立の大学はありません、州立の大学が認められる。
 こういう意味で、国際化という点で、やはりアメリカの大学にしても、ほかの国々の大学にしてもあるいは高等学校にしても、我が国で認める際には、まずきちっと申請があるとありがたいと思います。
 今大学のことについて申し上げておりますが、外国大学日本分校が日本の大学の認可を受けることを希望するということでございましたらば、まずやはりきちっと申請をしてくださって、その上で、私立学校法に基づいて、きちっと大学設置・学校法人審議会の審議を経まして許可を下すことになると思います。これが、日本として外国に対する国際化の、大学ですが、大学に対する礼儀だと思っております。
 したがいまして、アメリカの大学が随分日本にありますけれども、できる限り大学設置・学校法人審議会の方に日本の大学になるための御希望を出していただきたいと思っております。外国の学校ですが、私はある大学に対してそういう要請をしたことがございます。
○池坊委員 そうすると、先ほどの局長のお話も考えますと、各種学校である限りは日本は学校として認めることはできないということでございますね。そうしたら、朝鮮学校も外国人学校も、きちんとした学校という申請を出してほしい、でなかったら学校ではないということを局長も大臣も言っていらっしゃるということですね。――では、外国人学校がその言葉をどう受けとめるかは、私の言うことではございません。
 ただ、私は、これから日本もアメリカのように、同一民族、同一言語をしゃべる人ばかりではなくて、多民族が互いに多様な価値を尊重し合いながら、折り合いながら英知を出し合って生きていく社会になっていくんだと思います。そういうときに、ただ無差別に入れなさいと言っているのではなくて、外国人学校生に国立大学が、あなは各種学校であるから受験資格はないのですと言うことはおかしいのではないかな、不都合なのではないかなという気がしているのです。受験をさせることにおいては、すべて公平に、平等に門戸を開く方がより国際的であるというふうに私は考えますが、いかがでございますか。
○有馬国務大臣 たびたび申し上げますように、今フランスで例えばどういうふうに扱われているか、こういうことも調べております。私の知っているところでは、先ほどアメリカの大学について、きちっとした審査があるということを申し上げました。
 同じように、程度はわかりませんよ、外国に対して少し甘いかもしれない。アメリカの例を見ますと、大学入試資格を持つ、あるいはフランスでありますとバカロレアを受験することができるというようなある一定の条件が満たされている場合だと思います。ですから、できる限りそういう形を整えていただきたいと私は申し上げているわけですね。決して反対をしているわけじゃない。要するに、日本の国の主権のもとできちっとしたことを認める必要がございますので、その点をひとつ外国学校もお考えいただけないかということを繰り返し申し上げている次第でございます。
 私は、決してそれを一方的にだめだよと申し上げているわけではなく、ほかの日本のいろいろな学校と同じように、そういう条件を整えて、そして国として、あるいは初中教育であれば各地方自治体の認可というようなことを受けていただければ幸いだということを申し上げている次第でございます。
○池坊委員 制度が大切だという大臣のお話は、私はそれには反対ではございますが、大臣の御見解として伺っておきます。ただ、日本国の主権のもとで朝鮮学校が日本の教育制度に反しているというふうには私は考えておりませんけれども。日本国の主権のもとでというふうにおっしゃったのがちょっと私はひっかかりますけれども、まあ、これは大臣の御見解でございますから、これに対しては何も申し上げないことにいたしましょう。
    〔委員長退席、栗原(裕)委員長代理着席〕
 在日朝鮮人教職員同盟がユネスコに告発をいたしております。つまり、世論を喚起して、世論から日本を変えてほしいというふうに願っているわけでございます。日本政府が民族学校卒業生に大学受験資格を認めないのは国際条約違反だというふうに言っているわけでございます。
 これも大臣のお言葉をおかりするならば、日本は日本のやり方があるのだから、そういうことを言っても別に大したことではないということになるのだとは思いますけれども、私は、国立大学の受験を認めないということで日本が世界からも人権を尊重しないと言われることは、子供の教育上も決して好ましい状態ではない、文部省のこれからの行政にとっても決して好ましいことではないというふうに考えております。
 言うまでもなく、在日外国人の地方参政権を認める法案も今国会で出されようとしております。また、政府は九日の閣議で、在日外国人の指紋押捺を全廃することを柱とする外国人登録法の改正案を決定いたしました。
 日本は、国民の中に人権に対する意識が希薄だというふうに言われております。私は、教育上の立場から、本来、文部省こそがいち早く、人間の尊厳、人権、平等、正義感、そういうものを教育していくべきではないかと思っております。いじめ、不登校とかが問題になっておりますときに、文部省が率先して、世間から見ればいじめと思われるような行動をしていくことは行政として後手と言われますので、その点にもかんがみ、私はこれからお考えいただきたいと思います。
○有馬国務大臣 たびたび申し上げますように、私は、外国人学校でしっかりした教育をしているところはきちっと、初中教育であれば各地方自治体におっしゃって申請されて、そこできちっとした許可を求めていただきたいと思いますし、大学としてはきちっとした申し入れをなさってくださって、そしてほかの日本の大学などと同じようにきちっとした審査を受けていただきたいと思っています。決して教育内容が悪いとかそういうことを申し上げているわけではないので、やはりそういう形ということが必要であろうと申し上げた次第です。その上で、全面的に、外国人の学校に対しては私はできるだけのことはしたいと思っております。
 特に、今御指摘の、ある民族の子供たちが周りからいじめられるというようなことは、断固として排除すべきことだと私は思っております。必要な手は打ちたいと思っておりますけれども、やはり人種差別ということは絶対あってはならないということは、これは文部省としても私としても強く主張していることでございます。
○池坊委員 最後に、制度が大切だから受験はできないのだということは、私たちからは人種差別ではないと思っても、他方、受ける方から見たらそれはいじめに見え、人種差別として受けとめているという事実だけは御認識いただきたいと思います。









145回-参-文教・科学委員会-02号 1999/03/09

○政府委員(御手洗康君) 中教審は今回、教育委員会制度全般について御議論をいただいたわけでございますけれども、最終的な御答申の中では、予算の編成権あるいは条例提案権等、現在都道府県知事あるいは市町村長が持っております権限について、これを独自に教育委員会に持たしたらどうかというような形での最終的な御提言はなかったところでございますので、私ども現在準備しております法律改正の中には、そのような法改正は含まない形で作業させていただいているところでございます。
○本岡昭次君 文部大臣、ちょっと一言お伺いしますが、文部省という名称をどうするんですか。大蔵省は、大蔵省に戻すんだという話があるが、文部省も教育科学技術省というふうになるとかならぬという話でしたが、文部大臣はどういうふうにお考えなんですか。
○国務大臣(有馬朗人君) 実は、橋本前総理のもとにありました行政改革会議の一員といたしまして、名前については随分苦労をいたしました。しかし、現在、御承知のように教育科学技術省という格好で一応決まっています。しかしながら、今は総理大臣の方に一切が任されておりますので、その結論を待ちたいと思っております。これは御承知のように、後藤田さんを座長とした有識者懇談会の報告が既に昨年十二月に総理へ提出されたところでございまして、これは一切総理の決断によるということでございますので、私はその結果を静かに待っているところです。
○本岡昭次君 わかりました。私は、改革ということで、分権の時代を推進していくということで、教育も分権の中の軸になっていくと思いますが、やはり文部省という名称は改めた方がいいという立場です。
 それでは、在日外国人の大学受験資格問題について若干お伺いします。
 前回も質問いたしまして、現在調査中だということですが、調査の進展状況について御報告ください。
○政府委員(工藤智規君) 昨年の末に大臣の命を受けまして、諸外国二十三カ国・地域の政府の当局とそれから約二百ほどの外国人の学校を調査対象として現在調査中でございますが、それぞれの国の事情もあるようでございまして、すぐには回答を出せない、しばらく待ってくれというまず第一報が来たところもございますけれども、これまでのところ約三分の一ぐらいの回収をしているところでございます。しかも、その回収の中でも国によりまして、同じ国の中でありながら一つの学校は、例えば大学入学資格につきまして資格があるという御回答があるかと思えば、同じ国の中での別の学校は、インターナショナルバカロレアという別のバイパスを通りながらそういう資格があるという、若干まちまちな部分もありますので、そのあたりの精査をし、かつ回収率を上げてさらに整理してまいりたいと思っておるところでございます。
○本岡昭次君 一九九六年にも、文部省の委託研究である外国人学校研究会の、諸外国における外国人学校の位置づけに関する研究という報告結果があるようですが、ここでのデータもかなり今重要な意味を持つのじゃないんですか。
○政府委員(工藤智規君) 御指摘のように、平成七年度に大学関係者の研究会での御調査をいただいたものがございます。諸外国の外国人学校を相手にしての調査でございましたが、これでもある程度の様子はわかるのでございますが、今回私どもが行っておりますのは先ほど申し上げましたように諸外国の政府レベルと各学校レベルと両方なのでございますが、この平成七年度に行われた調査は各学校レベルだけなのでございます。したがいまして、先ほど申しましたように、各学校側の理解として大学入学資格があるという御回答の中にも、果たして無条件で資格があるのか、別のスキームの中でそういう資格が与えられているのかということの精査などをする必要がございますので、私どもが今回の調査でダブルチェックしながら確実を期してまいりたいと思っておるところでございます。
○本岡昭次君 念のために学校教育法施行規則六十七条を読んでいただけますか。
○政府委員(工藤智規君) 学校教育法施行規則六十七条でございますが、「学生の入学、退学、転学、留学、休学及び卒業は、教授会の議を経て、学長が、これを定める。」とございます。
○本岡昭次君 文部大臣、調査を待ってこれの答えを出しましょうということです。しかし、今の学校教育法施行規則六十七条には、はっきりと大学自治という立場から、「学生の入学」云々から、「卒業は、教授会の議を経て、学長が、これを定める。」、こうなっておるんです。
 しかも、外国人学校の卒業生を入学させるということじゃなくて、自分のところの学校で勉強する力があるか、勉学する能力があるかどうかということを試験をするという、その資格すら文部省が一律に縛っているというのはいかがなものかということでこの議論がずっと進んでいるんですが、文部省が一斉に解禁して、大学の教授会の議を経てこれを認めなさいとか、認めてもよろしいとかいうふうなことを一律に指示を与えてやらすというふうなことをすると、これまた大学自治との関係にかかわってくる面も出てこようと思いますから、今言ったように、学生の入学から卒業、こういうことは「教授会の議を経て、学長が、これを定める。」と、こうあるんですから、もうこれはそれぞれの国立大学の判断に任せて、そして外国人学校の卒業生の受験資格は認めようということを教授会で決めれば、それはそこの教授会の決定に従ってそれが行われたんだと。そして、試験を受けさせてだめであれば入学させなければいいわけですから、入学させるだけの力があると認めれば、それはその学校の判断で入学させるというぐらいのことを、規制緩和じゃありませんが、もうやってもいいんじゃないかということをつくづくと思うんです。
 でないと、ことしも大学院のところでどこか出てきたようですが、しかしそれは、受けたけれども結果がだめであったということで入学できなかった。結果として入学できなかったということは当然あるんですから、受験の機会まで奪うというのは、もうこの国際化時代、グローバルスタンダードとかなんとかいろいろ議論されている中で、なぜかたくなに国立大学がそれを拒み続けるのかということについてはどうしても納得のいかないところなんですが、大臣、いかがですか。
○政府委員(佐々木正峰君) 今御指摘いただきました学校教育法施行規則の六十七条でございますが、この規定は、具体的に大学を受験した者について入学を許可するかどうかということについては「学長が、これを定める。」わけでございます。ただ、大学を受験する前提となります入学資格につきましては、学校間の接続や全体としての学校教育体系を明確にし、大学教育の水準の確保を図るという観点に立ちまして、一定の学修を修了した者に対してこれを認めておるところでございます。
 そういった立場から、大学入学資格につきましては、学校教育法の規定に基づいて、高等学校卒業者またはそれと同等以上の学力があるとして文部大臣が認める者に与えられているところでございまして、それぞれの大学において個別具体に、この者には入学資格があるとかないとかというふうな判断をするということとなりますと、我が国の学校教育体系にかかわる基本的な問題ということになりますので、これは認められないというところでございます。



145回 衆 予算委員会第三分科会 01 1999/02/17

○保坂分科員 社会民主党の保坂展人です。
 尊敬する有馬文部大臣に、たびたびでございますが、本日は、国際的な問題にもなっております外国人学校卒業生の、とりわけ国立大学へ入学する、あるいは国立大学の院に入学する件について、重ねてどうしても確かめたいと考えます。
 先日、大臣の所信の際に、確かに調査をお始めになっている、私たちは、せっつくようでありますけれども、なるべく早くと要望しているところですが、調査が確かに始まっているというのはお聞きをしています。この調査が現状を変えるという前提ではないということもおっしゃいましたけれども、場合によっては、この調査を踏まえて、現実にあわせて変更する部分も全くないというわけではないということで、ずばりお聞きします。
 国連の規約人権委員会が我が国に勧告をしたということについて先日お尋ねしたところ、やはり調査をするということ自体進歩である、要するに進んだのだというふうに大臣からおっしゃっていただいたのですね。そうすると、やはりこの問題については、つまりこれまで停滞していたということもある面で直視されて進歩というふうに言われたのかどうか、そこからお願いしたいと思います。
○有馬国務大臣 かねがねこの問題はさまざまな機会に出てきていたことでございますし、国連等々でも問題になっているということはよく知っていることでありますが、やはりさまざまな情勢を判断して、今日まで現在の文部省の考え方を続けてきたことであります。
 この前もお返事申し上げましたように、そして今御指摘のように、現在、諸外国での事情それから日本の国内の状況等々を的確に把握することがまず第一に必要なことと私は認識しているわけです。それが果たして進歩したのか後退したのかわかりませんけれども、ともかくきちっとさまざまな条件について把握をしたい、状況について把握をしたいというのが、今文部省として考えている行き方でございます。
○保坂分科員 進歩とおっしゃったので、私は進歩というふうに大臣がおっしゃったとおりだと思いますが、では、この調査、まだ結論が出ていないのですが、一体何人ぐらいの方がどういう責任体制でやっておられるのか。ちょっと実務も含めてお答えいただけますでしょうか。
○有馬国務大臣 今、詳しく学術国際局長よりお返事申し上げます、現場から申し上げますが、私が知っている限りにおいて、諸外国のさまざまな対応がありまして、大変苦労をしているようでございますので、もうちょっと時間をいただければ幸いだと思っております。詳しくは学術国際局長よりお返事申し上げます。
○保坂分科員 では、その実務を伺う前に、典型的なケースとして、シンガポールのインターナショナルスクール卒業直前に東京のインターナショナルスクールに入った場合には国大へ入れないんだ、その逆は入れるんだという例を大臣にお示しして、疑うわけではないがその点も検証してみたいと言われましたが、例えばそういう具体においては、何か大臣自身が少しずつその調査の過程でつかんだということはございますか。実務の説明の前にちょっと。
○有馬国務大臣 まだ総括的に聞いてはいません。個別にある程度聞いてはいますけれども、これは不正確でありますので、やはりきちっとした報告がまとまったところで、まとめて正確に聞きたいと思っております。
○工藤政府委員 先般もお答え申し上げましたように、昨年来、外務省の協力を得まして、二十三カ国、地域の当局及び二百ほどの外国人学校を調査対象にして今お願いしているところでございますが、それぞれの国の御都合もありまして、集計状況は必ずしもよろしくない。今のところ三分の一程度の状況でございまして、別に私どもが集計作業の手を抜いているということではございませんで、回収が行き届いていないということでございます。
 それから、大臣からも今お話がありましたが、個々具体の途中経過で、大臣に必ずしもまだ御進講申し上げてございませんけれども、外国人学校の回答状況によりましては、同じ国なのに、ある学校は大学入学資格があるという御回答をいただきながら、他の学校はインターナショナルバカロレア資格を得ないと大学入学資格が与えられないという御回答などもありまして、同じ国であっても回答がまちまちなケースもございますので、それも精査しながら、今後さらに集計作業を進めてまいりたいと思っております。
○保坂分科員 税金がもったいないので、国会の審議を実質化するために、一度お聞きしたことは覚えていますから、今聞いたのはそうじゃなくて、だれが責任者で何人ぐらいの方が作業に当たっているか、それだけ聞いているんです。お答えください。
○工藤政府委員 先ほど申したように、まだ回収できておりませんので、集計作業には全く当たってございません。
○保坂分科員 文部省というところは、教育を、子供たちの成長、発達を保障していく役所ですよね。ちょっと私の言葉が足りませんでしょうか。要するに、何人の人が調査スタッフで、だれが責任者になってこの調査をしているのかと。これで三回目なんですよ、答えられませんか。
○工藤政府委員 最終的な責任といえば私にあろうかと思いますが、うちの学術国際局の中の国際企画課で所管してございます。
 この専任のための人数があるわけではございませんで、他の業務を行いながら、今後集計作業等を行いますので、何人で調査に当たっているかという人数までつまびらかにできるわけではございません。
○保坂分科員 水かけ論もおかしいのですが、例えばその二十三カ国の中に台湾も含まれていますか。台湾だと、中華学校がありますよね、日本に。中華学校を卒業した方は台湾の大学に入れるはずなんですね、そのあたりは把握していますか。調査に加えていますか。
○工藤政府委員 先進諸国八カ国のほかに、アジア地域十五カ国、地域を対象にしてございますけれども、台湾も対象にしてございます。
○保坂分科員 それでは、さらに続けて伺いますけれども、これはもう長いこと質疑してきて、この問題は、確かに大学入学資格については規制緩和の時代に入っているわけでございますね。少子化、子供の数が少ないということもあって、例えば専修学校を卒業した人もかなり幅広く受け入れているし、専門学校も編入をこの際認めていこうという方向になっています。それから、院にしても、社会人入学だとかそういう方向になってきているのだけれども、この問題については、教育の根幹にさわる問題であるということで、そう簡単ではないんだというのが歴代政府答弁なんです。
 さて、その教育の根幹とは何かということなんですが、既に、大臣御存じのように、私立学校、公立学校並びに今回の国立の院など、文部省の意向にかかわらず、国際的な潮流で受け入れている。試験をやって、試験に通った方については、合格をして大学生になったり、あるいは院に入ったりしている。これによって何か教育の根幹が揺らいでいるでしょうか。
○佐々木政府委員 我が国の学校制度は、おおむね年齢によって小、中、高、大学というふうに構成をされておるわけでございます。したがいまして、小学校から中学校、中学校から高等学校、高等学校から大学へということについては、やはりどの程度の学習を修了したのかということが入学資格の根本になる、基本になるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、そこの部分を乱すということになりますと、学校間の接続という観点から見て、あるいは全体としての我が国学校教育体系という観点から見て、適切ではないというふうに考えておるところでございます。
○保坂分科員 学級崩壊というのもあるのですけれども、国会崩壊と言われないようにちゃんと答弁してください。
 要するに、我が国の教育の根幹というのは大事なものですよね、根幹ですから。根幹に触れるからだめなんだということを言ったわけです、今局長は。しかし、根幹に触れると言われたことを私立や公立の大学で既に認めているところもありますよ。根幹にさわったでしょう、どういう影響が出ていますか。はっきり答えてください、影響がどう具体的に出ているのか。
○佐々木政府委員 一部の私学や公立大学において外国人学校卒業生を入学させているというのは、事実でございます。ただ、このこと自体、我が国の学校教育法の体系に照らして適法なことかというと、この点はやはり問題とせざるを得ないわけでございまして、このことは、我が国の学校間接続という観点から見て適切さを欠くという意味において、我が国教育制度の根幹にかかわるというふうに考えておるところでございます。
○保坂分科員 大臣は俳人でもあられますし、科学者でもあられますけれども、根幹にかかわることというふうにおっしゃっているのですが、では、具体的にどう根幹にさわったのか証明していただきたいと言っても、多分できないのだと思います。先日、私は文部省の若手の官僚の方と意見交換する機会があったのですけれども、これはしつこく問題提示されているけれども、ちょっと今までの答弁姿勢では限界があるかもしれないなという声も、率直に言って文部省の中にもあると思います。
 今の点について、教育の根幹にもしさわるのであれば、私大において受け入れた、あるいは公立大学において受け入れたときに、もう根幹が揺らいでいなきゃいけないわけです。そういう意味で、試験をパスして無条件に入れろというようなことを外国人学校関係者も言っていませんよね。試験はきちっと受ける、しかし試験の資格がないという問題について、いかがでしょう、今の局長答弁も踏まえて。
○有馬国務大臣 たびたび同じようなお答えをしてまいりましたけれども、そしてまた、たびたび同じような考えを述べてまいりましたが、今の点につきまして、法律の中に、例えば大学院の場合でありますと、同等以上の学力がある者として云々というふうなことが入っていますね。そこいらが、本来は旧制から新制に移るときに、旧制度の人を落としてしまってはかわいそうだというような考えがあったことによってあのような法律がしかれているわけです。ですが、今日、それがもうひとり歩きをしているところがある。
 そういうことで、今の御質問に対しても、直接お答えになりませんけれども、きちっとやはりその辺についても整理をし直さなきゃいかぬと私は考えております。そのためには、例えば私立とか公立において、先ほどの、ややあいまいである法律の文言を使って通ってきた子供たちが一体本当に伸びたかどうか、問題があったか、こういうことをやはりきちっと把握しておく必要があると私は思っております。まだしておりません。
 こういうこともあり、まずその前に諸外国の、たびたび申し上げるように諸外国における日本人学校、あるいは諸外国で日本人学校以外の学校に対してどういうふうな対策をとっているのか、この辺についても全般的によくにらんだ上で、さらに、必要があればしかるべき場所できちっと審議をして、その上で整合性のある方式をとりたいと思っております。
 ただし、その際に、一遍にすべてが何らかの格好で明らかになるか、それとも段階で行くのか、これはわかりません。あるいは、先生の御不満な答えが出る、これはかなり大きな可能性があると思いますが、それにしても、そういういろいろな考え方をきちっと整理した上で、もうちょっと時間をいただいた上できちっと申し上げたいと思います。
○保坂分科員 それでは、外務省に来ていただいていますが、国連の規約人権委員会でこの問題について言及した指摘、勧告があったと思うのですが、簡略に、どういう勧告があったのか。それから、例えば昨年一年間国連を舞台にしてこの問題が、主なところ、どういうところで議論になったのかということを、おわかりであればそれも加えて簡単にお答えいただきたいと思います。
○上田政府委員 今お尋ねの、いわゆるB規約人権委員会、ここにおきまして昨年の十一月五日に採択されました最終見解という中で、さまざまな我が国から出した報告に対します最終の見解ということが表明されておりまして、肯定的な要素とともに懸念の事項とか勧告とかということが行われておって、その中に、先ほどから御議論になっております朝鮮人学校の不認定を含む、日本国民ではない在日韓国・朝鮮人、マイノリティーに対する事例に懸念を有する云々というような意見が出されております。
 それから、これは別のフォーラムでございますけれども、児童の権利に関する委員会におきましても、最終見解として、これもまた日本の事情に対する報告の審査の最終見解として、六月五日にやはり同様の言及がなされているところでございます。
○保坂分科員 では、もう一回外務省に伺いますが、例えば規約人権委員会の勧告というのは五年に一回ですね。前回も勧告があって、今回は、どうも前回の勧告は勧告にとどまって、事態の改善が一向に見られないということに懸念を覚えるというようなことも付記されているようにも聞いていますけれども、今回の勧告は、日本政府につまりどういう責務あるいは努力義務を負わせているものなんでしょうか。政府としては何をするべきだと勧告しているのか、お答えいただきたいと思います。
○上田政府委員 日本国は条約を批准して、これを守る義務がございますから、条約そのものにつきまして、もちろん遵守義務があるわけでございますけれども、この規約委員会そのものは、先生御存じのように、専門家の方々から成る委員会における審査ということでございますので、このこと自体が直接的に拘束をしてどうこうしろというわけではございませんけれども、今も関係の官庁、この場合におきますと文部省の方においていろいろと検討されておるところでございます。
 国としては、こういうような委員会等の審議の際に、もちろん事情をよく説明をし、理解を得て、誤解があれば解かなきゃいけませんけれども、また、指摘されたところについていろいろと措置を講じた方がよいというところは、もちろん関係省庁ともいろいろ協議の上講じていくというのが一般的な対処方針でございます。
○保坂分科員 私はよくこの問題で質問に立っておりますけれども、国連の場で何度も、勧告で五年に一回、前回も今回もというのはやはり、これは朝鮮人学校、韓国学校だけじゃなくて、ほかの外国人学校も含めた状況の改善ということを国際世論の場では求められていることだろうというふうに思います。
 大臣にちょっと、たびたび聞いて申しわけないんですが、テンプル大学日本校は、東大のトップとして、これは認めるに足る立派な学校だとお認めになったんですね。今回、東大の中からも、東大の若手の先生の中から、やはりこれは変えた方がいいんじゃないか、文部省の従来の立場もわかるけれども、しかしここまで国際世論が出てきている以上は、受験そのものも認めないというのでは民族差別と言われても仕方がない、状況を改善すべきだという声が上がっているというのを御紹介していると思うんですが、こういう声が有馬先生の後輩というか、うんと年下の若手の教官から上がるということについて、どういう御感想をお持ちでしょうか。
○有馬国務大臣 まず第一に申し上げておきたいことは、この問題を、一国だけの問題ということではなく、もっと広い問題と考えているということを最初に申し上げたいと思います。
 先ほどシンガポールの例をお出しになっておられる。その中にテンプル大学のようなものもあるわけです。テンプル大学のときにはどういう問題があるかというと、そもそも日本の大学設置の基準を満たせば、大学設置に関する審議会に出しまして、そこで許可を求めたいというくらい今充実している。それからまた、当時既にアメリカの本校の方は極めて充実していて、アクレディテーション等々もぴしっと通っている。そういうことから、教育内容においてもかなり高いというふうなことが確信できたわけであります。
 こういう点で、もちろん文部省の解釈と違っておりまして、当時も実は、法学部の方でありますが、その話を出して、そして実行した後で、文部省の方から解釈が違うという注意を受けたということでありますが、先ほど申しましたように、テンプル大学に関しては、相当調べまして、その上で実力は十分あるだろうと判断をしたわけです。これが第一点。
 その次に、今若手の話をお聞きいたしました。
 大学の人間というのはさまざまな考えを出すことは当然であり、自分たちが正しいと思ったことは、言ってくださることは私は大いに聞こうと思っています。ただ、そのときにすぐにその判断に従うかどうか、これはやはり私どもの、特に文部大臣としての責任がございますので、きちっとその意見を聞き、その上で正しい判断をしたいと思っております。
○保坂分科員 それでは、再び東大がテンプル大学日本校の卒業生を院に受験を可としよう、文部大臣もこうやって再三委員会の場で、大変立派なきちっとした学校であるというふうに答えられているわけで、そういう選択をしたときに、今度は文部大臣、立場が違って、やはり文部省としてなお注意をするということになるんでしょうか。
○有馬国務大臣 現在の体制であれば、そうなると思います。
 ただ、一つ申し上げておきたいことは、大学審議会等々でずっと議論を進めてまいりまして、大綱化及び大学をつくるときの条件が大分緩和されております。そういう状況ということも新たに考えていかなければならないと思っております。
○保坂分科員 この議論はずっと水かけ論的にもなってしまうんですけれども、要は国際世論がある。それから、とりわけ大臣に一つお考えいただきたいのは、私も四十代になれば、時間の感覚が二年とか三年とか言われれば、すぐかなというふうに思うわけです。ところが、うんと若いころに戻ってみますと、私自身も十四歳、十五歳のときに、余り人が受けたことがない、内申書で全部記載されて、高校に、とりあえず受験したけれども、全部落ちてしまったという現実がありました。そのころを思い出すと、半年というのは大人になった時代の五年分ぐらい、一年となると十年先ぐらいに、特に思春期の若者は、そういう時間の極めて圧縮した時期を生きている。進路をどういうふうに選ぶのかというときに、これは大変調査を急がれているのはわかりますけれども、早急に結論を出すべきことと思います。
 文部省の中にすら、今までの扱い、従前の扱いでいいんだという意見があるからこういう御答弁をずっと続けられていると思うんですが、見直した方がいいぞという意見もおありだと思います。そのところをもう一度、まさに受験期の若者を念頭に置いて御発言いただきたいと思います。
○有馬国務大臣 たびたび同じお答えを申して恐縮でありますけれども、この問題が重要でないと思っているわけではなく、極めて重要であるという認識は文部省にもちろんあるわけであります。そういう点で、より具体的にこの問題が今浮上してきている。それだからこそ、条件がどうなっているか、諸外国あるいは日本国内すべてをきちっと調査した上で判断をしようと申し上げている次第でございます。なるべく早い時期にある答えが出るようにいたしたいと思っております。
○保坂分科員 それでは、その調査、多分指令をされたのが九月の下旬だと思います。現在二月の半ば。大臣のタイムテーブルから見ればちょっと時間がかかっているかなと思われているという御発言もありましたけれども、いつ結果が出るでしょうか。
○工藤政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、何しろ外国にお願いしているわけでございまして、先方の都合によって私ども動かざるを得ない部分があるわけでございます。今は三分の一ぐらいでございますが、ある程度量的にそろわないとなかなか結果がまとまらないという事情があるわけでございます。
 他方で、先ほどのように、同じ国で若干答えが違う場合の際に精査をしなきゃいけない部分などがございますので、私どもできるだけ急ぎたいと思いますけれども、今のところいつまでにできるかというのは、先方次第ということでございますので、御理解いただきたいと存じます。
 それから、一つだけ申し上げますが、先ほど来いろいろお話がございましたけれども、本件についての規約委員会での勧告ということでございますが、勧告あるいは最終意見も含めていろいろな部分がございまして、朝鮮人学校の部分については勧告ではないのでございまして、意見表明と承っております。
○保坂分科員 三分の一に五カ月要したとすれば、全部終了するのに十五カ月なんということはきっとないと思いますが、それはありませんよね。大臣、いつごろをめどに結論を出したいと、これは少し言っていただけないでしょうか。有馬大臣、お願いします。
○有馬国務大臣 私は、なるべく早くと思っています。
 ですが、具体的に言えば、ことしの試験はこれでもうほとんど済んでしまいましたので、これから、来年の場合のことも考える、大学院等々考えれば、この六月、七月までと考えております。
○保坂分科員 六月、七月まで。ぜひ、国会での議論も大事ですから、通常国会が終わらないうちにできるだけ速やかに結論をいただきたいことと、ただ私は、急がせたということで十分整理できなかったなんということがないように、やはり国連からの、勧告じゃないというような意見もありましたけれども、再三、国際社会でこれを説明するのに大変な苦労を外務省関係者も多分することだろうと思います。
 そういう意味では、国際交流ということを掲げて、ここがやはり具体的なポイントですので、ぜひこれは、国際世論あるいは外国人学校、さまざまありますけれども、関係者の方々が、やはり有馬大臣の決断だったというふうに言われるようないい整理をしていただきたいということをお願いをして、私の質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。


145回 衆 文教委員会 03 1999/02/10

○保坂委員 社会民主党の保坂展人でございます。
 大臣には引き続き、九月十八日に本文教委員会でお尋ねをした外国人学校卒業生の入学資格問題を中心にきょうは質疑をさせていただきたいと思います。
 九月の下旬でしたけれども、私どもの土井党首とともに、この質疑を踏まえて、文部大臣のお部屋にさらに要請ということで出向かせていただきました。その席で大臣は、果たして実情がどうなっているか、これを各国に照会して、大体集めるのに二、三カ月くらいはかかるだろう、その後分析して判断したいというふうにおっしゃっていました。半年くらいかなというふうにおっしゃっていたので、そろそろ結論が見えてくる時期というふうに思いますが、現在の調査の進行状況、例えば何カ国からもう返事が来ているのかなど、少しお話しいただけたらと思います。
○工藤政府委員 お答え申し上げます。
 昨年大臣が申し上げたように、各国の実情調査をしようということで、外務省の協力もいただきまして、先進国、アジア地域を含めまして二十三カ国・地域の御当局と、それから約二百ぐらいの外国人学校に調査票を送っているところでございます。
 ただ、国によっていろいろでございまして、すぐには返事できない、数カ月待ってくれというレターが来たところもございますが、現在までのところ約三分の一ぐらいの回収状況でございまして、その集まりぐあいを考えますと、なおしばらく時間を要するのではないかと考えているところでございます。
○保坂委員 この問題を考えますと、率直に申し上げて、日本はまだ鎖国の後遺症が、これだけ時間がたっているにもかかわらず、あるのかなという気がいたします。
 例えば、この問題でも、外務省のあたりからも、文部省の解釈ではこれは国際社会に通用しないぞという声も上がっているというふうに聞きます。事実、国連でこの問題、たびたび指摘されておりますよね。大臣、そのあたりいかが御認識でしょうか。
○有馬国務大臣 私の了解しているところでは、必ずしもおっしゃられたとおりではないと思います。やはり外国に対して、外国の人たちの学校に対してどういうふうな判断をしていくかということに関しましては、一方では御指摘のような面もございますけれども、他方、またさらに慎重な考慮をすべしというようなところが外務省あたりにもあるように聞いております。
 ですけれども、おっしゃるとおりに、今調査をいたしておりますので、三分の一というのは私の予想よりは少し遅いかと思いますけれども、やはり各国の事情もあってすぐに答えが出せない。バングラデシュですか何かは大変苦労しておられるようでありまして、余り無理強いもできないところもありますが、なるべく早くこの調査は終わり、その後の検討に入ってまいりたいと思っております。
 もう少し丁寧に申しますと、外国人学校卒業者の大学入学資格につきましては、昨年来、検討したい旨申し上げております。諸外国における、それぞれの国に設置されている外国人学校に対する取り扱い等の調査を行うなど、今後の国際化の中でどのように考えるかを整理することにしておりますが、このようなことは、これまでの取り扱いを変更することを前提とするものではないということは申し上げているとおりでございますけれども、さらに急いで整理をして判断をいたしたいと思っております。
○保坂委員 大臣は九月十八日の答弁で、例のテンプル大学日本校の卒業生の院の受験というのをお認めになった立場、当時は文部省からいわば指導を受けた。今度は逆に、その東大も含めて指導をする、この立場について、このことは文部大臣になりますとやはり矛盾があるなということをつくづく認識しておるということを述べられているのですね。調査をしたり、いろいろ調べていく中間だと思いますが、矛盾があるというのは今でもお感じになっていますか。
○有馬国務大臣 大変難しいところでございまして、どういう取り扱いをしていくかというのは国によって違うところもあるし、それから、日本に置かれたさまざまな国の学校にもよっているわけですね、教育内容等々。
 そういう意味で、一つのはっきりしたお答えは今できないのですけれども、私が東京大学総長時代の平成三年に、テンプル大学はアメリカにおいてアクレディテーションをちゃんと受けているというようなことを認識した上であのときは判断をいたしました。
○保坂委員 官僚答弁はなるべく排して。
 要するに、矛盾があるというふうにはっきり率直におっしゃっているので、そのことを今でも、いや、矛盾していなくて、やはり文部省の説明するとおりだったというふうに今は変わっていらっしゃるかどうか、ちょっと確認したいのですが。矛盾があるというのは、やはりそのままですか。率直なお気持ちだけで結構です。
○有馬国務大臣 たびたび申し上げましたように、さまざまな大学の現在の教育指導の方法であるとか、そういうところで違いがあるなということの認識をいたしております。
○保坂委員 もう既に新聞各紙で御存じだと思いますけれども、九州大学で、この方は合格しなかったようですけれども、大学院の受験を認めるということがありました。
 比較社会文化研究科の科長は、同じお名前の有馬さんとおっしゃる方ですね。文部大臣が、かつての東大総長として大学の判断をなさった部分を、なかなか今発揮できない分、同じ名前の有馬さんはなかなか頑張っておられるなと思いますが、この方は、朝大の卒業生かどうかを判断したのではなく、大卒と同等の能力があるかどうかを正式に審査して受験を認めた。従来の規則を変更したのではなくて、これまでも朝大卒の志願者がなかったわけで、通常の手続で、法令にのっとった解釈であるとおっしゃっていますが、どうお考えになりますか。私はいいことだと思いますが、いかがですか。
○有馬国務大臣 我が国の大学院の入学資格につきましては、学校間の接続や全体としての体系性を維持し、大学院の教育研究水準の確保を図るため、学校教育法第六十七条の規定に基づき、大学卒業者またはそれと同等以上の学力があるとして文部大臣が定める者に与えられるとしておりますが、各種学校である、今問題になっております朝鮮大学校卒業者に対しましては、一般的に大学卒業者と同等以上の学力があると認定することが困難であることから、大学院入学の資格は認められないという判断をいたしております。
○保坂委員 今の答弁は、有馬さん以外のほかの大臣でも、だれでもできる答弁で、やはり東大のトップでもあられたという立場を踏まえて、ぜひ紙を見ないで答弁いただきたいと思うのです。
 その東大なんですけれども、やはり有馬大臣の指導がきいてしまったのか、朝鮮大学の方から要望書が東京大学へ院の受験に対して届けられていまして、これを見ると、都立大学など公立では三校、早稲田など私立では十一校、院の入学実績がある。この数は七十二人に上っている。その中には、その後、日本の国立、そして公立、私立大学の教授や助教授を務めている方もいるということで、門戸を開いてくださいと要望しているわけですが、結果、だめだったわけですね。だめだった結果、テンプル大学ジャパンを認めた総長時代の有馬先生の意思を継いだ、やはり国際的にも妥当な判断をされている若い学者の方たち、先生方が、東京大学が認めなかったのは、これはまずいのではないかと。
 ちょっと御紹介しますけれども、私たち東京大学に勤める者にとって、これはより身近な、深刻な問題だ。現在、さまざまな海外からの留学生を大学院生として受け入れています。その際に、国籍やその国の大学の教育課程が異なることを理由に受験を認めないという措置がとれるでしょうか。日本の社会にあって日本語教育を受けた朝鮮大学校卒業生に対してのみこうした扱いがされるのであれば、それは民族差別と呼ばないわけにはいかないでしょう、こういうふうに言われているのです。
 民族差別というふうにここで東大の先生たちもおっしゃって、これは大変だというふうにおっしゃっていることについて、大臣、どうお考えですか。これは、ぜひ肉声でお答えいただきたい。紙は要らないと思うのですけれども……。
○有馬国務大臣 今御指摘の大学だけではなくて、ほかの学校などに対しても同等の取り扱いをしているはずであります。ですから、特定の大学に対し、特定の国に対して差別をするというようなことは全くありません。その点は申し上げておきたいと思います。
○保坂委員 一番冒頭に、考えれば考えるほど鎖国をしているのかなというふうに思ったのは、十一月六日、これは国連の規約人権委員会で勧告が出ました。五年ぶりですね。その勧告には、はっきりと十三番目に、「委員会は、朝鮮学校の不承認を含めて、」これは朝鮮学校だけの問題ではないですけれども、「日本国民ではない日本の韓国・朝鮮人マイノリティに属する人々に対する諸々の差別の実例に懸念を抱く。委員会は日本政府に、規約二十七条の下での保護は国民のみに限定されないとする一般的意見二十三への注意を促す。」こういう勧告。そして同時に、これは五年前にも同様のことを言っているので、どうもほとんど進んでいないじゃないか、五年間何やっていたんですかと言っているわけです。
 二〇〇三年に政府は報告書を出すのです。大臣、いかがでしょうか。このような姿勢でずっといって、国際社会で通用するでしょうか。
○有馬国務大臣 ですから、私は調査をすると申し上げていて、調査をしているところでございます。その点は明らかに進歩しているわけです。
○保坂委員 大臣、それではお聞きしますけれども、その調査というのは、現状を変更することも含めた選択肢でなさっていると解してよろしいですか。
○有馬国務大臣 現状ということもあり得ると思います。
○保坂委員 つまり、現状固定ということもあり得るし、現状を変更するということもあり得る、その二つの選択肢がある、こういうふうに解釈してよろしいでしょうか。
○有馬国務大臣 現状を続けるという選択肢はかなり大きいと思いますけれども、実情を判断して変更することもあり得ると思います。
○保坂委員 規約人権委員会など国連の機関から、ジュネーブに行けば再三指摘されるわけですよね。外務省から悲鳴の声が上がるのもやむを得ない状況。ここは各大学の判断にゆだねて、まさに今やられている調査に私ども若干の懸念があるのは、これまでずっと長いこと変更していないので、やはりこれだけは変更できないということで、こういう勧告が出ても、最後まで、法的拘束力がない、それだけを繰り返すのみで、ずっと平行線でいくという心配があるんですが、この点はいかがでしょうか。
○有馬国務大臣 あくまでも調査の結果を待ちたいと思います。
 それからもう一つは、やはりその際には、外国のことが絡むことでありますから、外務省等関係省庁とも相談をしていくことになると思います。
○保坂委員 硬直しているのは外国人大学校だけじゃないんですね。
 これは東大の院の話だと思いますけれども、大学三年生で外交官試験に受かった方がいらっしゃいます。大学の方は中退されますよね。そして、外交官となってから院を受験した。合格したわけですね。合格してさあと思ったら、中退をしているので合格を取り消してしまったということが東大で起きた。こういうことはもう少し柔軟にやるべきじゃないでしょうか。
○有馬国務大臣 私は、これは、外交官試験の方は通っても卒業してほしいと思っております。東大としてはその方針をとってまいりました。ただし、外国の大学に入ることがありました。その際には、この人物は十分東大の四年間を卒業したものと同等の資格があるという手紙を出しまして、ハーバード等々で受けてもらったことはあります。しかし、東大としては、やはり三年で出てしまえば、これは中退です。そういう意味で、私は、外交官の方の問題があると認識しているわけであります。
○保坂委員 やはり外務省からため息が聞こえてきそうな答弁なんですね。
 それでは、これは引き続き聞いていきますし、もう一つの選択肢、つまり現状固定じゃないことも含んだ、現状固定の方がどうも大きいというので少し不安なんですけれども、ぜひちゃんと正確な判断を下していただけるように、どうでしょう――一番問題は、インターナショナルスクールもあるし中華学校もあるんですけれども、問題は、朝鮮人学校であり朝鮮大学校であるというのは大体本音の話なんですね。どうでしょう、大臣、そこにきちっと出向かれて、何をやっているのか、どれだけの課程を組んでやっているのか、どの程度の学習をやっているのかごらんになったらいかがでしょう。
○有馬国務大臣 これはさまざまな点から検討しようとは思っていますけれども、直接出かけていくことがいいかどうか、これはさまざまな判断をしなければならないと思っております。



144回 参 法務委員会 01 1998/12/03

○千葉景子君 まだいろいろお聞きしたい部分はあるんですけれども、これを一回目といたしまして、具体的にいろいろな事実をきちっとこの場にも提供いただきながらまた議論をさせていただく機会を持ちたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 さて、この規約人権委員会の指摘の中で、さらにもう一点きょうはお聞きしておきたいと思うんですけれども、在日外国人にかかわる問題も指摘をされております、この項目で言うと見解の十三項目というところに当たるんですけれども。
 実は、私は神奈川県に住んでおりますが、川崎市というところで外国人の皆さんにできるだけ社会に加わっていただき参画をしていただいたり、あるいは地域の行政にもさまざまな形で参加をいただくような機会をと、参政権というところまでには至りませんけれども、外国人市民代表者会議というような形で意見を行政に反映するというような取り組みもされています。
 よく私もその意見を聞かせていただいたりしているんですけれども、その中でもやはり問題になっておりました。そして、この十三項目めでも指摘がされておりますが、今、在日朝鮮・韓国の皆さんなどの学校は、いわゆる学校教育法第一条に伴う一条校と位置づけられておりませんで、各種学校という位置づけになっているんですね。これはまず文部省でしょうか、この区分けをしている理由をお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(工藤智規君) 御案内のとおり、小学校、中学校等の学校教育法一条に基づきます学校につきましては、我が国の国民の育成を目的として設置されているわけでございますが、他方で今御指摘の朝鮮人学校、例えばアメリカンスクールなどもございますが、それぞれの外国人学校というのは、それぞれの国情に合わせて、あるいはそれぞれの国の国民教育をするという観点から当該外国人の子弟のみを中心に運営されている教育機関でございまして、学校教育法の一条で目的とするところとは違うということでございます。
 したがって、必ずしもすべてが各種学校ではないのでございますが、任意の教育施設という形での運営もあるようでございますけれども、一条学校としては設置されていないという状況でございます。
○千葉景子君 形式的にはわかりました。
 ただ、実際この学校が日本の社会の中でもう既に大変長い実績を持ち、そして現実にはそのカリキュラムなども日本の学校に準じて行われている。違いますのは、やっぱり民族の文化あるいは言語、そういうものを大事にするという意味でそういう教育の時間を持っているということは、逆に言えば当然のことであろうと思いますけれども、それを除けばほぼ日本の学校と変わらない、そういう実績を積み重ねてきている。ただ、今言ったように、一条校でないというがゆえに、例えば国立大学の入学資格が得られない、あるいは各種資格試験などの受験資格が与えられないという実情にあるわけです。
 先ほどの形式論からいいますと、それが一条校とそれぞれの学校の違いだと言えばそれまでですけれども、今や国際的なそれぞれの人権を保障し、そして教育の場を保障し、また民族の文化や言語をお互いに尊重し合う、これが基本であると考えれば、日本の大学の受験資格が得られなかったり、あるいは資格試験の受験すらできないというような状況は、もう実態として在日外国人に対するある意味では差別と言って過言ではないのではないか。だからゆえに、この規約人権委員会の十三項目でも、朝鮮人学校の不認定を含むマイノリティーに対する差別の事例に懸念を有するという指摘がされているわけです。
 日本政府の報告書の方では、JRのパスの問題などには改善を見たというようなことは記載をされておりますけれども、この学校の問題については触れられておりません。
 かねてから子供たちの本当に将来の夢をつぶすような取り扱いについての問題点が指摘されておりますけれども、文部省としてはこれをどういうふうに考えているんですか。このままでいいのだと考えているのか、あるいは、いやそうじゃない、何か違った方向性、解決を考えていこうという姿勢を持っておられるのか、いかがですか。
○政府委員(工藤智規君) 大学の入学資格というのは学校制度の根幹にかかわる部分でございまして、学校間の接続の問題でございますとか、全体としての学校教育体系の明確化あるいはその水準の維持という観点から、御案内のとおり、例えば高校以下につきましては学習指導要領という形で一定の法的拘束力のある教育課程を定めたりしている中で設置運営されているわけでございます。それに対しまして各種学校というのは、そういう意味での法的規制は全くなくて、自由に教育活動ができるといういわば強みもあるわけでございます。
 そういう中で、一条学校と各種学校との関係は必ずしも委員御指摘のような形ですぐに解決するものではないと私どもは考えてございまして、確かに人権委員会の方からの御懸念はなされているわけでございますけれども、私どもとしては、将来にわたってもこの学校制度については根幹の維持について慎重に検討していかなきゃいけない問題であると考えているところでございます。
 ただ、他方で、御承知だと思いますけれども、私ども、公立の小中学校というのは日本国民の場合は義務教育になっているわけでございますけれども、日本国民以外の方についても開放といいましょうか、就学のお誘いはしてございまして、在日朝鮮人・韓国人のみならず、すべての外国人に対して日本の義務教育の場で学習していただく機会を提供申し上げているわけでございますが、残念ながらそういう一条学校にはお通いにならない、選択の自由の中で運営されているという実情もあるわけでございます。
 いずれにしましても、いろいろ御指摘もございますので、それぞれの国で仕組みは違うのでございますが、例えば日本人子弟に対する外国での教育の機関はいろいろございますけれども、それがそれぞれの国でどういう扱いを受けているか今調査をしているところでございまして、それぞれの国情あるいは法制度等によって綿密な検討は必要でございますけれども、諸外国の状況も調査いたしながらさらに今後の検討の材料にしていきたいと思ってございます。
○千葉景子君 あしたからどうだとまでは私は言いませんけれども、その姿勢というのが私は非常に問題だと思うんですよ、消極的というか。日本の学校へどうぞと言っていると言いますけれども、そうしたら、そこで例えば朝鮮語、韓国語の教育をやるんですか、そういうことではないわけですよね。それぞれの民族あるいは人種を超えて、文化をお互い尊重し、共有し合っていこうということを考えたら、日本の方を開放しておりますからどうぞ、それに来ないんだったら知りません、こういう問題じゃないと思いますよ。
 各種学校というのも、それはすべて同じように扱えとも私もすぐには申しませんけれども、子供たちがきちっと教育を受け、そして日本の社会の中でもこれから生きていこう、努力をしていこうと言っていることについてもっときちっと受けとめる姿勢があっていいんじゃないかと思うんですけれども、きょうは法務委員会でもございますので、ぜひそれはきちっと検討していただくように私は指摘をしておきたいと思います。もしあれば。
○政府委員(工藤智規君) 日本人で海外に出向いている方もたくさんいらっしゃるわけでございますけれども、その子供たちの就学の状況は先生も御承知だと思いますけれども、日本語学校という形で私どもと同じ教材によって教育をしている学校を運営し、そこで勉強している子供たちもおります。現地のそれぞれの国での学校に入っている子供たちもおります。他方で、その間といいましょうか、現地の学校に通いながら日本語でございますとか日本の文化でございますとかを土日に補習するという形での補習校を運営しているという形態での勉強の仕方もございます。
 そういう意味で、日本国民としての外国での日本人の子供たちも苦労しながらそうやっているわけでございますが、先ほども申しましたように、長く日本に住んでおられるわけでございますから、できれば日本の子供たちと早くから溶け込んでいただいて、しかも必要であればそれぞれの国の文化、言語等を別の形で勉強する機会もないわけではございませんので、そういうものをとれないのかなということも私どもとしては考えているところでございます。
 いずれにしましても、先ほど申しましたように、諸外国でのそれぞれの状況も調査しながらさらに検討してまいりたいと思っております。
○千葉景子君 これまでの長い歴史を考えながら、ぜひこれは再度検討させていただきたいと思います。出入国管理にかかわって、ちょっと一、二点だけお聞きをいたします。・・・

 
143回 参 文教・科学委員会 03 1998/09/24 (本岡)

○本岡昭次君 これはぜひ頑張っていただきたいと思うんです。小泉厚生大臣でしたか、随分頑張って厚生省関係だけは別枠だというのをかち取られたこともあるんですし、よろしくお願いいたします。
 それから、文部省は今回のこの答申を受けて、教育改革を推進するんだという立場に立っておられます。まことに結構であります。そしてその中に柱を二つ立てて、教育委員会と学校等の自主性、主体性の確立、いま一つが教育分権の推進ということで、この二本柱で教育改革を推進するということでこの答申を受けとめておられます。私はまことに結構だと思うんです。
 その中で、学校の自主性、自律性ということの中に、民間人の登用も含めた校長の適材を得るために校長資格の弾力化、あるいは主任制の抜本見直しと職員会議の法令上の位置づけの明確化、学校評議員制度の導入といった内容があるんですが、こうしたものが学校の自主性、自律性の確立を促すものとすれば、こうした内容はいかにあればいいかと、これらのありようは。これは文部省が従来のように一定の方向を決めて、そして行政通達という形で下に指導をおろす、そして各都道府県は一斉にその指導を見習ってやるということであれば、これは自主性、主体性の確立、あるいは地方分権の推進ということと全然相反することになってしまうんですよね。
 だから、こうした問題は、やはり都道府県あるいは教育現場のそれこそ自主性、主体性というものを推進しながら、自分たちの力でここに求められているような状況をつくり上げていくんだと、主体性、自主性のある学校をつくっていくんだというふうにやはり現場を奮起させなければならぬ、こう思うんです。でなければ、私はやっぱりモラルハザードみたいなものが学校にもどんどん起こってくる心配をするわけでありまして、そう
いう意味で文部省にこれは要請だけしておきます。
 上から指導通達をおろして、学校はかくあるべきという枠の中で自主性、主体性なんというものはないわけで、結局文部省から言われたからとかいうことになるわけで、自分たちで決めて、自分たちでやるんだという、こういう姿勢をやはり確立させるように、よろしくお願いしたいと思います。また、具体的にこうした法律なりあるいは議論をする場が出ましたときに改めて意見を述べさせていただくことにいたします。
 次に、外国人学校卒業生の大学受験資格の問題をお伺いします。これは私は何回も今まで質疑を繰り返しているのでございます。
 九月三日に、京都大学大学院理学研究科が受験を認めた朝鮮大学校卒業生三人のうち一人が合格したということが新聞に出まして、私はほっとしたのでありますが、この問題について有馬文部大臣は閣議後の記者会見で、「受験資格を認めないのは矛盾のないやり方だが、」私は矛盾があると思うんですが、「矛盾のないやり方だが、今日の国際化の中でこのままの形を踏襲した方がいいのか、検討したい」と、私から見れば従来より一歩前進した見解を述べられたようであります。これは、ようであります、あくまで新聞で拝見したのでありますから。
 しかし、今日の国際化、自由化の中における文部行政の頭のかたさ、閉鎖性、保守性、私ももうこれにはあきれるのでありますが、何とかもう少し頭をやわらかく、国際化に見合った開放的なものに外国人学校卒業生の大学受験問題は対応すべきではないかと、こう思うんです。
 この問題がもう既に国連の人権委員会で取り上げられたり、また子どもの権利条約を審査する国連委員会にも取り上げられて、早急な是正を日本政府に求めるというふうなことも起こっております。
 それで、文部大臣、御存じだと思いますが、公立や私立の大学では、昨年九月現在で公立五十七校中三十校、私立四百三十一校中二百二十校が受験資格をもう既に認めているんです。公立て五三%、私立て五一%と、過半数の大学が受験資格を認めている。しかし国立大学だけは頑としてこれは認めない。これはどうもいかがなものかと思います。
 それで、外国人学校卒業生の大学受験資格を今年度の大学受験から認める措置を私は早急に行うべきだと考えますが、大臣が検討したいとおっしゃっておりますけれども、これはやはり大臣の決断ではないかと思いますが、いかがでしょうか。大臣にお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(有馬朗人君) お答えいたします。
 先ほど矛盾がないと申し上げましたのは、現在の国内の外国人学校がほとんどすべて各種学校となっており、各種学校の教育内容については法律上特段の定めがないために、その卒業者に対しては一般的に高等学校卒業者と同等以上の学力があると認定をしていない状況であります。困難であると考えている。そのために、大学入試資格を認めないという意味で一つの筋が通っていると申し上げたわけであります。
 しかしながら、御説のように、この国際化の時代にもう一度状況を私としてもしっかり押さえておきたいということで、我が国の外国人学校卒業者の大学入学資格との関連で先日より調査したいと申し上げておりますが、その内容について明確に定義をさせていただきたいと思います。
 まず第一に、我が国の在外教育施設の当該国における法的、制度的な位置づけ、その卒業生の当該国における大学学部、大学院を含む上級学校への入学試験がどのような取り扱いを受けているかということが一つであります。ある程度わかっておりますけれども、慎重にもう少し詳しく調べたいと思っております。
 それから二番目に、我が国にある外国人学校の歴史や現状がどうなっているか。
 第三番目に、我が国にある外国人学校のそれぞれの母国における制度上の位置づけなどがどうなっているか。それから、それぞれの母国における上級学校への入学資格がどうなっているか。
 四番目に、国際化に伴い、日本と外国の学校を移動することがさまざまな形で考えられます。その相互関係の中で取り扱いに矛盾がないかというあたりについてまず調査をさせていただきたいと思っております。
 先ほども申し上げましたように、ある程度は認識はしているのですが、さらにきちっとしたいと思っております。このような調査の結果を踏まえ、今後の国際化の中でどのように考えていったらいいかを少し私といたしまして整理をさせていただきたいと思っております。ただ、これはお断りを申し上げておきますが、ここですぐにこれまでの取り扱いを変更するということを前提にしているわけではございませんので、この点はひとつ御了承賜りたいと思っております。
 それからまた、これらの調査や整理についてどのくらいをめどにして行うかということも多分御関心がおありかと思うんですが、あらかじめ申し上げますと、私といたしましてはできるだけ早く行いたい、少なくとも調査は早く行いたいと思っております。
 それぞれの国の学校の制度や位置づけ、入学資格等は多様なものとなっておりますので、その調査や今後どのように考えるかということにつきましては、相当の時間をいただければと思っております。それから、その相当の時間という日本語はどのくらいなものになるか、私としてもここで即断は申し上げられない、調査の結果を見た上で少し検討させていただきたいと思っております。
 以上が現時点で私として申し上げられることかと思います。
○本岡昭次君 随分気を使いながらの御発言でございまして、よく私には理解ができます。しかし、はっきり申し上げまして、やはりこれは有馬文部大臣のときに解決しておかれるべきであろうと私は思いますので、何とぞひとつ頑張っていただきたい、このように思います。
 国際化、自由化という大きな波の中で、国立大学であるがゆえに何もできないということであれば、これは学術研究といった国際的な視野で考えていかなければならない点についてもやはり大きな障害になってくるんじゃないかと、私はこう思っておりますので、きょうは大変前向きの答弁をいただいてありがとうございます。希望が持てたような気がいたします。
 それでは、次にちょっと視点が変わりますが、財団法人日本中国教育交流協会の問題について若干御意見をお伺いしておきたいのであります。
 まず、文部大臣所管の財団法人というのは幾つあるんですか。
○政府委員(小野元之君) 文部省の所管法人は、平成十年九月一日現在で千八百十一法人ございます。これは、教育、学術、文化、スポーツと幅広く、文部省の所管の部分がいわゆる民法三十四条の公益に挙げてございます例示に非常に関連が深いということもございまして、数が多いのが現状でございます。
○本岡昭次君 私もびっくりしましたが、文部大臣もびっくりされておりまして、これは要するに、文部大臣が責任を持って管理監督せないかぬ財団法人が千八百十一あるということなんで、これは大変なことであります。
 その中の一つに日本中国教育交流協会というのがございます。実はこの財団が寄附行為の変更申請を文部大臣にしたのでありますが、その経過の中で、当時、その寄附行為変更を理事会なり評議員会で行う手続のところに瑕疵がある、問題がある、間違った決定をしたということをその当時の財団の常務理事が、寄附行為の変更を認可した文部大臣の監督責任ですか、を問う裁判が現在行われておるのでありまして、まず、文部大臣はその事実を御存じなのかどうかということをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(有馬朗人君) 事実はよく知っております。ですが、詳しくは官房長からお聞きいただければ幸いです。
○政府委員(小野元之君) ただいまございました日本中国教育交流協会につきましては、本年二月二十日付で寄附行為の変更認可申請が法人からございまして、文部省といたしましては認可したわけでございますが、この件につきまして同財団の元常務理事ほかから、文部大臣を被告として、認可を取り消すように求めた行政訴訟が現在起きておりまして、係争中でございます。
○本岡昭次君 既に二回審理が行われ、三回目が十二月に行われるとも聞いておりますが、どういう経過になっておりますか、裁判は。
○政府委員(工藤智規君) これは、先ほど先生が文部大臣の監督責任を問うたという御指摘でございましたけれども、監督責任というよりは認可そのものを取り消せという行政訴訟でございまして、私どもとしては、当時の手続、省内いろいろ調べまして、いささかもやましいところはございませんので、この訴訟について正当性をかち取るべく今対応しているわけでございますが、この訴訟そのものの提起されたのが五月十八日でございますけれども、第一回の公判が七月二十七日、それから第二回の公判が九月二十一日、先般ございました。
 詳しい裁判内容は、裁判長の訴訟指揮にもかかわることでございますのでなんでございますが、私どもで承知しておりますのは、訴えられた方々の法律上の利益といいましょうか、訴えの利益があるかどうかについて裁判長から再三準備書面の用意をするようにというお話がある中で、必ずしもその議論がかみ合っていないといいましょうか、原告の方の御主張が裁判長の訴訟指揮に合っていないような印象を受けているところでございます。

143回 参 文教・科学委員会 03 1998/09/24 (山下)


○山下栄一君 引き続き、公明でございますが、山下でございます。
 有馬大臣は中央教育審議会の会長をされておったわけでございまして、教育分野の最高権威といいますか、実質的にもそういうお立場から今回大臣になられたわけでございまして、今、日本の学校教育、学校教育だけじゃなくて教育の機能そのものが大変行き詰まっているという状況がございます。家庭における教育費の占める割合はふえる一方である。正規の学校だけじゃなくて、塾とか予備校とかもうあらゆる分野での学ぶ仕組みがたくさんあるわけでございまして、教育のニーズは高まる一方だけれども、既存の教育の仕組みは非常に制度疲労し行き詰まっている。そんな状況の中で有馬前会長が大臣に就任された、私はこれは大変大きな意義があるし、国民も大変期待しているんではないかということを感じております。
 特に、先日、中央教育審議会の地方教育行政に関する答申が出てまいりましたけれども、地方分権が非常に進んだ内容になっておりますし、また学校の自律性、主体性を確立するというふうな考え方が強く出ておりますし、また地域住民、保護者も含めて、地域の教育行政だけじゃなくて学校運営にも参加していこうというふうなこともございまして、非常に画期的な内容になっておる。ただ、この中教審の答申が骨抜きにならぬようにしていただきたいなと思っておるのでございます。
 限られた時間でございますので、私、具体的な質問を二点させていただきたいと思います。
 一つは、この九月の初めに、京都大学の大学院理学研究科の入試の結果、外国人学校、在日の朝鮮大学校の出身者が合格したわけでございますが、これに対して、文部省はこういうことはよくないというふうなお考えがあるというふうに聞いておるんですけれども、合格後、入学をさせないということなんでしょうか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(佐々木正峰君) 文部省といたしましては、大学において一たん合格者とし、あるいは入学許可を行った場合には、その学生の利益を考慮いたしまして、取り消しを求めるようなことは行わない、そういう考えでございます。
○山下栄一君 合格を国立大学院の側が認定した以上、御本人が入学を希望すれば入学は認めざるを得ないということですね。だけれども、受験資格を与えたことについてはよくないとお考えですか、どうなんでしょうか。
○政府委員(佐々木正峰君) 朝鮮大学校卒業生の大学院受験の関係でございますが、御案内のように、朝鮮大学校は学校教育法の体系では各種学校として位置づけられておるわけでございます。したがいまして、一般的に大学学部の卒業者と同等な学力があるというふうな認定ができないわけでございまして、大学院入学資格は認められていないところでございます。
○山下栄一君 これは、法令上もそれを拒否するような法令の仕組みになっているんですか。
○政府委員(佐々木正峰君) 大学院の入学資格につきましては法令で規定がございます。したがって、法令にのっとった対応を各大学に指導しておるところでございます。
○山下栄一君 ということは、法令上は受験資格を与えていないと。
 学校教育法施行規則七十条の五号、大学院が、「大学を卒業した者と同等以上の学力があると認めた者」ということで今回も受験資格を与えておるわけでございますが、そういう学校教育法施行規則七十条五号に当たるから受験資格を与えたと
思うんですけれども、何の問題もないんじゃないかなと思うんです。大学院側が受験資格を認めたから受験できたと思うんですね。そういうことになっていると思うんですよ。
 だから、法令上は受験資格を与えているんではないかと思うんですけれども、そうじゃないんですか。
○政府委員(佐々木正峰君) 京都大学におきましては、大学院の理学研究科において、問題となりました学生につきまして大学を卒業した人と同等の学力があると判断をし大学院の受験資格を認め合格させたということでございますが、根拠となります学校教育法施行規則七十条の第五号でございますが、御指摘のように、大学院において大学を卒業した人と同等な学力があると認めた者については大学院の入学資格を認めておるわけでございますが、この規定は、戦後、旧制度の学校から新制度の学校に進学する場合等の救済措置として規定されたものでございますので、現在問題となっておりますような朝鮮大学校の関係にこれを適用することはできないというふうに考えておるところでございます。
○山下栄一君 背景はいろいろあったかもわかりませんけれども、国際性が求められている時代、できるだけ前向きに解釈をしていくといいますか、というよりも、もっと明らかに門戸を開くような、そういう仕組みになっていないなら仕組みに変えていくというふうにしないと、日本はいつまで古い仕組みにしがみついているんだと、江戸時代でもないのだからというふうに私は考えるわけでございます。
 諸外国における日本人学校、また諸外国にも日本の私学の高校があると思うんですけれども、そこの卒業生を、居住国が要するに日本人学校の卒業生に大学受験の資格を認めたり、入学を認めたり、そういう例はたくさんあると思うんですね。と同じことが何で日本でできないんだと。日本人の子供たちは外国において大学受験を認められ、大学院にも入っているにもかかわらず、日本ではそれを認めないというのは非常におくれておる。
 特に人権の観点から、また国際化が求めている。留学生の方もたくさん日本に来られますし、日本の子供たちも別に大学だけじゃなくて高校段階から、中学段階からも勉強するために外国に行かれるという時代ですから、こういう激しい時代において、日本国内の外国国籍の方に対して、また、そこの民族学校といいますか外国人学校を出られた方に対して門戸を閉ざすようなことは、これはもう時代逆行も甚だしい、こういうふうに考えるわけでございますけれども、大臣どうお考えでしょうか。
○国務大臣(有馬朗人君) 多少お答えが先ほどと重複いたすかもしれませんけれども、この点については調査したいということをたびたび申し上げております。
 我が国の外国人学校卒業者の大学入学資格についての調査でございますが、その内容というものを、先ほど申し上げましたが、もう一度詳しく私の考えを述べさせていただきます。
 まず第一点は、我が国の在外教育施設の当該国における法的、制度的な位置づけや、その卒業生の当該国における大学学部、大学院を含む上級学校への入学試験資格がどのような取り扱いを受けているか、これは先ほど山下先生御指摘のことであります。かなりのものが外国でも認められているのでありますが、実態がどのくらいになっているかを調べたいと思っております。
 それから二番目に、我が国にある外国人学校の歴史や現状がどうなっているのか。
 それから第三点は、我が国にある外国人学校のそれぞれの母国における制度上の位置づけや上級学校への入学試験資格がどうなっているのか。
 四番目に、まさに御指摘のように、今日の国際化の時代に伴いまして日本と外国の学校を移動することがさまざまな形で考えられますが、その相互関係の中で取り扱いに矛盾はないかというようなことを調査させていただきたいと思っております。
 そのことを申し上げて、お答えといたします。
○山下栄一君 二十一世紀を目前にしまして、国の垣根といいますか、どんどん低くなっているというふうに時代は進んでいくと思うんですね。経済も国際化、ビッグバンと言われる金融部門もそうでございますけれども、環境にしてもそうでございます。また、こういう国を越えた連帯、子供のレベルの連帯、大人の連帯、こういうことが大変求められている時代であるというふうに思うんですね。
 特に、平和という問題を考えましても、軍事的な連帯もありますでしょうし、経済的な連帯もある。だけれども、私は、恒久平和の基盤というのは人間レベルの、特に国民といいますか民衆レベルの連帯、これがないと軍事同盟、経済同盟というのは非常に基盤が弱いと、このように考えております。
 そういう意味で、経済、軍事の連帯、プラス教育の連帯といいますか、そういう人と人とを結びつけてい(ことが大変重要な時期、日本の国内も学校の中もそうだと思います。心と心を結びつけていくこと心分断されていくこと自身が非常にいじめの問題とかいうことになっていっていると思うんです。家庭もそうだと思います。そういうきずなが非常に求められている時代だと。
 したがって、この教育の連帯ということがこれからますます重要な、平和を恒久化するためにもあるいは武器になっていく。武器という言葉はおかしいですけれども。そんな状況の中で、こういう歴史のある日本の外国人学校の卒業生に対して門戸を閉ざす仕組みがいまだにある。これは分断を促進するものであって、ましてアジアの在日の、特に中国の方とか朝鮮の方の民族学校といいますか外国人学校はたくさんあるわけでございます。
 そういうことから考えましても、先ほど御答弁ございました文部省の方の御答弁というのは、中教審がどんどん新しい意欲的な答申を出しているのに何でこんな後ろ向きのことをいまだに言っているのかなということを考えまして、大臣の方から具体的なことも検討していきたいとおっしゃっておりますけれども、これは速やかに門戸を開く形の結論を出していただきたい。中学、高校生レベルの運動の、インターハイその他門戸を開くことも進んでおりますし、全体的に日本国内における外国籍を持っている方に対する配慮といいますか、しっかりしないとアジアの中における、世界の中における日本の信頼はかち取れない、こういうことをお訴えしておきたいと思います。
 それからもう一つ、これは私の住んでおります大阪の問題でございますが、予算委員会でもちょっと大臣に御質問させていただいたんですけれども、大阪の最北端に能勢町という町があるわけです。ここに一般ごみの焼却施設がある。焼却施設のすぐ近くに府立高校がある。その府立高校の敷地内から高濃度のダイオキシンが検出されたということがことしの四月、二回目の調査で明らかになったわけでございます。
 そして、つい三日ほど前、今度は国の調査によりまして、この施設内、そして施設周辺、南の方に学校があるわけですが、町が調べなかった北の方におきましても一グラム当たり三千ピコグラムという、これはもう府立高校内の土壌汚染に匹敵するというか、それ以上の高い濃度の土壌の汚染がわかってきた。こういうこともございまして、住民の健康被害に対する不安が非常に広がっておるわけです。
 それで、いろんな原因が積み重なって、本当に世界でも類を見ない高濃度のダイオキシンも検出されておるわけでございますけれども、そのすぐ近くに府立高校があり、そこで農業演習もやっている。その農業演習の場所から高い濃度のダイオキシンが検出されているわけです。
 私は、今回の厚生省の調査も考えまして、やはり住民をもっと広く解釈して、そこで授業を受けていた子供たち、教職員の健康調査もきちっとやってあげるべきだというふうに思います。そして、高濃度のダイオキシンが検出された場合は、
しかるべくきちっと手を打っていくということも重要な課題であるというふうに私は思うわけでございます。
 それで、こういう問題は確かに所管外かもわかりませんけれども、学校の敷地内、そしてそこで学ぶ生徒、教職員にかかわることでもございますので、これに対する何らかの対応を他省庁に働きかけるとか、また独自で何か新しい取り組みをするとか、たまたまこれはわかった話で、ほかの全国にも調べればまた同じようなことが起こる可能性もございますので、文部省としてもこの問題は強くとらえていただいて、府立高校の話でございますので、大阪府とも連携しながらきちっと対応をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。



143回 衆 文教委員会 03 1998/09/18(松浪)

○松浪委員 とにかく、せっかくできた法律ですから、二〇〇〇年をめどに全力で頑張っていただきたい、こういうふうにお願い申し上げます。
 平成十一年度の概算要求なんかを見ましても、総合型地域スポーツクラブ育成モデル事業であるとか、あるいは総合型地域スポーツクラブ普及、定着の推進、加えて広域スポーツセンター育成モデル事業の推進等、既に予算を獲得しようという姿勢がはっきりしておって、もし、とらぬタヌキの皮算用ではございませんけれども、サッカーくじで収益を上げれば、これらをより大きなものにしていくという形で努力されているわけですから、二〇〇〇年をめどにお金がうまいこと入ってくるように頑張っていただきたいということを要望しておきます。
 と申しますのは、実は、私が深くかかわっておりますレスリング協会におきましても、サッカーくじでレスリング協会にお金が転がり込んできたら、こういうプログラムをつくってこうしょうではないか、そのお金を有効に使おうではないかというふうなプログラムもでき上がり、私のところにも送られてまいりました。
 各スポーツ団体は、地域社会の皆さんだけにとどまらず、大変期待をしておりますので、二〇〇〇年をめどにうまいこといくように局長にお願いをしておきたい、こういうふうに思います。
 次に移りますけれども、私も高等教育機関に身を置いた者の一人として心を痛めました。恐らく一番心を痛めたのは文部大臣であろうかと思いますけれども、さきの京都大学の大学院理学研究科の入学試験におきまして、我が国の学校教育法に定められた受験資格を持たない朝鮮大学校の卒業生が受験をし合格するということになりました。このことにつきましては、各紙が一斉に報道し、そして大臣もコメントを発されておるわけでございますけれども、私は、この際、この問題ははっきりとけりをつけなければいけないのではないのか、こういうふうに思う者の一人であります。
 なぜならば、大学の自治、学問の自由、そして入学の問題、卒業の問題については、文部大臣は関与することができない。けれども、その大学を管理するのは文部大臣である。これはどうしなければならないのか。もしこれを認めてしまいますと、来年から朝鮮大学校の卒業生は、京都大学はいつでも受験できる。つまり京都大学は、朝鮮大学校は各種学校ではなくて、京都大学だけが国立大学の中にあって朝鮮大学校を大学として認めるということになります。これらの矛盾点は学生にとっても不幸でありますし、教育に携わる一人として私は、余りにもあいまいではないのか、はっきりすべきだ、こういう思いを持っておりますけれども、大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
○有馬国務大臣 非常に難しい問題でございまして慎重にお答えをしなければいかぬと思っておりますが、まず、現在の段階においては、今お話がございましたように、京都大学において、大学院理学研究科において、当該学生について大学を卒業した者と同等の学力があると判断をし、朝鮮大学校卒業生の大学院の受験を認め合格させたということであります。
 しかし、御指摘のように、我が国の大学院入学は学校教育法に基づく大学で教育を受けたことが基本とされ、学校教育法の体系で各種学校として位置づけられている朝鮮大学校の卒業者には大学院入学資格は認められていないというところでございますので、京都大学にはこの旨を指導しているところでございます。
 文部省といたしましては、引き続き、このような考え方に基づき適切な対応がなされるよう、各大学に対して指導していく所存でございます。
○松浪委員 今の説明で尽きているのかもわからないのですが、釈然としない。
 大臣は、東大の学長をやられておったときには、外国人学校扱いのアメリカのテンプル大学日
本校の学生の入学を認められました。そして今は、それを認めない立場の側に立ったわけでありますけれども、大臣はテクノクラート、物事をはっきりすることをやってこられた研究者だと私は思う。今回は、今の説明だけでははっきりしていない。
 私は、朝鮮大学校の資料を集め、そしていろいろ見させていただきましたけれども、朝鮮大学校の卒業生で国立大学で学位を得た者は、大阪大学で七名、京都大学で三名、東大三名、北大一人、東北大二人というふうに、主に理学、工学の学位を取られております。そして、御案内のように、私立大学あるいは公立大学では既に受験資格を与えているわけであります。この整合性というもの、これもはっきりしておかなきゃならない。
 そこで提案でありますけれども、平成三年に文部省は学位授与機構というものをつくられました。ここで学位を、学士、修士、博士、この学士の学位を手中にすれば国立大学も受験できるのではないか。今回合格した鄭鎮洪さんはこのまま入学される。しかし、これを認めてしまいますと、ことしはよくて来年がだめだというようなことになりますと、朝鮮大学校の卒業生も不利益であります。
 ちなみに、朝鮮大学校のカリキュラムも私は点検をさせていただきました。しかし、この大学で行っている教育は、日本人からすれば容認しがたい一面があるということをも指摘しておかなければなりませんけれども、しかし、学問の自由、研究の自由というものを踏まえて見たときに、思想やあるいは民族というようなもの、あるいは現在の国交がないというような政治的問題、これらを無視してでも学問を受けさすべきである、ならば、その道を開く方法はないのか。私は、この学位授与機構というものを有効に活用すべきだ、こういうふうに思いますし、この鄭鎮洪君についても、可能ならば、この機構で学士の学位を取らすべきではないのか。そして、きちっとしたルールを定めておかなければ文部省も立場がないのではないのかというふうに心配をしておりますが、いかがでしょうか。
○佐々木政府委員 御指摘いただきましたように、学位授与機構は平成三年の七月に設置をされたわけでございますが、これは、生涯学習推進の観点から、高等教育段階のさまざまな学習の成果を評価して、大学、大学院の修了者と同等の水準にあると認められる者に対して学位等を授与するものでございます。
 この学位授与機構におきましては、学位等を認める場合に二つのケースがあるわけでございます。一つは、短期大学、高等専門学校の卒業者などが大学においてさらに一定の学修を行った場合に、大学を卒業した者と同等以上の学力を有すると認められる者に対して学士の学位を授与する、それが一つのケースでございます。もう一つのケースは、大学以外の教育施設の課程で、その教育を行うについて他の法律に特別の規定があるもののうち、大学あるいは大学院と同等の水準にあると機構が認定した課程、その課程を修了した者に対して学士等の学位を授与する、この二つのケースがあるわけでございます。
 他方、朝鮮大学校の関係でございますが、これは御案内のように各種学校でございますので、学校教育に類する教育を行う教育施設として自由で多様な教育を行い得る、そういう位置づけとなっておるわけでございます。したがいまして、学位授与機構が現在学位を授与する、高等学校教育の基礎の上に立って教育を行うといった性格のものではないわけでございますので、朝鮮大学校につきまして、学位授与機構の学位授与の基礎資格を与えるということは困難であるというふうに考えておるところでございます。
○松浪委員 局長は困難であるというふうにおっしゃるんですが、朝鮮大学校は朝鮮民主主義人民共和国が認めておる大学であります。としたならば、小平市にあるけれども、外国において学校教育における十四年以上の課程を修了した者、これが基礎資格を有する者ということになっておりますから、外国にある大学だ、学校だという解釈をするならば、この学位授与機構で学位を取得することが可能になります。
 それで、大臣はテクノクラートであります。そして、私は今も忘れませんけれども、昨年の五月三十日、中央教育審議会の二次答申を出されるに当たって、実現可能なことはやるというのが中教審の会長としてのお言葉でありました。そして、答申は八十五点だというふうにおっしゃっておられました。どこにマイナス十五点があったのか存じませんけれども。とにかく実現可能なことをやるというのが大臣の姿勢であるとしたならば、この問題は何らかの形で決着をしないと、一言で言えば、表現は悪いけれども、文部省が一国立大学にこけにされているということになります。その辺について大臣、いかがでしょうか。
○有馬国務大臣 現在は、先ほど申し上げた態度をとっております。
 しかしながら、この国際化の時代でございますので、さまざまな観点をもう一度整理をしてみようということは、この前新聞記者との会見でも言ったことでございますので、少し検討をする、そして整理をさせていただきたいと思っております。
○松浪委員 両国の関係は横に置きまして、学生の学問の問題、教育の問題でございますから、真摯に対応されますことを懇願しておきたいと思います。




143回 衆 文教委員会 03 1998/09/18(保坂)

○保坂委員 本日の長い長い質疑も最後で、社会民主党の保坂展人でございます。
 有馬文部大臣、御就任おめでとうございます。大臣御自身の体験、あるいは身近なところで不登校をめぐるお話、あるいはフリースクールをめぐってのお話、大変有意義なやりとりがあったと思います。また、超党派の議員で二十四時間子供の声を受けとめていこうというチャイルドライン、こういったことに対して文部省も前向きに取り組まれてこられているので、文部大臣にもぜひ御理解をいただきたいとお願いをするわけでございます。
 ところで、先ほど松浪議員からも既に問題の提示があったわけですけれども、私は、事態の緊急性にかんがみて、本日は外国人学校の卒業生の入学、入学というよりは受験資格問題を中心に質問をさせていただきたいと思います。
 若干重複もありますけれども、大臣が東大総長であられたときに、テンプル大学ジャパンの卒業生を、国際的にこれは評価の高い大学の生徒であるというふうに認定をしていただいて大学院受験を認められたということに対して、改めてではございますけれども、心から敬意を表したい、このように思います。大学人の良識に従った、時宜にかなった御判断であったと思います。
 そして今回、今度は別の立場で、文部大臣として、京都大学の大学院への先ほどあった朝鮮学校卒業生の受験、並びに今度は合格が伝えられてきたわけです。このとき、文部大臣に、かつての東大総長時代同様の良識ある判断を貫いていただきたいと強く切望する次第であります。
 これは、新聞、雑誌でも、いろいろ散見すると、テクノクラートという言葉もありました。そして、この問題にどういう一歩をしるされるのか、大変注目が集まっているところでございます。そしてまた、大臣は理論物理学者であり、また同時に俳人でもあられると承っております。私も、言葉、文章で子供たちに学校やいじめの状況を伝えるということを十数年なりわいにしておりましたので、言葉に少しこだわって、ぜひ本音のところを聞かせていただきたいと思うのです。
 といいますのは、十日ほど前でしょうか、新聞紙上に、この問題を検討されるということが載ったわけでございます。ところが、新聞によってはこれはニュアンスが百八十度違う見出しになっておりまして、大臣自身も、変えるということを前提にせずに検討していくと、ちょっとわかりにくい表現なんですね。変えるということを前提としないで検討していくということを少し考えてみますと、変えないということを前提にしない、つまり、絶対これは変えないんだということを前提にしないということであれば、もうそもそも検討する必要さえないわけでございます。あるいは別の表現では、矛盾がないかどうかの確認も含めてというお言葉もあります。矛盾がないかどうか再確認されるというのは、矛盾があるかどうかの疑いが発生したということではないかと思うのですが、ここらをもう少しわかりやすい言葉でお話しいただきたいと思います。
○有馬国務大臣 まず、私が東京大学学長時代の平成三年における判断を申し上げます。
 テンプル大学というのは、御承知のように、アメリカにおいてアクレディテーションを受けていて、私も訪問したことがありますが、非常にしっかりした大学であります。その大学の日本校でありまして、かなり内容のしっかりした教育を行っている。そういう点で、法学部の方に属しております法学政治学研究科においてテンプル大学日本校卒業生の大学院の受験を認めたいということがありましたので、それは各研究科の自治の面もありますので、認めた次第であります。
 このことに関しましては、今回の京都大学の問題と同じような問題がございまして、大学院入学資格を認めることについては慎重にすべきであるということを文部省より指導を受けたということが事実でございます。
 しかし、先ほど申し上げましたように、東京大学内においては、従来の慣例といたしまして、大学院の入学資格の有無については各研究科の判断に任せられているという慣例がございまして、そういうことに従ってその後も同大学日本校卒業生に大学院入学試験を受けるというふうなことに対する資格を認めた例が二、三あったかと思います。
 このことは、文部大臣となりますと、これはやはり矛盾があるということをつくづくと認識をいたしております。そこで、現在のところは、先ほど申し上げましたように、文部大臣といたしましては、今後とも各大学において大学院入学資格に
ついて適切な対応がなされるように指導をせざるを得ないと思っております。
 しかし、私がこの前新聞記者等々に対して答えましたことは、外国人学校の卒業者の入学資格について今後検討しようと考えていると申しましたことの真意を申しますと、今御指摘のように、必ずしも今までの取り扱いを変更することを前提とするものではございませんが、この機会に、まず、我が国の在学教育施設の卒業者が外国にいてどういう待遇を受けているかとか、あるいは我が国の在学教育施設の卒業者がそれぞれの国で、当該国でどのような扱いになっているかとか、そういうことを調査してみる、今後の国際化、今非常に国際化が進んでおりますので、極めて多様になってきておりますので、そういう多様な状況を一度きちっと整理してみたいと思っているわけであります。
 しかし、現在のところは、たびたび申し上げますが、我が国の大学、大学院の入学資格は学校教育法上各種学校として位置づけられている外国人学校の卒業者には認められておりません。現在のところとしては、引き続きこれに基づいて適切な対応がなされるよう、各大学に対して指導していくということを考えております。
 以上でございます。
○保坂委員 ちょっとあえて踏み込んでお尋ねをいたしますけれども、大臣は、東大当時は文部省から指導を受けた、大学人としての判断で確信を持ってこれはよしという判断をされたということでございます。
 今回、朝日新聞の朝刊、九月十七日ですけれども、閣議後の会見で、京都大学も指導し、そして東大にも慎重な対応をしてほしいというふうにおっしゃっているのですが、これ、東大には指導あるいは何らかの対応を求められたのでしょうか。あるいは京都大学に対しては、やはりその大学人の判断ということを尊重された対応を貫かれてきたかどうか、そこの点を大臣自身の判断の経緯も踏まえてお聞かせいただきたいと思います。
○有馬国務大臣 このことにつきましては、私も詳しく高等教育局長より報告を受けました。高等教育局長を通じて各大学に対してしかるべき指導を行っております。もし必要があれば高等教育局長に……(保坂委員「東大については」と呼ぶ)東大にも言ってあると思います。
○保坂委員 では、少しこの問題、実は三月からたびたび文教委員会で機会を見つけながら取り上げてまいりまして、なかなか、平行線の議論が正直のところ続いております。何とか実態を明らかにしながら一歩でも二歩でも前進させたいわけなんですけれども、三月十八日に当時の雨宮学術国際局長に、まず外国人学校、これについて把握している数について伺いを立てたところ、ちょうど百三十校というお答えがあるのですね。ちょうど文部省のこの分厚い学校基本調査報告書平成九年版で調べていましたので、ここに百三十五というふうにありますよと。その議論の後ずっと、四カ月か五カ月たって、このずれというものがどうして生じたのかということを考え続けてきたのですよ。これについて、現在の学術国際局長に実態のところをわかりやすく簡明にお聞かせいただきたいと思うのですが。
○工藤政府委員 経緯からいたしますと、三月十八日の当文教委員会で委員から御指摘がありまして、平成九年五月一日現在の外国人学校の数についての御質問でございましたが、百三十か百二十九かということで食い違いがあったわけでございますが、その後精査しましたところ、百三十と答弁申し上げた中に廃止されていた学校が一校含まれていたということが判明いたしまして、後日先生に御報告しがてら訂正させていただいたところでございます。
 学校基本調査の百三十五校との食い違いにつきましては、学校基本調査は学校種別の詳しい分析をしていない調査報告書なのでございますが、百三十五校の中に日本語学校が十一校あり、それから、県から生徒数がゼロで申告してあった学校が一校あったということの差し引きをいたしますとちょうど百二十五校になるということでございます。
 先ほどの百二十九校との関係で申しますと、百二十九校の中には休校中のものが四校あるということでございますので、先生とのやりとりの関係で申し上げますと、大変混乱させて申しわけございませんでしたが、百二十九校ということで、その中には四校の休校中のものが含まれるということでの誤解で御勘弁いただきたいと思います。
○保坂委員 あえて確認させていただいたわけです。
 そうすると、工藤局長にさらに伺いますけれども、文部省国際教育室では、いわゆる個々の外国人学校の実態、教育課程であるとか教育内容であるとか、これは把握されているのでしょうか。簡単にお答えいただきたいと思います。
○工藤政府委員 御承知のとおり、国内でのいわゆる外国人学校というのは、かなりの学校が各種学校の認可を受けているところが多いわけでございますが、その所管は都道県知事でございまして、私ども文部省で直接各種学校の内容についてまで精査するような作業は行ってございません。
○保坂委員 余り精査してないということで、その数が何校あるのか、答弁とかあるいは報告書の数も実はいろいろずれていたということだったのかもしれません。
 そこで、さらに文部大臣に伺いたいと思います。わかりやすい事例で、インターナショナルスクールに通う日本人の生徒の話をしたいと思います。
 シンガポールの日本人学校に十一年半在学して、日本のインターナショナルスクールで残り半年をやって、さあ国立大学というのはだめですよということなんですね。受験資格がそもそもありません。逆に、日本のインターナショナルスクールに十一年半在学して、半年シンガポールのインターナショナルスクールに在学する、これはオーケーなんですね。これはやはり矛盾だとお思いにならないでしょうか。――いや、これは文部大臣にお聞きしていますので。もう前回、答弁聞いていますので、有馬文部大臣にお答えいただきたい。
○佐々木政府委員 ちょっと事務的なことを申し上げさせていただきたいと思うのでございますが。
 日本のインターナショナルスクールに十一年半在学し、シンガポールのインターナショナルスクールに半年在学したというケースでございますが、これにつきましては、シンガポールにおけるインターナショナルスクールがシンガポールの国内においてどのような扱いを受けているかということによって、我が国の大学の入学資格が認められるかどうかということが決まってくるということを申し上げさせていただきたいと思います。
○保坂委員 それもわかっているんですね。たびたび、もう二十回ぐらい確認しているのでわかっているのですけれども、そういう前提がおかしいと思われませんか。
○有馬国務大臣 先ほど申し上げましたように、そのような問題点がどういうところにあるか全般的にもう一度見直してみたいというのが、この前から申していることでございます。
○保坂委員 では、今度は答弁をお願いします。
 それでは、今おっしゃったように、シンガポールにあるインターナショナルスクールも学校によって違うわけですね。それぞれインターナショナルスクールでも、各国の教育法制に準拠していたり、あるいはプライベートなものだったり、さまざまあるわけです。
 そうすると、実際に日本人の子供たちが海外で卒業して国立大学受験を志してくるというときには、どうやってこれを調べるのですか。だれがどこで調べて、これはオーケー、ここはだめというふうに答えを出しているのでしょうか。
○佐々木政府委員 外国のインターナショナルスクールがその国においてどのような扱いを受けているのかということについては、個々の大学におきまして、具体のケースについて確認をするとい
うふうな扱いとなっておるところでございます。
 したがいまして、各大学において、具体的には、その国の大使館等に問い合わせて、学校教育における十二年の課程に正規に位置づけられているかどうかということの確認を行っているところでございます。
○保坂委員 これだけ厳格に、私立大学あるいは公立大学の半分近くが受験の資格を認めているのです、国立大学はだめだということの中で。
 実は先般、千葉大学に我々文教委員会で見に行きましたけれども、大学独自の判断ということでいうなら、飛び級も千葉大学の判断ではないかと思うのですね。この判断が大学に付与されていないのであれば、全国であっちもこっちも一律に飛び級をやるというふうにはならないわけで、つまり、大学の判断というところにポイントがあろうかと思うのですが、文部大臣、いかがでしょうか。
○有馬国務大臣 十七歳入学というのは、これはちゃんと法律的にも認めましたし、中教審でも随分議論いたしましたので、これは非常にすっきりしたものである。あとは各大学の自主性で、何人採るかというふうなことの判断を任せているわけですね。これは非常にはっきりしているので、私もこれははっきりとお答えができることであります。
○保坂委員 そうすると、先ほど局長答弁で、個々の大学が個々に照会をしていると。これはとても難しいのですね、実は照会するのは。
 実は、国立大学の中には、日本人の子弟でインターナショナルスクールやアメリカンスクールを卒業したら、例えば仕事の都合でどこかの国に行ったら、たまたま赴任した町にその学校しかない、扱いの不平等が生じるので、もうこれは一律入れましょうという判断をとっている大学もあるのです。こういう判断も可能でしょうか。文部大臣に伺いたいと思います。
○佐々木政府委員 入学資格というものは法令上規定されたものでございます。したがって、各大学において、それを大学の判断で変えるということはできないわけでございます。
 そんなわけで、各大学における確認は法令に基ついて行われるべきものでございまして、それぞれの大学の判断で弾力的に入学資格を認めるというわけにはまいらないところでございます。
○保坂委員 では、もう最後の問いにして終わりますが、本当に矛盾しているのですよ、文部省。実は大臣、文部省を指導していただきたい、ここの点は。ほかは、まあいいことも意欲的にされていますけれども、ここの点はちょっとやはり石頭ですよ。
 実は、もし今局長の答弁が正しいのならば、文部省で一覧表をつくればいいのですよ。それぞれのインターナショナルスクールは、ここは合っていますよ、ここはバカロレアがあるからいいですよとか。ないのです、それは。個々の大学が照会しなさいと言っているこの点も、ぜひ再検討して、実情をまず直視していただきたい。一言お願いして、終わります。


145回 衆 予算委員会第三分科会 02   1999/02/18

○藤田(幸)分科員 きょうは文部大臣に二つほど質問させていただきたいと思いますが、いろいろな意味で、広い意味での教育障壁と申しますか、そういったことに関することでございます。
 まず最初の質問でございますけれども、年末にも日経新聞の「春秋」に取り扱われておりました、アメリカの大学の日本校における卒業資格の問題でございますけれども、日経新聞に出ておりましたので調べてまいりましたが、南麻布にございますテンプル大学という大学は、文部大臣が非常によく御存じと思いますが、アメリカに三千ほどある大学の中で第一カテゴリーに属しておる八十八の大学に属するという、大変由緒のある大学でございますが、その日本校でございます。
 いろいろ調べてみましたら、一九九一年以降ですが、当時の東京大学の大学院が、このテンプル大学のテンプル大ジャパンの卒業生について大学院の入学資格というものを認めて、それで東京大学の大学院の受験を認めさせておる、テンプル大学ジャパンを初めといたしまして延べ五名の受験を認めていたというふうに出ておりますが、当時の東京大学の総長でいらっしゃった文部大臣でございますので、まずテンプル大学ジャパンの卒業生に対して大学院の受験資格を認めたということの理由についてお伺いをしたいと思います。
○有馬国務大臣 御指摘のとおり、私が東京大学総長時代の平成三年でございましたが、テンプル大学の、今おっしゃられたような大学院受験を認めたことがあったと思います。
 テンプル大学というのは、私もアメリカ時代何回か行ったことがありますけれども、きちっとしたアクレディテーションを受けた学校である、アメリカ国内では堂々たる私学であります。そういうアクレディテーションを受けているというようなことで、日本の大学としてはすなわちアクレディテーションを受けたものではありませんけれども、日本に持ってきているテンプル大学の日本校の教育も、そういう意味で十分大学としての評価を受けている、そういう大学であろうかと私は判断をしております。
 一方、法学政治学研究科において、今御指摘のように、同大学日本校卒業者の大学院の受験を認めたことがあったことを承知しております。東京大学だけではないと思いますが、従来の慣習として、大学院の入学資格の有無について、各研究科の判断に任されているというところがございます。そういうことのために、テンプル大学日本校卒業者に大学院入学資格を認めた事例が一、二あったかと思っております。
 しかし、このことに関して、東大の法学政治学研究科の判断はそういうことでございましたけれども、文部省としては、全日本という立場から考えまして問題がある。すなわち、テンプル大学がアメリカにおいてアクレディテーションを受けているかどうかということは別として、国内においてはまだ無許可の施設としての位置づけがなされている。そういうことから、大学院入学資格を認めることについては慎重にすべきであるという指導を当時受けたということを覚えております。
○藤田(幸)分科員 仮に、アメリカのテンプル大学を卒業した人が、国籍あるいはどういうパスポートを持っているかは別にいたしまして、卒業して日本に帰ってきた。例えば卒業式の数日前とかに、アメリカのテンプル大学、あるいはイタリアにもテンプル大学がございますが、日本人でも結構でございますが、帰ってきて、一カ月前でも結構ですが、それで、最後の一カ月間、南麻布のテンプル大学ジャパンにいたとします。その人の場合には卒業資格はどうなるのでしょうか。
○有馬国務大臣 私は、その場合には、やはり実態論的に、仮に一年前となれば問題はあると思いますが、一月前というようなときには、適切にその事情を判断してよろしいかと思います。
○藤田(幸)分科員 別に意地悪で申し上げるわけじゃありませんが、私、今大臣がおっしゃっていただいた実態論というのが教育において非常に重要ではないかと思っております。
 テンプル大学のいわゆる卒業証書というものを、実際にどんなものか取り寄せてみたのですが、このテンプル大学において、世界じゅうにいろいろなキャンパスがございますが、どこのキャンパスを卒業しても同じ卒業証書なんですね。したがいまして、南麻布で卒業しても、ペンシルベニアで卒業しても、イタリアで卒業しても、同じ卒業証書をもらう。
 少し離れまして、基本的な教育についての見解をお聞きしたいと思います。
 文部省の方では、国際化教育ということも非常に大きな柱としておる。それから、いわば留学生の受け入れということについても大変熱心であるし、留学生という場合には日本の大学における外国人という意味と思いますが、と同時に、外国系の大学のキャンパスで勉強する外国籍の学生の日本における数の増加ということにも積極的というふうに聞いております。
 そういう観点からいたしますと、一般的に申しまして、例えばアメリカの大学の学生で、特にアメリカ人の学生が日本でいい環境で勉強ができるということは、日本の国益に大変かなうことと思っておりますが、その基本的な考え方についてはいかがでしょうか、大臣。
○有馬国務大臣 日本の国内に置かれている外国大学校あるいは大学の分校をどうするかという問題点の御指摘でございますが、非常に形式論になるかもしれませんけれども、現在、日本の国内で大学をつくろうとするときには、かなり厳しく大学設置基準を調べるわけでございます。そういうプロセスを踏んでくだされば、外国学校であろうと何であろうと、きちっとした大学として認め、その卒業者は全く問題なく大学院への受験資格がございますので、私としては、テンプルにもお願いをしたのですけれども、大学設置基準をちゃんと満足して、そして文部省の方に申請をしていただけないか、そうすれば、大学設置審議会で検討して、きちっとした大学として認めることはやぶさかでないということを申し上げている次第であります。
○藤田(幸)分科員 設置基準に触れる前に、もう一つ申し上げておきたいのは、日本の大学がアメリカにも進出をしております。例えば帝京大学。この帝京大学も、幾つか提携をしてキャンパスがあるようでございますけれども、例えば、ここの帝京大学を卒業した場合には、アメリカのいかなる大学院でも受験ができるという実態がございます。
 そうしますと、この設置基準ということと別の次元で、やはり教育におきましても、相互主義というのが私は非常に重要ではないか。設置基準、アメリカの場合には州ごとに違うようでございますけれども、実際に、アメリカの大学あるいはほかの国の大学が日本に来て、日本の設置基準で、いわば入り口で、水際で退けられてしまう。一方、日本から行く日本人のアメリカにおける大学生は非常に温かく受け入れられ、恐らく非常にいい働きをされるんだろうと思うのですが、この設置基準と相互主義との関係についてはいかがお考えでしょうか。
○有馬国務大臣 この点、私は、日本の設置基準は決して高くないと思う。難しいと思わない。特に、大綱化が行われましてから、大学が持っていなければならない、例えば本の数というふうなものは大幅に軽減されました。あとは、校舎が本来の学校のものであるかとか校舎の面積とか、そういう問題がありますけれども、設置基準そのものはもう既に大綱化してかなり楽になっておりますので、やはり総合的に、日本の大学がアメリカに行くときでも、アメリカのアクレディテーションを受けませんと、その限りにおいて、大学院へは行けないと思うのですね。やはりテンプルも、そういうふうな意味で、日本での大学基準を満たして、そして正式な大学として認められるようなことをお勧めしているということを繰り返し申し上げておきたいと思います。
 日本の大学が、高等学校でもそうですが、フランスなりに行ったときに、必ずしもすべてが大学に行けるように高等学校卒業資格を認めてもらえないところもあります。これはさまざまな例があると思いますので、現在、文部省といたしまして、鋭意、日本の学校がアメリカ等々外国でどう取り扱われているか、あるいは逆に、人々が日本に来たときにどういうふうに考えるか等々について今調査しているところでございます。
○藤田(幸)分科員 また実態の話に戻りますが、設置基準は決して高くない、建物とか土地という話になってくるわけですけれども、建物とか土地とか、そういう設置基準とは別にしまして、実態として、非常にいい教育が行われておる、その数も非常に多くの学生さんがいらっしゃるわけです。それから、日本の大学、分校を卒業して、アメリカなりに帰って、非常に活躍をされておられる方もいらっしゃる、日本でもそうですけれども。
 例えば、そういう方々が、結局学費に消費税も五%払わなければいけない、それから通学定期ももらえないということは、そもそも、外国の学生をふやしたいという本来の基本的な目的とは逆行するような、結果的に、教育障壁と申しますか、ある意味では機会均等を損ねる状況にあるわけですが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
○有馬国務大臣 私は、寡聞にして、外国で、例えば定期を安くする、学割をどうするかなどということは聞いておりません。
 確かに、オランダなどで、何らかの理由で、例えば年齢等で安くして切符を売ることがあると思いますけれども、定期というふうなことは私は聞いておりません。しかしながら、できる限り日本の学生と等しくした方がよいということはあると思います。
 こういう点で、どういうところが問題になるか等々に関しては、先ほど申しましたように、海外の大学あるいは高等学校等々の取り扱われ方について今検討しているところでございまして、今のような問題もその中に含まれてくるかと思っております。
○藤田(幸)分科員 設置基準の壁がだんだん低くなってきたとおっしゃいますが、現在、これから日本で大学をつくる場合には、恐らく東京から一時間以上のところに結局つくらざるを得ないというようなことになっておりますね。
 そういうことと、本来、できるだけいい教育を、しかも、ライシャワー大使じゃございませんけれども、できるだけ多様な教育、多様な文化に触れ、多様なダイメンションを持った、先ほど私の前の方がソフトウエアについて質問されておられたようですけれども、そういう観点からいたしますと、できるだけ多様な方が、できるだけ同じような条件で、そして同じようなアクセスを持って勉強できる環境をつくっていくための教育の設置基準といいますか、どうもハードの面の、建物等々の方が基準に重んじられて、ソフト面の、内容的な基準といいますか、あるいはインカレッジするような内容に変える必要があるんではないかという印象も持つわけですが、その辺はいかがでしょうか。
○有馬国務大臣 大学設置の場合、最も大切なことは教員の質であります。これが第一点。それから第二点は、大学の面積等々について、こだわるようでありますけれども、やはり公正という面から、学生諸君が十分な空間を享受することができるか、そういう点で大学設置基準が置かれているわけでございます。詳しくは高等教育局長がお返事申し上げた方がいいと思いますけれども。
 ただ、その中で、昔はというか、大綱化が行われる前の場合にはかなり難しかったんですけれども、このごろは随分そこがやわらかくなってまいりました。例えば社会で大きな業績を上げたような人が大学の教授として迎え入れられやすくなりました。今までのように、研究とか教育の経験をうんと重視するというようなことがなくなってきました。そういう意味で、先生方の実力に関する評価もまた今までと変わってきている。
 こういうことから見て、今、私は、外国学校がちょっと努力をしていただければ、日本の学校と同じように大学としてあるいは高等学校としてきちっとお認めできると思います。そういう点で御努力を賜れればと思っております。
○藤田(幸)分科員 その一番大切な教員の質ということに関しては、私もちょっと調べてみましたけれども、既にワールドスタンダードにいっているというふうに思っております。実際に、先ほど申しましたようなアメリカのある意味では非常に優良大学のファクリティーがそろっておるわけです。
 一方、土地建物等に関しましては、もう少し努力とおっしゃいますが、こういう点、私は、結果的に難しいということに関してはやはり特別な配慮が要るんではないか。やはり結果の機会均等ということが重要ではないかという気がするわけです。
 アメリカの場合に、アファーマティブアクションというのがございますけれども、まあアファーマティブアクションまでいかずとも、やはりある程度の、もちろんいろいろ厳しく審査をした上で、例えば、アメリカにおいてある程度の基準以上の大学に関して言えば、例えば大学の何%の学生数は日本で受け入れる、そういう措置を講じるとか、そうでなければ、本来の目的の機会均等それから多様な文化を習得する、日本のいわば教育内容を充実させるような教育は、まあ大臣はそんなに難しくないとおっしゃいましたが、ハードの面では非常に難しいんではないか、いろいろな、税法の問題とか土地の問題とかございますので。
 その点について、さらにより前向きな御検討をお願いしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○有馬国務大臣 私は、多少ハードウエアの面にこだわります。やはり学生諸君が十分な施設、環境のもとで勉強するということが必要であると考えておりますが、繰り返して申し上げますけれども、大学の校地面積基準に関しましても、三倍かな、大分易しくしました。これもつけ加えておきましょう。
 先ほどは教員の質について特にお答え申し上げましたけれども、大学の校地面積基準につきましても、一昨年十二月の大学審議会の答申を踏まえ昨年三月に大学設置基準を改正し、それまでの六倍基準を三倍基準に緩和したところであります。
 こういう点で今いろいろ努力をしておりまして、学校法人において安定的、継続的な教育研究活動が実施できる財政的基盤を有している者につきましてはその基準について弾力的な対応をするという努力を今しております。


143回-参-本会議-03号 1998/08/11

○本岡昭次君 私は、民主党・新緑風会を代表して、小渕内閣総理大臣の所信表明に対し、総理並びに関係閣僚に質問いたします。
 質問に先立ち、甚大な被害をもたらした新潟県を初め集中豪雨の被災地の皆さんに対し、心からお見舞いを申し上げます。我が党としても最善の努力を尽くしておりますが、政府においても万全の措置を講ぜられるよう求めます。
 まず、総理、御存じのとおり、本院の首班指名は菅直人君であります。これが直近の国政選挙である参議院選挙において、民意が直接反映した国民の選択であります。
 参議院選挙では自民党政治が不信任され、自民党は大敗北しました。その結果、自民党は過半数を二十一議席も下回りました。与党少数の参議院は小渕政権の命運を握っています。総理、どうされますか。
 小渕政権は国民の審判を受けることなく、自民党の政権たらい回しで登場しました。総理、小渕政権は一日も早く国民の審判を受けるべきです。
 私は、さる雑誌の一九九六年四月号に掲載されている「政界随一の竜馬通が語る 「わがバイブル」政治家の志はここにあり」という小渕総理の一文を読みました。その最後に、「日本が近代の扉を開いてから百余年、今日また、世界国家として新たな「開国」の時期を迎えているといわれる。かつて、争乱の幕末を駆け抜けた一人の男の、けれんみのない生きざまが、時代を見据えた雄大な行動力とダイナミズムが、時として逡巡する私の心を鼓舞し続けている。その意味で、私の心の中で、「竜馬は永遠に生きている」ということがいえるだろう。」と書いておられます。
 この日本の危機存亡のとき、小渕総理の心の中に竜馬が生きているとして、今どのような志をあなたは胸に秘めておられますか。その志を未来へのメッセージとして、もっと具体的にわかりやすく、総理自身のお言葉で国民に語っていただきたいと思います。
 総理、あなたは所信表明で、「一両年のうちに我が国経済を回復軌道に乗せるよう内閣の命運をかけて全力を尽くす」と断言されました。総理の演説の中で一番印象に残った部分であります。これは恐らく総理御自身のお言葉であろうと思われます。しかし、かかっているのは内閣の命運でなく日本の命運なのです。命運をかけるということは、小渕政権の退路をみずからが断つ、不退転の決意を表明したということであります。小渕総理の御認識と決意を聞かせていただきたいと存じます。
 また、この深刻な経済危機の中で悪戦苦闘している国民が期待しているのは、こうした言葉だけでなく、その実行力と指導力であることも強く申し上げておきます。
 また、総理は、「この内閣を経済再生内閣と位置づける」と明言されました。しかし、その内容はかけ声とほど遠いものです。まず、政府・自民党が進めている金融再生トータルプランは国民を欺くものにほかなりません。宮澤大蔵大臣が表明したように、大手銀行は破綻させないという原則です。不良債権の実態を隠ぺいし続け、国民の血税を資本注入という形で投入し、銀行やその経営者、株主を守ろうとするものです。そこには、銀行業界が自民党に対して長年にわたり巨額の政治献金を行ってきた事情すら透けて見えます。
 民主党は、既に二〇〇一年までに不良債権を処理するという内容の金融再生法案を準備しています。その基本方針は、大蔵省の密室、裁量、護送船団行政とははっきりと決別する、不良債権の情報を徹底的に開示した上で、経営内容が悪い銀行は存続させないというものであります。もちろん、経営者等の責任は明確にする一方、預金者、健全な借り手はきちんと保護します。あわせて、銀行の検査体制強化のために検査官の大幅な増員は欠くことのできない課題であります。
 金融を真に再生し、我が国の経済・社会を活発化する道は、総理が勇気を持ってこの我々の提案を実施する以外にはありません。総理、いかがですか。
 言うまでもなく、不良債権を生み出す原因は、一九八〇年代後半のマクロ経済政策の失敗であります。プラザ合意後の長期にわたる金融緩和政策により株式や土地の価格が急騰し、いわゆるバブル経済が発生いたしました。金融機関は完全にモラルを失い、ひたすら土地融資に金をつぎ込んだのであります。
 一九九〇年になって大蔵省は総量規制を実施しました。しかし、抜け道だらけのこの規制は、金融機関をして住専やノンバンクを通じた迂回融資に走らせ、その結果が一九九六年の住専に対する六千八百五十億円の公的資金投入です。しかも政府は、この春に至るまで不良債権の処理は順調に進んでいるとの発言を繰り返し、不良債権の実態を隠し続けてきました。
 大蔵省や金融機関による情報の隠ぺいと問題の先送り、そして歴代内閣が大蔵省の報告をうのみにしてきたことが不良債権問題をここまで深刻にしたのであります。
 今回、大蔵大臣に就任した宮澤喜一議員は、一九八六年七月から八八年十二月まで大蔵大臣でした。この時期はまさにバブル経済が発生した時期であります。さらに宮澤議員は、一九九一年十一月から九三年八月まで総理大臣でありました。今度はバブル経済が崩壊し、不良債権問題が発生した時期でありました。宮澤議員が不良債権問題のA級戦犯と批判されることは当然だと私は考えます。
 宮澤大蔵大臣は、この不良債権問題を生み出した当事者として、みずからの責任をどのように認識されておられるのですか。
 さらに、この場ではっきりさせたいのですが、経営危機がうわさされている長期信用銀行も含めて、大手銀行で債務超過の銀行は本当にないのですか。総理の明確な答弁をお願いいたします。また、政府は、現時点における不良債権の総額が幾らあると認識しているのですか、あわせてお尋ねします。
 いま一つ、国鉄長期債務処理法案などの政府案は一度撤回をして、与野党で十分協議した上、国民の納得のいく債務処理案を確立すべきであると考えます。いかがですか。
 総理は、総裁選出馬に際して、所得税の恒久減税など六兆円超の減税を公約とされました。これは民主党がかねてより主張し、さきの参議院選挙で私どもが公約とした六兆円減税に、総理御自身が賛同されたのかと私は受け取ったのであります。
 しかし、総理は、所信表明演説では恒久的減税と軌道修正されました。この「的」とは一体どういう意味でありますか。報道されている定率減税という小手先の減税でなく、民主党を初め多くの野党が求めている本格的な恒久減税を実施すべきであります。またもや国民を欺くのですか、明確に御説明ください。
 このたび、中川農林水産大臣が従軍慰安婦問題の教科書記載に疑問を呈した発言について伺います。
 総理は、その後に発言を撤回したから問題はないとしております。しかしながら、中川大臣は発言の趣旨を標榜する議員の会を結成して代表を務めている議員であります。まさに政府方針に反する確信犯であります。これは、明らかに派閥推薦優先の人事がもたらした弊害です。
 外務大臣を務められた総理は、従来の政府方針、つまり一九九三年八月、日本政府として軍の関与を認め謝罪した河野洋平官房長官談話を熟知しておられるなら、中川議員を閣僚に任命しなかったはずであります。小渕内閣は、この河野洋平官房長官が談話として発表し、これが政府方針となったのでありますが、これを転換されるおつもりでありますか、お伺いいたします。
 また、我が国は今、世界から、とりわけアジア各国から大きな責任とリーダーシップが求められています。秋には中国の江沢民国家主席の訪日や、韓国の金大中大統領を迎えて日韓漁業協定改定交渉が控えています。当然のことながら、我が国がさきの戦争の反省を踏まえ、近隣諸国との基礎的な信頼関係の構築を図ることは極めて重要であります。
 総理と中川農林水産大臣の歴史認識も含め、御見解をお聞きしたいのです。教科書問題については、有馬文部大臣の見解をお願いします。
 引き続いて、少子・高齢化社会など、国民生活の将来に直結する諸課題を伺います。
 自民党がさきの参議院選挙に敗北したのは、少子・高齢化社会に対する国民の不安にこたえ切れなかったからであります。まず、橋本政権が進めてきた社会保障の構造改革は財政対策だけに主眼が置かれ、国民はますます老後に対する不安を強めました。
 望ましい高齢社会とは一体何でありましょうか。私は、言うまでもなく、高齢者が健康な老後を迎え、元気で働く意思と能力のある者は働けるだけ働ける社会であると思います。そのために、病気や寝たきりにならないようにする予防活動にもっともっと力を入れるべきであります。
 また、六十歳定年制などは年齢による人間差別であると私は考えています。年金問題を考えても、働くことを希望する人が働けるだけ働けるようになれば、年金の支出も減り、保険収入もふえます。そのことは、個人にとっても財政にとっても好ましい結果を生むと考えますが、総理、いかがでありますか。
 一方、拍車のかかる少子化傾向に対してきめ細かい子育て支援の対策が必要であります。
 女性の高学歴化の進行を背景に、女性の就業率がますます高まっています。したがって、女性の就業と子育てが両立でき、子育てのコストが高くない社会にすることが少子化対策の重要なかぎであります。そのために、政府は少子化問題対策本部を内閣のもとに設置し、総合的な少子化対策を講じる体制を急ぐべきです。
 そこでは、妊娠から出産までの支援策、保育所など保育制度の改善拡充、労働時間の短縮など労働システムの改革、育児休業時の賃金保障を二五%から六〇%へ拡充、奨学資金制度を改善し、生活費も含め希望者全員に貸与、こうした諸対策を検討し、早急に実施すべきであります。
 中でも、公的年金制度の改革は少子・高齢化社会の最重要課題であります。年金改革に当たっては、何よりも公的年金財政の現状、今後の見通しなどについて、国民に対して正直にデータ、情報を公開する必要があります。その上で、国民的議論を行い、将来とも安心でき、高齢期における安定した所得を保障する公的年金制度を国民合意の上で実現しなければなりません。
 政府は、次期公的年金改革をどのような視点から改革しようとしているのですか。年金生活者に、年金額がこれから減額されるのではないかという不安があります。減額はあり得ないと安心させていただきたいと思います。
 また、医療制度や医療保険制度の抜本改革は二〇〇〇年度までのできるだけ早い時期に行うと明言されています。しかし、少なくとも抜本改革までの間は、国民にさらに医療費負担を求めるべきではありません。総理の御判断をお聞かせください。
 さらに、国民が抱く不安として介護保険問題があります。市町村によって介護サービスの供給量や質に違いが生じるのではないかという点であります。新ゴールドプランを完全に達成しても、介護サービスの不足は明らかであるからであります。私たちは、介護保険制度をより国民の利用しやすいものに見直しつつ、充実した介護サービスの基盤を築くため、さらにスーパーゴールドプランの策定を行うべきだと考えております。
 この介護問題は、障害者問題と深くかかわっております。
 先日、総理府が発表した市町村障害者基本計画の策定状況を見ますと、策定済み市町村が全体の約三割にとどまっているという非常に残念な結果であります。私は、地方分権、ノーマライゼーションの理念を実現するために、障害者基本法で努力規定となっている障害者計画の策定を義務化する必要があると思います。いかがでございますか。
 さて、深刻な中小企業問題と雇用対策についてお尋ねします。
 昨年一年間、負債や事業不振などを苦にした自殺者は、全国で一七・六%も増加し、過去十年間で最悪となっています。このように、深刻な不況が中小企業を苦しめています。景気の回復が絶対条件でありますが、まず、金融機関の貸し渋り対策を緊急に講じなければなりません。当面は、政府系金融機関を最大限活用し、信用保証協会の保証枠を拡大して、資金繰りに苦しむ中小企業を救済すべきです。
 また、下請自立支援策の拡充、商店街活性化策、実効ある事業承継税制の確立、物づくり基盤技術振興基本法などの積極的な施策により、中小企業の活力を取り戻さなければなりません。
 一方、六月の完全失業率は四・三%になり、一九五三年の調査開始以来最悪の記録を更新しています。この雇用不安は、生活不安につながり、消費者心理を冷やして、不況との悪循環を引き起こしています。今後も雇用情勢は悪化し、六月で二百八十四万人となった完全失業者は、やがて三百万人を超えて、完全失業率が五%を突破するおそれが強まっております。雇用情勢がここまで悪化したのは、政府・自民党が経済情勢の判断を誤り、有効な景気・雇用対策を実施してこなかったからであります。
 私たちは、雇用創出効果が期待される、情報通信・環境・福祉医療関連産業などの起業支援と育成、そして職業教育訓練の充実や、自発的教育訓練の助成を提唱しています。総合的で柔軟な雇用政策と新ゴールドプラン強化を組み合わせることで、介護マンパワーを拡充することもできます。私たちは、このように思い切った雇用政策の実施を求めていますが、政府の中小企業と雇用の対策をお示しください。
 次に、継続審議となっている労働基準法改正についてお伺いします。
 民主党は、長時間労働を是正するために、時間外・休日・深夜労働に関する男女共通の上限規定や、一年単位の変形労働時間制の導入要件などの修正を求めてきました。また、政府案の新しい裁量労働制の導入については、対象業務の範囲や運用に関する規定があいまいで、労使委員会の機能が公正に機能せず、本人の同意のないまま裁量権のないホワイトカラー一般に裁量労働制が拡大するおそれがあることから、裁量労働制のあり方やルールについて労使で再協議するよう求めてきました。
 来年四月からは、改正男女雇用機会均等法が施行され、女子保護規定撤廃後の激変緩和措置の制定が急がれます。労働基準法改正は労働行政の根幹にかかわる重要問題です。政府は、さきに述べた修正と意見を受け入れるべきであります。
 農業政策についてお伺いします。
 御承知のように、我が国の農業農村は、過疎・高齢化、後継者不足、自由化の波による相次ぐ離農などにより、極めて先行き不透明な状況にあります。今日の状況を生み出した最大の原因は、ひとえに哲学のない我が国の農政であります。先進各国が軒並み高い食糧自給率を維持しているのに対し、我が国の自給率は四二%と際立って低くなっています。これは、我が国政府が、食糧・農業について確固たる見識を持たないまま、画一的な官僚主導農政を農家に押しつけてきた結果であります。
 昨年末、新たな農業政策のあり方について協議を続けてきた政府の食料・農業・農村基本問題調査会により中間報告が出されました。しかし、ここでも農政の位置づけや食糧自給率の向上などの重要な部分が明確にされず、結論は先送りされています。この際、食糧安全保障と言われる食糧・農業政策について政府の基本的認識を明らかにしていただきたいと思います。
 環境問題について伺います。
 有害な排ガスの排出差しとめと損害賠償を求めた川崎公害訴訟で、横浜地裁川崎支部は八月五日、排ガス単独でも健康に害ありとし、国と首都高速道路公団の損害賠償を命じました。道路審議会も道路づくりの基本を環境保全に切りかえるように求めています。政府はこれまでの道路行政を見直すべきであります。
 これからの環境政策は、市民参加と情報公開を徹底し、市民一人一人が責任を持ってライフスタイルを転換していかなければなりません。先国会から継続審議となっています地球温暖化対策推進法案についても、基本方針を策定する段階からの市民参加と企業の温暖化物質排出量についての情報公開を義務づけるべきであります。
 現在、国民の関心が非常に高いダイオキシンなどの化学物質対策について、事実を隠ぺいし対策を先送りする手法は、まさに薬害エイズと同じであります。あの悲劇から全く何も学んでいないと言っても過言ではありません。私たちは、環境や人体に重大な影響を及ぼす化学物質の対策について、製造段階でのチェックの強化を初め、既に汚染されている土壌の除去、住民の血液や母乳中のダイオキシン濃度測定の無料化など、多方面にわたる対策が必要だと考えております。政府の見解を求めます。
 次に、阪神・淡路大震災の復興対策についてお伺いします。
 大震災から三年四カ月たって、自然災害の被災者に公的支援する画期的な被災者生活再建支援法がさきの通常国会で成立しました。阪神・淡路大震災の被災者にはこの支援法と同程度の公的支援が兵庫県の復興基金により実施されています。
 しかし、被災者の生活再建や被災地経済の立て直しは問題がますます個別化し、見えにくくなってきています。仮設住宅の被災者は四年目の暑い夏を迎えています。住宅や店舗を再建した方々は二重ローンの返済に苦しんでいます。景気低迷に加え、地域経済への震災後遺症が失業、売り上げ減など経済的、精神的な苦しみとなって被災者に降りかかっています。中でも、被災したお年寄りや子供たちを苦しめているのが心的外傷後ストレス障害であり、長期に特別な対策を必要としております。
 さらに、二十一世紀のモデル都市として被災地を復興させる十年計画の着実な進展を図るために、被災地自治体の権限や財源の見直しが必要であります。また、被災者生活再建支援法には検討事項として住宅の再建が盛り込まれております。自然災害列島に住む日本国民の安全システムの問題として、早急に住宅再建共済制度などの法制化を急ぐべきであります。
 次に、外交・防衛政策について伺います。
 我が国の平和と安全に重大な影響を与える事態においては、日米防衛協力のための指針を実効あるものにする法整備は必要であります。しかし、政府は、周辺事態に必要となる措置の基本計画を国会に報告するにとどめ、閣議のみで日本の対応を決定するとしております。シビリアンコントロールの観点や対米防衛協力が国民生活に与える影響の大きさを考えるとき、基本計画を国会承認とし、不都合があれば国会で修正できる仕組みにすべきであります。事後承認を認めれば、緊急の場合にも対応できるはずであります。
 この周辺自体の範囲に関して、クリントン大統領の訪中時に米国が明らかにした、二つの中国を支持しない、台湾の独立を支持しない、台湾の国際機関への加盟を支持しないという三つのノー政策があります。日米ガイドラインの性格がこの三つのノー政策によってどのような影響を受けるか、御見解をお伺いいたします。
 さきのインド、パキスタンの核実験は、核保有国、とりわけ米ロ二大核保有国による核管理体制が事実上行き詰まっていることを明らかにしました。我が国が、米ロ両国を初め核保有国に期限を定めた核弾頭の削減数に合意することを求めるなど、核軍縮を積極的に働きかけていくべきではありませんか。
 日米安保条約は、我が国の安全保障体制の基軸であります。しかし、そのことは我が国に米軍基地が現状のまま存在し続けるということではありません。現実に米国内でも、在日米軍の基地のあり方を見直すべきだという議論がふえているとも聞いております。総理は、在日米軍基地の整理、縮小、移転をどのように進めていくのですか。また、橋本前内閣で行き詰まった沖縄普天間基地の移転問題に対する対応もお聞かせください。
 さらに、日ロ関係の改善が今後の日本外交の重要な課題であることは言をまちません。表面的には橋本前総理時代に日ロ関係は前進したように見えますが、その実態は首脳間の個人的パイプに頼り、重層的なものになっておりません。スタンドプレーに走ることなく、国民の理解の上に立ったさまざまなレベルにおける信頼関係の確立に努めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 国際人権問題について伺います。
 本年は世界人権宣言五十周年の記念すべき年であります。私は、二十一世紀を人権の世紀にという人類共通の願いの実現に日本が積極的に取り組むことによって、大きな国際貢献を果たすと確信しております。しかしながら、我が国が国連の人権に関連する諸条約二十三のうち批准したのはわずか九条約のみです。これでは世界の経済先進国として恥ずかしい限りです。早急に人権諸条約の完全批准を求めます。
 特に、重要な個人通報を認めた人権の基本文書である市民的及び政治的権利に関する国際規約に関する第一選択議定書をいまだ批准いたしておりません。私は、十年来参議院で毎年のように政府に批准を求めてきました。世界では既に九十三カ国が、アジアでも韓国、フィリピン、モンゴルなど九カ国が批准をしております。もう我が国が批准をおくらせる正当な理由はなく、政府の決断のみであります。
 また、第百三十九国会で成立した人権擁護施策推進法による人権擁護推進審議会では、国の責務として、部落問題を初めさまざまな差別問題の差別意識の解消に向けた施策のあり方の議論がなされております。答申までに幅広い国民的論議をするため、政府は審議会に中間報告を求めるべきであります。
 ことしの一月下旬に来日しましたメアリー・ロビンソン国連人権高等弁務官は、各国政府に国内人権機関の設置を強く働きかけておられます。我が国も、政府から独立した権威ある国内人権機関を設置すべきであります。
 さらに、日本国内における身近な国際人権問題として外国人学校差別問題があります。文部省は、在日の外国人学校卒業生に対して、国立大学への受験資格を与えていません。公立や私学は既に半数近い大学が受験資格を与えているのであります。国連児童の権利委員会からもこの問題に関する改善勧告が日本政府に送付されています。兵庫県の外国人学校協議会は、この問題を国連人権小委員会に来週にも直訴するようであります。
 政府は、人権擁護・差別防止の観点から早急に解決すべきであります。政府の決断を求めます。
 また、国連人権小委員会に、戦時における女性への性暴力について報告を求められていたアメリカの特別報告者が旧日本軍の従軍慰安婦問題も取り上げ、日本政府に勧告したことが報道されています。事実関係を明らかにしてください。
 教育問題について伺います。
 一九九七年度の文部省の学校基本調査によると、不登校の小中学生は十万五千四百十四人となりました。私は、一九八六年一月、本院の代表質問において小中学生の不登校問題を取り上げ、この十年間で三・五倍と激増し、三万百九十二人に及んでいる、この子供たちのうめき声が総理や文部大臣に聞こえますかと問題の解決を迫りました。
 それから、小中学生の数が減っているにもかかわらず、不登校は十二年前に比べ、ついに三・五倍の十万人を超してしまったのです。今日、小学校にまで学級崩壊が起こり、義務教育制度の崩壊の危機を感じます。
 総理は、所信で「次代を担う子供たちがたくましく心豊かに成長する、これは二十一世紀を確固たるものにするための基本」であると発言されました。まさにそのとおりであります。しかし、その一方で、義務教育崩壊にもつながる不登校に歯どめがかからず、増大の一途をたどっているのであります。
 この際、大胆な制度改革の断行が必要であります。それは三十人学級の実現であります。第六次教職員定数改善計画完了のめどがつき、さらに、小中学校の児童生徒の減少により教職員定数の自然減が続くという現状にある今日こそ、実現すべき最重要の国民的課題であります。
 三十人学級実現によって、総理の言う「子供たちが自分の個性を伸ばし、自信を持って人生を歩み、豊かな人間性をはぐくむよう心の教育も充実させる」ことを可能にいたします。これこそ総理の「今日の勇気なくして明日の我が身はない」の問題であります。三十人学級実現への勇気ある決断を求めます。
 行政改革及び地方分権について伺います。
 地方分権は、時代の要請であり、新しい日本社会を築く基礎であります。私たちは、この改革なくして活力ある二十一世紀の日本社会はあり得ないと地方分権を強く主張しているのであります。
 さて、政府は、昨年末まで四次にわたる地方分権推進委員会の勧告を受け、本年五月に地方分権推進計画を閣議決定しました。
 まず伺いたいのは、この地方分権推進計画に対する総理御自身の評価であります。確かに、この地方分権推進計画にある機関委任事務の廃止は画期的なことであり、地方分権の推進においては不可欠であります。しかし、法的な枠組みは変わっても、自治体の事務の細部まで規定するそれぞれの法律はそのままです。実際の行政事務や財源は全く移譲されていないのです。
 政府は、昨年末に地方分権推進委員会に対して行政事務の移譲を盛り込んだ勧告を要請しました。現在、第五次勧告として本年秋の勧告に向けて作業が進められています。第五次勧告は、主として公共事業における地方分権が内容です。この勧告の取り扱いと、勧告の内容である公共事業における地方分権について総理のお考えをお聞かせください。
 一方、省庁再編においては、設置法が一つの焦点となっております。橋本前総理は、重ねて二〇〇一年に新体制への移行を表明されていましたが、小渕総理はどうされますか。
 また、行政の行動を国民みずからが監視するための情報公開法案制定も緊急の課題であります。
 橋本前内閣が提出した政府案は、特殊法人を対象にしない、非公開の範囲が広いなど、まさに欠陥法案であります。参議院選挙に示された国民の意思は、自民党の官僚主導型政治に対する不信任であり、官僚による情報独占の否定であります。野党四会派案のすぐれている点を柔軟に取り入れ、審議の促進と早期成立を図ることが国民の期待にこたえることだと考えます。
 政治倫理問題について伺います。
 私たちは、さきの国会に、政治腐敗防止策として、国会議員が役所に口ききをして報酬を得ることを処罰する地位利用収賄罪に関する法案を提出しています。国会議員の株取引を規制する法案も準備しております。自民党では、あっせん利得をしても政治資金として届け出れば罰則を免れるという骨抜きの法案すら国会提出に至っておりません。この際、民主党案を軸に議論を進めることが国民の批判にこたえる唯一の道だと考えますが、総理の決意をお聞かせください。
 最後に、政治と民主主義について伺います。
 文部省は、敗戦後間もない一九四八年、軍国少年として育てられた私たちに文部省著作の教科書「民主主義」を与え、軍国主義から民主主義への変革を迫りました。私たちの世代は軍国主義と民主主義を学んだ貴重な世代であります。
 その教科書には、「民主主義の理想は、人間が人間たるにふさわしい生きがいのある生活を営み、お互いの協力によって経済の繁栄と文化の興隆をはかり、その豊かなみのりを、すべての個人によって平和に分かち合うことのできるような世の中を、築いていくことにある。」とありました。
 小渕総理、私たちはこの五十年、教科書が示した民主主義の理想を求めて懸命に歩んでまいりました。しかし、日本の社会・経済構造が大きく変化する今、私たちは政治システムとしてどのような民主主義を選ぶべきかを改めて問い直すときが来ていると思っております。
 私は、私たちが選ぶ民主主義として、まず第一に官僚主導の政治から政治家が政策責任を持つ政治へ、第二に利益誘導型の政治から国民生活優先の政治へ、第三に社会・経済構造を集権型から分権型へ、この三点を今日我々が必要とする民主主義改革の要点として挙げたいと思います。
 小渕総理、我が国は新しい時代、二十一世紀を目前に大きな改革を迫られています。総理は、所信演説で「鬼手仏心を信条」に「次の時代を築く決意」を表明されました。何が「鬼手」で何が「仏心」なのですか。残念ながら総理の哲学と改革をなし遂げる勇気が全く伝わってきません。言葉の遊びであります。
 果たして総理に改革への哲学と勇気がおありなのでしょうか。私たちは、改革を行う勇気なき総理には直ちに退陣を求めなければなりません。
 総理に改革の決意を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
○国務大臣(小渕恵三君) 総理大臣に就任をいたしまして、初めて良識の府参議院で御答弁の機会をちょうだいいたしました。
 まず、本岡昭次議員に対しまして、私なりに誠心誠意御答弁を申し上げたいと思います。若干時間がかかろうかと思いますが、お許しをいただきまして御理解をいただきたいと存じます。
 まず冒頭、本岡議員から、私の坂本竜馬に対しての拙文に対しまして御紹介をちょうだいいたしました。
 私が二十代で国会に議席を得ましたそのときに、ちょうど司馬遼太郎氏の「竜馬がゆく」という連載が新聞で始まりました。私は、それを読みながらみずからの責務を考え、改めて国家と国民に対して竜馬が果たしてきた役割に思いをいたしながら、微力でございますが全力を尽くそうと、こう決意をいたした次第でございます。
 今なお、その思いを十分にかなえ得ておりませんけれども、願うことは同じでございまして、当時は幕藩体制から新しい日本を目指されたわけでありますが、今の時代は、私は新しい第三の改革の時期を踏まえ、この国難を乗り越え、そして将来にわたりまして日本の国を美しい日本、そして品格ある国家として、これから一生懸命に努力をしてその責任を果たしていきたい、このように考えておりますので、御鞭撻をお願いいたす次第でございます。
 さて、今後の国会運営につきましてお尋ねがございました。
 今般の参議院選挙の結果を謙虚に受けとめまして、今後とも野党各党と誠心誠意話し合いをいたしまして、理解が得られますよう最大限の努力をいたしてまいる所存でございます。
 次に、一日も早い国民の審判を受けるべきとの御指摘もありました。
 私は、基本的認識として、実際上、解散権は総理に与えられた最大の権能であると理解いたしております。したがって、政治的決断を行わなければならないときは解散を断行して国民の信を問うことは当然であると考えております。ただ、現在の状況を考えますと、我が国は金融、経済、極めて深刻な状況に直面しておりまして、この内閣の最重要課題が、日本経済の再生に向けて不良債権問題の抜本的処理を初めとしてあらゆる施策を迅速に実行していくことであることに思いをいたしましたとき、私といたしましては、現時点において解散するような意思はございません。
 景気回復に向けての認識と決意についてお尋ねがございましたが、今後は、先般成立いたしました補正予算等、総合経済対策の本格的効果が徐々に出てくると考えられますが、他方、雇用の悪化、金融機関の不良債権問題等が懸念されております。したがいまして、総合経済対策の実施に全力を尽くすことに加え、金融再生トータルプランの早期実現を目指してまいりたいと思っております。その上で、事業規模で十兆円を超える第二次補正予算を編成し、六兆円を相当程度上回る恒久的な減税を実施いたします。
 以上の政策を実行し、一両年のうちに我が国経済を回復軌道に乗せるよう、内閣の命運をかけて全力を尽くす覚悟でございます。
 先ほど、内閣の命運のみならず国家の命運がかかっておると仰せでございますが、内閣が選ばれてこの仕事を達成するということは、当然のことでございますが、国家国民に対する責任に対して、その命運をかけて努力するということは言うまでもないことと思っております。
 不良債権処理に関するお尋ねでございますが、今般取りまとめました金融再生トータルプランの実施は、我が国経済の喫緊の課題である不良債権問題を解決するために不可欠なものであり、その関連法案を早期に成立させる必要がございます。野党の皆様に対しましても、その提案に耳を傾けながら、関連法案の早期成立に向けて今後とも理解と協力を求めてまいりたいと考えております。
 大手銀行の経営状況についてでございますが、自己査定結果を踏まえ、外部監査によるチェックを経て公表された大手十九行の平成十年三月期決算によりますれば、債務超過に陥っている銀行はないと承知をいたしております。
 また、不良債権の総額についてのお尋ねですが、十年三月末における金融機関の不良債権の総額は、従来の基準で見まして二十五兆円、米国SECと同様の基準で見まして三十五・二兆円となっており、また、不良債権に係る損失の引き当てとなる債権償却特別勘定の残高は十九兆円となっております。
 国鉄長期債務の処理についてお尋ねがございました。
 約二十八兆円に上る国鉄長期債務の処理は、もはや先送りが許されないこれまた緊急の課題でございまして、政府としてその処理を本年十月一日から実施するための法案を国会に提出いたしております。政府といたしまして、この処理方策が最も適当な案であると認識をいたしておりますので、これまた御協力をお願いする次第でございます。
 税制改正についての御質問でありますが、今回の六兆円を相当程度上回る減税におきましては、個人所得課税の最高税率の引き下げ及び法人課税の実効税率の引き下げを行うことといたしておりまして、抜本的な税制の見直しを展望したものであります。また、これらは、御指摘の定率減税を含め、期限を定めず継続していくものであり、期限を定めないという意味でまさに恒久的な減税であると考えております。
 歴史認識についての御質問がありました。
 歴史認識一般につきましての政府の考え方は、御指摘にありましたように、平成七年八月十五日の村山内閣総理大臣談話を基本とし、また、いわゆる従軍慰安婦問題につきましての政府の基本的立場は、平成五年八月四日の河野官房長官談話のとおりであります。この政府の方針に転換はございません。中川大臣は、内閣の一員としてこの方針を遵守いたしておると承知をいたしております。
 少子化対策についてお尋ねがございました。
 結婚や出産について個人が望むような選択ができる環境を整備することは、社会全体で取り組むべき課題であると考えております。このため、少子化への対応を考える有識者会議を設けたところでありまして、この会議での議論も踏まえ、関係省庁の連携のもとに総合的な施策を推進してまいりたいと考えております。
 年金についてのお尋ねでございますが、次期制度改正におきまして、給付と負担の均衡を確保し、将来世代の負担を過重なものとしないよう、制度全体の抜本的見直しを行い、将来にわたり安心して年金を受給できる制度を構築してまいります。
 なお、給付水準の抑制を行う場合におきましても、原則として現に受給している年金額を引き下げることは適当でないと考えております。
 医療費負担についてでございますが、医療保険制度の安定した運営を行うためには、無理のない範囲での公平な負担は必要と考えておりますが、今後の新たな負担のあり方につきましては、医療保険制度等の抜本改革の検討の中で国民的視点から御議論いただくものと考えております。
 介護保険制度についてお尋ねがございましたが、国民の利用しやすい制度となりますよう、その円滑な導入に向けて必要な準備を進めてまいります。
 また、新高齢者保健福祉推進十カ年戦略、すなわち新ゴールドプランの達成を目指すとともに、介護保険制度施行後は、地方自治体の介護保険事業計画に基づく介護サービスの供給体制の整備について、必要な支援を行ってまいります。
 地方公共団体の障害者計画に関するお尋ねですが、基本法で努力規定とされておりますのは、それぞれ障害者の実情及びその状況に即して主体的に策定すべきであると理解いたしております。政府としては、平成七年五月に策定に関する指針を通知する等、策定の促進のための指導に努めておるところでございます。
 中小企業対策についてでございますが、これまでも貸し渋り対策として政府系金融機関の融資制度の拡充等を行っているほか、下請自立支援策としては取引のあっせん等を、商店街活性化対策としては中心市街地活性化対策等を、また、物づくり支援につきましては、技術指導、研修事業を実施する等、各種の取り組みをいたしてきておりますが、今後とも中小企業の実態を踏まえた施策を強力に進めてまいります。
 雇用対策についてでございますが、総合経済対策の実施により景気の回復を図るとともに、緊急雇用開発プログラムの実施や産業構造転換・雇用対策本部の決定に基づく政府一体となった取り組みの推進、あわせて新規産業の創出、魅力ある事業環境の創出等の経済構造改革を通じた雇用の拡大に向けた取り組みなど、きめ細かく講じていくことにより、雇用の安定に全力を尽くしてまいります。
 労働基準法改正法案についてでございますが、改正法案につきましては、さきの通常国会に提出後、真摯な御審議が重ねられてまいりまして、種々の御意見や課題の御提起もありましたが、継続審議となっております。今後とも引き続き真摯な御審議をいただいた上、政府としては一日も早く成立させていただきたいと考えております。
 食糧・農業政策についてお尋ねがございました。
 食糧は国民生活にとって最も基礎的な物資であります。国民に対し、国内農業生産を基本として安全な食糧を安定的に供給していくことは国の基本的な役割であります。今後、食糧・農業政策につきましては、現在行われている食料・農業・農村基本問題調査会の議論も踏まえ、国民が安心できる確固たる政策を築いてまいります。
 環境問題をめぐりまして、道路行政のあり方につきましても御指摘がございました。
 従来から、沿道の環境に配慮して、道路交通の分散と円滑化を図るための道路ネットワークの整備や、緑地帯の整備などの道路構造の改善に取り組んできたところであります。今後とも道路審議会の答申も踏まえ、沿道の生活環境の保全に一層重点を置きつつ、道路行政を進めていく考えであります。
 地球温暖化対策推進法案についてでございますが、基本方針策定には広く国民の意見を聴取し、反映していきたいと考えております。また、企業の自主的な温暖化物質排出量の情報の公表を促進していくため、技術的情報の提供等、その支援を図ることといたします。なお、国際的な取り組みの推進を図る上でも、継続審議となっております本法案の早期成立をお願いいたします。
 化学物質対策について、ダイオキシンを例に御指摘をいただきましたが、国民の健康や生態系への影響を防止する観点から重要な課題と認識をいたしております。特にダイオキシン対策につきましては、現在関係省庁におきまして廃棄物焼却炉等に係る排出規制、血液や母乳中のダイオキシンの調査、汚染土壌対策の検討など各般の施策を進めており、今後とも推進を図ってまいります。
 阪神・淡路大震災の復興対策についてお尋ねがございました。
 政府としては、これまで地元地方公共団体の復興に向けた取り組みを最大限に支援してまいりました。また、今般新たに創設された被災者自立支援金に対し、地方財政措置による支援を行っております。今後とも心のケア対策を含めた被災者の生活再建の支援など、阪神・淡路地域の復興対策に努めていきたいと考えております。なお、住宅再建支援のあり方につきましては、総合的な見地から検討を行うことといたします。
 次に、外交、防衛についてでございますが、周辺事態安全確保の基本計画を国会承認するかについてのお尋ねでございました。
 周辺事態への対応は、武力の行使を含むものではないこと、国民の権利義務に直接関係するものではないこと等を総合的に勘案すれば、基本計画について国会に遅滞なく御報告し、議論の対象としていただくことが妥当と考えております。
 クリントン大統領訪中と日米防衛協力のための指針の性格についてお尋ねがございました。
 指針は、特定の地域における事態を議論して作成したものではありません。また、周辺事態が地理的な概念でないことは従来より御説明申し上げておるところでございます。したがいまして、御指摘の米国と対中国・台湾政策によって指針の性格が影響を受けるというものではありません。
 核軍縮についてお尋ねでございましたが、我が国は従来より核保有国に一層の核軍縮を求めてきております。米ロに対しては従来より戦略兵器削減条約の早期締結を求めてきておりますが、今後とも核兵器国に対し、核軍縮努力を一層強化するよう強く要請するとともに、このため世界の世論を結集すべく我が国としてイニシアチブをとってまいりたいと思います。従来のNPT、CTBTあるいはカットオフ条約という形での今日までの我が国の努力に対しまして、冷戦構造は終えんいたした今日、新たなる民族問題が起こってまいりまして、このことがインド、パキスタンの核実験強行にもつながっておると考えております。
 我が国といたしましては、唯一の被爆国といたしましても、この七つの国に対しまして、国際世論をできる限り結集し、そしてそうした力を背景にいたしまして、こうした国に対する大きな圧力をかけることのできるように努力をいたしていきたいと思っております。
 在日米軍施設・区域についてのお尋ねですが、日米安保体制は、我が国の安全の確保及びアジア太平洋地域の平和と安定に不可欠であり、政府としては、米軍駐留に伴う国民の負担を軽減するための努力をいたしております。
 普天間飛行場の移設につきましても、海上ヘリポート案が最良の選択肢と考えており、これまでの経緯も踏まえつつ、真摯に取り組んでまいりたいと思っております。
 日露関係についてお尋ねでございますが、両国関係のさらなる進展のため、両国国民の幅広い交流を通じた信頼関係の強化が必要であります。そのため、政府としては、議員交流、技術支援、報道関係者招聘、対先進国招聘、さらには各種文化交流事業等の枠組みを通じ、各界各層での交流の活発化を図ってきており、今後ともさまざまな分野における協力と関係強化を図ってまいります。
 私も本院の所信表明で申し述べましたように、二〇〇〇年までにぜひ平和条約を締結いたしたいということで、前の橋本総理の築かれたエリツィン大統領とのよりよき信頼関係をさらに深くいたすことによりまして、この問題について最終決着の図れるように努力をいたしてまいりたいと思います。
 外務大臣時代もこの席から申し上げましたけれども、我々政府としては全力を挙げてこれを努力いたしますが、院といたしましても、かねて来この問題につきましては院の御決議をちょうだいいたしております。国会挙げて、また、国民挙げての御支援をいただきながら、エリツィン大統領とも十分話し合ってまいりたいと思いますので、改めて、御支援と御協力をお願い申し上げる次第であります。
 人権関係諸条約の締結につきましてお尋ねがございましたが、我が国は、これらの条約の目的、意義、内容、締結の必要性を十分勘案した上、順次締結してきております。
 御質問の選択議定書につきましては、司法権の独立を含め司法制度との関連で問題があるとの指摘もありますので、今後とも本議定書の定める制度の運用状況等を見詰め、慎重に検討してまいりたいと考えております。
 人権擁護推進審議会に関してお尋ねがありましたが、現在、審議会では人権教育・啓発に関する施策の基本的あり方につきまして審議中であると承知をいたしておりますが、中間報告を出すか否かといった審議会の運営事項につきましては、審議会みずからが決めるものであろうと考えます。なお、審議状況につきましては、議事録等により広く国民に公開されていると承知をいたしております。
 政府から独立した人権機関を設置すべきとの御指摘でございますが、このような機関の設置につきましては、責任内閣制の原則などに照らし、慎重な検討が必要であると考えます。我が国では、政府の人権擁護機関が中立公正の立場で人権問題に取り組んできた実績があり、御質問の点に関しましては、今後、この実績も踏まえまして人権擁護推進審議会において慎重に審議されるものと承知をいたしております。
 次に、大学入学資格のお尋ねでございますが、これは学校教育法に基づき、高等学校卒業者またはそれと同等以上の学力があるとして文部大臣が定める者に与えられております。外国人学校はほとんどが各種学校であり、各種学校の教育内容は法令上定めがないため、その卒業者に大学入学資格を認めておりません。この問題は、我が国学校教育体系の根幹にかかわる事柄でありまして、慎重に対処すべきと考えます。
 国連人権小委員会への報告についてのお尋ねでありますが、現在開催中の小委員会にマクドーガル特別報告者が武力紛争下における性的奴隷制に関する報告書を提出する予定であり、その中でいわゆる従軍慰安婦問題にも言及するものと承知をいたしておりますが、現段階では報告書はいまだ公表されておりません。
 なお、昨年の同小委員会においては、従軍慰安婦問題に関するこれまでの我が国の対応を前向きな措置として評価する決議が採択されております。
 三十人学級に関するお尋ねですが、現行の教職員配置改善計画では、不登校の児童生徒に対する指導など生徒指導の充実とともに、グループ別指導など少人数の学習集団できめ細かな指導をすることができるよう改善を図っておるところでございます。財政状況が極めて厳しい中ではありますが、平成十二年度の完成を目指して、現行改善計画の着実な推進に努めてまいる所存でございます。
 地方分権推進計画の評価と第五次勧告についてお尋ねがありましたが、地方分権推進計画は地方分権推進委員会の四次にわたる勧告を最大限に尊重して作成したものであり、これを着実に実施していくことが重要であると考えております。
 また、現在、地方分権推進委員会におきまして、御指摘の公共事業を含む国及び都道府県からの事務権限の移譲などにつきまして審議されておりますが、第五次勧告が行われれば、中央省庁等改革基本法の規定も踏まえ、適切に対処してまいりたいと思います。
 省庁再編についてお尋ねがございました。
 さきの国会で成立をいたしました中央省庁等改革基本法に基づき、政治主導のもとで、不退転の決意で、二〇〇一年一月の新体制への移行開始を目標として、来年四月にも所要の法案を国会に提出することを目指しております。あわせて、中央省庁のスリム化を徹底し、十年間に定員の二〇%削減を実現するよう最大の努力をいたしてまいります。
 情報公開法案につきましてお尋ねがありました。
 情報公開法案は、法制の専門家、学者、実務家等、各界の英知を集めてまとめられました行政改革委員会意見を最大限尊重して立案したものであります。同法は、国民に開かれた行政の実現を図るため重要な法律であり、十分御議論をいただき、速やかに成立させていただきたいと思います。
 政治腐敗防止策についてお尋ねがございました。
 国会議員のあっせん利得行為等を処罰する罪の新設や株取引の規制等に関し、自由民主党等におきましても議論が行われてきたところであり、先ごろ民主党が衆議院に御指摘の法律案を提出いたしておることは承知をいたしております。政府といたしましても、各党各会派で十分御論議をいただくことが基本であると考えており、その結果を踏まえ適切に対処してまいりたいと考えております。
 個人の自由、人格の尊厳、基本的人格の尊重は、歴史、時代を超えた民主主義の理念、価値でありますが、こうした民主主義の理念、価値をどのように実現していくかにつきましては、内外の経済・社会の環境が変化する中で最も適切な対応、取り組みを行うべきことは当然であると考えております。こうした意味で、議員がお示しされたお考えは一つの御見識と深く受けとめております。
 私の信条であります鬼手仏心の言葉に触れられて改革への決意のお尋ねがございました。この言葉は、大平元総理が大蔵大臣当時に赤字財政の改革に関連して初めて使われたものと記憶いたしております。
 私といたしましては、現下のこの難局をあらゆる手段を講じて乗り切るとともに、国民の将来への不安を払拭して豊かで安心のできる社会を築き上げることにこの内閣を挙げて全力を注ぐ所存であり、その際、こうした目標の実現のために、必要とあれば大胆な手術を避けずに断行するとの鬼手仏心の信条で当たってまいりたいと思っております。
 いろいろの御批判をちょうだいいたしておりますが、これからの私自身のなすべきことをなすということによって、その批判におこたえをいたしてまいりたいと考えております。


142回-衆-文教委員会-06号 1998/04/03

○石井(郁)委員 ぜひそういう方向で御検討いただきますようにお願いしておきたいと思います。
 次に、ちょっと関連するのですけれども、もう一点伺いたいのは、国体の開催との関係で競技場の問題なんです。
 開催自治体として名乗りを上げたところが大体国民体育大会を後に控えているという事情があるようでございます。そこでは大規模な競技場が必要だということでのつながりの中で出ているのだろうと思うのですけれども、国民体育大会の競技場は第一種陸上競技場として認定される必要がありますけれども、第一種陸上競技場の収容人員が九五年三月に修正されまして、五千人から一気に三万人に膨れ上がっていると聞いているのです。これはJリーグの影響でサッカーサイドから求められたことだというふうにも聞いているわけであります。
 ワールドカップ開催で四万人以上の会場が各地にできます。それで第一種陸上競技場の収容人数がさらに引き上げられるのではないかという危惧さえ持ってしまうわけですけれども、陸上競技場で三万人以上というのは余りにも大きいのではないかというふうに思うし、そうした国体開催県から私どもの方にどうなんだろうかという声も寄せられているわけであります。
 国体の開催に三万人以上の競技場が絶対に必要なのかどうか。地方自治体には相当な負担にもなりますので、私は文部省にぜひ実情調査をされ、また陸連とも協議をしていただきたいということなのでございますけれども、いかがでしょうか。
○工藤政府委員 近年、国内の試合だけではなくて、いろいろな国際的な競技大会になりますと観客数も多くなりまして、そのためにだんだん大規模な施設をつくる傾向があるのは御指摘のとおりでございます。
 ただ、国体について申し上げますと、日本体育協会で一応国体の施設基準を定めているわけでございますが、これは昭和四十八年以来今日まで変わってございませんけれども、観覧席については仮設スタンドを含めて三万人程度収容できる施設と言ってございまして、必ずしもきっちり三万人以上ということではないのでございます。
 ただ、若干混乱がありますのは、近年、日本陸上競技連盟において、いわゆる公認の競技場の基準を改定いたしまして、第一種の公認競技場について、平成七年度からでございますが、従前の観覧席五千人以上でいいと言っておりました基準を、収容人員は三万人以上ということにいたしましたものですから、若干現場の方で混乱があるのではないかと思うわけでございます。
 体協の方では、若干柔軟的にやっている中で食い違いがございますので、私どもも、さらに事情を聞きながら、できるだけ各自治体が困らず、しかも多くの国民の方々からサポートされる国体になりますように留意してまいりたいと思います。
○石井(郁)委員 済みません。一点だけ最後に大臣にお願いしたいと思うのです。
 これは非常に建設的な提案なんですけれども、注目されている国際親善ですから、ぜひこの機会に、サッカーが子供たちに人気があるということですので、アジアでの初の開催でもありますので、少年のサッカー試合の交流というようなこともこういう機会に、この立派な競技場を使ってぜひされてはいかがかなと。
 実は、フランスのことしのワールドカップでは世界の青年の交流試合が行われるということを、長野オリンピックにフランスのスポーツ大臣が見えましたとき私は聞いたのですよ。こういうアイデアはいいことではないかというふうに思いまして、ぜひ大臣に、そういう方向も検討していただくということ、いかがでしょうか。
○町村国務大臣 幸い、国立オリンピック記念青少年総合センターという大変いい受け入れ施設が日本にはあったりいたしますので、今委員の大変いい御提案だと思いますので、これを機に、もちろんサッカー、あるいはサッカー以外のスポーツも含めて、できるだけこれが活発になるように、最大限の各方面への働きかけをしていきたいと思っております。
○石井(郁)委員 終わります。どうも済みません。
○高橋委員長 次に、保坂展人君。
○保坂委員 社会民主党の保坂展人でございます。
 昨日の朝日新聞の「論壇」に杜國輝さんという横浜中華学院の校長先生が、外国人学校の卒業生に国立大学入学資格をという投稿をされていらっしゃいます。本日、サッカーのワールドカップを日韓で共催をしていく、ここにかかわり、そして日韓の友好親善の残された課題の一つとしてこの問題について伺っていきたいと思います。
 この投稿によりますと、韓国にある中華学校の卒業生は、何らの制約なく韓国の国立大学、私立大学へ受験ができるというふうにあります。
 まず最初に私が伺いたいのは、ここに「外国人教育に関する調査研究(平成七年度)諸外国における外国人学校の位置づけに関する研究」というかなり分厚い報告書がございますが、これは文部省が行った研究なんでしょうか。お答えいただきたいと思います。
○佐々木政府委員 御指摘の研究は、文部省が平成七年度に、広く外国人教育に関する調査研究を行っている外国人学校研究会に委託をして行った調査でございます。
○保坂委員 実際これは、外国における外国人学校の位置づけが研究されておるのですが、前半には、日本にありますいわゆる外国人学校についても触れてあります。
 そこで、百九十一ページのデータのところを見てみますと、「所在国の大学・高等教育機関への進学可能性」として、私なりに足し算をしてみると、それぞれの学校で、その国の大学、高等教育機関に進学ができると答えているのが百五十一校、できないと答えているのが四十四校です。これを、回答を総計して割ってみると、約七七・四%の比率でできるというケースがある。できないのが二二・六%というふうに読み取れるのですが、間違いございませんでしょうか。
○佐々木政府委員 御指摘の調査結果は、諸外国の外国人学校の個々の学校の卒業者が、当該国の高等教育機関に進学できるかできないかということについて回答したものでございますが、御指摘のとおりでございます。
○保坂委員 これらは、アメリカ人学校だったりアメリカ系国際学校だったり、イギリス人学校、イギリス系国際学校、その他のインターナショナルスクール、ドイツ人学校、フランス人学校、こういう範囲で統計が出ているようです。
 今度は、例えば日本のいわゆる私立高校、海外にある私立高校ですね、この報告書では網羅的に書いてあるわけではなくて、たった一つ、二百三十六ページに、立教英国学院、英国暁星国際、帝京ロンドン、この三つの学校について書いてありますよね。これらの卒業生はイギリスの大学に進学できるのかどうか。
 もう一点、今度は逆に、イギリスの学校、日本にあるイギリス人学校ですね、ブリティッシュスクールを出た子供が日本の国立大学に進学できるのか、入学試験を受けられるのかどうか、簡単に答えてください。
○佐々木政府委員 イギリスの大学進学は、高等学校段階の学校の修了ではなく、国家試験の合格が要件となってございます。したがいまして、イ
ギリスに所在する私立在外教育施設高等部の卒業生がその国家試験に合格すれば、大学への進学は可能でございます。
 他方、我が国に所在するブリティッシュスクールでございますが、これにつきましては、いわゆる高等学校段階の課程は存在しておりません。
○保坂委員 それは失礼しました。
 今度は、「海外子女教育の現状」という、文部省教育助成局の海外子女教育課が発行されたパンフレットがあります。八ページにグラフがあるのですが、このグラフによると、これは不明も含むのですが、三百七十五人が引き続き海外に在留をしているというふうに確認できます。
 そこで、海外の日本の私立校の在外教育施設及びインターナショナルスクールにそれぞれ進学したパーセンテージはおおよそどのくらいでしょうか。
○御手洗政府委員 お答え申し上げます。
 日本人学校の中学部を卒業いたしまして、そのまま海外に在留いたしました平成九年三月の卒業者三百七十五人、御指摘のとおりでございますが、そのうち、いわゆる国際学校と言われるものに進学いたしましたのが百二十九人、したがいまして、三百七十五人中の三四・四%、それから、そのまま文部省の指定しております私立の在外教育施設に進学しておりますのは百三十五人、全体の三六%程度、この二つで七〇%程度になろうかと存じます。
○保坂委員 それでは、海外の国際学校、インターナショナルスクールに学んだ日本人の日本における大学入学資格はどのような扱いになっているでしょうか。
○佐々木政府委員 国外のインターナショナルスクールがその国において学校教育における十二年の課程に正規に位置づけられている場合には、それを修了した者について、学校教育法施行規則第六十九条第一号に該当し、我が国の大学入学資格を有するということになるわけでございますが、国外におけるインターナショナルスクールのすべてがこれに該当するわけではなく、その所在する国の学校教育制度の中でインターナショナルスクールがどういう位置づけになっているかということを個々に判断をする必要があると考えているところでございます。
○保坂委員 日韓友好親善ということですから、例を韓国にとりますが、韓国のビジネスマンがシンガポールに赴任をして、子供がインターナショナルスクールの高等部を卒業したときに日本の大学の入学資格はどうなりますかというのが一つ。今度は、韓国のビジネスマンが日本に赴任してきて、その子が韓国学校あるいはインターナショナルスクールを卒業したときに日本の大学の入学資格はどうなるのか。この二つをお願いします。
○佐々木政府委員 インターナショナルスクールは、それが所在するそれぞれの国においてさまざまな位置づけがなされているわけでございます。したがいまして、仮にシンガポールの学校教育における十二年の課程に位置づけられているインターナショナルスクールであれば、それを卒業した者については我が国の大学入学資格が認められることになります。
 他方、我が国の韓国学校やインターナショナルスクールにつきましては、我が国の国内法制におきまして、各種学校あるいは無認可の施設ということでございますので、その修了者に大学入学資格を認めることはできないところでございます。
○保坂委員 では、もう一度確認しますが、シンガポールのインターナショナルスクールに半分在学して、半分は日本のインターナショナルスクールに来たケースは、日本の大学には進む資格がない。逆に、日本のインターナショナルスクールに半分いて、シンガポールに行ってそこを出た場合には、今度は資格がある、こう考えてよろしいですか。
○佐々木政府委員 シンガポールから我が国に来て、日本のインターナショナルスクールを出た場合には入学資格は認められません。
 反対のケースでございまして、我が国からシンガポールに移って、シンガポールのインターナショナルスクールを出た場合、それがシンガポールの学校教育における十二年の課程に位置づけられている場合には入学資格を認められるということでございます。
○保坂委員 この両者の矛盾はもはや明らかではないかというふうに指摘をしたいと思います。
 四月一日から金融ビッグバンの時代というふうに言われています。そして、より多くの外国人のビジネスマンもあるいは個人の事業者も来日をすることになり、当然滞在が長期に及べばお子さんが日本にやってくるというケースもふえていくでしょう。
 これは前回指摘したとおり、公立、私立の大学では既に受験を認めているわけです。今回の「論壇」の投稿も私ども非常に恥ずかしい思いで読んだのです。「日本の国立大は、日本語もまだもどかしい留学生を受け入れるのに、日本に生まれ育ち、日本語が達者な外国人学校生は門前で一蹴するのである。」また、「文部省も声高に国際化教育を叫んでおきながら、その体質は非常に保守的で頭が固いように見える。」「私は」この校長先生ですが、「外国人学校の生徒を入学させろと主張しているのではない。日本の高校生と一緒に、平等・公正に受験させてほしいとお願いしているだけである。」と。
 文部大臣に、昨日の「論壇」も踏まえて、そしてワールドカップ、ここにも出ていますけれども、対岸の国韓国では既に理屈に合った制度があるという指摘も受けているわけですね。ここで、前向きの答弁をお願いしたいと思います。
 信州大学の事例でも、これは大学の、先ほどランドセルのお話もありましたけれども、本来文部省がいいの悪いのを言うのではなくて、学生の入学、退学、転学、留学、休学及び卒業は、教授会の議を経て、学長がこれを決めるというふうにあるわけですから、ここのところは、ぜひ文部大臣の踏み込んだ答弁をお願いしたいと思います。
○町村国務大臣 大体のことは私も何でも弾力的に考えたい、こう思っておるのでございますが、本件だけは、これは日本の学校教育の体系の中で各種学校をどう位置づけるかという根幹にかかわることだ、こう私は思っておりますので、委員の御指摘、わからないではございませんが、しかし、やはり今の体系の中ではなかなか難しい問題もあるなと。やはり、引き続きこれは慎重に考えなければならぬ問題だ、こう思っております。
○保坂委員 特に、アジアの学校、国際学校はさまざまなありようで運営をされています。事実上、国立大学では、先ほど文部省いろいろおっしゃっていましたけれども、インターナショナルスクールを卒業したのであれば受験資格を認めるという方向で動いているようで、これはいろいろ確認をしております。
 ですから、この際、本文教委員会で集中的に考えていただくかあるいは小委員会を開いていただくかして、こういう時代の遺物というか世界の流れにそぐわないことはぜひ是正を議論していただきたいということを委員長にもお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。

142回 衆 文教委員会 16 1998/06/03

○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。
 今回の美術品の美術館における公開の促進に関する法律案につきましては、私は賛成ということで、バブル時代に美術品が投機の対象になって、金に任せていわば市場を荒らしてしまった、そして、ここに提案されているように、我が国にはいわゆる私蔵されている美術品があるわけですけれども、それが文化的に、あるいは日本の文化水準ということからさして評価されているわけじゃないというあたりが非常に悲しい現実としてあるということを一言指摘しておきたいと思います。
 絵や彫刻には言葉や民族を超える力があるわけで、言ってみれば、文化の力、あるいはまさに言葉や人々の暮らしの違いを超えた力があるわけですけれども、今回は文教委員会での実質審議の最後になろうかとも思いますので、人権上の問題について緊急にそちらの方を質問させていただきたいと思います。
 外務省に来ていただいているのですが、当委員会で私がたびたび質問をしてきました、いわゆる外国人学校卒業生の国立大学の受験資格、日本の国立大学を受験できないという問題について、国連の子どもの権利条約の遵守状況を審査する委員会でこれが問題になり論議をされたというふうに伝えられておりますが、どの国の委員からどのような発言があり、どのように問題になったのか、外務省の方からお聞かせをいただきたいと思います。
○貝谷説明員 お答え申し上げます。
 児童の権利に関する条約の実施状況に関します我が国の第一回報告書につきましては、先月二十七日、二十八日の両日にわたりまして、児童の権利委員会におきまして審査が行われたところでございます。
 その際、数名の委員より、在日韓国・朝鮮人の方々が大学進学で差別されているのではないかとの質問などが出されまして、これを受けまして政府の方より、このような制度は差別ではない旨を御説明をしたところでございます。
○保坂委員 もう少しちゃんと答えてください。
 その数名の委員というのは、全体で何人の委員がいて、どの国の委員の方がどのように発言をされたのかぐらいはきちっと掌握されていないのですか。その程度しか把握していないのですか。
○貝谷説明員 お答え申し上げます。
 今回の審査に当たりまして、児童の権利委員会におきまして、当初第一セッションでは六名の委員が出席し、その後七名にふえましたけれども、そのうち五名の委員の方々が本件に関連をして質問等をされたということでございますけれども、その記録の詳細はちょっと今手元にございませんので、詳細はまた追ってお伝え申し上げたいと思います。
○保坂委員 今数名というふうにおっしゃいましたが、七名の委員の中で五名の方が触れたのであれば、これは多数の委員の方がというふうに大体なると思うのです。
 外務省は、この事態を深刻に受けとめているのか、あるいは従前の姿勢で終始して、それでよいというふうに思っているのか、国連あるいは国際社会でこの事態がどのように受けとめられていると認識しているのか、簡潔に答えてください。
○貝谷説明員 今回の審査の際に、このような点が触れられたということでございますけれども、
これにつきまして政府といたしましては、ただいま申し上げましたように、このような制度は差別ではない旨を御説明申し上げたところでございます。
 児童の権利に関する条約第二条につきましては、国民的出身に基づく差別というものを禁じておりますけれども、これは合理的な区別までをも禁ずる趣旨ではないというふうに解しているところでございまして、御指摘の制度につきましては、同条約が禁ずる差別には当たらないというふうに考えているところでございます。
○保坂委員 実はこの国連の子どもの権利条約の審査の場、大きな場ですけれども、それ以外にも人権委員会のマイノリティーの作業部会でこれは話題に上る。それから、これは我が国で初めてということですが、ユネスコの個人通報手続によって告発がされたという事態になってきていますが、文部省は、このユネスコに対しての告発がいかなる論拠に基づいてなされたのか、どういう内容を持つものなのか、把握、認識をしていますか。
○雨宮政府委員 新聞報道におきまして、ユネスコに、日本政府が民族学校卒業生に大学受験資格を認めないのは国際条約違反であると在日朝鮮人教職員同盟が告発したという記事がございます。そのような記事につきましては私ども承知しているところでございますが、これは正式には通報という言葉を使っておるわけでございますが、具体的な通報内容につきましては、現在外交ルートを通じて調査中ということでございまして、承知しておらないところでございます。
○保坂委員 そうしますと、もう一度外務省に伺いますが、こちらの権利条約の委員会にNGOからも六十名ほど、大分大量の方々が傍聴にも詰めかけたそうですが、七人中五人が話題にされて、いわば委員会勧告として六月五日に発表されるという可能性が大きいというふうに私ども国連のジュネーブの現場に行っておる友人からきのう伝え聞いたところですが、この勧告ということがなされたとすれば、政府としてはこれはどういうふうに受けとめるのか。
 今までの、差別ではありませんということをただ言い続けるということだけで済むのかどうか。この委員会の勧告はどういう意味を持つのか。権利条約の中にこれを遵守するという規定があるのではないかと思うのですが、そこについてお答えいただきたい。
○高橋委員長 答弁の前に、委員長として、理事会でも一切お話しのない、本件に関係のないことでの質疑はちょっと不満です。
 ただ、御質問に入りましたから、答弁してください。貝谷人権難民課長。
○貝谷説明員 委員会の委員の人数でございますが、ちなみにフルメンバーでございますと、十名で構成されておりまして、欠席者がいたということがございますので、一言つけ加えさせていただきます。
 御指摘のとおり、六月五日にこの児童の権利に関する委員会が今回審査をいたしました締約国の報告書につきまして、それを踏まえて最終見解というものを出すであろうというふうに考えているところでございますけれども、この委員会が各国の報告書の審査をしました後に、各国に対して出します最終見解の中では提案及び勧告が含まれ得ますけれども、この提案及び勧告は法的拘束力を有するものではございません。
 いずれにいたしましても、この委員会が今般の審査を踏まえまして日本に対し提案及び勧告を行います場合には、その提案及び勧告の内容を十分に検討いたしました上で、政府として適切に対処してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○保坂委員 私もこの答弁の内容に大変不満ですけれども、時間が参りましたのでおしまいにしますが、このやりとりを、国境を超えて本当に多くの人たちが見守っているということを踏まえて、文部省、外務省ともに善処していただきたいと思います。
 終わります。




142回-参-文教・科学委員会-12号 1998/04/07

○松あきら君 外国人学校についてお尋ねをいたします。外国人学校は、中華学校やあるいは朝鮮学校など、全国に百三十校ほどあるというふうに伺っております。約三万人の児童生徒が通っております。しかしここの高等部は、高校を卒業して私立大学は受験できても、日本の国立大学を受験できないというんですね。どうして私立大掌は受験できて国立大学は受験できないのか、その理由をお教えください。
○政府委員(佐々木正峰君) 我が国の大学入学資格につきましては、学校教育法の規定に基づいて、高等学校卒業者またはそれと同等以上の学力があるとして、文部大臣が認める者に与えられているところでございます。外国人学校は学校教育法の中で各種学校として位置づけられておるわけでございまして、各種学校の教育内容については、法令上、特段の規定が設けられておりません。
 したがいまして、その卒業者に対して、一般的に高等学校を卒業したと同等以上の学力があるというふうに認定することが困難でございます。そういったことから大学入学資格を認めていないというところでございます。
○松あきら君 各種学校として取り扱っているそうでございますけれども、例えば横浜にございます横浜中華学院は卒業までに百十七単位を課しております。しかも六三三制なんですね。日本の高校より三十七単位も多く取っているわけでございます。各教科は文部省の学習指導要領にきちんと合っているわけでございます。そしてまた設備、教授陣も日本の高校に引けをとらないすばらしい教授の方々がそろっているわけでございます。
 本国ではこの学校は正規の学校と認定されておりまして、国公私立大学をもちろん無条件で受験ができるわけでございます。日本の国立大学には日本語ももどかしい留学生を受け入れているのに、日本に生まれ育って日本語の達者な、しかも彼らの親たちは納税者である、こういう外国人学生を門前払いをしているのはどういうことか。ちなみに、お隣の韓国では中華学院等の受験はすべてオーケーだそうでございます。
 私は、何でこうなのかなというふうに思うわけでございますけれども、先ほどおっしゃったように、学校教育法六十九条に「高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者」とありますが、横浜中華学院の場合、どこの項目が該当しないんでしょうか、お尋ねをいたします。
○政府委員(佐々木正峰君) 横浜中華学院でございますが、本国において正規の学校として認められているといたしましても、我が国の国内にございますので、我が国の法令、制度によって位置づけられるものでございます。その観点から見たときに、横浜中華学院は各種学校でございますので、御指摘いただきました六十九条、これは一号から五号までございますけれども、このいずれの号にも該当しないということで大学入学資格が認められない、そういう扱いになっているところでございます。
○松あきら君 今のお答えを伺いましても、私は、きっと皆さんこのお答えを伺っていて納得できないと思われる方が多いんじゃないかと思うんです。これはどこをとっても今おっしゃっていることに該当しないわけで、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があるわけでございますし、外国人であるという以外はすべての点で違うところがないと思うんです。長い歴史を持って真剣に教育を続けている、しかもきちんと日本の学習指導要領に沿ったそういう学習をしているわけでございますし、しかも今申しましたように親も納税者である。やはりこれは人権問題であるというとらえ方をされてもいたし方がないのではないか。そういう意味で、これは要望でございますけれども、文部大臣、ぜひ一日も早くこういったことを改正していただきたいという要望を申し上げておきます。
○国務大臣(町村信孝君) 再三、本件は衆議院の方でもまた当委員会でも御議論をいただいているテーマであろうかと思っております。これはやっぱり日本の学校教育の根幹にかかわる話でございますから、なかなかそう簡単にわかりましたと申し上げられることではなかろうと。私は、詳細この学院のことについて存じ上げておりませんので、指導要領によっているかどうかということすらわからないわけでありますし、百十七単位の結果がどれだけの水準に達しているかもわかりません。
 いろんな意味からして、いわゆる外国人学校というんでしょうか、日本の教育制度とこういう学校とのどういう調整を図るかという非常にこれは根幹にかかわる問題でございますので、今せっかくの松委員の御要請ではございますけれども、直ちにわかりましたと申し上げられる状況にはございません。
○松あきら君 そうでございますか。私立はオーケーで国立はだめという、もう一つ私は納得いきませんけれども、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 次に、今教育現場で起こっていることでございます。先日も私は、NHKの教育テレビで中学の現場の先生が七、八名お出になっている二時間ほどの生番組を拝見いたしました。そこで先生方のさまざまな叫びを伺ったわけでございますけれども、まず初めに文部大臣に、先日栃木で懇談会をおやりになった、その感想をまず伺いたいと思います。
○国務大臣(町村信孝君) 栃木県内の校長会あるいは現場の先生方、幼稚園から高等学校まで、私立も含めてでございますが、非常に幅広い方々に御出席をいただきましてざっくばらんな御意見をちょうだいいたしました。大変に学校現場で苦労をしておられる姿の一端をかいま見ることができ、伺うことができ、大変に有意義であったと思っております。それまでも私も中学校の先生方と、あるいは私が学校現場に足を運んで生徒あるいは先生方とこれまでも何度か懇談をしたりお話を伺ったりしてまいりましたけれども、なかなか御苦労が多いんだろうなと思いましたし、そうした現場の皆さん方の御苦労を私どもとしては最大限支えていきたい、こういう思いでございます。
   〔委員長退席、理事北岡秀二君着席〕
○松あきら君 先生方のいろいろな叫びの中で、今の学習指導要領が非常に重くなっている、大変
になっている。ですから、中学に入学してくる段階で、小学校で落ちこぼれていると言ったら語弊がありますけれども、もう学力的についていけない子がかなりいるんだと。
 そこで問題になったことが実は漢字のことなんですね。例えば、小学校で覚える漢字の数が九百八十二字から千二十字にふやされたというんです。小学校一年生で八十字覚えなきゃいけない、二年生で百六十字というぐあいなんですね。国語の時間が一年生では二百七十二時間から三百六時間、二年生では二百八十時間から三百十五時間と、例えばこういうふうにふやされたわけです。そうするとどういうことになるかというと、例えば小学校一年生で毎日国語のミニテストというのをやるそうなんです。十ぐらいの漢字らしいんですけれども、そういうことをやっていかないと八十字もとても一年生で覚え切れないというんですね。
 例えば、一年生に漢字を八十字、二年生に百六十字と決めた何か科学的な根拠はあるのでございましょうか。
○政府委員(辻村哲夫君) 先生の御指摘は、平成元年の学習指導要領の改訂におきまして、学ぶべき漢字、これを第一学年で四字、それから第二学年で十五字ふやしたということに関連してのお尋ねだと思いますが、昭和五十六年に、従来当用漢字というふうに言われでおりましたが、これは千八百五十字でございます。これは一般の社会生活において使用する漢字の目安でございますけれども、これが常用漢字というふうに変わりまして、千九百四十五文字というふうに改正されまして九十五文字ふえました。
   〔理事北岡秀二君退席、委員長着席〕
 これは、やはり小中を通して義務教育の段階で社会生活に必要な漢字だということで学習させる必要があるということ、その背景と、それから週一時間ふやすということでこうした改訂が行われたということでございます。


142回 衆 文教委員会 04 1998/03/18

○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。
 本日は、日本の国立大学にぜひ変わっていただきたいという趣旨で、とりわけ外国人学校の生徒の受け入れの問題に絞って質問をさせていただきたいと思います。
 「論座」という雑誌、ことしの三月号ですが、横浜中華学院の校長の杜國輝さんという方がこのようなことを書いておられます。これは朝日新聞の記事を引用しているのですが、
  ――信州大学が一九九〇年度から九三年度にかけて、台湾系の外国人学校である東京中華学校の生徒や卒業生に留学生枠での受験を認め、計四人が入学していたことがわかった。外国人学校は各種学校のため、文部省が大学入学資格を認めないとしており、国立大学は受験の門戸を閉ざしてきた。信州大学は現在、「受験や入学を認めたのは誤りだった。来年度以降は受験を受け付けない」としている。文部省大学課は「大学に事情を聴き指導したい」と話している。ただし、すでに卒業した四人について合格は取り消さない方針だ――。
横浜の中華学校の先生ですが、学校内で驚きの声が上がったということを書かれておられます。
 そして、この先生は、もしこの記事が、国立大学ではなく公立や私立の大学であったなら全く驚かなかった。なぜなら、全国の公立あるいは私大の多くが既に外国人学校の高三の生徒や卒業生に入学資格を与えているからである。何も外国人学校の生徒を日本の高校生より有利な条件で国立大学に入学させろと言っているわけではない、公立や私立の大学と同様に受験のチャンスを与えてほしい、こういうふうに言われているわけです。
 このことについていろいろ細かく聞いていきたいのですけれども、これまでの文部省の説明によれば、学校教育法施行規則第六十九条一号において、外国において学校教育における十二年の課程を修了した者については、国立大学は受験できるんだということなんですね。
 そこを具体的にお聞きしたいのですが、ドイツあるいはフランスで十二年間の課程を修了していれば、例えばアビトウア、バカロレアなどの試験を通過しなくても日本の大学に入学資格がある。ただし、日本にあるドイツ人学校の卒業だけでは、今度はアビトウアを通らなければいけない。それはちょっと矛盾するように思うのですが、いかがでしょうか。
○佐々木政府委員 外国において学校教育における十二年の課程を修了した者に我が国の大学入学資格を認めておるわけでございますが、これは、各国の学校教育制度体系が異なる現状にありますので、国際交流の観点から、外国における十二年の課程の修了をもって我が国の初等中等教育修了と同等の学力があると認められる、そういう考え方によって認めておるものでございます。
 したがいまして、御指摘のように、ドイツあるいはフランスにおいて学校教育の十二年の課程を修了していれば、アビトウア資格の有無にかかわらず、我が国の大学入学資格を認めておるところでございます。
 これに対しまして、我が国にあるいわゆる外国人学校につきましては、我が国の国内にある限りは、我が国の法令、制度によってその施設が位置づけられているわけでございます。その場合、これらの外国人学校は各種学校あるいは無認可の施設でございますので、その修了者に大学入学資格は認めることはできない、そういう扱いになってございます。
 したがいまして、これらの修了者につきましては、アビトウア資格というものあるいは国際バカロレア資格というものの取得がなされれば、これについて大学入学資格を認める扱いとなっておるところでございまして、その両者の取り扱いに特段の矛盾は存しないと考えておるところでございます。
○保坂委員 なるべく簡潔に答弁をお願いします。
 矛盾がないというお答えでしたけれども、それでは、親が海外に赴任した関係で海外の学校に行かなければいけないという日本人の子供たちが海外のインターナショナルスクールを卒業した場合、日本の大学の入学の資格はあるのかということで、文部省の説明ですと、国際バカロレアを取ればいいということがございます。
 ただし、どうしてもバカロレアがなければならないということではなくて、事実上その国の教育体系の中に準拠している学校であれば日本の大学を受験する資格として認めるというふうに聞いているのですが、間違いないでしょうか。
○佐々木政府委員 外国のインターナショナルスクールについてはさまざまな位置づけがなされておりまして、一律な扱いとはなっておらないわけでございます。
 国外のインターナショナルスクールがその国において学校教育における十二年の課程に正規に位置づけられておる場合には、我が国の大学入学資格が認められますし、そのような正規の位置づけがなされていない場合、国際バカロレア資格を取得している場合には我が国の大学入学資格が認められるということでございます。
○保坂委員 今言われたように、マレーシアのインターナショナルスクールはマレーシアの大学に入れる、したがって、バカロレアの取得の必要はないということを文部省の方から聞いております。文部省あるいは中教審等々でも、国際化の時代である、そして大いに交流をして学ぶ、こういう時代になっているということは再三繰り返されているわけです。
 視点を移しまして、例えば韓国の子供がマレーシアのインターナショナルスクールを出れば、マレーシアの学校は受験できるのです。ところが、日本のインターナショナルスクールを出ても日本の国立大学は受験できない。これは矛盾しないでしょうか。簡潔にお願いします。
○佐々木政府委員 マレーシアにおけるインターナショナルスクールの位置づけについては、詳細には承知しておらないところでございますけれども、仮にそのインターナショナルスクールがマレーシアの学校教育における十二年の課程に位置づけられているものであれば、我が国の大学入学資格というものが認められるわけでございます。
○保坂委員 ということは、今おっしゃったように、インターナショナルスクールといっても、世界四十カ国百二十校もあって、十二年制、十何年制とさまざまな体系があるということでございまして、国際バカロレアをクリアすれば大丈夫だということなんですが、この資格がない場合、あるいは今言われたように、その国の教育体系に準拠していない場合というスタイルもあるようです。
 そうすると、同じインターナショナルスクールでも、例えば二年ごとに赴任地を変わっていくような商社マンのお子さんだとしたならば、たまたまどこの国で終わったのかによって日本の国立大学を受験する資格がある場合とない場合が出てくるということになると思うのですけれども、日本人の生徒が海外でインターナショナルスクールを卒業した場合は、一応全部認めているというふうに解釈してよろしいでしょうか。
○佐々木政府委員 それは、そのインターナショナルスクールのその国における位置づけの問題でございまして、その国において学校教育における十二年の正規の課程として位置づけられているというインターナショナルスクールであれば、我が国の入学資格が認められるということでございます。
○保坂委員 ちょっとよく質問を聞いてほしいのですけれども、そのことはもう再三伺ってわかっているわけです。
 そうではなくて、御存じのように、インターナショナルスクールにはさまざまなスタイルがあるわけです。したがって、どの国でどうだともう細かく言わないで、国立大学においては、インターナショナルスクールに十二年いたのであればもう認めるということが現実に行われてはいませんかということを聞いているのです。御存じないならないというふうにはっきり書ってください。
○佐々木政府委員 国立大学においては、そのような扱いとはなっておりません。
○保坂委員 これは、実はある国立大学の大学入学資格、文部省と細かく詰めていった文書なんですけれども、これによると、原則は、先ほどから言われているように外国に十二年だ。そしてインターナショナルスクールにおいても、学校教育における十二年の課程を修了した者が原則であるというふうになっているのですが、例えばアメリカンスクールというふうになってくると、これは在留する国の教育制度で大学受験を認めているかどうかが問題となる。もし在留国でも認めるとすれば我が国でも認めてよいと解する、こういう理解。
 しかし、そういうふうになってくると、東南アジアに在留している子供たちの場合はアメリカンスクールの卒業が多くて、在留国によってバランスを欠いてしまう、いろいろな扱いが違ってしまうということで、募集要項には明文化しないけれども、もう帰国子女としてアメリカンスクールも認めてしまう。
 その後、インターナショナルスクールについても、先ほど言ったようにIB資格をインターナショナルスクールで取得する人は少ないので、十二年課程のインターナショナルスクールであれば、これはもうアメリカンスクールと同様の判断で認めていこうという扱いになっているという文書なんですが、いかがですか。
○佐々木政府委員 現在、そのようなことを規定しておるということについては、承知しておりません。
○保坂委員 ここで文部大臣にも伺いたいのですけれども、こういうことなんです。
 要するに、日本の子供たちは海外のインターナショナルスクールを出て、そして事実上国立大学にも入っているわけなんですね。ところが、海外の子供たちあるいは日本人の生徒で、日本のインターナショナルスクールを出ても国立大学の資格が得られない。これは、国際化の時代の中でもう考えてよいのではないかと思うのですが、率直な御感想をお願いしたいと思います。
○町村国務大臣 私は、委員のように大変専門的にこの分野、余り詳しくないので、なかなか申し上げるのは難しいのでありますが、私の知り得る限りで言いますと、国内の外国人学校はほとんどが各種学校だということで、確かに各種学校といわゆる学校教育法一条校とはいろいろな意味で資格要件が異なっております。
 したがいまして、それを一律に同じように扱えるかどうかというと、そこにはやはりどうしても違いが出てくることはやむを得ないのだろうなと思っておりますので、これは、我が国の教育体系というものがもう少し弾力的であり、複線化してもいいと私は思いますが、この一点はなかなか根幹にかかわる部分でございますので、やはり慎重に考えなければいけないのではないかなというふうに、今のやりとりを聞きながらもなおそう思ったところでございます。
○保坂委員 もう一度町村文部大臣に伺いますけれども、例えば在日韓国人のお子さんで、小中は東京韓国学校で過ごして、そして高校は韓国。そうすると、日本の国立大学には入れるわけです。ところが、韓国人で、小中は本国で、高校に来て東京韓国学校を卒業しても、これはだめだ。教育の内容は実質的に同じではないかということなんですけれども、いかがでしょうか。
○佐々木政府委員 御指摘のように、外国において学校教育における十二年の課程を修了した者については、我が国の大学入学資格が認められておりますので、韓国において十二年の課程を修了していれば、高等学校段階のみであっても大学入学資格は認められるわけでございます。
 他方、我が国において外国人学校を修了した者につきましては、繰り返しになるわけで恐縮でございますけれども、我が国の国内にあるというゆえに、我が国の法令、制度によっての位置づけが各種学校あるいは無認可の施設ということでございますので、その修了者には大学入学資格が認められないという扱いとなっておるところでございます。
○保坂委員 それじゃ伺いますけれども、文部省に国際教育室がございますよね。今、文部省の原則を繰り返し言われましたけれども、文部省の国際教育室が、各種学校として位置づけられている外国人学校の数、小中高で例えばどのくらいあって、その体系、教育の仕組みはどのようになっているのかというのをどの程度把握されていますか。調査されて、いつも把握して見ているのでしょう。
○雨宮政府委員 我が国におきます外国人学校の設置状況についてのお尋ねでございます。
 平成九年の五月一日現在で、各種学校として認可を受けている学校といたしましては、合計で百三十ということでございまして、韓国等の系統のものがそのうちの百ということでございます。
○保坂委員 私の調べた学校教育基本調査報告書平成九年版によると、百三十五というふうに見えるのですけれども。
 それじゃ、今、小中高のそれぞれの学生数、そして、どういう教育のカリキュラムで運営されているのか。例えば授業時間が年間二千八百時間という専修学校高等課程での基準があるようですが、外国人学校の高等部の年間授業時間などは把握されておりますか、どうでしょう。
○雨宮政府委員 まず在籍数でございますが、一つ前の年で恐縮でございますが、二万九千九百二十一人ということになっております。小中高の内訳につきましては、現在資料を持っておりません。約三万人ということでございます。
 それから、カリキュラムにつきまして、御案内のように、各種学校につきまして、もともと、こういうカリキュラムでどうこうという規定もないわけでございますし、文部省としても所轄庁の立場に立っておらないということもございますので、私どもとして、いかなる教育内容がそれぞれの外
国人学校で行われているかということについては承知しておりません。
○保坂委員 文部省設置法施行規則十八条の十二によると、学術国際局国際企画課は、外国人に対する教育の振興及び普及に係る企画、調査及び連絡調整に関する事務を処理するため、国際教育室を置くというふうになっているようですが、今の御答弁では、どうでしょう、ちょっと不十分じゃないでしょうか。
 町村大臣、いろいろな原則があるという話はわかりましたけれども、三万人近いお子さんたちがいて、何のカリキュラムも把握していないということでよろしいでしょうか。
○町村国務大臣 各種学校というものに対する考え方、位置づけではなかろうかなと思っております。ありとあらゆることを文部省が知っている必要もないし、特に各種学校、そういうものは、ある意味では余り政府のいろいろな制約とかその他もないかわりに、自由にどうぞ教育をしてくださいという逆のメリットもありますから、必ずしも、そこらでどういう教育がされているかということについて、詳細な報告を求めたり何なりということが果たして必要なのかどうなのか。逆に、そういうことをやりますと、かえって各種学校のよさが失われるという面もあるのではなかろうかと私は思います。
○保坂委員 もう一度大臣に伺いますが、長い歴史の中で、そして事実上の教育を受けて、しかもこれは、さっき読み上げたように、推薦入試とか、無条件に大学に入れてくれと言っているわけではないのですね。
 そうではなくて、例えば慶応大学だとか早稲田大学だとか、多くの私大が、じゃ、入試はどうぞ受けてください、それで、合格すれば入れますよという取り扱いを行っているわけですね。公立の大学でもそうです。ただ、国立大学だけが、ここにこだわってやってない。ここは少し一工夫というか、これはぜひ大臣の肉声でお願いしたいのですね。
 全くこれを見直さないと、国際社会の中で、それぞれの国同士のおつき合いの中でもいろいろ困った面も出てくると思いますが、いかがでしょうか。
○町村国務大臣 教育制度というのは、それぞれの国の歴史があり、それぞれの考え方があってできているのだろうと思います。
 でありますから、確かに日本は戦後、六・三・三・四という、基本的にはアメリカの形を入れましたけれども、じゃ、その実態はどうかというと、相当違っております。したがいまして、外国がこうだから、日本もこうだというぐあいにはなかなかなってこない。まさに教育というのは、それぞれの国の文化なり歴史なり考え方を反映する制度でございますから、必ずしもそこは、私は、保坂委員のおっしゃるとおりであっていいのかな。
 ということは、やはり国立大学と私立大学は、そこは違いがあることもまた現実でありましょうし、やむを得ないし、であるがゆえに、また、国の助成の仕方といいましょうか、財政的な支出の面、それぞれやはり変わってきているわけでございます。
○保坂委員 町村大臣、実は、私立大学あるいは公立大学は受け入れている。そして、実質学ぶ機会を、受験を認めて、学生になって、ちゃんと社会人になっている。そこの現実をやはり尊重していただきたいし、そこを尊重すれば、国立大学の扱いも、少なくとも再考ぐらいはしていいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○町村国務大臣 日弁連でございましたか、要請書もいただきましたので検討はしておりますが、これはまさに根幹にかかわる話としてなかなか難しいのではなかろうか、こう考えております。
○保坂委員 じゃ、外務省にお願いしておりますので。
 国連子どもの権利条約の二十九条(b)で、この日弁連の勧告書にも同様の点が指摘をされているわけですけれども、ことしジュネーブで国連子どもの権利委員会が開催されて、多分政府としても、文部省としても、この事態を報告しなければいけない。そして、NGOのカウンターパートナー、いろいろ意見を言うでしょう。そして恐らく、今のこのやりとりをもっと進展させていただかないと、なかなか国際社会での理解が得られないのではないかと思いますが、外務省の方、いかがでしょうか。
○赤阪説明員 今御指摘のとおり、ことしの五月の下旬に、児童の権利委員会におきまして、平成八年五月に我が国が提出いたしました児童の権利条約に関する政府報告書の審査が行われる予定でございます。ジュネーブで行われます。
 政府としましても、児童の人権尊重の重要性にかんがみまして、児童の権利委員会との建設的な対話を行うべく、誠意を持って報告書審査に臨むこととしております。
 また、児童の権利条約の趣旨に従いまして、この条約の実施に向けた民間レベルでのさまざまな活動についても、その重要性を十分認識しているところであります。
 外務省といたしましても、非政府関係機関との継続的な対話、報告書作成過程におきまして多くの民間団体等からも寄せられました意見を参考とさせていただきまして、今回のジュネーブでの報告書審査に向けても関係の非政府関係機関等との意見交換を行っていきたいと考えております。
○保坂委員 最後になりますが、こういう制度のおかげで、大臣、日本のインターナショナルスクールに例えば十一年在学して一年だけどこか海外に行くという場合に、要するに全体で十二年の換算で入学資格が取れちゃう、ずうっといると取れないというような矛盾があります。
 今、外務省のお答えでも、これは非政府組織NGOとの意見交換もしつつそういう論議をしていこうという趣旨でございましたので、ぜひ大臣も、いろいろ難しい点を含みながらも、やはり論議を始めていただきたいということをちょっと一言、論議をしていただけるかどうかぜひお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
○町村国務大臣 一定の論議を、私はこれは論議するとかしないとかいうことをあらかじめ申し上げるつもりはございません。
○保坂委員 それでは、これで終わります。



140回 衆 予算委員会第三分科会 02 1997/03/04

○岩田分科員 今お隣の先生からもそんな数でないというふうに言われていましたが、正確な数は私がお聞きした限りでもはっきりしませんね。これは少しおかしいですよ。
 かつて大蔵省も、今税金を取ろうと積極的になっていますが、かつては納税組合がつくられて、全国の国民から納税義務を履行しようという運動をしたのも公民館なんですよ。それから随分性格が変わってきましたけれども、日本における戦後のボランティアの第一号は公民館活動じゃないかというふうに僕は思いますね。
 しかし余りにも公共性というのか公益性というのか、市町村がいわゆる公民館がなければ全然行政が遂行できないということで、幾ばくかの助成金や公民館長の行動費を出していますよね。そういったものの分類もできていないのじゃないですか、文部省は。
 私はそのことを聞いているわけじゃなくて、あなたがおっしゃったような状況からいけば、極めて高い公共性と公益性を十分に有していて、しかも百円か五百円程度の公民館費で運営している現状からかんがみれば、いわゆる登録免許税というのは不必要じゃないか、取る必要はないのじゃないかということを私は言っているわけですよ。
 この公共性がありゃなしや、いわゆる税金の課税対象になるという基準であるべき公共性だとか公益性、これについては文部省はどう思っているかということを私は聞いているのです。
○草原政府委員 公民館は高い公益性を持っているものともちろん認識しております。そして、そういう公民館の公益性という性格からも、例えば公民館の運営に当たっては、社会教育法上、例えば営利事業への援助の禁止とか特定の政党や宗教に対する支援の禁止ということが定められております。これもやはり高い公益性というところに起因するものと思っております。
 公民館類似施設でございますけれども、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、公民館に関するような目的あるいは設置者、事業、運営方針等に関する規定は一切ございませんで、どのような活動を行うかということはすべて設置者の任意となっているわけでございます。したがって、制度上は、公民館類似施設というのは公民館のような公益性を当然に備えた施設というふうには言い切れない面があるというふうに考えております。
○岩田分科員 いや、そうでしょう。それはきちんと一度、どういうことをなさっているのか、類似公民館以外の公民館がどういうふうになっているのか、それが当該地方自治体との関係でどういう活動と行政的補完をなされているのか、一回きちんと整理してください。あなたの答弁ではよくわからないです。
 ところで、公益性や公共性というのはお認めになりましたが、いわゆる登録免許税が公民館について非課税の対象にならなかった、課税の対象になったときの議論としては、恐らく文部省と大蔵省は議論があったと思いますが、そのときあなた方は課税をよしとされているのですよ。その理由は一体何ですか。先ほどの御答弁では、これはちょっと頑張って非課税にしようという議論があったというふうに思いたいのですが、いかがでしょう。
○草原政府委員 平成三年の地方自治法改正時のことを指しておられるのかと思いますが、この地方自治法の改正というのは、自治会、町内会等のいわゆる地縁による団体の活動をしやすくするために、市町村長の認可によって地縁団体に新たな権利能力を取得することができるようにしたものということでございまして、特にこれは公民館の登録免許税に係る取り扱いがこの時点で変更されたというものではないというふうに承知しております。
○岩田分科員 大臣、いかがでしょうか。先ほども申し上げましたように、公民館の種類も類似公民館、その他の公民館、さまざまありますが、これは一概に私は言っているわけじゃなくて、整理をしてもらわなければなりませんけれども、福祉の問題等も含めて本当に幅広い活動をしているという公民館を対象にして申し上げているわけであります。
 そういったものをひとつ、全国状況を把握された上でのことなんですけれども、しかるべき活動が展開されているところについては、今後例えば六団体の要求も上がってくるやに思いますけれども、いわゆる登録免許税等の問題も含めて、もっときっちりした位置づけを、税金の問題を含めて文部省としては対処をされるべきではないか。社会での遂行状況に関連をしてきっちりされるべきではないか。とりわけ登録免許税の非課税についてはもっとしっかりした討議を行っていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょう。
○小杉国務大臣 岩田委員と生涯学習局長とのやりとりを聞いておりまして、私も実態がよくわからないのでここで断定的なことを申し上げることはできないということをまずお断りした上で、確かに公民館、今全国で一万七千館、これは各市町村で設置して、生涯学習の観点からもすばらしい活動をしておられるということは認識しておりますし、また、最近、御指摘のような、地縁団体が設置する公民館もふえているということでございます。
 私は、まず、やっぱり実態をもっと把握して、公共性、公益性と言われましたけれども、本当にその活動、その辺の実態を私自身もまだよく把握できていないわけなので、そうした実態調査といいますか実態把握に努めた上で、税制当局あるいは市町村等の意見もよく聞きながら対応していかなくちゃいけないかな、こう考えております。
 私、正直なところ実態がよくわかりませんので、またいろいろと御教示いただければ、参考にさせていただきたいと思います。
○岩田分科員 時間がないのでこれだけで終わりたいと思いますが、局長さん、やっぱり実態を調べた上で、努力をされている方々が本当に高齢化社会やこの変貌する社会の中で子供たちをどう見詰めていくかという意味では必要不可欠な存在だと思いますので、もう少し温かい目で公民館を見てくださいよ。今大臣御答弁になったように、五年や十年先じゃなくて早速実態調査をしてほしいということと、税制問題についての検討をお願いをして、これで終わりたいと思います。
 次に、時間がなくなってしまいましたが、今、朝鮮半島がなかなか厳しい状況にありまして、ですからあえて言うわけでもないのですが、いわゆる在日朝鮮人の民族学校についてお尋ねをしたいと思います。
 こういう社会状況の中で、なおかつ白眼視されてはいけないし、するべきではないと思っておりますが、まず、朝鮮人学校というのは二条校ですね、一条ではないですね。学校教育法の一条ではなくて、二条になっている。つまり、特殊学校それから、何というのですか、各種学校に位置づけられておりまして、いわゆる市町村の多少の支援はあるようになりましたが、財政的な困窮の中にあるということ、それから、大学の入学資格が得られないということがありますが、これについてはぜひ門戸を開いていくべきではないかというふうに私は思っております。
 それで、一九九五年、文部省はドイツ人学校の大学受験資格をお認めになっておりますが、これからもう既に二年たとうとしておりますけれども、将来、いわゆる二条校に指定されている外国人学校の、ドイツ以外の外国人学校の門戸について御検討があるかどうか、お伺いをしたいと思います。
○雨宮政府委員 ドイツ人学校につきましてのお
尋ねがございました。
 平成七年に入学資格を認めたわけでございます。これにつきましては、ドイソ連邦共和国の各州におきまして大学入学資格として認められておりますアビツア資格というものがございまして、それを有する者について入学資格を認めたということでございまして、ドイツ人学校を修了した者について認めたということではございません。
 アビツア試験を通った者、そういう試験資格に着目して、それまで国際バカロレア資格というのも従来認めていたわけでございますが、それと同様の文脈でございますが、国際的な通用性があるとか、あるいはその内容や水準が一定の基準により確保されているということが確認できたということでそれを認めた、こういうことでございます。
○岩田分科員 当時の新聞から読み取れることは、今の御答弁にも含まれているわけでありますけれども、ドイツ本国から文部省に要請があったということは重要なポイントだと思います。
 今、試験資格の問題をおっしゃいました。しかし、朝鮮人学校というのはドイツ人の学校よりももっと多いですよね。数も生徒数も多いというふうに私は認識をしております。北朝鮮とはいわゆる国交がないためにということもあろうかと思います。しかし、教育水準の問題は、私はそう低くないのではないかというふうに思っています。この辺、御検討なさったことがあるのかどうなのか。しかも、朝鮮人学校も六・三・三制というのをとっておりまして、カリキュラムも極めて厳密にやっておられるというふうに私はお聞きをしているわけであります。
 今局長おっしゃったように、ドイツ人学校のことはわかりました。朝鮮人学校のこと、韓国の方にもございますが、二つ国がありますので難しいことはわかりますけれども、これについての検討をしておられるという事実があるかどうか、全くされていないのか、その辺はどうですか。
○雨宮政府委員 先生今御指摘のように、各種学校という位置づけのもとになっているわけでございまして、学校制度全体の中で各種学校の卒業者に対してどういう扱いをするかという、学校制度全体の中での基本論にかかわるわけでございまして、従来、各種学校につきましては、自由闊達な教育内容というようなことで、一条校とは別個に扱っておるわけでございまして、一条校との接続ということについては、そういう観点から慎重に構えておるということでございます。
 したがいまして、先ほどドイツのアビツア資格云々のことについて私が申し上げましたとおり、ドイツ人学校の卒業者ということに着目したわけではございませんで、試験資格に着目したということを申し上げたわけでございます。したがって、朝鮮人学校の場合と事柄は違うということを申し上げたかったわけでございます。
 しからば検討しておるかということでございますけれども、各種学校と一条校との接続という基本的な問題は変わらないわけでございますので、具体的な検討は行っておりません。
○岩田分科員 もう一つは、レベルの問題というのがあろうと思います。国交の問題があろうと思います。
 私はあえてそれは問いません。難しいことはわかっています。しかし、どうなんですか、公立の場合も私立の場合も、最近、教育分野でも議論が広まっていいではないかというふうに、受験資格を与えている学校も多くなっているわけですね。それなのに、文部省だけがかたくなな姿勢というのは、やはり、言えない理由というのか、ここでは明確に言えない理由があるかもしれないけれども、いわゆる門戸を広げていくべき時期ではないか、そういう国際的な流れではないのかということを聞いているが、あなたの御答弁は、ジョイントについて検討は全くしていないということだけれども、その辺、私は心配になるわけであります。やっぱり、レベルが違うのですかね。
○雨宮政府委員 レベル云々ということではございませんで、各種学校としての位置づけということが、基本的な学校制度上の問題になろうかということでございます。
○岩田分科員 もう一つは助成の問題ですけれども、私の地元にも初等中等学校がありますが、行ってみますと、いわゆる在日の方々の寄附で学校も建てられ、補修もされているわけですが、雨漏りがして、先生の数も極めて限られているし、先生の給料も二分の一程度だ。助成金がないものですから、親たちもそうでありますけれども、各種寄附を募って雨露をしのいでいるというのが偽らざる実態なのですよね。助成については、今後何か文部省として検討されるというおつもりはありませんか。
○林田政府委員 外国学校に対します助成の問題でございますので、私の方からお答えをさせていただきたいと思いますけれども、今高等教育局長の方からお話し申し上げましたように、朝鮮人学校はいずれも各種学校として位置づけをされまして、それぞれの教育内容につきましては法的な規制を受けないというふうな形での位置づけの制度をお使いいただいて運営をいただいているわけでございます。
 確かに、おっしゃいましたように、いろいろな御要望がこれまで出されているのは事実でございますけれども、朝鮮人学校の施設設備の老朽化に対応いたしました教育助成を行うことにつきましては、学校教育法の一条校に準じた扱いとすることになるわけでございますけれども、今申しましたような制度の位置づけ上困難であるというふうに私どもは考えているところでございます。
○岩田分科員 時間が参りましたので、問題提起だけに終わると思いますが、大臣、やはり朝鮮問題については、さまざまな角度から議論があったり、抗議があったりしておりますが、残念ですね。
 例えば、朝鮮人の方々の在日、在住の傾向を見てみますと、一九〇九年が七百九十人になっていますね。これは植民地政策の前でありまして、恐らく七百九十人というのは留学生が主であったろうというふうに言われております。歴史的にも証明されています。一九一九年になりますと、六千人を超えます。そして圧倒的にふえ始めまして、一九四五年は二百三十六万というふうになっていますね。
 このいわゆる傾向は何を物語っているかということは、もうおわかりのとおりですからここでは申し上げませんが、先ほど私も申し上げましたが、いわゆるカリキュラムだとか教育システム、就学前教育、それから六・三・三制、大学前ですね、これはもうきちんとやっていますし、それから納税義務もこれはちゃんとあるわけでして、それから、国際人権規約だとか子どもの権利条約など国際法、国際関係の観点からもかなり日本は進んでいるというふうには言われない状況にあるわけです。
 冒頭申し上げましたように、朝鮮半島の情勢というのがありますから、なかなか文部省としても、しかも韓国と朝鮮があるわけでありますけれども、難しいということはわかります。しかし、現地ではコリアとして一緒に行動されているという、生活規範というか、生活状況が広くなりましたよね。そういうことを考えますと、局長が御答弁になったことは、ちょっとやはり時代おくれではないかというふうにやがて外国から指摘をされるかもしれませんね。
 僕は、朝鮮だから言っているわけではないのです。もうそろそろ、二条校の状況だとか、公立学校だとか私立学校がやっている教育、あなたがおっしゃる自由な教育活動について、転換について、文部省はもう少し目を開いたらどうかというふうに思うのです。財政支援の問題と将来の、いわゆる大学受験の資格を与えるという問題について強くきょうは要求をしておきますが、大臣に、最後に一言、何か所見をお伺いしたいと思います。
○小杉国務大臣 これは岩田先生御承知だと思いますけれども、今までの経緯を考えますと、村山内閣のときからこれは今政府が答弁したスタンス
でおりまして、これは学校教育制度全体の根幹にかかわる問題でありますので、私たちも慎重にやはり検討すべき課題だろうと思って対処しております。
○岩田分科員 終わります。



140 参 文教委員会 02 1997/02/20

○林久美子君 そこで、お伺いしたいんですけれども、文部省の来年度の予算に、今おっしゃった在外教育施設派遣教員安全対策巡回指導班の派遣として新規に二百三十七万円を計上されております。これは今おっしゃいましたそのお話を伺いまして、治安の厳しい地域に所在する在外教育施設の巡回指導のための費用に充てられているというものでございます。
 ところで、外務省の予算を見ますと、平成五年度から日本人学校の安全対策専門家を毎年一名ずつ治安状況の悪化している地域に派遣しておりますけれども、平成八年度では二百六十四万五千円を計上しています。来年度も同様に二百三十万二千円を計上されました。どうも素人目に見ては、同じことを文部省と外務省とでやっているのではないかと疑いを持ちますけれども、これはどうなんでしょうか。
○政府委員(小林敬治君) 先ほど申し上げましたように、私どもの立場というのは海外にあります教育施設に先生に行ってもらう、派遣をするという立場でございます。その立場から、治安事情の厳しい地域にある在外教育施設に勤務する派遣教員とその同伴者の安全を総点検したいという趣旨でございます。したがって、私どもとしては、この予算の規模からもおわかりのように、一人ずつ二名を派遣いたしまして一年に一人が三校くらいを重点的に見ていく。これは全校を見るつもりは毛頭ございませんで、大体三十校を重点的に見たい、こういうふうな形でございます。
 今お話にもありましたように、外務省でもそれに類似した事業があるではないかということでございますが、これはいわば専門家の専門的な安全対策という観点であろうかと思います。私どものところでは、むしろその安全につきまして派遣された職員の皆さん方との相談相手になるというところを重視いたしておるわけでございます。
○林久美子君 今までも巡回指導をしていらっしゃいますね、年に七回から八回ぐらい、海外子女の教育のために。その担当官を中心に巡回指導をされておりますけれども、これとはまた別途の派遣班を派遣していらっしゃるのでしょうか。
○政府委員(小林敬治君) 今御指摘の巡回指導というのは、文部省の職員一名と、主として都道府県の指導主事の方々をお願いして教育指導面からの巡回指導ということになります。これは九十二校のすべてを対象にいたしておりますので、実際問題としては十年に一回ないしはそれ以上の頻度でしか行かれないという状況にございます。したがって、派遣をされる指導員の能力から見ましても、今までやっていた巡回指導に安全面をも上乗せするということは期待ができないというふうに私どもは判断をいたしたわけでございます。
○林久美子君 ちょっとわかりにくいんですけれども、もう少し具体的にお願いいたします。
○政府委員(小林敬治君) 例えて言いますと、国内でも各都道府県あるいは市町村に設置をいたしております指導主事の先生方が実際にその学校現場を訪れて、いろいろな先生方の指導上の悩みを聞いたりすることが全国的に行われているわけでございます。海外にあります。そうした教育施設においてもそれに準じたような働きを持つ巡回指導というものが必要だということで、これは以前から行っておるもので、したがいまして、考え方といたしましてはすべての日本人学校を対象とした事業ということになるわけであります。
○林久美子君 わかりました。私は、両方ともそれができればいいなとは思います。
 それでは、もう一度文部省にお尋ねいたします。
 いざというときのインターネットの有効性はもう阪神・淡路大震災においても実証されております。この際、一方通行の通信というよりも双方向の通信が大事でありまして、この安全性の点検、実情把握とか、また在外子女や邦人の安否確認などに、そしてもちろん文部省の教育情報の送信に大きく貢献していることはもう周知のとおりであります。今回、各地の日本人学校におけるホームページの開設状況はどうなっておりますでしょうか。
○政府委員(小林敬治君) 私どもとしては、平成八年度から海外日本人学校等の情報ネットワーク化事業を進めてきておりまして、今年度中に希望するすべての日本人学校七十五校をインターネットで結ぼうということになっております。
 それから、補習授業校につきましては、来年度になりますけれども、児童生徒百人以上のすべての、いわば大規模校でございますが三十九校を整備したい。その後も現地の意向を確認の上、その他の補習授業校についても拡大をしていく予定になってございます。
○林久美子君 ありがとうございます。
 授業料など、日本人学校における父兄の負担が非常に高いと聞きます。もう悲鳴を上げているところもありますけれども、一方当該国からの援助によって低く抑えられているところもあると聞いております。国内であれば義務教育の無償という憲法二十六条で保障されておりますが、この憲法の適用が及ばない海外においてでありますけれども、父兄負担の軽減措置を講ずることができないのか。これは、私は海外にお友達がいるものでいろいろ苦情を聞くんですけれども、高いところでは中国の広州なんかは月額六万五千円かかるそうです。そしてまた、平均では月額で小学校が二万四千円、中学は二万五千円。ぜひ、この点に関して日本人学校の経費の問題をお願いいたします。
○政府委員(小林敬治君) この経費的な面からの支援というのは私どもと外務省と両省でやっておるわけでございますが、私どもの文部省としては、一つは派遣教員、これは教育をやります場合に最も大きなシェアを占める人件費を節約するという効果があるわけでございますが、派遣教員を毎年派遣いたしておりまして、大体全体の海外にいる先生方の約八割以上が派遣教員で占められているわけでございます。
 それから、教科書もこれを買い上げまして無償で配付をいたしております。したがって、国内と同様な状況になっておるわけであります。
 それからもう一つ、国内基準に準じた教材の整備のための補助を行っておるわけでございまして、こうしたことを通じて海外における教育施設の負担を軽くしていくというふうに考えておるわけでございます。
○林久美子君 本当に日本は経済大国でありまして、海外にいる日本人学校の人たちの父兄に対する軽減というのはぜひもう少し考慮してあげていただきたいと思っております。
 ところで、今に続くんですけれども、日本国内における諸外国の教育機関に対する我が国の支援はあるのか。ギブ・アンド・テークではないかと思うんですね。日本人学校の当該国に対する要望は、えてして諸外国の教育機関の日本国に対する要望と似通っていると思われますけれども、実情はどうなっているんでしょうか。
○政府委員(林田英樹君) 日本国内にございます諸外国の教育機関ということでございますけれども、国内にございます在日外国人の子供さんたちを対象といたしました外国人学校は、現在そのほとんどが都道府県知事の認可による各種学校として運営されているという実情でございます。
 各種学校につきましては、教育内容についての法令上の特段の制限はございませんで、それぞれの設置なさった方々によります自主的な運営が行われているということでございます。
 このような学校に対しまして、都道府県などの地方自治体の中にはそれぞれの御判断で外国人学校に対する助成が行われている例もあるとは聞いておりますけれども、国としての助成を行っているわけではございません。
 ちなみに、平成八年五月一日現在の学校基本調査によります外国人学校の数は百三十五となっておりまして、それぞれに在籍している児童生徒の数は二万九千九百二十一名ということになってございます。
○林久美子君 この中で、どういう国の学校が含まれておりますでしょうか。
○政府委員(林田英樹君) ただいま直ちにデータが出てまいりませんけれども、いろいろなケースがございまして、それぞれの出身者がどういうところからお見えになっているかということによって、どこの国のというふうに言いにくいところがございますが、主としてどういう分類にされるかというのを私どもなりに整理したものを申し上げます。
 実は、先ほど申しましたのが平成八年五月一日現在の数字でございますが、ここにございます内訳はその一年前の平成七年五月一日現在のものでございますので、それをちょっと御紹介いたしたいと思いますけれども、主としていわゆる韓国・朝鮮系の方々のいらっしゃる学校が百一校、それからいわゆるインターナショナルスクールと呼ばれるものが十八校、それからアメリカンスクールと言われるものが二校、その他十八校、合わせて百三十八校というふうに承知をしております。
○林久美子君 どうもありがとうございました。
 また、国際化の時代において、国連機関において各国の在外子女の教育についての話し合いがどう進められているのか。
 例えば、これは提言なんですけれども、各国の在外子女を一堂に集めて教育する。もちろん、希望によっては教室をそれぞれ別にして行えるような、各国が国連学校を設置するなどの方策はないのでしょうか。
○政府委員(林田英樹君) 私の承知しております限りでは、特に国連機関におきまして御指摘のような議論があったとは承知をしていないわけでございますが、若干、国際的な場で今のようなことが行われている例といたしましては、例えばニューヨークにございます、主として国連機関の職員や各国の政府代表部勤務者の子弟を対象として設立されました国連国際学校と呼ばれるものが設置されている例を聞いておりますけれども、この学校は国連の機関ということではございませんで、先ほど申しましたように、国連の勤務者などが自主的に創設した国連とは独自の私立の教育機関であると聞いております。
 また、その他、欧州の六カ国に欧州共同体の職員の子女を対象とした欧州学校、ヨーロピアンスクールが設置をされておるというふうに聞いてございますが、これにつきましては加盟国の政府が共同で管理しているわけでございますけれども、これは欧州共同体の形成という動きの中で必要となった特別な背景によるものではないかというふうに理解をしております。
○林久美子君 これから本当に国際化が進みまして、教育もそういう面で国連が関与していけるような、そういう学校ができるようになったら、私はやっぱり夢として、全世界の子供たち、またそういう関連の人たちが集まって一つで教育できるようなところができたらいいという希望を持っております。
 それでは最後に、これは後からするかどうか考えていたのですけれども、現地採用教員と文部省派遣教員の給与の格差は実態的にはどうなっているんでしょうか。
○政府委員(小林敬治君) 細かい数字的なものはちょっと用意していないのでございますけれども、派遣教員の場合の給与というのは国内と同じでございます。現地採用教員の場合には、多分現地通貨で雇用されておりますこともあり、想像するのに国内から派遣された先生方よりはかなり低いのではないかなというふうに思っております。
○林久美子君 大体私も伺っているんですけれども、やはりそのバランスというのは、本当に現地の人にとっても非常にいろんな思いをしていらっしゃいます、私は現地の方から聞いている話なんですけれども。そういう意味で、日本からもぜひ協力をしていただきたい、そういう思いはありますので、よろしくお願いいたします。
○政府委員(小林敬治君) きょうは外務省からもお見えのようでございますが、この点につきましては外務省の方から補助金が出ておりますし、それから雇用するか否か、雇用する場合にどのような条件になるかということは現地の学校の設置者が判断をいたしておるわけでございます。そういったことについて財政面からの援助をして、少しでも望ましい条件で現地の方々を先生に迎えようということはやっておるわけでございます。
○林久美子君 どうもありがとうございました。これで終わります。
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