人 権 救 済 申 立 書

 

2003年6月9日

 

福岡県弁護士会人権擁護委員会 御中

 

申立人

 

1. 学校法人福岡朝鮮学園          理事長   崔有福 

 

807-0825北九州市八幡西区折尾3-5-1

電話 093-663-6850(前述番号は仮事務所、本来093-691-4431)  

 

2.        九州朝鮮高級学校            校 長   金光正 

            

807-0825北九州市八幡西区折尾3-5-1

電話 093-663-6850(前述番号は仮校舎、本来093-691-4431)

 

3. 北九州朝鮮初中級学校          校 長   李倉鍵 

 

807-0825北九州市八幡西区折尾3-5-1

電話 093-662-0272(前述番号は仮校舎、本来093-691-4431)

 

4. 福岡朝鮮初中級学校           校 長   尹慶龍 

 

811-0202福岡市東区和白5-17-1

電話 092-606-4611

 

5.筑豊朝鮮初級学校            校 長   高仁植 

 

820-0067飯塚市大字川津95-114

電話0948-22-6952

  

6. 小倉朝鮮幼稚園             園 長   朴日善 

 

802-0022北九州市小倉北区上富野4-212

電話093-531-2080

 

7.九州朝鮮高級学校            保護者代表 崔純姫 

 

802-0042北九州市小倉北区足立2-7-37

電話 093-952-7077

 

8.九州朝鮮高級学校            学生代表  元貴龍  

 

807-0822北九州市八幡西区瀬板2-6-8

電話 093-691-1147

 

被申立人

 

1. 福岡県知事  麻生渡   殿      812-8577福岡市博多区東公園7番7号
電話 092-643-3102                                                         

 

2. 福岡市長   山崎広太郎 殿      810―8620福岡市中央区天神1丁目8番                

電話 092-711-4001

 

3. 北九州市長  末吉興一  殿      803-8501小倉北区城内1-1

                                   電話 093-582-2127

 

4. 飯塚市長   江頭貞元  殿      820-8501飯塚市新立岩5-5

電話 0948-22-5500                        

 

 

.申立の趣旨

 

申立人は、在日朝鮮人の子どもたちの民族学校(初級、中級、高級、大学)に対し、日本学校(学校教育法第1条)と同等の地位・待遇を保障するよう被申立人へ以下の措置,施策を行なうよう勧告させることを求める。

 

 

1)   福岡県及び各市町村は県下各朝鮮学校に現在支給している1千491万8000円の教育助成金を私立学校と同水準に増額するよう緊急に求める。

 

△その根拠と問題点

 

1)在日朝鮮人が納税義務を負っていることからも、民族教育に財政的支援を行ってしかるべきである。納税という義務では「国民」扱いにし社会保障など権利では「外国人」とす?/B>差別的処遇は不条理である。

 

  ※ 私立各種学校である朝鮮学校への教育助成の法的根拠

「 私立学校法」― 64条 5項及び4項(準学校法人への準用)、59条 (助成)、「私立学校振興助成法」―16条(準学校法人への準用)

と、10条 その他助成)

 

2) 福岡県は、1992年(平成4年度)から「福岡県私立外国人学校教育振興費補助金」として県下の各級学校(九州朝鮮高級学校、北九州朝鮮初中級学校、福岡朝鮮初中級学校、筑豊朝鮮初中級学校)に補助金を支給しているが、使途制限のない経常費としてではなく国際交流に資するためという制限付きの助成金である。

 

※福岡県の平成14年度『私学補助金』当初予算に見る一人当たり年間補助額

 

公立学校

私立学校

朝鮮学校

高等学校

\ 860,000

\301,480

\21,739

中学校

\840,000

\268,880

\34,391

小学校

\780,000

\267,470

\34,391

幼稚園

 

\155,270

0

    

 

 

 

 

  

   <グラフ省略>

※ 朝鮮学校補助金に対する他県対比表とグラフ(主要都市で最も低い水準)

                                          2000/4/1現在

 

都道府県

区市町村

合計

大阪

\195,590,000

\106,000,000

\301,590,000

兵庫

\153,000,000

\64,480,000

\217,480,000

東京

\37,560,000

\134,810,000

\172,370,000

神奈川

\59,020,000

\24,460,000

\83,480,000

京都

\28,040,000

\30,900,000

\58,940,000

愛知

\29,450,000

\8,480,000

\37,930,000

広島

\19,640,000

\12,710,000

\32,350,000

福岡

\8,000,000

\6,880,000

\14,880,000

 

 

 

 

 

 

 

 

  

  



           <グラフ省略>

※ 資料1.別紙にて全国の前例を添付

 

3)日本の私立学校水準の金額が朝鮮学校に適用されるならば合計1億4千651万8、710円が補助額となる。(平成14年度)

 

 

学生数 × 私立学校補助金

合計

朝鮮高校生

161人×301?80円

 \48,538,280

朝鮮初中級生

332人×268,175円

\ 85,714,100

朝鮮幼稚園

79人×155,270円

\ 12,266,330

 

総合計

 \146,518,710

 

現在、県の朝鮮学校に対する補助額は

1千4,91万8,000円(私立学校に比べ10.18%)

・私立学校との差額は1億1千668万2,710円にもなる。    

    

同時に朝鮮学校はいま、日本における経済不況と厳しい政治情勢にあおりを受け

    保護者は多大な経済的負担を強いられ

    一部の教職員の人件費が滞り

    雨漏りをはじめ校舎の老朽化は眼にあまり教育環境は危険で劣悪な状態でも補修すらできない(福岡初中級学校と筑豊初中級学校)

    学校運営は日増しに厳しい状況に追い込まれている。

 

日本政府と地方自治体の、「不景気だから?SPAN lang="EN-US">,「他の予算も削減している」等々の口実のもと、放置しているとしか思えない差別的処遇と基本的人権侵害は一時の猶予も許されない。

 

2)      福岡県及び各市町村は朝鮮学校に対する商工人達の寄付金の税制上優遇措置をとるよう日本政府及び文部科学省へ働きかけること。

 

日本に生活する在日朝鮮人が居住国に納税を果たすのは当然の義務である。しかし,税金では「国民」同様でありながら,権利面では朝鮮人,もしくはアジア系外国人として除外し差別するのは二重の差別であり、「法の前の平等」に明らかに反している。

  

  ※ 「文部科学省と財務省は来年度からインターナショナルスクール(欧米系)を一般の私立学校並みに特定公益増進法人に追加し,寄付をした企業や個人が税制上の優遇措置を受けられるように変更する方針を固めた。」(資料6のG 神戸新聞2003年3月9日) 

 

  在日本朝鮮人福岡県商工会会員の納税額から推定すると県下2万余名以上の同胞達の納税額は少なくとも数十億円になるものと考えられる。

 

  ※ 平成14年度の国の一般会計予算総額は81兆2、300億円。このうち文部科学省の予算額は6兆5、798億円で、国の一般会計予算額の8.1%(一般歳出の13.8%)にあたる。

 

  この国の予算から考えると福岡県下在日同胞の納税状況からも上記にのべた朝鮮学校に対する私立学校水準補助金が適用されるのは至極当然である。

 

 

日本学校との税制上の優遇措置比較

 

一般の寄附が損金(控除)の扱いになるか

 

 

 

公立学校

 私立学校&法人格を持つインターナショナルスクール

各種学校(法人格を持つインターナショナルスクールを除く)

 

 

全額損金対象

  一般の寄付金とは別枠で一定の限度額の範囲内で損金算入(※2)

 一般の寄付金の上限額

(※3)までのみ認められる。学校としての優遇はなし

個人

  寄附金額−1万円但し(※1)

寄附金額−1万円但し

(※1)

一切なし

 

※1:寄付金額が所得金額の25%を超える場合は(所得金額の25%−1万円)

 

※2:一般の寄付金の上限額である

    (資本金×当期の月数/12×0.0025+所得金額×0.025)×1/2

とは別に、これと同様の金額を損金算入できる。一般の寄付金が上限に満たない場合はこの枠も使える。仮に一般の寄付金が一切なければ、上記式による金額の2倍を損金算入できるということである。

    

※3:(資本金×当期の月数/12×0.0025+所得金額×0.025)×1/2

          

● これとは別に校舎の増改築や敷地の整備時に適用される「指定寄付金」制度がある。法人なら「全額損金算入」、個人なら 「寄附金額−1万円但し(※1)」という扱いとなる制度である。

 

    これは私立と同様、各種学校も対象になりうるもので、インターナショナルスクールだけでなく東京韓国学園、ドイツ人学校なども認められている。しかし朝鮮学校は阪神・淡路大震災時の特例措置を除き、認められていない。

 

3)福岡県及び各市町村は朝鮮学校校舎の建築、改築、補修に関する補助金(臨時金、一時?を支給すること。

 

福岡朝鮮初中級学校と筑豊朝鮮初中級学校はいま、雨漏りをはじめ校舎の老朽化ひどく子供達が健やかに、そして安全に育てる上で教育環境は非常に危険で劣悪な状態である。しかし財政難でほとんど補修すらできない。

 

※ 資料2.別紙にて福岡初中級学校と筑豊初中級学校の補修内容、写真添付

 

4)朝鮮高級学校卒業生に国立大学、公立大学の受験資格及び、弁護士、公認会計

士の1次試験免除、税理士等の各種国家試験資格を日本の学生と同等に認めるよう日本政府及び文部科学省へ働きかけること。

 

  これまで文部化学省は一貫して大学への入学資格を認めてこなかったため、現時点では国立大学のすべて,また少なくない公・私立大学が受験を認めていない。

 (進路選択における差別)

  

国家資格取得における問題は

 

@    司法試験は免除されていない。

 

  ・ 朝鮮大学の学生が弁護士になるため司法試験にトライする場合、日本の大学に通うものなら一定の単位を取るだけで免除される一般教養試験を一次試験として受験しなければならない。この一次試験の免除を受けるためわざわざ日本の大学にいわゆるダブルスクールを二年以上して,一定の単位を終了するとか,日本の大学院に入学を認められれば免除される。

  ・ 一次試験免除の要件の一つに「外国において、学校教育における16年の過程を終了した者」という規定がある。つまり外国にある外国人大学卒業なら認めるが日本にある外国人学校は認めないのである。

 

  A 公認会計士や不動産鑑定士も一次試験が免除されていない

 

    弁理士や司法書士,行政書士,宅建は問題ないが、税理士や社会保険労務士

   になるためには他の資格をまずとるというような迂回コースを経なければならない

 

  B 看護師についての、いわゆる正看護学校は制度的に大学入試と連動して解決する可能性が高い

    

准看学校の入学資格可否は都道府県によって対応が分かれている

 

  C その他、保育士の受験資格においても日本の大学なら二年以上の在籍と62単位の終了で受験資格を得るのに対し、朝鮮大学校学生には認められていない(卒業生に対しては東京都,神奈川県等は認めているようだが,都道府県によっては認めていないところもある)等、資格取得においての不利益は多い。

 

※ 日本学校と朝鮮学校の比較は次のとおりである。

 

参考図書:2003年版最新資格試験オールガイド990種(永岡書店)※文中「省略」という部分は学生を対象にした条項ではなかったので、当資料作成者(在日本朝鮮人人権協会金珍英)が省略したもの。 

        

2001年9月作成)

資格

受験資格

朝高、朝大(卒業)生の場合

弁護士

1次)誰でも受験可

受験可

2次)1次試験合格者と以下の1次試験免除者

1次免除者のいずれも該当せず

@学校教育法に定める大学において、学士の学位を得るのに必要な一般教養科目の学習を終わった者

A司法試験管理委員会規則に照らし、@同等以上の教養と一般的学力を有すると認められた者

弁理士

誰でも受験可

受験可

公認会計士

1次)誰でも受験可

受験可

2次)1次試験合格者と以下の1次試験免除者

1次免除者のいずれも該当せず

@大学(短大含む)卒業者

A大学(短大含む)に2年以上在籍し44単位以上習得した者

B高等専門学校卒業者

C(省略)

D専修学校卒業者で一定の要件(修業年限2年以上で総授業時間数1700時間以上)を満たした者

司法書士

誰でも受験可

受験可

行政書士 

誰でも受験可

受験可

税理士

@大学、短期大学を卒業した者で法律学または経済学に関する科目を1科目以上履修した者

いずれも該当せず

A法律または経済に関する科目を含め62単位以上取得した3年次以上の学生

B、D、E(省略)

C日商簿記1級合格者または全経簿記上級合格者

受験可

中小企業診断士

誰でも受験可

受験可

社会保険労務士

@大学の一般教養課程を修了した者または短大、高等専門学校、一部の専門学校を卒業・修了した者

該当せず

AB(省略)

C社労士または弁護士の業務の補助事務に通算して5年以上従事した者または行政書士合格者

この条件クリアすれば受験可

D法人等の従業員として労働社会保険諸法令に関する事務に従事した期間が通算して5年以上になる者

土地家屋調査士

誰でも受験可

受験可

不動産鑑定士

1次)誰でも受験可

受験可

2次)1次試験合格者と以下の1次試験免除者

該当せず

@大卒、短大卒

A省略

 

2. 申立の理由(民族教育の始まりと展開過程)

 

1) 民族教育の始まり

 

在日朝鮮人は日本の植民地支配により渡日と、在日を余儀なくされた人々であつた。

 

  焦眉の問題は 植民時代の同化教育克服「皇国臣民化教育」即ち失われた民族性の回復にあった。

 

在日の大勢の子供たちは言葉を始め、朝鮮のことをほとんど知らずに育った。帰国を目前にし、子供達への民族教育は緊急且つ切実な問題として提議された。解放直後日本各地で自主運営による国語(朝鮮語)講習所が開かれた。

 

  朝連(在日本朝鮮人連盟)は1946年4月より、日本各地の国語講習所を初・中・上の3年制初等学院へと改編し、初等教育を実施。

 

  1946年2月には教材編纂委員会をもうけ、1948年までに92種類、100万部の教科書と副教材を自力作成, 同年9月、学校を再び統合整備し、6年制の正規の学校へと発展させた。

 

  福岡県下に於いては1945年12月17日、朝連福岡県本部結成(24支部、73分会)以後本格化。

1945年9月 福岡市内4ケ所で朝鮮語の授業が始まる。また県内各地で朝鮮語講習会が始まる。

1946年 門司、小倉、戸畑、苅田、築上、田川、嘉穂、福岡、飯塚、大牟田等 県下13支部に初等学院(小学校)開設、(児童数約2000名)

1949年には県下20校が認可を受ける。

 

  中等教育への発展
    1945年10月5日   東京朝鮮中学校開校
    1946年10月4日   東京朝鮮中・高級学校開校

 

  1948年当時日本各地に525校の初等学院、4校の中学校、10校の青年学校を設立し、1100余名の教員により4万余名の児童・生徒達に民族教育を実施。

 

△ 中等教育体系確立は在日同胞と朝連の努力の結果である。

 

※ 当時のスローガン
《 金のある者は金を出し、力のある者は力を出し、知恵のある者は知恵を出し 我々の学校を建てよう!》

1946年当時、日本各地で民族学校の数は 573校、生徒数は約6万人が在籍していた。

 

2) 民族学校創立後の過程

 

日本政府・文部省の立場は今日に至るまで「民族教育」に対し抑圧と「同化政策」である。
 私たちの立場は、一言で言うならば、「同化政策」に反対し、「民族の心」を学ぶ権利が人権として尊重され、教育の機会均等を実現させる為の路程であった。

 

1) 朝鮮人学校弾圧 = 2度の 「朝鮮人学校閉鎖令?o:p>

 

1948年 1月21日   「朝鮮人設立学校の取り扱いについて?/SPAN>

 

 4・24阪神教育闘争」 阪神地区に非常事態宣言発令。朝連兵庫本部委員長の事実上の獄死、大阪での金太一少年の射殺。朝鮮人検挙、軍事裁判、活動家の南朝鮮強制追放。

 

1949年朝鮮人学校「閉鎖令」を閣議決定(10月12日通告、10月19日執行)

これにより4万3千余名が日本学校への転校を余儀なくされた。

 

 福岡県下では「民族学級」形式で11名の教師が講師の資格で8000名の児童、生徒の内700名を対象として課外授業形式で細々と維持。

 

※「民族学級」設置状況(小学校―10校、中学校2校)

小学校=小森江東小学校(北九州市門司区)、曽根小学校(北九州市小倉南区)、貴船小学校(北九州市小倉北区)、足立小学校(北九州市小倉北区)、戸畑小学校(北九州市戸畑区)、若松小学校(北九州市若松区)、穴生小学校(北九州市八幡西区)千代小学校(福岡市博多区)、大浜小学校(福岡市博多区)、吉塚小学校(福岡市博多区)

中学校=足立中学校(北九州市小倉北区)、千代中学校(福岡市博多区)

 

2) 新たなる出発   朝鮮総連の結成(1955年5月25日)。

教育における主体性の確立(民族学校の整備および民族学校の再建)へ。

 

1955年6月18日・総連福岡県本部結成(17支部、93分会)。

1956年 4月 九州朝鮮中・高級学校創立

1956年 9月 田川朝鮮初級学校開設

1960年 1月 小倉朝鮮初級学校開校

1960年 2月 八幡朝鮮初級学校開校

1960年 3月 若松朝鮮初級学校開校(1963年に八幡朝鮮初級学校に統合)

1960年 4月 福岡朝鮮初級学校開校

1960年 4月 大牟田朝鮮初級学校開設1973年福岡朝鮮初中級学校に統合)

1968年 1月 北九州朝鮮初中級学校開校(中級部併設、小倉、八幡朝鮮初級学校統合、校名変更)

1973年 4月 福岡朝鮮初中級学校開校 (中級部併設、校名変更)

1973年 5月 筑豊朝鮮初中級学校開校 (中級部併設、田川朝鮮初級学校の校名変更)

 

3) 「韓・日」条約後の試練を経て

 

― 2つの文部次官通達  ( 1965年12月28日)

「法的地位協定における教育関係事項の実施について?/P>

「朝鮮人のみを収容する教育施設の取り扱いについて?/P>

 

 各種学校としても認可を認めないと通告(植民地時代の同化政策を彷彿)

 

― 「外国人学校法案」等、7度もの法制化企図 ( 1966 〜 1972)

   設置認可権、学校運営、教員の任命、教育内容に対する 立ち入り検査、学校閉鎖等の権限を文部大臣に集中するなど、取り締まりの強化を図った。

 

― 各地における朝鮮人学校の認可獲得
1968年
  4月   朝鮮大学校を各種学校として認可
1975年11月
   最後に山陰朝鮮初中級学校を各種学校として認可

 

4) 1970年代より世代交代、長期在留化に対応

1977年度、1983年度にカリキュラム、教科書の改編

 

5)1990年代より3世〜4世が民族教育の主な対象となる。

 

  2世〜3世の教員が3世〜4世を教える段階となる。
  1992年2月 日本高等学校野球連盟が朝校の加盟を認定
 1993年〜1996年にかけてカリキュラム、教科書を実態に即し全面 改訂
 1994年3月 広島県が朝鮮学校を「1条校」に準ずる学校と認定
 1994年3月 日本高等学校体育連盟が朝高の競技参加認定(1990〜1994年)

 1994年4月 JR定期券割引率差別を是正(1987〜1994年)

 1998年2月 日弁連が民族教育の制度的保障を要求する勧告書提出 

 1998年6月 国連「子どもの権利条約」審査委員会が教育差別 是正勧告

 1998年度京都大学大学院理学研究科が朝鮮大学校卒業生に門戸開放(1998年9月、受験合格=九州朝高卒業生)、経済学、教育学、文学の各研究科も受験資格認定

 1999年度(99年1月受験)九州大学大学院比較社会文化研究所が受験資格認定(九州朝高卒業生受験)。

また京都大学大学院人間・環境学研究所も認定。

2000年度より朝鮮学校生の「大検」受験を認定

 2000年度より個別の能力審査により大学院入学資格を与えることに。

 

 (6)2003年度よりカリキュラム、教科書の改編

  

※ 南北朝鮮をより客観的に理解するための教育内容

  ※ 日本で定住、共生する為の教育内容

  ※ 国際舞台に羽ばたける資質を高めるための教育内容

  ※ 週5日制に対応した教育内容

※ 入学者対象を朝鮮籍,韓国籍,ニューカマー,保護者が朝鮮民族であれば日本籍をはじめ国籍は問わない

 

【福岡県下朝鮮学校(幼稚園,初・中・高級)における学生の国籍別分類】

                               (2003年度5月現在)

 

朝鮮籍

韓国籍

日本籍

中国籍

幼稚園

53

5

3

 

61

初級部

172

18

4

 

194

中級部

108

4

2

 

 

高級部

127

10

4

1

142

合計

460

37

13

1

511

   

 

 

 

 

 

 

 

3)民族教育の成果

 

(1)   成果

 

・今日まで約 10万人の卒業生を送り出した。
また幾多の困難の中で今日、大学校1校、高級学校12校、中級学校

42校、初級学校65校、幼稚園を62園運営し続けている。

・朝鮮民族としての誇りと自覚を与えた。

・在日朝鮮人の生活と権利の擁護、祖国と民族の将来の担い手を数多く育成した。

・日本と朝鮮の友好親善の架け橋となるべき多くの人材を社会に送り出した。

(2)成果の要因

 

@     祖国の支援

 ・ 1956年以後今日まで149回にわたり451億616万3000円(2003年4月現在)の教育援助金と奨学金を送金。   

・ 弾圧、妨害、身辺に危険が及ぶ時など常に声明を出し擁護。

A 在日朝鮮人の民族の尊厳と人権としての民族教育育成の為の血と汗の結晶。

B   心ある広範な日本国民と友人達の理解と支援。

 

4) 今後の課題

 

(1)新世紀と民族教育

 

  21世紀は在日同胞にとって輝かしい未来が約束された時代である。

いま、新しい同胞世代は半世紀以上の長きにわたり、豊富な経験と実績を積み重ねてきた民族教育に対する期待がたいへん高まっている。

 

彼らは新世紀を迎えたいま、在日同胞子女たちが民族的自覚と高い資質を見に付け、祖国統一実現と統一した祖国の未来のため、日本を始め世界で幅広く活躍する人材を育てることを切実に要求している。

  

民族教育は民族性にあふれた豊かな同胞社会を築くとともに、朝鮮人としてのアイデンティティーをそなえた日本に定住する市民として日本人と立派に共存、共栄するうえでこの上ない大切な事業である。

 

固有の文化なくして民族の存在は考えられない。個々の人格も、民族の文化を体現して初めて確立できるものであり、民族性の形成なしに人間としての尊厳や自主性をもちえず、真の国際人にもなりえない。このような観点から世界各国で民族性重視の教育を推し進めている。

 

 

(2)これからの課題

 

△ 私たちの立場

 

「民族の心」を学ぶ権利が、人権として尊重され、教育の機会均等が保障されるべきだと考える。
 また日本政府当局は在日朝鮮人社会形成の歴史的経緯からも、道義上民族教育を尊重すべきである。

 

※ 在日朝鮮人の諸問題は、朝鮮に対する日本の植民地統治の結果 生じたものである。 
 

この意味で、他の在留外国人の権利や人権問題とは質を異にし、歴史的責任から在日朝鮮人の権利問題の改善は、自らの責任で解決しなければならない。
 

特に、植民地支配の中で、朝鮮民族の言葉、文字をはじめ文化や姓名まで抹殺しようとした事実の反省に立って在日朝鮮人の民族教育を尊重すべきである。
 

朝鮮学校で学ぶ子供たちは被強制連行者たちの子孫であり、渡日を余儀なくされた同胞の子孫である。それゆえ、民族教育の権利を全面的に保障しそのための条件を整えることは国と行政の歴史的・道義的責任に関する問題である。
 違いを失った「国際化」は「同化」に外ならず、そこには「共生」など存在する余地はない。

 
 「外国人(朝鮮人)」であることを理由に差別する意識と 構造が問題なのである。


 過去の歴史的特殊事情によって生じた被強制連行者の子孫が日本での永住資格をもって生活しているという事実は、永住にまつわる過去を正しく清算するとともに、永住するこの地で民族の違いを乗り越え「共に生きる環境」をつくることを名実ともに保障すべきである。

 

 

△ 文部科学省の不当な規制と差別、その本質

 

「日本政府が、1991年に自由人権規約委員会に提出した報告書」 によると 朝鮮学校への対応について「その自主性を保障しており、差別 はない」として いる。
 当局は、かつて朝鮮人学校を各種学校として認めてはならないと弾圧を強めてきたが、すべてが各種学校として認可されるや、今度は各種学校であることを口実に規制、差別を合理化しようとしている。

 

● 政府の立場  文部事務次官通達(1965年12月28日)

 

@ 朝鮮人学校については、学校教育法第1条に規定する学校の目的に鑑み、これを学校教育法第1条の学校として認可するべきではない。
「朝鮮人のみを収容する教育施設の取り扱いについて」

A  朝鮮人としての民族性または国民性を涵養することを目的とする朝鮮人学校は、我が国の社会にとって、各種学校の地位 を与える積極的意義を有するものとは認められないので、これを各種学校として認可すべきではないこと。
「朝鮮人のみを収容する教育施設の取り扱いについて」

 

B  学校教育法第1条に規定する学校に在籍する朝鮮人の教育については、日本人子弟と同様に取り扱うものとし、教育課程の編成、実施について特別 の取り扱いをすべきではない。

「 法的地位協定における教育関係事項の実施について」

 

● 通達の二つの共通点とその本質

 

民族教育の否定と同化教育の強要にある。

 

政府の政策的意図が今なお変わってないことは、通達を現在も撤回していないことからも明らかである。

政府による様々な教育差別 はこのような政策の具体的な現れであり、民族教育の権利を侵害する制度的差別 の根源となっている。

 

 【自治体現場からの提言】

 

「外国人の子供が日本の学校に通い、日本人の子供と全く同じカリキュラムで母国語も学習できず、日本人らしく育っていくことを当然であり、平等であると考え、外国人が日本の学校へ通うことを恩恵とするのが今までの文部科学省の考えであった。」(神奈川県の韓国・朝鮮人)神奈川県発行143頁)

 

私たちは、日本政府がこのような不当な規制や差別を即時撤回し在日朝鮮人の子どもたちの民族学校に対し、日本学校(学校教育法第1条)と同等の地位・待遇を保障することを強く求める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

△参考資料

 

資料 1. 全国の補助金前例、福岡県内各自治体の補助金交付状況

 

資料 2. 福岡初中級学校と筑豊初中級学校の補修内容、写真添付

 

資料 3. 当事者の声(教員、保護者、学生)   

 

資料 4 朝鮮学校に対する激励、嫌がらせ

 

資料 5. 朝鮮学校の対外交流

 

資料 6 その他 各資料

 

@    民族学校出身の受験資格を求める国立大学教職員の声明

A    外国人学校卒業生の大学受験資格問題に関する日本弁護士連合会会長声明

B    勧告書(日本弁護士会連合会長 鬼追明夫)

C    要望書(日本弁護士会連合会長 鬼追明夫)

D    朝鮮学校問題に関する国連勧告(要旨)

E    福岡県教職員組合執行委員長の文部科学大臣宛の要請

F    日朝協会福岡支部の文部科学大臣宛の要望書

G    2003年月9日神戸新聞

H    ビデオ資料

・ 「民族教育権利の為の同胞たちの戦い」

  テレビ朝日「開かれた朝鮮学校」ワイドスクランブル(2003.3.12)

・ 「北九州初中級学校 文化祭」

    「福岡初中級学校 文化祭」

     「はばたけ子供たち」小倉朝鮮幼稚園創立20周年記念

I    「民族教育」2001年度各新聞に掲載された資料 (2001 13号)

  

 資料 7 学校関係 ホームページ

  

@九州朝鮮高級学校    http://www.jade.dti.ne.jp/~f-chouko/

A福岡朝鮮初中級学校   http://www.jade.dti.ne.jp/~f-chojun/

B九州朝鮮人物語     http://www.ceres.dti.ne.jp/~kks/

Cエウファネット     http://www.elufa.net/  

《民族学校の教科書が変わる!第2弾》

D朝鮮新報社(リンク)  http://www.korea-np.co.jp/sinboj/Default.htm

 

 

 

 

 

 

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