文科省よ、ええ加減にせい!まだまだあるぞ朝鮮学校への差別!
在日本朝鮮人人権協会 金東鶴
三月二八日文科省は、外国人学校の卒業生らの大学入学資格問題について、朝鮮学校などアジア系学校の卒業生への拡大を検討することを決めた。
外国人学校の中で欧米の評価機関による認証を受けたインターナショナルスクールにのみ入学資格を与え、受験を可能にするという、とんでもない方針が三月六日に発表されて以来、若い世代をはじめとした同胞達の、また広範な日本の方々の民族学校排除反対の声を挙げた。その声に押されに押された文科省は発表した方針の凍結、再検討を余儀なくされたわけだ。
現時点(四月三日現在)では未だ検討状態にあり最終結論が出されていないわけで朝鮮学校をはじめ全ての外国人学校の受験資格がきちんとした形で認められるよう、引き続き文科省へプレッシャーをかけていく必要はあるが、このような短期間で、一度、公にされた省庁の方針が転換されることは普通あり得ないことであり、民族教育への想いを結集した私たちの運動が、国家権力による差別という分厚い壁を揺り動かすという快挙であった。
しかしながらその一方で、去る三月三一日の告示によって欧米の評価機関の認定を受けたインターナショナルスクールにのみ私立の一条校と同じ「特定公益増進法人」とし、四月一日から私立学校と同等に税制上の優遇をするという措置がとられた。これは受験資格問題における露骨な差別への広範な反対の声に拘わらず、受験資格問題の陰に隠れるようにして強行された許すことの出来ない暴挙である。
朝鮮学校とその生徒らが受けている差別はこれらの問題にとどまらない。朝鮮学校が学校教育法上、そろばん学校や自動車教習所と同じ「各種学校」のまま放置され、同法の一条で定める一般の「学校」とその生徒に保障されている諸権利を奪われているため、ありとあらゆる不利益を被っているのが現状だ。以下、まだどんな差別があるのかを簡単に紹介したい。
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@ 弁護士、税理士になるのにも強いられる苦労
――――――― 進路選択における差別
 これまで文科省は一貫して大学への入学資格を認めてこなかったため、現時点では国立大学の全て、また少なくない公・私立大学が受験を認めない状況にある。このことはこの間、新聞報道でも多く取り上げられたので詳述はせずこれにとどめる。
進路選択における差別としては、それ以外にも国家資格取得における問題がある。
朝鮮大学の学生が弁護士になるため司法試験にトライする場合、日本の大学に通うものなら一定の単位を取るだけで免除される一般教養試験を一次試験として受験しなければならない。これは大検より遙かに難しいと言われている。この一次試験の免除を受ける為の方法はある。日本の大学にいわゆるダブルスクールを二年以上して、一定の単位数を修了するとか、日本の大学院に入学を認められれば一次試験は免除される。しかし免除されるためにそのような負担を強いられてしまうのは不条理であることは言うまでもない。なお一次試験の免除の要件の一つに
「外国において、学校教育における十六年の課程を修了した者」という規定がある。つまり外国にある外国人大学卒なら認めるが日本にある外国人大学は認めないのである。また、「防衛大学校又は防衛医科大学校を卒業した者」や「水産大学校を卒業した者」も免除するとしている。朝大と同様、「一条校」でない、そして法律学科もないであろうこれらの「大学校」(一条校でないから「大学」を名乗ることは禁じられている)は一次試験が免除され、朝鮮「大学校」には免除されていないのである。
 司法試験だけではない。別表一にあるように、公認会計士や不動産鑑定士も一次試験が免除されていない。
 弁理士や司法書士、行政書士、宅建といったところは問題ないが、税理士や社会保険労務士になるためには他の資格をまずとるというような迂回コースを経なければならない。
また看護学校についてはいわゆる正看学校については制度的に大学入学試験と連動して解決する可能性が高いが、准看学校(入学資格の可否については都道府県によっても対応が分かれていると言われている)については、中学卒業生を主な対象とするので連動して自動的に解決とはならないと思われる。
 その他、保育士の受験資格においても日本の大学なら二年以上の在籍と六二単位の修了により、受験資格を得るのに対し、朝大生には認められていない(卒業生については東京都、神奈川県等は認めているようだが、都道府県によっては認めていないところもある)等、資格取得においての不利益は多い。

A 行政からの助成(補助)金にも雲泥の差
―――――――――学校助成における差別
在日朝鮮人は日本人と同じように納税の義務を課せられている。にもかかわらず国庫からの補助は一切なされていない。地方自治体からの助成には限界もあり、自治体ごとの格差もあるが、総じて行政全体からの助成金は日本の学校には遙か及ばない。
日本の公立学校は小、中、高それぞれ1人当たり年間八〇万円〜九〇万円のお金が出されている。私立学校でも地方自治体によっての若干の差異もあるが小、中、高それぞれ1人当たり年間二五万〜三〇万円前後にはなる。
それに対し朝鮮学校には小、中、高全国平均で1人当たり年間八万円前後である。
一九九八年に朝鮮学校等の外国人学校への処遇差別は重大な人権侵害だと勧告した日本弁護士連合会(日弁連)は、その勧告の報告書部分で少なくとも義務教育期間である初級部、中級部については日本の公立小中学校と同レベルの補助金を出すべき、としている。しかしその公立と比べて全国平均で一/一〇レベル、私立と比べても一/三以下のレベルしか助成されていないのが現状だ。

B カンパしようにも税制上のメリットなし
――――――――税制上の優遇措置における差別
助成金が少ないのだから、必然的に寄付金集めは学校運営において重要な要素となってくる。しかしながらその寄付金に関する制度においても朝鮮学校は差別されているのである。またこの税制上の問題については前述のように短期滞在者の教育を主な目的としたインターナショナルスクールについては「学校」扱いをし、朝鮮学校等は放置しているのである。なお、詳しくは別表二を参照して頂きたい。

C 奨学金も貰えない
――――――――その他の差別

朝鮮学校は各種学校ということで、育英会の奨学金も貰えない。また在日朝鮮人の子どもたちを対象にした朝鮮奨学会の奨学金すら正規の「学校」ではないとして貰えないのだ。
また日本の一般の学校なら校門前などの道はスクールゾーンに指定され、速度制限が設けられたり、横断歩道が整備されたりする。しかし、朝鮮学校ではそういった子どもの命の安全に関することすら「学校」でないということで放置されているところが多いという。
その他、朝高を出て日本の大学に通う学生が教職課程の実習を母校である朝鮮学校ですることについても認めない大学まである、などなど細かいことを言えばきりがないといえる現状なのである。
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 このように朝鮮学校への差別は解放後(戦後)半世紀を経た今日においても未だ本当に酷いものと言える。
しかし、何も悲観することはない。私たちの運動により、この一〇年だけを見ても、JRの定期券割引率差別問題や高野連や高体連、中体連の主催するスポーツ競技大会への参加の問題が解決し、朝大からの国立大大学院への道も開かれてきている。また九八年の日弁連勧告を皮切りに、国連でも子どもの権利条約、人種差別撤廃条約、国際人権規約の自由権規約および社会権規約の各条約委員会がことごとく朝鮮学校の処遇差別撤廃を日本政府へ勧告するに至っている。
このように民族教育の権利を認めるのは世界的な人権潮流であり、この日本社会でも遅まきながら徐々に根づきはじめている。さらに今回、大学入学資格において方針転換を勝ち取ったことはこの差別撤廃運動をさらに前進させる大きな契機となるだろう。
――― これから育ちゆく子どもたちのために、差別を撤廃させ、朝鮮学校へも一条校と同等な権利を保障させる法制度を作って行くための努力が私たち大人にあたる世代に求められている。
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